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「あなたにとって、ものづくりとは?」HMJ2022のPV公開中!

今年は実に3年ぶりに、あの熱い夏がやってきます ーー
ハンドメイドインジャパンフェス2022(HMJ)。コロナ禍の影響で長らく夏に開催できていなかったのですが、今年念願叶って戻ってきました!
新型ウイルスによって、隔たれてしまった人と人。会えない、集まれない。できないことが増えた、そんな中でも、ものづくりを続けてきたクリエイターたちがいます。つくりつづけ、私たちに作品を通してものづくりの力を届けてくれたさんたち。そんなものづくりに情熱をかけ続ける作り手が発する「ものづくり」の力を直に感じたい。
そんな思いから、今回のHMJのテーマは「つくる つづける」にしました。
今年の開催は7/23(土)・7/24(日)、様々な思いを持った3,000名のクリエイターが東京ビッグサイトに集まります。
そしてイベントに先駆け、ハンドメイドインジャパンフェス2022のPVを公開しました!
会場にずらっと並ぶ作品の数々、来場者の皆さんの楽しそうな笑顔、クリエイターの方々の真剣な眼差し。そして、アーティストの心震える迫力のパフォーマンス。PVを通してイベントの熱気と賑やかな様子が思い返され、3年ぶりのHMJを待ち遠しく思わずにはいられません......!
今回のPVでは、3組のクリエイターの方々にご登場いただきました。ここからは、動画ではお伝えしきれなかったそのクリエイターの方々へのインタビューをご紹介します。今年のイベントテーマ「つくる つづける」に合わせ、クリエイターの方々に「ものづくりとは?」という質問に対するそれぞれの考えを教えていただきました。
イベントを前に読んでいただくと当日がもっと楽しみになるはずです。
「お客さまの物語のはじまりとなる"ものづくり"を」 ガラス作家・veLa Brancaさん
吹きガラスで器やグラスなどのテーブルウェアを制作している、ガラス作家 veLa Brancaさん。作家名の「ベルブランカ」はポルトガル語で白い帆という意味。真っ青な広い海の上に立つ白い帆をイメージし、人やものの出会いに追い風を受けながら前進していくという意味を込めて名付けられました。
veLa Brancaさんの作品は自然からインスピレーションを受けているものばかり。たっぷりの自然に囲まれた工房で癒やされながら、静かにじっくりと心を落ち着かせ、そのときの気持ちや感動をガラスに乗せて作品を作っていらっしゃいます。

青色のイメージが強いveLa Brancaさんの作品ですが、一番のこだわりはやはりこの色味。ガラスを何層にも重ねてあえてムラになるように色を組み合わせることで作品に奥行きを生み出しています。
植物や海、空が一色で描けないように、何層にも重ねたガラスによって自然界の複雑な色を表現しているんですね。

――制作を続けていて楽しい瞬間は?
ガラスの面白いところは流動性と偶然性です。ガラスは熱が加わって柔らかい状態と、冷めた後では印象ががらっと変わって色味も変化するんです。ある程度計算して制作していても、手を動かしている段階ではどんな仕上がりになるか分からない......。そんなところもまた魅力で、徐冷炉から取り出してじっくり完成形を見てみたときに、思いも寄らない模様や色になっていることも多く、新たな発見や見たことのないような面白い表情、美しい仕上がりになっていると嬉しいですね。

――ものづくりとは?
ひたすら自分と向き合うことかなと思います。
ものづくりは楽しいことが多い反面、上手くいかなかったり、自分の技術の足りなさをもどかしく思ったり、制作に苦しんだりすることもあって。どうしても作る気にならないときもあるんですよね。でもそういう心の揺れやコントロールできていない気持ちが作品にそのまま現れるので、それが面白いところでもあり、大変なところです。
自分の手を通して出来上がったものが、お客さまの手に渡ってそこからひとつの長いストーリーが続いていくので、そのはじまりとなる「ものづくり」としっかり向き合って、心を込めて丁寧に作りたいと思っています。

――イベントへの意気込み
初めてのイベント出展がCreemaが主催するYAMABIKO FESだったんです。対面での販売はとても新鮮で、直接コミュニケーションをとりながらお客さまの反応を間近に見ることができて、「こんな反応してくださるんだ」「この方はこういう作品が好きなんだ」と、そこから初めて見えてくることがたくさんありました。”作って終わり”ではなく、その先に使ってくださる方がいるということを改めて感じて、作品に対する向き合い方にも変化がありました。HMJは初参加ですが、夏らしい爽やかさを出したいなと思って新作も制作中です!

風で葉がかすれる音、鳥のさえずり。川のせせらぎが聞こえ、降り注ぐ光が心地よい空間で生み出される作品の数々。「全てをガラスで表現することは難しいれど、その景色や音を作品を通して少しでも感じてもらえたらと一つずつ大切に手掛けています。」とveLa Brancaさん。
シンプルながらも色の重なりが複雑に混じり合うガラスとの出会いは一期一会。手作りだからこそ、模様や表情、重さも少しずつ違うので、実際に会場で手にとりながら自分にぴったりの作品を見つけてみてください。

「ものづくりを通して人に寄り添っていきたい」 家具職人・Baumさん
素材の質感をそのまま引き出す仕上がりを大切に、無垢材と黒皮鉄を組み合わせたアイアン家具を手掛ける家具職人のBaumさん。はるばる大阪から手作りの家具を連れてHMJにご出展されます。
木材と鉄の加工や組み立てだけでなく、ソファーなどの布や革のデザイン、裁縫までも一貫して手掛け、お客さまの要望に寄り添ったものづくりを大切にされています。

――家具作りのこだわりは?
木材が本来持っている姿をそのまま丁寧に残すようなものづくりを心がけています。うちの作品は家具を育ててもらうような気持ちでずっと長く大切に使ってほしいので、無垢材も鉄もワックスコーティングで、基本的にあえて塗装はしていません。
制作の段階で全てを削って塗装をしてしまえばどんな素材でも技術に関係なく綺麗な見栄えにはなります。けれど、人間が歳をとるように、どんなに大切に使っても家具も少しずつ変化していくんです。何年も使い続けたときに、素材や技術の差によって経年変化の仕方や味の出方が全く変わってくるので、素材選びや制作に一切手は抜かず、本当に品質の良い家具作りにこだわっています。

――ものづくりとは?
「人に寄り添いながら仕事をしよう」と自分自身にも、周りのスタッフにも日頃から伝えています。ものづくりを通してスタッフやお客さまはもちろん、材料を入れてくれる業者さんや、荷物を運んでくれる配達業者さんたち、色んな人と関わってお互いに寄り添い合っていくことで、その度に学びや反省、新たな発見があってより良いものづくりができていくと思っています。

――イベントへの意気込み
関東のイベントにはなかなか出展する機会がないので、今回初めて参加できてとても楽しみです。普段直接やりとりするお客さまは関西の方が多いので、まだBaumのことを知らない関東のお客さまにもうちの家具を見ていただいて、たくさん会話ができたらいいなと思っています。
また、お客さまとお会いするのも楽しみですが、ものづくりをしている方を見るのがすごく好きなので、ほかのクリエイターさんと直接会えるのが本当に嬉しいです。こんなにいいものを作っている人がたくさんいるんだと思うと、自分ももっと頑張らないといけないという気持ちになり、すごく刺激を受けます。
僕自身、家具作りにおいてまだまだ未熟者なので、至らないことも多くお客さまに教えてもらって気づくこともたくさんあります。その都度成長させてもらっていると感じています。当日はオーダーやリクエストもできる限りお受けしたいと思っていますので、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです。Baumの家具に関して少しでも気になることやメンテナンスについて質問があればいつでも声をかけてください!

隠れ家のような雰囲気にぴったりの家具たち。Baumさんの工房にはショールームも併設され、どこか懐かしく落ち着くような世界観にファンやリピーターも多いBaumさんの家具には、自然のままの素材の持ち味を残した節のある木材も使われていて、それがまたいい風合いを出しているんです。
「一緒に歳を重ねていくものとして、家具にも愛着を持って、長く寄り添うように過ごしてもらいたい。」そんな思いの込もったBaumさんの家具を通して、素材本来の姿を生かしたものづくりを感じてみてください。

「言葉にならない思いを作品に込めて」 染色工芸家・アトリエ草冠*野乃花さん
革を手染めした花モチーフのアクセサリーを制作していらっしゃる、染色工芸家・アトリエ草冠*野乃花さん。
焼き物でも有名な益子に工房を構える野乃花さんはお父さまが写真家、お母さまが染色家、というものづくり一家です。小さな頃からものづくりが身近にあり、幼少期の工作から始まり、小学生では焼き物クラブ、中学高校では美術部、大学では金工を学び鋳造に没頭。様々な経験を経て、自分が表現したいものに革が合っていたことと、その革を染めてみようという発想から今の作家活動へ繋がります。

――日頃からどんなことを大切に制作されていますか
屋号に私の名前を入れているんですけれど、両親は私が生まれる前から「野乃花」にすると決めていたようで、花は昔から馴染みのあるモチーフです。自然豊かな益子で育ち、自然に咲く花や植物が身近にありました。
言葉で伝えたり文章にしたりするのはあまり得意ではないので、自分の思いを作品に込められたらと思って制作しています。手にとって身につけたときにほっとしたり、気持ちを和ませてくれるようなものになっていたら嬉しいです。

――ものづくりとは
生きている意味だと思っています。
2歳でハサミを持って初めてものづくりに触れてから、気づくと私の生活にものづくりは欠かせない存在になっていました。逆に私にはほかに得意なことがあまりないので、なにか辛いことがあったときには制作ができるという喜びで頑張れていて、大げさに聞こえるかもしれませんが、ものづくりができているから生きている! という気持ちでいます。
益子焼で粘土を触ったり、絵を描いたり、版画も好きだったり……。金属工芸の先生のもとで難しい技法で鋳造する作業もやりがいがあって面白いなと思いましたし、色々なジャンルのことをやってきて、いつ振り返ってもやっぱり作ることが大好きだなって思います。

――イベントへの意気込み
私は、HMJへの出展は今回で4回目になります。大学卒業後初めての出展がHMJで、参加できると分かったときは本当に嬉しかったんです。当時は自分のことで精一杯でしたが、お客さまの反応を直に感じられて、出展者の皆さんも一緒になってイベントを楽しんでいる姿を見られたのが嬉しくて……。一体感があってすごく幸せに溢れた特別な空間だったので、今年もまた参加できるということで今からとても楽しみです。
好きなものを作って、お客さまに直接お会いして喜んでいただけるのは私にとっての喜びです。音楽からインスピレーションを得て制作することも多い音楽好きとしては、ライブが行われる中での出展もHMJの醍醐味で、今回はどんな曲が聴けるのかワクワクしています。コロナ渦でイベントが中止になって外に出られなかった分、その間にたくさん制作していたので、今回皆さんに作品を見ていただくことができてとても嬉しいです!

一枚のヌメ革からオリジナルの四季の花をひとつひとつ手作業で形を整え、筆で何度も手染めして立体的なレザーアクセサリーを組み上げていく。天然素材ならではの温かみとグラデーションの美しさをお楽しみください。

昨日も今日も、そして明日も。「つくる つづける」
今年のイベントテーマ「つくる つづける」に合わせ、クリエイターの方々に「ものづくりとは?」という質問に対するそれぞれの考えを教えていただきました。
この質問に、「何だろう……」と悩みながらもじっくりと考えて、答えを出してくださった3組のクリエイターたち。
それぞれの言葉の節々に、素敵な思いがたくさん溢れていて、心にぐっとくるものがありました。そんなことを考えて日々ものづくりと向き合われていたとは……! 今回の取材を終えた帰り道、その言葉の数々をふと思い返して一人で改めて感動してしまいました!
3年ぶりの夏のHMJ。私たちクリーマスタッフも久しぶりのイベントに今からわくわく、気持ちも高まっています。今回の出展クリエイターさんもHMJの公式サイトで公開されていますので、事前にチェックしてみてください。