〈メルマガエッセイ #2〉真鍮のお香立てに、一目惚れ｜金属工房・WATOさん

ある作品に、一瞬で目も心も奪われた……みなさん、そんな経験はありますか？

私はあります。

ふとCreemaを眺めている中でパッと目に留まり、気づいたら心を射抜かれていた......。数え切れないほどの作品の中で自分の「好き」と出会える瞬間は、とても尊いものです。

一目惚れのきっかけは一体何だったのか。どんな魅力に惹かれたのか。当たり前の日常の中にふと訪れる思いがけない出会いを語る、そんな場としてこのエッセイをお送りすることにしました。

第二回となる今回は、鎌倉で金属工房を営むWATOさんの「お香立て」との出会いについてお話しします。

WATOさんのお香立てと出会ったのは今年の春、思うように外出が出来なくなってから早一年が経った頃でした。

長引く自粛期間の中、なんだか気分が上がらない毎日。どんよりとした気持ちをリフレッシュさせるため、友人から勧められた「お香」を暮らしに取り入れてみることにしました。簡易的なお香を買って付属の受け皿でお香を楽しんでいた私ですが、次第になんだか物足りない気持ちに。せっかくならお香立てにもこだわって、香りだけではなく空間ごと楽しみたい……！ そんなことを考えていた時目に留まったのが、WATOさんのお香立てでした。

真ん丸の豆皿に、ちょこんと乗った錫の香立て。

「満月」という名前のついた真鍮の豆皿はしっとりと落ちついた輝きを放ち、どこかアンティークな雰囲気も魅力的です。シンプルな中に感じるその凛とした存在感に、一目で引きこまれました。

待ちに待った作品が届き包みを開けて現れたのは、その名の通り夜空に輝く大きな満月のようなお香立て。手仕事の美しさ感じる鎚目（つちめ）模様が光を柔らかく受け止め、傾けるたびに表情を変えながらキラキラときらめきます。初めて真鍮のインテリア作品をお迎えしたのですが、真鍮ってこんなにも上品に輝くのですね。

お香を立ててみると、その完成された美しい佇まいに改めてうっとり……。

ふわりと漂う煙と真鍮の落ちついた雰囲気の相性は抜群で、その幻想的な空間はすーっと心を落ちつけてくれます。ゴールドカラーの豆皿の上にはらはらと舞う白い灰を眺めるのもまた、儚くも趣を感じるひとときです。お香を立てない時は、香立てを外してアクセサリー入れや小物入れとしても活躍してくれそうですね。

空気に触れると表面の質感が変化していく性質を持つ真鍮。一緒に過ごせば過ごすほど、深みを増して味わい深くなっていきます。届いたばかりの凛とした輝きも素敵ですが、使うほど落ちついた色味になってゆくのも、まるで生きているようでなんとも趣深いもの。一緒に過ごしてきた証のようで、愛おしい気持ちがこみ上げてきます。

風合いの変化も楽しみながら、自分だけの色合いに大切に大切に育てていきたいと思う今日この頃です。こうして、すっかりWATOさんの作品の魅力にハマった私。鎌倉の工房で行われているワークショップにもいつか参加してみたい、なんて想像を膨らませています。

次はどの作品について語ろうか…考える時間もまた幸せです。

どうぞ次回もお楽しみに。

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