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アイデアのヒントはここにあった。カラフルな色に不思議な形、これって何?
カラフルな色に不思議な形の数々。どこかで見覚えのあるような、ないような…… これらは一体何だかわかりますか?
実はこれはすべて、あるものを製造する過程で不要になり捨てられてしまった部分、いわゆる「端材」なんです。例えば、スポンジの切れ端や家具をつくる際に出たヒバチップ、養生シートの芯、革のハギレなど......。
捨てられてしまったもの、と捉えるにはなんだか惜しい、わくわくするような色や形。「何かいいものがつくれそう」、「捨てられるはずだったものなら、自由にものづくりに取り組めそう」、そんな気がしてきませんか?
そういったものたちを「捨てない」という発想をもとに、環境に配慮したサステナブルな取り組みとして、東急ハンズのプライベートブランド「Hand Marks」から登場したのが ”端材シリーズ”。廃棄を減らす取り組みに、誰もがものづくりで貢献できるのが魅力です。
その”端材シリーズ”を使って、今回はスタッフがものづくりに挑戦してみました。さて、何が出来上がったのでしょうかーー。
東急ハンズ主催「端材でハンズメイド大賞 2022」でも作品を募集中
この ”端材シリーズ” を使って新たな作品を生み出すコンテスト、東急ハンズ主催「端材でハンドメイド大賞2022」も開始しています。ぜひものづくりに興味のある方々は参加してみてください。
企画詳細はこちら:https://www.tokyu-hands.co.jp/guide/hazaicompe-2022-oubo.html
靴やバッグなど革製品の端材+端材の木材>>>玄関に飾れば個性的に?表札に大変身!
スタッフ石渡は、端材の革と端材の木材を組み合わせて表札をつくってみました。切る・貼るのシンプルな作業工程で仕上がるので、ほかにもさまざまなアレンジができそうです。
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端材をあつめた革パック
端材をあつめた木材パック
特徴のある革がいろいろ入っていて、実際に触れて選ぶのが楽しかったです。手触りにも個性があるので、触っても楽しめるようにさまざまな種類の革を使って制作しました。革の傷のようなテクスチャーも味わい深いです。
スタッフ:石渡
端材以外の素材を組み合わせることも考えたのですが、端材を主役につくる方向にしました。板の木目が素敵だったので、その木目の曲線を参考に革を曲線的にカットしてみると、地層のような、チョコケーキの断面のような、不思議な革の木目が出来上がりました。表札のサイズを意識して小さめの板を選びましたが、もっと大きな板に細かく貼り絵のように革をコラージュするのも面白そうです!
スタッフ:石渡
養生シートの芯だった紙管>>>子どもと遊べるおもちゃに大変身!
一歳半の男の子のママ・佐々木がつくったのは、「くねくね動くあおむしのおもちゃ」。あおむしが登場する絵本が大好きな息子と一緒に遊べるようにとつくられています。”端材シリーズ” の紙管パック一袋分を丸々使用した力作です。
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端材をあつめた紙管パック 大
入っている端材の量が多いので、気兼ねなくたくさん使えました。
スタッフ:佐々木
色を塗ったり、カットしたり穴を開けたり、素朴な端材だからこそ自由度高くものづくりができるのが楽しかったです。
この紙管はトイレットペーパーの芯と違ってしっかり丈夫だったので、子どもに遊ばせてもそう簡単には壊れなさそうなのも良いと思いました。
佐々木は、このおもちゃで遊びながら読み聞かせがしたい! とのこと。端材がシンプルであるからこそ、好きな色を塗ったりシールを貼ってどんなものでも生み出せそうですね。
靴やバッグなど革製品の端材・端材の木材>>>まさに板チョコ? なパズルに大変身!
イベントチームの竹内がつくったのは、板に革を貼り付けたこだわりの "板チョコ" をパズルに仕立てた、その名も「CHOCOっとパズル」。
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端材をあつめた革パック
端材をあつめた木材パック
様々な状態・種類の革が入っていたので、「何をつくるか」を起点にするのではなく、「この素材で何ができるか?」を起点に、ものづくりに触れられるのが非常に楽しかったです。通常はつくりたい物のために素材を選びますが、逆のアプローチができるのが新鮮でした。
スタッフ:竹内
箱の蓋の文字にこだわっています。これが板チョコであるということと、そこにあるパズル要素も表現できるようなものにしたかったんです。箱内部のアルミ感で、より板チョコの世界観を表現できたと思います!
スタッフ:竹内
業務用ミシンで使った糸巻きの芯「プラコーン」&シーグラス>>>一輪挿し
竹内はもう一つつくってきてくれました。ふたつ目はインテリアとして楽しめる一輪挿しです。シーグラスがあしらわれていて柔らかなグラデーションが綺麗です。
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廃材をあつめたプラコーンパック
廃材をあつめたシーグラスパック
単純な工程ではありますが、シーグラスの形が一つひとつ違っていたので、どこにどんなふうに貼り付けていくかを考える時間が楽しかったです。
スタッフ:竹内
コーンの下部には、大きくて暗めの色のシーグラスを置き、コーンの先端に行くにつれて小さく青いシーグラスを貼り付けてみました。シーグラスがある海をイメージできるように頑張りました!
スタッフ竹内
端材の透明シール、端材の革&端材の木材>>>普段使いできるピアスに大変身!
● 使った端材シリーズはこちら
端材をあつめたシールパック・透明
端材をあつめた革パック
端材をあつめた木材パック
バリエーションを出すために、革のみならず木も組み合わせてみたところ、寄木細工のような雰囲気になり、「ほかにどんな組み合わせができるだろう……」と素材の組み合わせを考えることに夢中になっていました。
スタッフ薄田
製造過程で出る大量の端材をパッキング? “端材シリーズ” が誕生したきっかけを担当スタッフに聞いてみました
さまざまな特徴をもつ "端材シリーズ" に触れて実際に端材の活用アイデアを実践してみたあとは、東急ハンズの担当者さんにその端材シリーズについて詳しく聞いてみました。”端材シリーズ” が生まれたきっかけから、端材集めの裏話まで色々な話を伺うことができました。
ーー東急ハンズさんはさまざまな商品を販売されていると思うのですが、そんな中で ”端材シリーズ” を始めた背景にはどのようなことがあったのでしょうか。
商品開発担当・武井さん:商品開発に携わっていた頃、実際に工場に伺った際に大量に端材が捨てられている現場を目にしてきました。何か有効活用できないだろうかと思い、去年「もっと、ものを育てよう。」というコンセプトを掲げたハンドマークスというプライベートブランドを立ち上げたんです。”端材シリーズ” は実際に商品開発の際に感じた「もったいない」を減らす、環境に配慮したサステナブルな取り組みとして始めたものです。
ーーそうなんですね。端材シリーズで販売されている端材はカラフルなものも多く、眺めているだけでもわくわくしました! ちなみに、これらの端材はどのような条件で選ばれているのでしょうか。
武井さん:お客さまに有効活用してもらいやすそうな端材を選んでいます。実際に商品企画の取引先である家具工房や、革小物をつくる工房などで発生した端材を取り寄せているのですが、断続的に生産が続く商品から生まれる端材を選んでいます。
これらの端材に、決まった使い方はひとつもないので、ぜひ自由に有効活用してほしいです。ものづくりにはもちろん、芯材に使ったり、サッシの掃除としてスポンジを活用してもらっても。いろいろな活用ができると思いますし、活用することで商品を生産する際にどうしても捨てなければならない端材が発生することを知っていただければと思っています。
端材シリーズで販売されている端材の特徴とは?
“端材シリーズ” の中には、一体何の商品から生まれた端材なのだろう? という不思議な端材も。そんな一部の端材についてお話を伺いました!
● プラコーン※廃材
この廃材は、業務用の大きな縫製用ミシンを使う際に、糸巻きとして使われている「プラコーン」というもの。カラフルで可愛らしい見た目ですが使用後は捨てられているので再利用はあまりされていないそうです。作品に使うと映えそうな色ですね。工夫次第で、子どものおもちゃにも変身しそう……!
● ロウソクの芯
こちらのカラフルな糸たちは、ロウソクをつくるときに出た端材・ろうそく芯のパックです。製造中に中途半端に余った部分が切られて、このような端材が生まれています。ロウ引きされているので、一握りすればキャンプとかバーベキューでの着火剤としても使える、という目から鱗な活用方法も。ものづくり以外にもアイデア次第で活用方法が広がりそうです。
● ヒバチップ
家具づくりにおいて、割れてしまった木材などは粉砕してチップ化されて捨てられていることが多いです。それを製品としてパッケージ化して販売しているのがこちら。ヒバの良い香りはそのままなので、布袋に入れれば消臭剤にもなりそうですね。
ーー大きなものから、小さなものまで、「端材」と一口にいっても色々なものがあるんですね。製品化するにあたっての裏話などはありますか?
武井さん:廃材として「シーグラス」も取り扱っているのですが、これは実際に高知県の海の海岸で許可をいただいて拾ってきているんです。購入された方が使用する際にケガをしないように角が鋭くないものを選定しているので、意外と量が集まらなかったりするんですよね。近年ビンが捨てられる量も減ってきているので収集することが大変でした。
ーー高知の海で拾われたものがパッケージ化されて並んでいたとは驚きました。端材はどうしても商品をつくることで出続けてしまうものですし、私たちが「何かつくりたいな」と思ったときに、せっかくなら端材シリーズから買おう! と選ばれるような存在になると、とってもサステナブルですね。今後、端材シリーズのラインナップは増えたりするのでしょうか。
武井さん:増やしていきたいですね。例えばウレタンマットの端材など、調べていくといろいろな端材があるんです。実際に端材シリーズを始めたことでメーカーさんから「うちの端材も売ってもらえないか」と声が掛かることも増えてきました。一回きりではなくて続けていかないと意味がない取り組みだと思うので、取引先の方と連携して、端材シリーズの輪を広げていきたいですね。
武井さん:端材は商品製造の際にどうしても生み出されてしまうものの、捨てるだけのものをあえて渡せる状態にする手間や物流面でのコストがかかります。この企画を成立させるために、誰かが無理をするのではなく、製造メーカー様も無理のないスキームをつくる点に一番苦労がありました。
端材を買い取らせていただいて、パッケージ化することは、とても貴重な取り組みなのですね。私たちの生活を豊かにするものをつくる製造過程では、どうしても資源を廃棄してしまっているという事実がある。その資源を有効活用し、廃材をさまざまなアイデアで活用してもらうことで少しでも環境負荷を減らしたい、という思いが込められていました。
端材に新たな命を吹き込むベストアイデア募集! 「端材でハンズメイド大賞」とは?
ーー”端材シリーズ” が生まれて、今年「端材でハンズメイド大賞」が始まったとのことですが、開催のきっかけや、込められた想いを教えてください。
宇野さん:以前東急ハンズでは「ハンズ大賞」という自由なアイデアで作品をつくっていただく公募企画を実施していました。今回 “端材シリーズ” の販売が始まることで、我々も実際に端材を使って作品の見本をつくってみたときに、「これってクリエイターの人につくってもらったらもっと面白い作品が出来上がるのでは?」と思い、そういったクリエイターさんに作品を生み出してもらうという点が、かつてのハンズ大賞と似ているなと思ったことが「端材でハンズメイド大賞」を新たに開催するきっかけになりました。
ーー端材には個性があるからこそ、クリエイターのこだわりや技術が発揮されそうですよね。「端材でハンズメイド大賞」にはどのような方にご応募いただきたいですか?
宇野さん:以前より「ハンズ大賞」をご存知の方や、ハンズが大好きなクリエイターの皆さんはもちろん、Creemaに出品されていらっしゃるクリエイターの方々にも、材料として端材を使ってつくっていただければと思います。
「端材でハンズメイド大賞」は、”端材シリーズ”を一つだけでも使ってもらえればOKです。クリエイターさんにはいつも使っている素材と組み合わせて端材に新たな命を吹き込んでいただいたり、新たな使い方のアイデアをたくさん生み出したりしていただけたら嬉しいなと思います。
また、ものづくりをやったことがないという方にも気軽にご参加いただきたいです。カラフルな端材を見て「家の中でこういう使い方したら面白いんじゃないか」というような思いついたアイデアを形にしていただけたら嬉しいです。小学生以下を対象とした賞もご用意していますので、小さなお子さまのご応募もぜひお待ちしています。
私たちが捨てていたものの中に、ものづくりや暮らしのヒントがあるかも?
“端材シリーズ” は、クリエイターにとっては端材が魅力的な作品に生まれ変わるための資源となり、東急ハンズさんにとっては商品をつくる際に発生するもったいない端材を知ってもらうきっかけになり、メーカーからは捨ててしまう端材を有効活用してもらえる…… そんな三方よしな取り組みでした。
捨てられてしまう端材をものづくりの素材に取り入れたり、家の掃除用品として役立てたり、アウトドアで活用したり。使い方が決まっていない、可能性が無限大な端材だからこそ、広がるアイデアがありそうです。
眺めているだけでも、何がつくれるかな? とわくわくしてしまう端材たち。ぜひ店頭や、オンラインで ”端材シリーズ” をチェックしてみてください!