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【今、私が会いたい人】感動するパウンドケーキを|Forchetta dolceさん

こんにちは。人事を担当している山口です。
今回「今、私が会いたい人」でご紹介させていただくのは、シェフ・パティシエである田村さんが手がける焼き菓子ブランド「Forchetta dolce」です。田村さんは、東京・西麻布の老舗イタリアンレストラン「リストランテ イル バンビナッチョ」で現役シェフ・パティシエとしても活躍していらっしゃいます。
なかでも注目すべきは、パウンドケーキ。さまざまなお菓子のなかでもパウンドケーキは工程がシンプルといわれていますが、その分、素材選びや手際、温度管理が重要。Forchetta dolce・田村さんはそれらにこだわり、“感動するおいしさ” を追求しています。
今回は、丁寧で奥深い味わいが口の中に広がり、何度もリピートしたくなるForchetta dolceさんならではの美味しさの秘密に迫ります。

実は苦手だった製菓、任せてもらったからにはスペシャルなものを提供したかった
——焼き菓子づくりを始めたきっかけを教えてください
「高校を卒業してから専門学校に通い、ゆくゆくは料理人として働こうと思っていました。『リストランテ イル バンビナッチョ』には専門学校を出てすぐに新卒で入社し10年以上勤めています。最初はホールでサービスを担当し、その次に任せてもらったのがディナーの最後に提供するドルチェづくりでした。
実は専門学校時代、製菓はあまり得意ではなかったのですが、任せていただいたからには、スペシャルなものをつくってお客さまに提供したいという思いから必死で勉強しました。専門書を買って知識を身につけ、試作をつくっては改善を繰り返しながらお菓子づくりにのめりこんでいきました」

もともとはお土産用だったパウンドケーキを、お客さまからのご要望で販売することに
「あるときお店で、お食事いただいたお客さまにパウンドケーキをお土産としてお渡ししよう、ということで、ドルチェ担当の僕がパウンドケーキづくりを任されたんです。美味しいものを目指して、パウンドケーキの本を買って、ひたすらつくりました。たくさん失敗しながら、1か月で200種類ぐらいつくったと思います。
ようやくオーナーシェフから自分のつくったパウンドケーキに合格が出て、完成したパウンドケーキをお土産としてお渡しすることに。すると、お客さまから『これって買えないんですか?』とか『(遠方にお住まいの方が)頻繁にお店には行けないから、せめてパウンドケーキをお取り寄せできたらいいのに』とお声がけいただくことが増えました。それがオンラインで販売をやってみようと思ったきっかけです。
ちなみに、うちのレストランのオーナーシェフは器づくりもやっていて、お店で提供している器のほとんどはオーナーシェフがつくった陶器なんです。

その作品をCreemaで販売したり、東京ビッグサイトで開催されているハンドメイドインジャパンフェスに出展したりしていて。オーナーから『Creemaにフードの出品もできるみたいだよ』と教えてもらったので、早速販売してみることにしました」
「販売しているパウンドケーキの制作はもちろん、写真も僕自身が撮影しているので、見てくださった方が美味しそうだと感じて購入くださると、やった! と思いますし、直接感想をいただけると励みになります」
自分がつくったパウンドケーキを食べて「感動した」と言ってもらえるときがいちばん嬉しい
——お菓子づくり・パウンドケーキづくりの魅力はどんなところでしょうか?
「いちばん嬉しいのは、お客さまから ”感動した” と言ってもらえたときです。“美味しい” と感じる食べものはいろいろあると思うんですけど、 ”感動する” と言える食べものに出会うことって、なかなかないと思うんです。
うちのパウンドケーキを食べて『もう他所では食べられないよ』なんて言ってもらえるとすごく嬉しいし、自信に繋がります。
製法ももちろんですが、素材のクオリティの高さには絶対的にこだわっています。美味しくない素材から美味しいお菓子はつくれません。例えば人気のガトーショコラは、主軸に持ってくるフレーバーによって5種類のチョコレートの配合を変えています」
「もちろん、パウンドケーキは工程がシンプルなので、ご家庭でもつくっていただきやすいレシピのひとつです。でもその分、 ”感動する” レベルまで持っていくのは難しい。だからこそ、こだわり抜いた、ブレのない繊細な美味しさを味わってほしい、そんな想いでつくっています」
パウンドケーキづくりを見学させていただきました
見た目にも美しく、まるでアート作品のようなForchetta dolceさんのパウンドケーキ。どうやってつくられているのか、特別に見学させていただきました。
つくってくださったのは、季節のドライフルーツとナッツにキャラメルを混ぜたパウンドケーキです。
こだわりの素材
使うのは、八朔のピール、無花果とレーズンのドライフルーツに、アーモンド。無花果はオレンジの果汁でじっくり1日かけて柔らかく煮込み、レーズンはラム酒に漬けて、それぞれドライフルーツにしています。八朔の中身はレストランで使うので、余った皮を使って添加物は加えずに自家製でピールに加工。アーモンドは低温でローストさせたものです。

素材そのままではなく、すべてパウンドケーキに合うよう加工。一つひとつの食材に手間をかけ、ゴロゴロ具だくさんに仕上げるのが、田村さんのこだわりです。
生地をつくる
卵は常温に戻してから、バターはしっかりポマード状にやわらかくするのがポイント。それぞれの材料の温度管理を徹底し、生地を素早く混ぜ合わせていきます。混ぜ合わせる素材同士の温度があまりにも違うと、うまく生地がまとまらず、生地が分離する原因になるので注意が必要なのだそう。
全卵を溶いたところに生クリームを少し加えて、生地のしっとり感とコクを加えます。

次に、粉を少しずつ混ぜて生地にしていきます。先に合わせておいた卵とバターに粉を数回に分けて、ふるいにかけながら小麦粉、アーモンドプードル、ペーキングパウダーなど種類の違う粉同士を均一に混ぜ合わせていきます。

途中で加えるキャラメルクリームも自家製でつくっています。キャラメルクリームは、香ばしく焦がすのがポイント。

最後に具材を入れて、つやが出てくるまで手早く混ぜ合わせると生地の完成です。

具沢山の生地を四隅までしっかり型に流し込み、空気を抜いて、180度のオーブンで40分ほど焼きます。

焼き上がり
約40分後。厨房に美味しそうな香りが漂い、焼き上がりました!

熱いうちにラム酒を刷毛で塗れば完成です。

「焼き菓子はデリケートなので、その日の気温や湿度、オーブンの状態によって、焼く時間や焼き上がりの水分量を変えています。使用する素材も、つくりたいパウンドケーキによって薄力粉、中力粉、強力粉の分量の割合を変えたり、小麦の味を強く出したいときには、別の契約農家さんから取り寄せている小麦を使ったりすることもあります。
つくり方はシンプルでも、具材の組み合わせのバリエーションが無限にあるのがパウンドケーキのおもしろさだと思います」
おつまみにもなるような焼き菓子をつくりたい
——新たにつくってみたいお菓子や挑戦してみたいことはありますか?
「僕自身、甘いものがあまり得意ではないのもあって、そんな自分でも美味しいと思えるお菓子づくりを心がけています。お客さまから『うちの主人は普段甘いものを食べないけれど、Forchetta dolceさんのパウンドケーキだけはペロっと食べちゃうんです』そんな嬉しいお声をいただくことも多いですね」
「もっともっとたくさんの方々に楽しんでいただきたいので、甘いものが苦手な方にも喜んでいただける、おつまみにもなるような焼き菓子をつくりたいなと、ワクワクしながら構想を練っているところです。
あとは、焼き菓子とは少し違うんですが、意外と知られていない『ケークサクレ』(お惣菜を生地に練り込んで焼き上げる甘くないケーキ)の魅力も発信していきたいとなと思っています」

——インタビューを終えて
基本をしっかりと守りながらも、スパイスやバルサミコなど新しいフレーバーのパウンドケーキに挑戦し続けるForchetta dolce・田村さん。
自然や季節の食材からインスピレーションを受け、独自の新しい味を生み出し確立させる、ブレない想いがつまったパウンドケーキに心動かされました。
私も家でお菓子づくりをするのですが、お話を聞いて工程を見ているとプロフェッショナルな技術とこだわりが随所に拝見できて、とても再現できるものではない… そう感じました。
「パウンドケーキをつくること自体はそんなに難しくない。でも、家では絶対につくれないクオリティに仕上げることにこだわっている」そんな田村さんの言葉を肌で感じることができました。
Forchetta dolceさんのパウンドケーキは、味はもちろん見た目も美しく、お酒が好きな方にも喜んでいただけるので、ギフトにもおすすめです。冷凍保存ができるので、お家でじっくり楽しむのもいいですね。
季節毎の食材を使ったパウンドケーキが登場しますので、今だけの味わいをぜひ、ご賞味ください!
