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遠州産地 織りもの・染めもの紀行 〜丹精込めて紡ぎ出す、こだわりの手仕事〜

2021.06.25
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遠州産地 織りもの・染めもの紀行 〜丹精込めて紡ぎ出す、こだわりの手仕事〜

古くからものづくりが盛んな地である遠州地方。

静岡県西部に位置し、織りものや染めもので盛んな地として知られています。Creemaでは今年1月、遠州産地・浜松市へ赴き、染めものと織りもの4つの工場へインタビューを行いました。(前回の記事はこちら

引き続き、『遠州産地 織りもの・染めもの紀行』と題して、特集ページ・読みものを通してご紹介します。特集では作品たちを一挙ご紹介しております。こちらもチェックしてみてくださいね。

 

そして、この読みものでは、織り・染めを手がける4つの工場を制作の臨場感伝わる写真とともに、ご紹介します。

 

※今回は感染症対策のためリモート取材を行い執筆しております。

糸の複雑な重なりが生み出す、表情のおもしろさ。エム ジャガードさん

まず初めにご紹介するのは、その名の通りジャガード織りを手がけるエム ジャガードさん。

ージャガードの特徴や魅力について教えてください。

ジャガード織機は、紋紙(もんがみ/厚紙に開けられた穴で、柄のパターンをデータ化した紙)の情報により、たて糸1本1本異なる動き方ができるので、複雑な模様や文字が織れることが特徴です。

たて糸とよこ糸を交差させて布を織る”織組織”と紋紙の組合わせで、凹凸を強調した生地やカットジャガードなど、複雑な柄・変わった柄など様々な模様を自由に織ることができるのが魅力です。

▲こちらが、柄の情報を示す穴が開けられた紋紙。
この厚紙が糸を操作し、複雑な模様を生み出しています。

紋紙自体は外注依頼し、糸番手(糸の太さ)・織物密度・織組織・図案……など細かな部分を紋紙製造会社と相談しながら彫ってもらっているそう。

一体どんな模様の生地が生まれるのだろう……?とワクワクしてしまいます。                

ージャガード織りを始めた当初、どのような作業に苦戦しましたか。

祖父の代から織物を、父の代からジャガード織物をはじめました。自分は父からジャガード織物を教わりましたが、ジャガード織機の仕組み、細かな調整をおぼえるのが大変でした。

紋紙を使用する古いジャガード織機を使っている為、うまく動作しなかったりすることもしばしば。もう作っていない古いジャガード織機なので、消耗部品交換や折れた部品の交換・部品の確保なども大変なんですよね。

▲整然と並ぶジャガード織機たち。ここから複雑な模様のジャガードが生み出されていきます。
▲糸を一本一本操ることのできる、ジャガード織機。
たて糸を上げ下げする綜絖(そうこう)を近くで見た時の様子がこちらです。

たて糸の本数は、3000本、4800本、6300本の3種類があり、よこ糸は4色まで表現できるそう。たて糸の本数が増えるほど細かな模様を生み出すことができます。

これだけ多くの糸が操られることによって、ジャガードの持つ複雑でおもしろい模様が出来上がっていくのですね。

▲織機の上にある単動ジャガードの様子。大きさは縦横約1mほどです。

紋紙の穴の情報をジャガードが読み取り、縦針から通糸・ヘルドを経て織機のたて糸を上げたり下げして織物を織ります。

紋紙1枚がよこ糸1本分の指示を出すので、柄が大きくなるほどに紋紙の枚数も増えていくんだとか。

ーエム ジャガードさんの生地はメロンの皮などユニークな柄の生地が多いですが、デザインはどのように生まれるのでしょうか。

綿100% 遠州織物「メロンジャガード タンブラー加工」オリーブ

柄決めは、個性が強すぎる柄やあまりに大きい柄は購入される人も限られてしまいますので、「ぐるぐる柄」や「メロンの皮柄」「水玉カット」など程良く個性のある柄を選ぶことが多いです。

個人的にシンプルな色柄の服が好きなのでシンプルな中にもワンポイントに柄があしらわれた服や小物があったらいいなと想像しながら生地作りをしています。

ーどのような目的で生地を購入される方が多いのでしょうか。

地元の作家さんには、カバンや服などの商品作りにエム ジャガードの生地を使っていただいています。シンプルなデザインの服でも 使う生地によって作品の感じが変わります。

生地に織柄が入っていると、華やかな服になったり個性的な服になったり……。ポケットの部分などのワンポイントに柄入り生地を使用される方もいるようです。

▲今まで受注して作ってきた生地は、すべて生地見本にファイリングしているそう。

特徴的な凹凸のデザインが魅力のジャガード。自ら手がけた生地だからこそ、どの生地もしっかり印象に残ることがやりがいだと言います。

ーこれまで作品をご購入いただいたお客様からの声で、印象的だった言葉はございますか

「街の生地屋さんはプリント柄とかは揃ってるんだけど、ジャガードなどちょっと変わった生地が少ない」とよく聞きます。ご購入していただいたお客様から「珍しい生地・おもしろい生地で何を作ろうか。想像が膨らみます」という言葉をよく聞きます。

1本1本の糸が独立し、それぞれ異なる動きをすることによって生み出される複雑で”おもしろい”柄。

手書きのデザインからでも生地にできるという幅の広さも特徴の一つです。これからも、あの紋紙や糸から、様々な生地が生み出されていくことでしょう。

 

私自身「ジャガード」という言葉は聞いたことがありますが、あの複雑な模様がどのように作られているのか知らなかったので、今はジャガードを触ってみたくてたまりません……!

色とはまた違った、凹凸が織りなすことで浮き出る模様はジャガードならでは。その魅力にひとたび触れたら、魅了される人も多いに違いありません。

細かな観察眼でストイックに糸と向き合う。まるさんさん

続いてご紹介するのは、たて糸の準備から織り上がりまで全て自社で行う、織りもの会社まるさんさん。

遠州産地は日本三大綿織物の産地ですが、国内麻(リネン)織物の7割を占めるほど、麻織物が盛んな地でもあります。60年ほど織物を作り続けるまるさんですが、この10年は特に麻(リネン)織物に特化しており、取引先からは「丸三織物で織れなければ、他社では織れない」とまで言われるほどだそう。

▲整経(織物の準備工程で、糸の本数や張り具合を揃えること)を行なっている様子

ーたて糸の準備から織り上がりまで、すべてを自社で行う理由や強みを教えてください。

元々は他社の整経工場に委託をして、たて糸を巻いてもらい、委託を受けた生地作りのみを行っていたのですが、織屋に必要なたて糸を準備する整経工場が近くになかったので、自社の整経工場を創設しました。

整経から製織を行うことで、現場を観察し、どう巻いたら製織で織りやすいかを常に勉強し、丁寧な仕事を心がけています。

麻糸は切れやすいため、織ることが難しい素材です。機械が止まるとキズになりやすいので、極力織機が止まらないよう、調整し、より良い製品を納めるよう日々努力しています。

同業の織屋さんからも整経の依頼を受けるようにもなりました。

繊細な糸が巻かれていく様子は圧巻。

くるくる〜と軽やかに巻かれているようにも見えますが、実際はコツをつかんでトラブルなく巻けるようになるまで、10年〜15年もの年月がかかるそうです。

糸が絡まないように、よく観察し、糸のテンション(張り具合)の変化に常に気を配っているそう。

巻かれた糸が固すぎると糸が切れてしまい、柔らかすぎても布が織れない。まるで生き物をじっと観察しているかのように、糸と向き合います。

▲たて糸を巻いている時の様子。この時に糸の張り具合の絶妙な加減を、手で叩いて調整していくそうです。
このような細かな観察眼が、信頼の集まる生地づくりへと繋がっていくのですね。

ー手掛けられている麻とリネンの違いや特徴を教えてください

麻は植物に含まれている繊維の総称を言います。

麻の種類は20種類以上あり、原料となる植物によって、それぞれまったく性質が異なります。このうち衣料としては、「リネン」「ラミー」が代表的です。

麻の特徴は、天然素材の中で熱の伝導性が最も大きいので体温を放熱させ、肌に接触冷感・涼感を与えてくれます。

吸水・発散性に優れているので、クールビズに最適な素材です。水に濡れると強度が増す性質があるので耐久性に優れ、丈夫で長持ちです。

また、お洗濯で汚れが落ちやすく防カビ性に優れ、雑菌の繁殖を抑制するため、臭いも抑えられます。肌着、ハンカチ、布巾など、衛生的に使用できます。

そんなまるさんさんは、賃加工をメインとしながらも織り機が空いた時にはオリジナルの生地も作られています。一つ一つオリジナルで考えられた個性ある生地たちは、自社工場を始め地域でのイベント等でも販売されているそうです。

リネンラミーの遠州織物 「遠州の麻  ラミーTOP染め × ブルー 」

▲夏らしい爽やかなブルーのリネン生地。
透け感のある生地で、通気性も良いので夏ものの作品制作にもぴったりです。

ー1点もののオリジナル生地を作られていますが、1点ものにこだわっている理由はありますか。

私たちの作る生地のターゲットは、手芸が好きな方、布が好きな方なので、同じ麻布を沢山織るよりも、色や柄のバリエーションをかえたり、糸の太さ、緯糸に麻ではない糸を使ったり……。

ほかにも織り方の違いなどでガラリと変わった風合いの麻布、少量多品種の麻布を使って楽しんでほしい、布で遊んでほしいという想いで1点ものを織っています。

そしてこの数年では、麻(リネン)の製造だけでなく、生地やストールなどの自社製品の開発も始まりました。

生地の縫製は近所の作家さんの手によって衣類へと生まれ変わり、地域のイベントや雑貨店での販売もされています。

リネン100%の遠州織物「遠州の麻 ストール 白 × ブラウン」

▲リネン100%のストール。ふんわり軽く、夏場の冷房対策にも欠かせないアイテムになりそうです。

ーこれまで作品をご購入いただいたお客様からの声で、印象的だった言葉・エピソードはありますか。

初めてご購入してくださった方で、同じ布をリピートしてくださった方がいました。「冬にもリネンを着たくて探していた布がまるさんの布でした」と言っていただけてとても嬉しかったです。

機材ごとの細かな設定を、整経を始めてからノートに記し続けているというまるさんさん。

その細やかな観察眼と、より良い商品づくりへと繋がる丁寧な仕事ぶり。そのストイックに機材と向き合う姿勢こそ、厚い信頼が集まっているのでしょう。

 

ものづくりが好きな方、布が好きな方に届ける1点ものの生地たち。お気に入りの生地との出会いに繋がりますように。

暮らしに寄り添うカラフルなテキスタイルを。sosog_somewadaさん

続いてご紹介するのは、注染そめでライフスタイルに寄り添った商品づくりをされるsosog_somewadaさん。

ー「注染」の技法について教えてください。

注染は日本独自の染色技法で型染めの一種です。

型紙を使って防染糊を置き、生地を重ね、その上から染料を注ぎます。すべての工程は職人の手仕事で行われ、主に浴衣や手ぬぐいなどに使われる小幅の生地を染めます。

浜松は東京や大阪と並ぶ浴衣の産地です。きれいなぼかし(グラデーション)など丁寧な仕事が求められる浴衣の製造を支える技術として浜松注染は発展してきました。

▲染料を注ぐための「やかん」。一般的にやかんと聞くと、注ぎ口が太く短いものをイメージしますが、かなり細長い形が特徴的ですね。

ー「注染」技法の特徴や魅力について教えてください。

一度に多色で染めること(差し分け)や、きれいなぼかし(グラデーション)が表現できることが特徴です。

また、生地を染料で染め抜くため、布の裏表なく同じ色に染まり、通気性、吸水性に優れています。

たっぷりの水で洗い、自然乾燥させるため、染色工程で生地への負担が少なく、柔らかな風合いに仕上がります。

▲梅雨の今人気の花、紫陽花の型染めをしている様子。するすると染料が注がれてゆく様子は、眺めているだけでも心地良く感じます。

ー「ライフスタイルに寄り添った」ものづくりをしようと思ったきっかけを教えてください。

浴衣や手ぬぐいを知っている、使ったことがある方は多いと思うのですが、それらが注染という方法で染められていることや、浜松で作られていることを知っている方は意外と多くないと感じたことがきっかけです。

浜松注染は静岡県知事指定の郷土工芸品に認定されていますし、浜松注染を受け継いできた企業としてこの技術を将来に亘って守り、残していきたいと考えています。

そこで、浜松注染に触れる機会を作りたいという想いから、直接お客さまに商品をお届けするためのものづくりをスタートしました。


注染の代表的な商品として手ぬぐいや浴衣が思い浮かびますが、それらの形にとらわれず、お客さまのライフスタイルに合わせてお使いいただけ、日常に彩をプラスして、明るくするような色鮮やかな浜松注染のアイテムをお届けしていきたいと思っています。

例えば、手ぬぐいはハンカチやタオルのように「手を拭う」という限られた用途だけでなく、物を包む、タペストリーやテーブルランナーとして飾る、洋服を作るなど、テキスタイルのように目的に合わせてさまざまな用途に使うことができます。

商品のことだけでなく、活用方法や浜松注染について、工場の様子などの情報も併せてお伝えしています。

ー数多くのバリエーションの色柄を作られていますが、様々なラインナップを用意していることに理由はありますか。

お仕事用、インテリア用、贈り物用などお客さまが当店でお買い物をされる目的はさまざまです。

使用シーンや贈る相手に合わせて、色や柄を楽しく選んでいただけるように幅広いラインアップを揃えています。

浜松注染 | 紫陽花(赤紫) 手ぬぐい 本染 綿100% 日本製

紫陽花やもみじなど季節の移ろいを感じられるようなお花のシリーズや麻の葉などの伝統的な文様を日常に取り入れやすいカラーで染めたシリーズ、馴染みのあるストライプや水玉模様などがありますが、共通しているのは、浜松注染ならではの多彩な色使いや絶妙なぼかしを取り入れていることです。

お客さまからは他にはない使いやすいデザインが多いとご好評いただいています。

ーコロナ禍の影響で新たに作ったものや需要の変化があれば教えてください。

マスク用の生地を新たに作りました。マスクをお使いなる方の気持ちが少しでも明るくなるようにと、伝統柄に浜松注染ならではのぼかしを施したカラフルな色使いの生地です。

注染ますく(ストライプ ブルーグラデ)|注染手ぬぐい使用 綿100% 日本製 本染

▲Creemaではマスクもご出品されています。涼しげなストライプ柄で、爽やかなグラデーションも美しいですね。

実はCreemaに出店し、お客さまに直接手ぬぐいをお届けするようになったのもコロナがきっかけ。当時は、マスク不足が深刻で、ハンドメイドするためのマスクの材料すら手に入りづらい状況でした。

手ぬぐいや浴衣用の生地と同じものがハンドメイドマスクに使われているというニュースを見て、材料が足りずに困っている全国の方に生地をお届けしたいと急ピッチで準備を進め、Creemaで販売を始めました。

今ではマスク不足は解消しましたが、浜松注染を知っていただくことを目的に「sosog」として出店し、ラインアップを少しずつ増やしています。

ーこれまで作品をご購入いただいたお客様からの声で、印象的だった言葉・エピソードはございますか。

たくさんの素敵な感想をいただいています。

注染ならではのぼかしや多彩な色使い、また、綿の柔らかな風合いなどをご評価いただき、リピートしてくださる方も多いです。

また、タペストリーやストールなど、お客さま一人ひとりの手ぬぐいの使い方を伺うのも楽しみです。

手を拭うだけでなく、ある時はテーブルの上に敷いて食卓を華やかに彩ったり、またある時は本をくるんでブックカバーにしたり……壁にかけてタペストリーとして楽しむことも。

 

手ぬぐいの可能性は無限大です。アクセサリーや服を買うように、好みの色柄を手にして、暮らしのいろいろな場所で使ってみてはいかがでしょうか。

きっと生活にそっと寄り添い、明るい気持ちで過ごせるかもしれません。

特殊加工もお手の物。120年の歴史を持つパイオニア NKSHOPさん

最後にご紹介するのは、オリジナルの生地づくりにこだわり続けるNKSHOPさん。

120年の歴史を持ち、楽器で有名なあのヤマハ(日本楽器製造)や、現在のテイボー(帝国製帽)と並び明治期の浜松三大会社の一つに数えられています。

国内のプリント会社が減っていく現在、変わらず存在感を放ち続け、日本の染色業界を牽引し続けてきたパイオニア的存在です。

▲会社の広さは約5万㎡で、東京ドームがすっぽり収まる広さ!この空間から、本州をはるかに超えた160万メートルもの生地に毎月プリント(染色)されているんだとか。

ーNKSHOPさんがオリジナル生地づくりにこだわる理由について教えてください。

晒から仕上げまで一貫して行える設備・培ってきた技術を活かし、自分たちの製品を開発・販売し、自社製品のPRをしていきたいからです。

地域との繋がりを大切にしながら製品を生み出していきたいと思っています。

ーCreemaに出品されている静岡更紗のテキスタイルはどのような想いで作られたのですか。

遠州織物 1m オーガニックコットン100%  ロイヤルオックス 静岡更紗 ネイビー

更紗(さらさ)とは?▽
模様染め布の総称。木綿に花や動物等のモチーフが多色染めされた異国情緒溢れる柄が特徴的です。室町時代からインドやジャワから舶載され日本に伝わったとされています。

素材の品質や環境を意識し、静岡(遠州産地)の繋がりを大切に製作しました。量産品ではないためcreema限定商品です。

高品質なオーガニックコットンを使用した遠州織物で、地元出身のデザイナーの柄を環境負荷の少ないインクジェットでプリントし、仕上げています。

ちなみに、Creemaにはこの生地を使用したギャザースカートも。静岡の縫製職人mocomodeさんが仕立て、出品されています。

静岡更紗のギャザースカート

▲苺やお茶など静岡にまつわるモチーフが細かに描かれ、見る人の心をほぐしてくれるような心地よいリズムを感じるテキスタイルですね。

ー具体的にどのようなお客様が、どのような目的でご購入されているのでしょうか。

薄手の生地、麻生地の注文が多いです。生地に詳しい方、夏向けの小物や洋服などの縫製用に購入される方が多いと思います。

▲工場の外観をちらり。映画のワンシーンに登場しそうな、味わい深いたたずまいです。

そして、特殊加工も多く手掛けているNKSHOPさん。

梅雨時期も安心の撥水加工や、夏に嬉しい接触涼感加工、椿オイルを配合し保湿効果や柔軟性のある加工など、その種類は実にさまざま。そんな特殊加工についても聞いてみました。

ーいま人気の特殊加工はどのような種類でしょうか。

▲ミラクルウェーブ加工

「ミラクルウェーブ加工」が人気です。耐久性のある凹凸とシワをつける加工で、独自の加工方法により、一般的なリップル(塩縮)加工された生地に比べて、柔らかい風合いが楽しめることが特徴です。

ーミラクルウェーブ加工を開発したきっかけについて教えてください。

リップル加工(部分的に収縮させて凹凸を施す加工)時、不自然なシワが一部入ってしまう問題がありました。

そこで、全体にシワを入れた生地を作ったことで自然なシワになり、「ミラクルウェーブ加工」が誕生しました。

▲オートスクリーン(版の位置を固定し、ベルトに張り付けた布地が動くことによりプリントされる量産型の加工方法)でのプリントを行なっている様子。型の昇降とスケージ(ヘラ)の動きに合わせてベルトが静動を繰り返し、生地にプリントしていきます。

ー今後の目標や、新たに挑戦していきたいことはありますか?

Creemaに出店されているクリエイターの皆さんに当店の生地を知っていただきたい、繋がりを持ちたいと思います。

なるべく地元の生地を使うことで遠州織物のよさのアピールや地域活性ができればいいですね。

▲配色等を確認するためのサンプルを作製している様子。型を1枚ずつ交換して、手作業で行っていきます。印刷でいうと校正のようなイメージです。

ーこれまで作品をご購入いただいたお客様からの声で、印象的だった言葉・エピソードはありますか。

「きれいな生地ですね」「優しい色で気に入りました」などのお言葉をいただきました。
どの生地も品質にこだわったオリジナルの製品だからこそ、お客様からお喜びの言葉をいただくと嬉しくなります。

▲日本形染の「形」の文字がデザインされた作業帽。皆そろって被り、黙々と作業に励まれています。

地域の繋がりを大切にしてきたというNKSHOPさん。

Creemaでの注文者の割合は静岡県外にお住まいの方からの注文が8割だそうです。静岡の生地の魅力がCreemaを通して日本全国にお住まいの方に伝わるきっかけになればいいな、と思います。

 

120年もの長い歴史を持ちながらも、ネット販売への進出や地元の若手デザイナーとのコラボレーションなど、数多くのことに挑戦し続けるNKSHOPさん。現在では多くの若いスタッフも働かれています。

伝統を守りながらも、柔軟に変化を恐れないその姿勢で、これから先も日本の染色業界を引っ張っていくことでしょう。

真心込めて紡ぎ出される、遠州の手仕事。

今回4つの工場へ取材をしましたが、それぞれの生地への向き合い方はどれもブレることのないこだわりを感じました。

 

試行錯誤を繰り返し、作り上げられる上質な生地が作り手の技術によって、ファッションアイテムや生活用品となって暮らしを豊かにしたり、生活に欠かせない存在へと生まれ変わっていきます。

 

ものづくりが一本の糸から始まって、リレーのバトンを渡すようにクリエイターの手に渡って、また新たな作品が生み出されていく……そしてその土台にあるのは、揺らぐことのない技術の高い手仕事でした。

 

遠州の良質な生地、染物を創作活動・暮らしに取り入れて、日々をより豊かに過ごしてみませんか?

遠州産地 織りもの染めもの紀行 VOL.2

風合い豊かな遠州織りもの・染めものの作品をご紹介しています。ぜひ遠州ならではの魅力的な作品を楽しんでみてください!

※本記事は、遠州産地振興協議会様より委託を受け、株式会社クリーマが制作させていただいております。

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