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草木染めをやってみました<染色家・MAITOさん>

草木染めをやってみました<染色家・MAITOさん>

植物を煮出した液に布や糸などを浸すことで色を染める、草木染め。聞いたことはあるけれど、実際目にしたことのない方もいらっしゃるかもしれません。サステナブルな素材が見直されている今、改めてその技法が注目を集めています。

 

今回はそんな草木染めについて教わり、体験するために、クリーマスタッフがクリエイターの工房に伺いました。

講師を務めてくださったのは、染色家のMAITO・小室真以人さん。

東京藝術大学 美術学部 工芸科で染織を専攻。在学中に草木染めに魅了され、卒業後は染色屋を営む父のもとで6年修行を積み、2008年に自身のブランド「MAITO」を立ち上げる。

蔵前の工房はまるで秘密基地のよう

普段からワークショップを開催している東京・蔵前の「MAITO植物染色研究所」。天井からは草木染めのサンプルが所狭しと吊るされていて、壁際にはさまざまな染色用の材料が箱に入れられてずらっと並んでいました。

▲ 季節の素材で染色したものから、ご近所のコーヒーショップからいただいたというコーヒー豆で染色したものまで。
▲ 工房には100種類以上の染色用の材料がずらり。この空間を眺めているだけで、到着早々ワクワクしてきました!

まずは、MAITOさんに「草木染」について教えていただきます

草木染とは?

植物の果実や枝、葉、幹、根、鉱物、そして虫や土まで…! 自然界にある素材を使って、生地や糸などを染める技法のことを総称して「草木染」と呼んでいます。

古来より、染色方法としては「草木染」が主流でした。しかしおよそ150年前に安価で安定して染められる合成染料が登場。「草木染」が用いられることはほとんどなくなったそうです。

天然染料と合成染料の違いやその種類。染め上げる生地の種類と、それによる仕上がりの違い。さらには生地を痛めることにもなる酸性とアルカリ性についてなど、普段はなかなか知ることのできない草木染めにまつわる知識を教えていただきました。

今回染色に使うのは、栗と茜

MAITOさんのモットーは「その時の季節の草木を使って染めること」。そのため、今まさに旬の草木で染色します。11月に実施した今回は栗と茜を染色素材としてご用意いただきました。

植物名:栗
分類:ぶな科/クリ族
タンニン分が多く含まれ、古くより黒茶色を染めるために使用されてきました。9〜10月の葉や栗の毬(いが)を煮出して染めます。その際にアルカリを入れることでよりタンニン分が抽出されます。
植物名:茜草
分類:あかね科/アカネ族
緋色(あけいろ)を染めるため古来より使われてきました。日本茜や西洋茜、インド茜などさまざまな種類があります。12月頃の根が枯れ切ったあとに採取し、3〜4回ほど煮出します。
▲ 染め色サンプル/茜(左)と栗(右)

同じ栗と茜でも、染める時間によって絶妙に異なる色合いになることが分かります。どんな仕上がりになるのか想像しながら、自分の好みで染め上げることができると聞いて妄想が膨らみます。

染色には数々の手法があり、生地を圧縮したり、巻いたり、縮めたりすることで、染まる部分と染まらない部分をつくり、模様を表現することができます。その実践はこのあとのお楽しみ。

 

ここからは実際の染色工程を見学させていただきます。

1、生地の精錬

生地や糸の汚れや油をよく落とし、綺麗に染めるための重要な工程です。60〜80度のお湯に中性洗剤を入れて馴染ませ、生地をよく水洗いし、脱水します。

2、豆汁(ごじる)処理

綿や麻などの植物繊維を濃色に染める場合に必要な工程です。豆汁に多く含まれているタンパク質には草木染めの色素を引き寄せる性質があり、生地にしみ込ませることで発色がよくなる、色落ちしにくくなるなどの効果があります。

大豆を一晩水に漬け、よくすりつぶし、木綿でこしたら豆汁の完成。70度のお湯に豆汁を1:1で溶かし入れ、精錬した生地を入れよく馴染ませます。固く絞り、日陰干ししたら下準備の完了です。

 

MAITOさんからは、「ご家庭で草木染めをやるときには、市販の豆乳でも豆汁の代替品として使えますよ」とワンポイントアドバイスもいただきました。

3、アルミ媒染(先媒染法)

染料と生地を金属イオンを媒介にして結合させる工程で、草木から煮出した染液の色素と生地の繊維を結びつけることで、明るくはっきりした色に染め、色落ちを抑える効果があります。

80度のお湯にミョウバンを生地の重さの15%を溶かし入れ、媒染液をつくります。20〜30分間、空気の泡を動かすイメージで優しく攪拌したら、よく洗い、軽く脱水。

4、染液の抽出

ステンレス製の鍋の中に植物を入れ、沸騰させたあと、60分ほど煮出す。それを布で濾し、染液を抽出する作業を3〜4回ほど繰り返します。

▲ 栗を煮出したもの。
▲ 栗の染液はかなり濃い茶色で、毬からこんなにも色が出ることに驚きました。
▲ 茜の染液の美しい朱色に、思わず歓声が上がります。

4、染色

いよいよ染色です! ストールや手ぬぐいなど好きな素材・デザインの生地を選び、先ほど教わった染色技法を実践してみます。

▲ 今回は、事前に豆汁処理まで終えた生地をご用意いただきました。
▲ MAITOさんとスタッフの土屋さんに教わりながら「板締め絞り」にチャレンジしているスタッフも。
▲ 蛇腹折りにした生地を板で挟んで、しっかり固定して染液に漬けると、板材部分が染まらずに白くなってチェック柄になるのだそう。
▲ 90度の抽出液に布を漬け、よく攪拌して染めていきます。
▲ あちこちで笑い声が聞こえながらも、みんなの表情は真剣そのもの。
▲ 一度染液に漬けたら元には戻らないので慎重に...。

完成!

同じ栗と茜を用いた染色でも、こんなにも多種多彩な仕上がりです。

▲ 絞りで模様をつけたり、栗と茜の両方で染色したり、同じ茜でも濃淡を楽しんだり。
▲ 前述の、板絞りでチェック柄にしたスタッフの仕上がりはこちら(中央・右)!「鉄媒染※」で独特の深みのある色に仕上げたスタッフも(左)。
※鉄媒染:木に含まれるタンニンと鉄分を反応させて深い黒を発色させる染色法

草木染め体験を終えて

自然界には驚くほど色とりどりな色素が存在し、草花だけでなく、茎や根、石などあらゆるものから色を抽出できること。ただ染料に布を浸すだけではなく、きれいに染めるためには多くの工程が必要なこと。クリエイターさんから直接知識を教わり、生地や染液に実際に触れることで、より深く草木染めの世界を体感することができました。

 

工房に伺って直接教わり、体験することを通じてクリエイターの熱量を肌で感じ、ものづくりの魅力を改めて実感しました。

いろいろな工夫をしながら事前準備いただき、丁寧に教えてくださったMAITO・小室真以人さんとスタッフの土屋さんには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました!

 

MAITOさんのギャラリーには、ストールやソックス、レギンス、バッグなど100点以上の草木染めアイテムが出品されていますので、ぜひご覧ください。

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