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「今、私が会いたい人」心を込めるお手伝いをしたい|サンドブラスト彫刻作家・すみれ工房さん

「今、私が会いたい人」心を込めるお手伝いをしたい|サンドブラスト彫刻作家・すみれ工房さん

こんにちは。クリーマの白井です。

皆さんは「サンドブラスト」という技法をご存知でしょうか?

普段は経理として仕事をしている私が、すみれ工房さんの美しいグラスに一目ぼれし、その作品がサンドブラストという技法で作られていることを知りました。ぜひ実際に制作しているところを見て、色々お話を伺ってみたいと強く思い、今回工房にお邪魔させていただきました。

ガラスの濃淡が美しい「サンドブラスト」とは?

今回、すみれ工房さんに教えていただいた「サンドブラスト」という技法について、まずはご紹介させていただきます。

サンドブラストとは、カットグラスの技法の一つで、色被せガラス(ガラス素地に異なる色のガラスを被せた複数の層からなるガラス)に、機械で白色アルミナという微細な砂状の研磨剤[sand]を吹き付けて[blast]、ガラスの表面に彫刻を施す技法のこと。色ガラスを削り取ることで濃淡のある表現で、デザインを描きます。

つる草の脚付きグラスA

▲よく見るとツルツルした部分とすりガラスになっている部分があり、凹凸があって、色はグラデーションがかかっています。
▲このような色のついたガラスに砂を吹き付けて表面彫刻し、デザインを描いていきます。

※同じく色被せガラスを使うカットグラスに「江戸切子」がありますが、こちらはガラスの表面を金盤や砥石を用いて模様を彫るもので、キラキラと輝く模様が特徴。サンドブラストとは異なる技法です。

理科の教員からサンドブラスト彫刻作家に転向

——サンドブラスト彫刻作家になろうと思ったきっかけを教えてください。

「元々は理科の教員なんです。15年前、脳の難病を患っていた夫の病状が進行したため、一緒に過ごす時間を増やしたくて退職することを決意しました。小さい頃からものづくりは大好きだったので、何か家でできることはないかな…と探していて。本屋さんでたまたま見かけて、サンドブラストの存在を知り「これだ!」と思ったんです。

理科の教員だったので、ガラス器具は毎日使っていましたが、まさかサンドブラスト彫刻作家になるとは、それまで考えたこともありませんでした。」

——意外な背景に驚きました。ものづくりも学ぶこともお好きなのだと思いますが、どうやって技術を習得されたのでしょうか。

「最初は研修に参加して学びましたが、あとは実践あるのみです。3人の子どもや周りの友人たちも応援してくれて、お店に置かせてくれたり、購入してくださる方もいたり。

そんな中で本当にたくさんの、あらゆる種類の失敗を経験しました。経験を積むことで体で覚えてきました。退職金で高価な機材も購入していましたし、もう後には引き返せませんでしたから(笑)。

Creemaさんの存在も大きかったです。オンラインで全国の方々に販売できるって凄い!と思いました。10年以上前からお世話になっていますが、もう何人の方にご購入いただいたのかわからないぐらいです。」

▲常に笑顔でテキパキとお話しされる、すみれ工房:菊池さん。

デザインは全てオリジナル。人気の夜景シリーズは、誰かの大切な思い出から生まれたもの。

——すみれ工房さんと言えば、この夜景シリーズが人気ですよね。どのように生まれたんでしょうか?

星降る街のタンブラー(東京)

「最初の頃に「何を描こう?」と思っていたときに、東京の街並みをグラスにぐるっとデザインしたら面白いんじゃないかなと思い、作ってみたのがきっかけです。

夜空も、せっかくなら星座の方が素敵じゃないかなと思って。これが評判よく、今ではお客さまが街と星座、さらには花火や雪、桜を組み合わせることができるようにしています。」

▲購入いただいたお客さまに同梱しているリーフレット。「星座を探してみますね」というメッセージをいただくこともあったりするそう。

心を込めるお手伝いをできるのが、嬉しい

「デザインはお客さまからご要望いただくこともあって、この15年で徐々に増えていきました。

例えば『星降る西の港のタンブラー<神戸>』という作品は、ご両親へのプレゼントでのご依頼から。また、『花火の街のタンブラー<長岡>』は同窓会で会った幼馴染のリクエストから生まれました。そうやってオリジナルで作成したデザインはその後、一般販売をさせていただいています。」

星降る西の港のタンブラー<神戸>

「地震で大切なワイングラスが割れてしまったお父さまのために、ご注文くださったお客さまとのやり取りはとても印象に残っています。被災されたお父さまのことを思う娘さんに心打たれて、一生懸命作ったのを覚えています。

Creemaのお客さまは名入れだったりカスタムオーダーだったり、心を込めて贈りものを探している方々が本当に多いんです。購入した後に、渡したらどんな風に喜んでくれたかなど、後日談をメッセージで連絡いただけるのも醍醐味です。そんな、心を込めるお手伝いをできるのが本当に嬉しいですね。」

▲これまで描いてきたデザインの数々。

制作工程を見学させていただきました

1、デザインを描く

どの街を描くのかを決めたら、その街を象徴する建造物などを調べて、写真などの参考資料を集め、パーツをそれぞれ組み立てて描いていきます。建造物も様々な向きがあるので、わかりやすい角度を探りながらオリジナルで描いているそうです。

2、転写フィルムを作る

トレーシングペーパーに印刷したデザインをサンドブラスト用の特殊フィルムに露光機で転写する。

▲横幅2mぐらいある大きな機材も揃っていました。
▲転写シートは温度や紫外線に弱いので、普段は黒いシートで包んで冷蔵庫で保管しているそうです。

3、現像液にいれてデザインを浮き上がらせる

現像液に浸してから、未露光部分の樹脂フィルムを溶かして水洗いし、乾燥させる。

4、グラスにフィルムを貼り付けてマスキングする

グラスは形によって綺麗に貼り付けるのが難しく、切り込みをいれながら調整するのが大変な作業の一つだそうです。「星降る街」のデザインの場合は、星座のデザインを組み合わせて貼り付けます。

▲こちらは樹脂フィルムではなく、シール状のシートにデザインを描き、カッターでシートを切り取ってマスキングしたもの。

5、ブラスト機で研磨材を吹き付け、彫り進めながらデザインを表現する

砂の粒度、空気圧、砂を当てる角度、距離などによって彫刻具合が微妙に変わってくるので、経験と技術が必要です。

▲砂の粒度も色々試し、現在使用しているものに至ったそう。
▲このブラスト機の中にグラスを入れ、手前の黒いゴム製部分から両手を差し込んで研磨剤を吹き付ける作業をします。
▲砂を吹き付ける力で削り具合が変わったり、吹き付ける角度でマスキングを剥がしてしまったりするので、集中力が必要。この工程で失敗して販売を見送った作品も多々あるのだとか。

同じデザインを何度作っても、毎回違う。それが魅力。

——15年続けていらっしゃる、サンドブラストの魅力って何でしょうか?

「同じデザインを何個も作っているんですけど、全て同じようで毎回何か違うんです。手作りなのでやっぱり削れ方が微妙に違って、表情が変わります。

そして、出来上がりの最後、仕上げ磨きをしているときに毎回「綺麗だな」と感じるんですよね。

サンドブラストならではの色のグラデーションはやっぱり魅力だと思います。だから、色を楽しめるデザインにこだわっていますし、砂で削るときは基本を大切にしながら、慎重に強さや向きを調整しながら、グラデーションが綺麗に出るよう工夫しています。」

オリーブの丘フリーグラス

インタビューを終えて

すみれ工房:菊池さんにインタビューをさせていただく中で、とても印象に残ったエピソードがありました。

『贈りものでのご注文がとても多いんです。 出来合いのプレゼントもたくさんあるのに、名入れをしたり、カスタムオーダーしたり。手間をかけて、贈りものをする「心をこめるお手伝い」だと思っています。』

このお話を聞いて、ただ「作って販売している」「ものを買う」というだけでなく、クリエイターの方々とユーザーさま、それぞれの想いがCreemaを通じて行き交っていることを身近に感じることができました。そんな想いを繋ぐお手伝いができていることを、嬉しく思います。

 

菊池さんの想いと技術が詰まった美しいグラス、ぜひたくさんの方々にお手に取っていただきたいです。

▲写真左:クリーマスタッフ白井、右:すみれ工房 菊池さん。

すみれ工房さんには、「街と星座」をモチーフにしたものから、「季節のお花」まで、様々なデザインが揃っています。

名入れなどのカスタムオーダーも対応されていますので、ぜひギャラリーページをのぞいてみてください!

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