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歴史に育まれた暮らしの道具。伝統的工芸品と出会えるKOUGEI EXPOが始まります!

2020.10.31
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歴史に育まれた暮らしの道具。伝統的工芸品と出会えるKOUGEI EXPOが始まります!

今年も早いものであと2か月。ぐっと冷え込む朝晩に、本格的な秋を感じる今日この頃です。

洋服はもちろんですが、室内を飾るインテリアや生活道具を、秋冬仕様に模様替えしている方も多いのではないでしょうか?

 

日本には古くから、季節のうつろいや日々の生活を楽しむ工夫が伝わっています。

年中行事や季節のものを活かした料理、四季折々の草花。

そうしたものを楽しむときに欠かせないのが、日本ならではの風土と伝統の技で育まれた"暮らしの道具"です。

 

染織や焼きもの、和紙に漆の器、人形など……全国津々浦々に伝わる伝統的工芸品。

その土地ならではの原材料や技法を用いて、技術を継ぐ職人が生み出す工芸品の数々は、まさに「一生もの」と言えるでしょう。手にするだけで、いつもの日常が特別なものに感じられるから不思議です。

実は11月は、そうした伝統的工芸品の魅力をあらためて体感する「伝統的工芸品月間」と定められた期間。

例年、展示会や販売、製作体験を通して工芸品に触れられる"KOUGEI-EXPO"が、国の事業として開催されています。

 

第37回目にあたる今年。

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、京都で予定されていた"KOUGEI-EXPO"のリアルイベントの開催は見送りとなったものの、

場所をオンライン上にうつし、「KOUGEI EXPO 2020 ONLINE」として開催されることとなりました!

 

全国から集まった工芸品は、なんと230種類以上。眺めているだけでもまるで日本中を旅しているような、バリエーション豊かな工芸品の数々が集まりました。

さて、今回の記事では「KOUGEI EXPO 2020 ONLINE」の開催にあわせ、歴史と革新の町・京都で工芸品を作り続ける、お二人の職人へインタビューをおこないました。手掛けられている工芸品の歴史や、作り手が考える伝統的工芸品ならではの魅力についてお話を伺いました。

産地がもつ歴史・伝統と、それを受け継ぐ作り手の想いとを、ぜひお楽しみください。

京都に残る日本の美意識を具現化する ~京友禅 富宏染工さん

まずご紹介するのは、手描きによる京友禅の染匠・富宏染工さん。日本を代表する伝統工芸のひとつ・友禅染めとは、きものや帯などの布に、模様を染める技法のこと。すべての工程を手仕事で作られる京友禅は、今では1割ほどと、大変希少になっているそうです。

 

きものの町・京都で、京友禅はどのように発展してきたのでしょうか?

――京友禅のはじまり、染匠という仕事について教えていただけますか。

京友禅は、江戸時代に京都の扇面画家・宮崎友禅斎が始めたと言われています。
江戸時代、奢侈禁止令(=贅沢を禁止して倹約を推奨する法令)が出され、それまで加飾の中心だった技法「金紗・縫・惣鹿の子」といった華やかな染織技法が禁じられてしまいました。

すると武家の女性や商家の女性を顧客としていた呉服商は販売するものがなくなり、策を練った結果、新しい「友禅染め」の技法が生まれたのでは、とも言われています。ファッション雑誌のように『友禅ひいながた』という見本帖も発刊されて、元禄時代に流行したようです。


弊社は「染匠」と言われる仕事を営んでいます。
京友禅は15前後の工程に分かれており、各工程の職人が代々受け継いだ仕事をして、染匠が意匠・デザイン配色、着物の出来上がりまでを統括します。

――作品制作において、一番こだわっていらっしゃるポイントはどこでしょう。

伝統的な友禅は、全工程手仕事による一品作品を基本としています。白生地を仕入れてから、市内に住む職方の家を順々に回って出来上がるという、昔ながらの製作を今も続けています。

白生地に糸目糊という糊を使って模様を描いて染めるため、隣り合う色が混ざらず、世界にも類を見ないほどの多彩な色彩を施すことが可能です。弊社は彩色された柄のグランド(地色部分)を大小の刷毛で柄を浮かび上がらせるように除けながら染める「よけ染め」の独自の技法にこだわりがあります。


普通は染料を生地に定着させるためにオリジナルの地入れ液で下染めをする工程が必要になりますが、よけ染めによってグラデーションや多色使いが可能となり、華やかで上品な富宏染工らしい作品が出来上がります。均一に濃淡のムラの無いように染めるには熟練の技術が必要です。

▲すべて手仕事で作られ、熟練の職人技が光ります。

友禅染めは「はんなり」「雅やか」と言われますが「みやび」は平安時代の「宮ぶ」を由来に生まれた言葉らしく、宮廷風という意味を持ち、都会的な文化や感受性によって見出された言葉と言われています。上品で優雅、知的に洗練されたという美しさを表していると言えるでしょう。

弊社でも、いわゆる派手・ゴージャスな華やかさではなく、上品で奥ゆかしい、しなやかさのある華やぎのある色柄のものを多く手掛けています。

 

また、京友禅の技術を現代の暮らしに活かしたこんな作品もございます。

Kyo-Yuzen クラッチバッグ 瑞雲 紺ベージュ マグネットタイプ

京手描友禅染のクラッチバッグは、改まったおでかけにも、カジュアルなスタイルにも、和装でも洋装でも、様々なシーンでお使いいただけます。

美しさだけではなく、軽さや収納、撥水加工など機能面にもこだわったバッグです。
良いことの予兆としてあらわれる雲の意匠が、デザインとして施されています。ハレの日のバッグとしても大変おすすめです。

――富宏染工さんが考える、「伝統的工芸品」の魅力についてお聞かせください。

京都の伝統工芸として、京都に残る日本の自然観、世界観・美意識といった根底に流れるものをかたち作り、具現化したいと常に思っています。


今はグローバルに活躍される方が増えていますが、海外で自分の国の文化や価値観を問われ、再考されることが増えるとたびたび耳にします。活躍の場が広がり、未来を予測することが難しいようになると、自分を作ってきた価値観や美意識が支えになることもあるのではないでしょうか。

そんな価値観・美意識を育むひとつのきっかけとして、伝統工芸に触れていただきたいと考えております。

京都ならではの文化や伝統を伝えてきた人々の技や暮らし、価値観。

丹誠込められた手仕事をとおし、そうした価値観・美意識を現代に伝えている富宏染工さんの作品には、決して古びることのない、新鮮な驚きや美しさが詰まっていました。

暮らしの中で楽しむ伝統の技 ~京焼・清水焼窯元 一陶さん

京都で作られる焼きものの、京焼・清水焼。その中でも清水焼は、清水寺から続く五条坂近辺で作られることからその名で呼ばれ、知られてきました。

 

独自の意匠性をもった清水焼は、かつては高級料亭などで扱われる大変高価なものでした。

伝統工芸ならではの技術や技を継承しながら、現代の暮らしに馴染み、彩りを与えてくれる作品を手掛ける窯元の一陶さんにお話を伺いました。

――一陶さんの、ものづくりの始まりについて教えてください。

清水焼窯元「一陶」は、私の祖父が開窯いたしました。私で三代目となります。

初代一陶は、おもに割烹食器を中心に作陶しておりました。その時代は、京都市内でも「登り窯」という傾斜地を活用した大きな窯で焼成していました。残っている当時の作品はどれも「むっくり」と焼けていて、磁器であるにも関わらず柔らかい雰囲気をまとった作品に仕上がっています。

 

当時のろくろ職人の技術はとても高く、私も修行時代は祖父の作品をろくろの前に置き、自分の作った物とどう違うのかを毎日研究してろくろ技術の向上を図りました。

――作品制作における、こだわりのポイントをお聞かせください。

清水焼の仕事は、ほとんどが分業制で行われています。私はろくろ師なのですが、お客様が器を持たれた時の手にしっくりと馴染む心地よさや、湯呑みや盃などは口当たりの良さにこだわりを持って成形をしています。

繊細な割烹食器を作る修行をしてきましたので、その技術をご家庭でお使いになる食器にも取り入れていきたいと考えております。

また、伝統ある清水焼の技術はそのままに、決して走った仕事ではなく手間を惜しまず丁寧に成形することを心掛けています。

絵付師の心の込められた一筆一筆で施された美しい絵で仕上げた器が私の作品らしさであり、「京都らしさ」を表現していると思います。

▲一筆一筆、丁寧に描かれた絵付けの美しさにおもわず見惚れます

こちらのぐい呑みは、藍色の祥瑞と金で縁取られた緑七宝を交互に配したコントラストによって、華やかな雰囲気と落ち着きを兼ね備えた作品に仕上げました。

 

伝統的工芸品は、長きにわたり職人が技術を競い合って、その中で作品が生み出されてきました。だからこそ作品には深みが生まれます。

飽きがこず、いつまでも暮らしの中でお使いいただける事が、伝統的工芸品ならではの魅力だと考えています。

一客一客、丁寧に作られ続ける美しい器たち。伝統的な技・華やかさを持ちつつも、暮らしに自然に馴染むようデザインされているため、普段の生活に彩りを与えてくれます。

毎日使うものだからこそ、長く愛着を持って使いたくなる作品を選んでみるのはいかがでしょうか。

伝統的工芸品で、暮らしを丁寧に味わう喜びを。

未曽有の出来事に見舞われた2020年。家で過ごす時間が長くなったことから、日々を丁寧に過ごすことと向き合った方も多いのではないでしょうか。

当たり前と思っていた日常がそうではなくなったとき、毎日目にする暮らしの道具が、こんなにも私たちの心をとらえ、なんでもない日々に癒しや感動を与えてくれるということをあらためて実感させられます。

 

KOUGEI EXPO 2020 ONLINEでは、全国から集まった230以上もの工芸品の魅力を味わい、直接作り手の方から購入することが出来ます。

ぜひこの機会に、作り手の想いと技術が込められた作品をお楽しみください!

■ 「KOUGEI EXPO 2020 ONLINE」の概要

名  称  : KOUGEI EXPO 2020 ONLINE

開催日程  : 2020年10月30日(金)~2021年3月上旬

Creema特設サイトURL: https://www.creema.jp/event/kougei-expo

主  催  :一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会

運  営  :株式会社クリーマ

※本記事は、一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会より委託を受け、株式会社クリーマが制作させていただいております。

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