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「今、私が会いたい人」物語が生まれてくるようなものをつくりたい|ナマケモノカンパニーさん

「今、私が会いたい人」物語が生まれてくるようなものをつくりたい|ナマケモノカンパニーさん

こんにちは。クリーマで法務を担当している櫻井です。
今回「今、私が会いたい人」でご紹介させていただくのは、木工作家のナマケモノカンパニー・えだまめさらみさんです。

 

木のもつ模様や手触り、ぬくもりに心安らぐ私。木の温かみを感じるナマケモノカンパニーさんの作品をSNSでみつけて、思わず目を奪われました。
ぬくもりとオリジナリティ溢れる作品がどうやって生み出されているのか、工房でその制作の様子を見学させていただき、お話を伺ってきました。

▲ ナマケモノカンパニー・えだまめさらみさん

人形劇団員からものづくり作家への転向

——ものづくりを始めたきっかけを教えてください

「もともとは人形劇団に所属していました。いろんなタイプの劇団があるんですけど、私が所属していたところは役者も舞台美術も何でも自分たちで行う劇団でした。なのでものづくりは身近だったんです。

 

膝を悪くして人形劇団を続けるのが難しくなってきた頃、ちょうど新型コロナウイルスの感染が拡大し、劇団の活動ができない状況になってしまいました。さまざまな兼ね合いもあって、劇団を卒業して新しいことを始めようと思ったんです。それがものづくりを本格的に始めたきっかけでした」

劇団仲間と立ち上げたのが「ナマケモノカンパニー」

「ナマケモノカンパニーは、劇団時代からずっと仲の良かったとりもちうずらさんと一緒に立ち上げたユニットの名前です。劇団で小道具を担当することが多かった私は木工を、衣装づくりが上手だったとりもちうずらさんは布小物をつくっています。

人形劇団での経験もあり『物語が生まれてくるようなものをつくろう』というコンセプトを決めて、一緒に活動しています。

 

ふたりともナマケ癖があるので… ひとりだとナマケてしまうけれど、ふたり一緒だったらできるんじゃないか。そんな気持ちでナマケモノカンパニーと名付けました(笑)
足りないところを補い合って、上手く役割分担もできています。ジャンルが違うので、お互いに作品を見せ合ってアドバイスをもらったりもしていますね」

▲ 写真左:布小物作家 とりもちうずらさん、右:木工作家 えだまめさらみ さん

思いきって香川県の木工学校へ

「劇団時代は自己流だったので、本格的にものづくりの道に進むにあたって最初は学校に通いました。香川県に木工作家を育てる学校があることを知り、そこに2ヶ月住み込みで学びました。


そこは廃校になった小学校を活用した場所だったので、教室で作業をしていましたね。余談ですが、寝泊まりも学校なので、夜のトイレとか本当に怖かったです!

無事に卒業し、最初はその学校から仕事をいただいたりして、なんとか木工作家としての活動をスタートさせました」

自分で演じることもあった “生き物” は身近な存在

——生き物モチーフの作品が多いのは、お好きだからでしょうか?

「生き物そのものが好きなこともありますが、人形劇団の経験もあると思います。劇団で動物を扱うことが多かったですし、自分で動物を演じることもありました。

動物園や水族館が好きでよく行くんですけど、そこで見かけてかわいいなと思った動物を作品にすることもあります。自分にとって身近なんですよね。

 

最初にふたりで決めた『物語が生まれてくるようなものをつくろう』というコンセプトにもぴったりなので、生き物をモチーフにすることが多いです」

木のだっこ時計(ナマケモノ)

「手づくり」にこだわった制作の様子

今回は特別に、人気のブローチを制作する様子を見学させていただきました。

糸鋸で形を切り出す

ブローチの場合は、木を4枚重ねて切り出していきます。効率が良いこともありますが、1枚だと薄いため糸鋸(いとのこ)の刃が進みすぎて細かいデザインを切り出しにくいからです。

▲ 重ねた木を糸鋸で切り出している様子

「糸鋸の刃は道具のなかでもいちばんこだわっていて、細くて割れにくい、木工のプロ御用達の糸鋸刃専門店のものを使っています。この刃を使うことで、やわらかいフォルムや繊細なデザインを思い描いた通りに切り出すことができるんです」

▲ 同じ形に切り出しても、木の色が異なることで違うデザインに仕上がります

やすりがけ

機械で木の表面をなめらかにして角を落とします。次に、手作業でやすりがけ。できるだけ手作業で制作するのが、ナマケモノカンパニー・えだまめさらみさんのこだわりです。

 

「機械でやると早いんですけど、仕上がりが全部同じで、堅苦しい雰囲気になってしてしまうんです。そうするとなんか面白くないんですよね。

手作業の方がやわらかい仕上がりになりますし、木の節だったり自然な色合いが出てきます。作品によって紙やすりの粒度を変えて、木の味わいをより深く表現できるよう工夫しています」

▲ 紙やすりでの仕上げ作業

目を入れる

目はすごく重要なポイントなので、作品や動物によって大きさや表現を変えているそうです。

▲ 電動ドリルで目を入れている様子
▲ 目を入れる前(左)と後(右)では、生き物に命が吹き込まれたように印象が変わります

——僕はこのグソクムシの目にやられました。かわいくて!

「グソクムシの目って特徴ありますよね。あの三角の目が、なんか悪者っぽい表情になるんです。すごく悪いけど、それがまたかわいい(笑)」

木のいきものクリップ(グソクムシ)

オイルを塗り、乾燥させて完成!

最後の仕上げはアマニオイル。亜麻という植物の実から採取した植物油で、天然素材のため子どもが使うおもちゃにも適しています。オイルを塗ることで、木目の美しさも引き出せるそう。

1日乾かして、ブローチピンをつけたら完成です。

お客さまとのやり取りが嬉しい

——木工作家になってから、心に残っているエピソードがあれば教えてください

「ものづくりを始めた時期がコロナ禍だったこともあり、ご購入いただけることそのものがひとつのコミュニケーションだと感じています。Creemaで一個売れるたびに、本当に嬉しくて。

 

最近だと、雛人形を買ってくださった方がその翌年に追加で、お雛様に合う三人官女をつくってほしいと連絡をくださったんです。急遽、オーダーメイドで制作しました。

1年越しでご連絡いただけたことが嬉しかったですね。少しずつ増えていくのも素敵で、また追加のご依頼をいただけたら嬉しいなと想像しています。

 

オーダーメイドもお受けしているので、もしご希望があれば気軽に連絡いただきたいです!」

木製 まんまるひな人形

インタビューを終えて

私は普段の業務上、クリエイターさんと接する機会がないのですが、ナマケモノカンパニー・えだまめさらみさんにインタビューをさせていただくなかで、木やものづくりへの愛情、そしてこだわりを肌で感じることができました。

 

また、Creemaがクリエイターの方々にとって、販売する場所としてだけでなく、ユーザーさんとの架け橋のような存在となっていることに気づきました。Creemaを通じてたくさんの出会いが生まれ、その先で笑顔になっている方がいることを知り、自分の仕事を改めて見つめ直すとともに、身の引き締まる思いです。

 

ひとつの木工作品が私の心をあたためてくれるように、Creemaを通して多くの方々にそんな想いを届けられたらと思っています。

 

ナマケモノカンパニーさんのギャラリーページには、えだまめさらみさんが制作した木工作品とともに、とりもちうずらさんが手がける布小物も並んでいます。ゆるりとした雰囲気と、くすっと笑える個性的な表情が魅力です。
ぜひ、皆さんもギャラリーページを訪れてみてください!

▲ 写真左:ナマケモノカンパニー・えだまめさらみさん、右:クリーマ 櫻井
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