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ひと彫りに想いを込めて。輪島塗“沈金”の技法で彩るワークショップを開催しました!

ひと彫りに想いを込めて。輪島塗“沈金”の技法で彩るワークショップを開催しました!

こんにちは。クリーマPRの松永です。
だんだんと緑が濃くなってきた5月上旬。母の日へ向けた特別企画として、輪島塗のワークショップを開催しました!

輪島塗が生産されている石川県輪島市は、能登半島に位置しています。2024年元旦に起こった能登半島地震では、多くの職人が被災して制作が続けられなくなり、輪島塗は存続の危機に直面しています。

Creemaのクリエイターにも、工房や店舗の被害や、大切な作品が壊れるなど被災された方がいらっしゃいます。そんななかでも「幸いにも何とか残った作品があり、避難先でCreemaに出品したところ注文をいただけて本当にありがたかった」「購入者さんとのやりとりに心を支えられている」といった声が届きました。
もっと力になることはできないかと、Creema SPRINGSでのクラウドファンディングや、北陸の工芸品や震災で生まれたワケあり品の特集など、さまざまな企画が生まれました。それらは「Creema つなぐ北陸プロジェクト」の特設サイトでご紹介しています。

今回の輪島塗ワークショップは、このプロジェクトの一環として開催しました。
石川が世界に誇る伝統工芸品「輪島塗」の魅力をたくさんの方に知っていただき、未来へとつないでいく一助になれたら... そんな想いでお届けした、ワークショップ当日の模様をお伝えします!

日本が世界に誇る伝統工芸品「輪島塗」

「輪島塗」は国重要無形文化財に指定されている、日本三大漆器のひとつ。光沢や加飾の美しさ、そして何十年も使い続けられるといわれている丈夫さで、古くから日本で愛されてきました。制作には100を超える工程があり、専任の職人たちが分業制で作り上げます。

多くの工程があるからこそ、職人がひとりでも欠けると完成しません。
震災で職人さんが被災したことにより、完成の一歩前段階で制作が止まってしまった作品もたくさんあるそうです。Creemaではそんな、使うには問題がないけれど規格外となってしまった作品を、「ワケありの逸品 -北陸特別版-」としてご紹介しています。

▲ 「上塗り」と呼ばれる仕上げが施される一歩手前の、「中塗り」までが行われたお盆。

“沈金”の技術を、職人直伝で体験する特別ワークショップ

今回のワークショップには、輪島塗の沈金師 芝山佳範さんをお招きしました。
“沈金(ちんきん)”とは、沈金鑿(ちんきんのみ)と呼ばれる刃物で漆器の表面を彫り、そこへ金箔を埋めて模様を描く技法です。国内外で個展を開き活躍されている芝山さん。当日は特別に作品をお持ちいただきました。

 

沈金額「福老」

輪島塗 沈金花器「朱鷺」

▲ 芝山さんの作品。立体感すら覚える繊細な彫り目に見とれてしまいます。

ワークショップ冒頭では、参加者のみなさんから多くの質問があった、現在の能登の様子や輪島塗の現状についてお話しいただきました。

▲ 震災による火事で燃え尽きた建物が並びます (芝山さんご提供写真)

震災当時と比べると報道も減り、復興したと思われているかもしれませんが、能登の復興は驚くほど進んでいません。まるでゴーストタウンのようになってしまった街並みのなか、多くの人が日常を取り戻せない毎日が今も続いています。(芝山さん)

▲ 輪島市最古の漆工芸品がある、重蔵神社も倒壊しました(芝山さんご提供写真)

私自身は石川県河北郡に住んでいて、自宅に大きな被害はなかったものの、珠洲市のギャラリーに預けていた作品の半数が、へこみや割れ、傷などの被害を受けました。ただ、活動再開できない職人さんもいるなかで、仕事を続けられるのはありがたいことです。少しでも輪島の力になりたいと思って活動を続けています。(芝山さん)

現地を知る芝山さんから被害の深刻さを聞くことで、復興支援はいっときではなく長く必要だということを改めて実感しました。

輪島塗の技法“沈金”に挑戦!

続いてはいよいよ、輪島塗の“沈金”の技法に挑戦します。今回は縁起の良い贈りものとしても人気のお箸に、好きなデザインを描きます。
職人さんから直接教わるまたとない機会に、参加者のみなさんも期待が高まっている様子。目の前に用意された道具をしげしげと見つめながら、芝山さんの指導を仰ぎます。

下絵を描く

まず幅1cm未満の小さな紙に下絵を描き、カーボン紙をはさんでなぞり、お箸に絵を写します。「曲線は難しいですよ」という芝山さんからのアドバイスもありましたが、果敢に理想の絵柄に挑戦する方も。思い思いにイメージを描いていきます。
▲ お母さまが好きな鳥モチーフに挑戦する方も。「すごく難しいですが、喜んでもらえたら嬉しいです!」(体験者さん)

体験用の針鑿(はりのみ)で彫る

下絵を整えたら、いよいよお箸を彫っていきます。
沈金は、木の箸に塗られた “漆” の層を彫って描かれます。下の木が出てこないように、力加減に気を付けて彫る繊細な作業。
「針を上下に行き来させながら、少しずつ彫るのがコツですよ」というアドバイスを受けて、一彫ひと彫丁寧に彫り進めていきます。みなさん黙々と取り組み、静かな時間が流れていきました。

仕上げの漆塗り、金粉を埋める作業

下絵を彫った時点では、あまり模様は見えません。ここからは芝山さんの手によって仕上げられていきます。

接着剤の役割をする漆を塗り、そこに金粉を埋めると浮かび上がってくる模様。心を込めて描き彫った絵が金色に現れると、みなさん「おぉ…!」と歓声を上げます。

体験者の皆さんの感想

「お箸の色が黒か赤かによっても、金粉の色の出方や印象が違うのが面白いです」

「輪島塗の伝統的な模様を彫ってみたかったのですがとっても難しいですね。やってみるほどに職人さんの技術の凄さを感じるし、何年もかけて修行が必要な理由がよくわかります」

“お箸” という小さなキャンバスに、一人ひとり全く違う個性溢れるデザインが現れ、約1時間のワークショップが終了。お母さんへの素敵なギフトが完成しました。
芝山さん、体験してくださったみなさん、本当にありがとうございました!

この輪島塗ワークショップはたくさんの反響をいただき、次回はお子さまを対象とした夏休みの開催を企画中です。Creemaのイベント情報ページでお知らせしますので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

震災から5ヵ月が経った今も、復興からほど遠い能登の現状。これからもクリーマだからこそできる取り組みで、ものづくりを通した支援を続けてまいります。微力ではありますが、復興の一助になることを心から願っています。

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