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クリエイターに密着! 前代未聞なクリスマスツリー・鏡餅ができるまで

クリエイターに密着! 前代未聞なクリスマスツリー・鏡餅ができるまで

毎年この時期になると注目を集めるのが、クリスマスやお正月などの飾りもの。

オーソドックスな形で人気の作品もあれば、なかにはスペースを取らないコンパクトな飾りものや、飾った後も捨てずに楽しめる2wayしめ縄など、アイデアが光る画期的な飾りものの出品も近年増えています。

 

日々生み出される素敵な作品を眺めていると、「クリエイターの得意な技術を駆使すれば、今までにない、前代未聞なクリスマス・お正月飾りをもっと生み出すことができるのではないか……?」と考えるようになりました。

今までにない飾り物が生まれたら……そしてそのアイデアを楽しんでもらえたら。そんな願いを込めて、『アイデア求ム!前代未聞のクリスマス・お正月飾りコンテスト』を開催しました!クリーマが提示した3つのテーマに沿ったクリスマス・お正月飾りをクリエイターのみなさまから募り、そのアイデアを披露するというコンテスト形式の企画です。

今回クリーマから提示した部門は、以下の3種類。それぞれ、クリスマス・お正月飾りどちらかを選んでエントリーしていただく方式です。

1. モチーフ部門「こんなの見たことない!アイデアクリスマスツリー・鏡餅」

2.お悩み解決部門「こんなの欲しかった!クリスマス飾り・お正月飾り」

3.アップサイクル部門「可愛く飾れて、地球に優しい!クリスマス飾り・お正月飾り」

上記テーマで作品を募集したところ、ジャンルを問わずたくさんのご応募がありました。エントリー作品の総数はなんと200超え!エントリーいただいたみなさま、本当にありがとうございます。

 

今回の読みものでは、アイデア性の高いクリスマスツリー・鏡餅を募集する「モチーフ部門」に挑戦した2名のクリエイターに密着し、アイデア段階から、試行錯誤を経て作品が完成するまでを取材しました。それぞれ、普段とは一味違う作品に挑戦してくださいました!

アイデアクリスマスツリー部門:tassel de sicaさん

まず密着したのは、インテリアタッセルやタッセルを取り入れたアクセサリーなどの企画・制作をするtassel de sicaさん。

 

作家さん自身がタッセルの魅力にとりつかれて以来、様々な種類、色の糸を組み合わせて”タッセルでしか表現できない季節感”を模索しながら制作されています。

 

そんなtassel de sicaさんは、今回、【モチーフ部門(アイデアクリスマスツリー)】に向けて新作を制作してくださいました。誕生した作品は、こちら!

スタンド付きタッセルツリー

作品のテーマは「タッセルツリー」です。ツリーをイメージしたタッセルを飾ってクリスマス気分を楽しんでもらいたいと思ったのでこのテーマにしました。

主に毛糸を使用して作っています。毛糸をぐるぐるに巻いてポンポンをつくり、それをミニスカートの様な形状をした毛糸のタッセルの内側に下げています。

tassel de sicaさん

普段はアクセサリーを主に制作されるtassel de sicaさんですが、今回はタッセルをインテリアとして活かした作品を制作してくださり、まさに「前代未聞!」な新作です。

 

実は以前より、インテリアタッセルを制作する上で”クリスマスツリーの様にクリスマスの時期に飾れるタッセルを作ってみたい!”という想いがあったといいます。ここからは、そんな作品への想いを、作品が完成するまでの制作過程と合わせてご紹介します。

ーー今回のコンテストにエントリーしようと思ったきっかけは何ですか?

tassel de sicaさん:今までもクリスマスをイメージしたタッセルを作っていましたが、それはツリーにぶら下げるなどのアクセサリーとしてのタッセルだったので、それだけを飾ってもツリーのイメージがわく様なものを作ってみたいなと思っていました。

今回の企画は、私のイメージしていたものを具現化できるチャンスだと思ったので参加しました。

▲まずは毛糸を板に巻いてポンポンをつくります。
▲ポンポンにリボンを取り付けます。
▲木玉にコードを巻きます。
▲棒に毛糸を巻いてスカート部分をつくります。
▲それぞれの部材が完成!
▲木玉にポンポンのリボンを通しスカートを巻き付けて部材を組み立てます。
▲トップに金物とリボンをつけて完成!毛糸の状態から製作しているので、出来上がるまでたくさんの工程があります

ーー今回の作品のアイデアは、どのようにして思いついたのですか。

tassel de sicaさん:もともとポンポンを使ったタッセルは世界中で数多く作られているのですが、今回は暖かいイメージが出るように毛糸を使いたかったのでその素材の雰囲気が伝わりやすいポンポン形状が良いのではないかと思い、ポンポンを使ったタッセルを考えました。


そしてクリスマスツリーらしい雰囲気を出したかったのでトップに星の代わりにゴールドの金物をあしらい、また可愛らしく豪華な雰囲気にするためにゴールドで縁取ったリボンをつけてポイントにしました。

▲緑色の毛糸の他にオレンジ色Ver.の色違いも!制作過程は同じでも、色味が変わるだけでぐっと印象も変わりますね。

ワイヤースタンドと額の2通りの飾り方から、お好きな方を選ぶことができます。大人っぽく飾るならワイヤースタンド(画像右側)がおすすめ。壁に飾りたい方は額(画像左側)に下げてウォールアートとして楽しむのがおすすめです。

ーー制作する上で苦労した点、試行錯誤した工程はありましたか。

tassel de sicaさん:今回に限ったことではないのですが、初めて使う素材の場合には何本を何回巻けば丁度良い大きさや太さ、長さになるのか試行錯誤しなくてはいけません。


今回も初めて使う毛糸の種類だったので何回巻けば丁度よいポンポンのサイズになるのか、可愛らしいスカート形状にするには何回毛糸を巻けばよいのか何回も試しました。

そして今回の毛糸は途中でどんどん色が変わるのでどの部分とどの部分を合わせれば良い色合いになるのかという事も検討しました。

▲額に飾って、絵画のように楽しむのも素敵ですね。

ーー特に「作品のここ」見てほしい!というポイントがあれば教えてください。

tassel de sicaさん:これも全ての作品について言えることですが、私は糸からタッセルをひとつひとつ作っています。

今回の作品はアクセサリーなどと違ってサイズも大きく工程も多いタッセルなので、部材一つひとつ毛糸の状態からぐるぐる巻いて出来ているんだなという視点で見ていただければより楽しんでいただけると思います。


玄関や窓際のちょっとしたスペースに飾っていただければよりクリスマスシーズンを楽しんでいただけると思います。また他にも楽しんでいただけるアイテムをCreemaサイトに掲載しておりますので是非販売ページを覗いてみてください。

脇役では終わらない。タッセルが主役のクリスマスツリー

クリスマスのオーナメントとして、ツリーを引き立てる”脇役”としてのタッセルではなく、その作品そのものが主役であるタッセルツリー。

 

今までご出品されているタッセルの作品とは雰囲気が異なる、ふわふわっとした毛糸が使用されており、見ているだけでほっこりと心が温まるようでした。作品を拝見した時には、思わず、触れてみたい……という気持ちになるほど。

 

最近ではアクセサリー以外にもタッセルを用いたキータッセルブックカバーなど幅広い作品も出品されているtassel de sicaさん、このコンテストへのエントリー作品を通して、改めて「タッセルの可能性って……無限大だ!」と驚きました。今後の作品も、楽しみにしております!

tassel de sicaさんのギャラリーはこちら

アイデア鏡餅部門:沖田屋さん

続いてご紹介するのは、主に行灯や木製の置物等、和風の作品を手がける沖田屋さん。

 

趣味で利用していたレーザー加工機を使い、Creemaで実施したミニチュア作品の募集企画をきっかけに、手のひらサイズの小さな行灯の制作を始めたことが作家活動のきっかけだそう。

 

冬の新作を作ろうと思っていたときに本企画を知り、和風モチーフである【モチーフ部門(アイデア鏡餅)】に向けて新作を制作してくださいました。誕生した作品は、こちら!

石州和紙の鏡餅らんぷ

作品のテーマは、「神楽面の製法で作る、鏡餅のらんぷ」元々ミニ行灯やらんぷを作っていたことから鏡餅のらんぷを作ろうと思ったのですが、鏡餅はくびれのある複雑な形状で、和紙を貼ったあと、型から抜けないという問題がありました。

様々な解決方法を模索していたのですが、地元で製作されている神楽面の製法を取り入れることにより鏡餅のらんぷを制作することができました。

沖田屋さん
▲まずは粘土で原型を作ります。最初に大まかな形を作り、金属ヘラなどで鏡餅の形に近づけていきます。(後々型に和紙を貼り付けていく工程があるため、作業がしやすいように木製の持ち手を取り付けて作業していきます。)
▲作った原型をシリコンで型取りし、複製用の型を作ります。

その後、出来上がった複製用の型に石膏を流し込んで、和紙を貼る型を作ります。石膏を流し入れたら固まるまで待ち、固まった石膏の表面に離型剤等(製品を型から剥がしやすくする薬剤)を塗布して型から剥がします。

▲剥がした石膏の型に、和紙を貼りつけていきます。接着剤を水で溶いたもの(写真右上)を石膏の表面に塗り、和紙を密着させます。
▲ピンセットを使い、丁寧に貼り付けていきます。
▲和紙を貼り付けたら、乾燥させます。その後、ハンマーを使って中身の石膏を壊していきます。※これを「脱型」と呼びます。

脱型後、和紙の内側に補強剤を塗って補強します。この行程を経ることで、灯に透ける立体的な和紙の鏡餅が出来上がります……!


 

続いて、鏡餅の土台部分(電池を入れる部分)を作っていきます。

▲沖田屋さんの作業スペース。木材のカット等は加工機械を駆使して行います。
▲電子機材をはめこむ部分に、穴を開けていきます。
▲細かな木材の切り出しには、レーザーカッターを使用します。
▲木製の土台に電子部品を取付けていきます。(画像右側:全ての部品を取り付けた状態)
▲先ほど作った和紙の鏡餅を、土台に取り付ければ完成です!制作にかかった時間は約2週間!

ーー今回の作品のアイデアは、どのようにして思いついたのですか。

沖田屋さん:アイデア鏡餅部門ということで、一風変わった「鏡餅」の置物を作ろうと思っていて、「組立て式の鏡餅」や「平面の鏡餅」「鏡餅の貯金箱」「鏡餅の入れ物」など無数のアイデアを考えて、何個か試作を作ってみたんですが、なかなかしっくりとくるモノができず。作家活動の原点であった”ミニ行灯”に立ち返って考えてみた結果、今回の鏡餅らんぷを思いつきました。

ーー制作する上で苦労した点、試行錯誤した工程はありましたか。

沖田屋さん:普段より地元の素材を使った和風の作品を作っており、一部のミニ行灯にも使用している石州和紙(島根県の西部、石見地方で作られている和紙)を使用しています。

 

薄いので貼りやすいのですが、その分何枚も重ねる必要があり、どれくらい重ねれば良いかという点を試行錯誤しました。薄いと脆くなってしまいますし、逆に厚くしすぎると透ける光が弱くなってしまいます。

▲石州和紙。2枚、3枚と積層させることで厚みが増していくのがわかります。

また和紙を貼りつける工程でも配慮する点が多くありました。シワができないように意識しながら貼り付けたり、ハサミ等で和紙を切ってから貼り付けるのではなく、手でちぎって和紙同士の継ぎ目が分からないようにして貼りつけました。


 

また、今回立体的な和紙の作品を作るのは初めてだったので原型の製作でも色々と考えることが多かったです。鏡餅に乗っているみかんも和紙で作っているのですが、みかんの着色にも苦労しました。石州和紙は普通の和紙より繊維が長いので広範囲に塗料が浸透してしまい、意図してない箇所にまで色が流れてしまうこともありました。

 

試行錯誤を繰り返す過程で、新しい製法や知見を得ることができたので、今後の作品製作にも役立てていこうと思います。

ーー特に「作品のここ」見てほしい!というポイントがあれば教えてください。

沖田屋さん:やはり、点灯させたときの暖かみのある光ですね。USBケーブルによる給電なので、電池交換が不要で長く楽しめます。

 

また、和紙独特の凸凹した表面も楽しんでいただきたいです。プラスチックや木などの素材では表現できない手触りになっています。石州和紙は長く使用が可能な丈夫さが特徴な和紙です。原料である楮を甘皮ごと使用されているので、表面がまだら模様になっており素朴な雰囲気も楽しめます。

 

型に流し込んで作る”一体成形”の制作方法なので、とても丈夫です。何年も使用できる点も魅力だと思っています。ぜひ机や棚の上などのちょっとしたスペースにも飾りやすい手のひらサイズなので、気軽に灯を楽しんでみてください。

和紙の立体物に初挑戦!風合いを愉しむ。鏡餅のらんぷ

繊維が透けた和紙から漏れ出す、暖かみのあるあかり。試行錯誤を繰り返し、沖田屋さんとしても初の試みに挑戦していただいたこの鏡餅のらんぷ。

 

石膏に覆い被せた柔らかな和紙を、ハンマーで叩いて空洞にするという工程があったことにを取材を通して知り、こんな工程が隠されていたとは……!と驚きました。その姿は、どこか鏡開きをしているようにも感じられて、面白いなぁとぽろっと呟いてしまいました(笑)他の沖田屋さんの作品の制作過程も気になりますね。

 

鏡餅のらんぷは、寒さが厳しくなるこれからの季節にぴったりな作品です。ぜひ、寒い冬は暖かいお部屋でまったりと過ごしながら、お正月らしい鏡餅らんぷに癒されてみてはいかがでしょうか。今後の作品も、楽しみにしております!

沖田屋さんのギャラリーはこちら

前代未聞な飾りもので、年末年始に目一杯のワクワクを。

思いついたアイデアを試行錯誤を繰り返すことで、まだ見たことのない”前代未聞”な作品を生み出していくクリエイターの姿。私も集まった作品を拝見し、クリエイターそれぞれの想いやアイデアに触れて、ワクワクが止まりませんでした。

 

そして、この企画を通して、魅力的で画期的な新作が沢山生み出されたことの嬉しさと共に、改めてクリエイターへのリスペクトの想いが高まりました。

このコンテストにエントリーいただいた全てのクリエイターのみなさんの作品は、どれも新鮮味あるものが多く、スタッフも大変刺激になりました。ぜひ多くの方にこのアイデア溢れる作品たちを見て欲しいものばかりです。

 

本コンテストにエントリーしていただいた作品が一挙拝見できる特集や、入賞作品をご紹介している特設ページもあるので、ぜひこの記事と合わせてチェックしてみてください!

最後に、エントリーいただいたクリエイターのみなさま、本当にありがとうございました!

この記事を読んだ方におすすめ

『アイデア求ム!前代未聞のクリスマス・お正月飾りコンテスト』 特設ページはこちら

エントリー作品一覧はこちら

『前代未聞のクリスマス・お正月飾りコンテスト』のエントリー作品を一挙ご紹介します。ぜひ、作品紹介文までじっくりと読んで、クリエイターのアイデアに触れてみてくださいね。
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