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青森で叶えるものづくりの夢。地元クリエイターのUターン体験記&創作活動レポート
日本有数の豪雪地帯として、厳しい寒さのイメージが先行しがちな青森。しかし実際は、四季折々の美しい自然と、りんごやホタテをはじめとした豊かな食に恵まれたまちでもあります。
「こぎん刺し」「津軽びいどろ」など、古くから伝統工芸やものづくりが盛んなこの地域では、ハンドメイド・クラフト関連のイベントも数多く開催されてきました。
そんな青森にて、Creemaでは移住を考えるクリエイターさんに向けた「クリエイターワーケーション体験 in 青森」を毎年開催中。毎回、定員を超える申し込みをいただく盛況ぶりで、今年で4年目になります。
「クリエイターワーケーション体験 in 青森」とは?
Creemaでは2017年から、制作に没頭できるより良い環境を求めて移住や二拠点生活を考えるクリエイターさんと、移住者を受け入れることで街の活性化を目指す地域を結ぶお手伝いに取り組んでいます。
今回ご紹介する青森市では、一昨年からCreemaのクリエイターさん向けにアレンジした「クリエイターワーケーション体験 in 青森」を開催。ものづくりに深い関わりがあるスポットや、滞在しながら創作活動ができる施設などを巡る3泊4日の体験ツアーで、毎回定員を超えるたくさんの応募をいただいています。
第4弾となる今年は、夏(7月)・秋(9月)・冬(1月)の3回に分けて開催。各回で2日間のマルシェ出店体験や創作活動など、さまざまなコンテンツをご用意しました。
今回取材で同行した秋の回(9月)では、「クリエイターワーケーション体験 in 青森」初の試みとなる、創作活動を中心としたツアープログラムを実施。地元クリエイターを講師にお迎えし、豊かな自然に囲まれながらものづくり体験を行いました。
この記事では、ワークショップの講師として参加してくださった地元クリエイターの宮腰菜津子さんにインタビュー。24歳を目前に東京から青森にUターンをし、クリエイターとして活躍する宮腰さんに、青森でのものづくりの魅力や、移住のアドバイスについて伺いました。記事後半では、8組の参加者によるものづくり体験の様子もレポートしますので、お楽しみに!
「青森にUターンしてどうだった?」地元クリエイターの体験記
昨年の「クリエイターワーケーション体験 in 青森」のvol.3にて、地元クリエイターの座談会のゲストとしてご登場いただいた宮腰さん。今回はより宮腰さんご自身にフォーカスを当て、Uターンをするまでの経緯や、戻ってきたからこそ感じる青森でのものづくりの魅力に迫ります。
宮腰菜津子さん
1994年、青森県青森市生まれ。「NATSUKO MIYAKOSHI」代表。
高校卒業後に上京し、ファッションの専門学校に入学。舞台衣装の製作や、個人の制作活動を経て、2019年に青森市にUターン。「合同会社てんとうむし」を設立したのち、「Japan expo 2019 in Paris」に出展。伝統工芸であるつまみ細工や、青森のこぎん刺しなどの技法をベースにした、アクセサリーやアート作品を手がける。
好きだからこそ決意した上京。いつか地元で仕事をつくるために
青森市で生まれ、幼い頃から絵を描いたり、裁縫をしたりするのが好きだったという宮腰さん。それと同時に、青森の街並みや空の広さ、表情豊かな自然が大好きだったそう。
しかし、高校生になる頃にはどんどん廃れていくまちを前に危機感を抱き、「いつかこのまちで自ら仕事をつくろう」と思い立ちます。そこで、経験を積むために東京のファッションの専門学校に進学を決意。
「上京するときから、いつかは青森に戻ろうと心に決めていましたね」
専門学校入学後は、校内ファッションショーを企画したり、インターンシップで舞台衣装の制作・修理に携わったりするなど、ものづくりにどっぷりと浸かる毎日。卒業後はそのまま舞台衣装の制作会社にアルバイトとして入り、合間には個人制作も。
つまみ細工を始めたのは、19歳のとき。成人式の髪飾りを自分で作ったのをきっかけに、つまみ細工のアクセサリーづくりを始めます。その後、自身のブランドを立ち上げ、本格的にアクセサリーのオンライン販売をスタート。雑誌の広告やSNSを通して少しずつ認知度が上がり、作る量もスピードも求められるようになる一方で、心身ともに疲弊してしまうことに。
「3か月間無休で、朝から夕方まで作品を作って、夜はアルバイトに出掛けるみたいな生活をしていたので、疲れてしまって。東京の人混みや満員電車からもとにかく離れたくて、一度青森に帰ったんです。そこで知人に『AOMORI STARTUP CENTER(あおもりスタートアップセンター)』を紹介してもらい、起業の相談をしたのがUターンの第一歩でした」
そこからわずか1~2日で気持ちを固め、身の回りの整理をして約1か月で青森へのUターンを遂げた宮腰さん。それだけ早く決断できたのは、「今青森に戻ってきても、何とかなりそうと思えたから」だと言います。
助成金やイベントの情報は、移住前に要チェック
一見かなり順調に思えますが、「地元だったからほとんど情報収集せずに帰ってきてしまった」と、少し後悔もあるのだそう。
「今考えると、助成金についてちゃんと調べてから帰ってくればよかったなと思って…! IターンやJターンなどのいわゆる移住の場合はもちろんのこと、Uターンでも助成金が出るというのを知らなくて、ちょっと悔しかったですね(笑)。移住を検討している方は、ぜひ事前にチェックしてほしいです」
Uターンから半年ほどは、フランスで開催される「Japan expo 2019 in Paris」の出展準備に追われていましたが、その後は青森でのイベントにも積極的に参加するように。
「大きなイベントを終えて今後どうしようと思っていたときに、飲み友だちがクラフト系のイベントがあることを教えてくれて。いちばん最初に出たのは、『青森クラフトフェア A-line(エーライン)』という大きめのイベントです。ちょうどコロナ禍だったので、お家で作れるランプのキットを用意して応募したら、運よく通りました。想像以上に、お客さんからの反応もよかったですね」
実は、クラフトイベントやマルシェが盛んに開催されている青森。ゆくゆく出店を考えている人は、移住前にどんなイベントがあるのか、いつ募集をしているのかも含めて調べておくのがおすすめだと、宮腰さんは話します。
「月1回開催している『アスパム週末マルシェ』はとくに募集要項はないものの、問い合わせると新規でも相談に乗ってくれるので、一度公式サイトやInstagramからお問合せしてみるといいかもしれません。私がよく出ていた『時の市』や『A-line』も、毎回しっかりと募集をかけているので、SNSをチェックしておくのがおすすめです」
2回、3回と出店を続けていくと、徐々に顔見知りの出店者が増え、そこから一気に繋がりが広がっていくのだそう。
「都会ではあまりイメージしづらいかもしれませんが、こっちではあるイベントでは出店者として出ていた方が、別のイベントでは主催をしていることも珍しくないんです。だから、一度顔見知りになると、自分のイベントにも呼んでくださったりして。2~3回イベントに出てみると、その先の出店に関してはあまり苦労しないと思いますね」
冬を攻略すれば、青森はクリエイターにとって素晴らしい環境
東京と青森、どちらの経験も持つ宮腰さんによれば、青森でものづくりをするメリットは確実にあると言います。
「やっぱり、東京は何もかも飽和状態だと思うんです。そもそもハンドメイドをやっている人の数自体が多いので、そのなかで目に留めてもらうとなると、ものすごい競争率じゃないですか。都内近郊のイベントに出店するにしても、審査のハードルや出店料も高いですよね。
一方で青森は東京と比べて人口が少ないので、扱う題材は似ていてもそれぞれの個性が埋もれないというのが、一番大きなメリットかなと思います。私もUターンしてから知りましたけど、青森って想像以上にものづくりやクラフトイベントが好きな方が多いんですよね。だから一度ファンになってもらえたら、強いのかなと思います」
大好きだった青森に再び拠点を移して、もうすぐ6年。四季をはっきりと感じられる青森の豊かな自然、おいしい食に改めて魅了され、「私はすごいまちに住んでいたんだなと実感する」と宮腰さん。身の回りにある自然からものづくりのインスピレーションを受けることも多いのだとか。
数々のイベントに出店し、試行錯誤を重ねながら着実にステップアップしてきた今、新たな目標が見えてきたと言います。
「もうすぐ、青森県の鶴田町の『TSURUTA LABO』で、アトリエ兼ショップを構える予定です。Creemaでも活躍されている鶴田町在住のクリエイターさんが運営するということで声をかけていただき、もともと廃校だった場所の一部を間借りすることになりました。今までは自分が売りに出る形でやってきましたが、今後は自分のショップに来ていただけるような方向に、少しずつシフトしていきたいなと。たまたま見かけて買ってもらうではなく、『あなたの作品だから買いました』って言ってもらえるようになりたいので、この10年はさらに頑張りたいですね」
青森は災害も少なく、雪さえ乗り切れば創作活動にもってこいの環境とのこと。最後に、移住を検討するクリエイターの皆さんに向けて、青森の厳しい冬を乗り越えるためのアドバイスを教えてくださいました。
「青森って面白くて、家を借りると石油ストーブが付いてくることが多いんですよ(笑)。だから、まずは石油ストーブの使い方、灯油の買い方、入れ方を覚えておくと冬は安心です。あと、冬物の靴は現地で買った方が滑りません。スパイクまでいかなくても、ゴツゴツしたラバーソールであれば事故なく過ごせると思います。生活必需品である車は4WDだと安心で、タイヤも冬用に交換しなければいけないのをお忘れなく!」
ワーケーション体験初の創作活動!各々のクリエイティビティが爆発?
そんな宮腰さんが講師を務めたワークショップでは、青森の伝統工芸である「こぎん刺し」を教わった参加者の皆さん。その後、青森りんごのフードロスをアップサイクルしてレザー調にした『RINGO-TEX』を使用し、2日にわたって創作活動を行いました。『RINGO-TEX』を使う以外は、何を作っても自由!
クリエイターの皆さんが普段作っている作品のジャンルは、アクセサリー、帽子、バッグ、マトリョーシカなど、多種多様。レザー調の素材は初めて扱うという方も多く、四苦八苦しながら制作に取り組んでいました。それでも、皆さんからは口々に「楽しい!」という声が。
作る過程でわからないことはほかのクリエイターさんに聞いてみたり、時折みんなで進捗を確認し合ったりと、和気あいあいとした雰囲気。
普段作っている作品や素材と、「RINGO-TEX」や教わったばかりの「こぎん刺し」の技法を組み合わせている方も多く、それぞれのクリエイティビティが存分に発揮されていました。「時間が余っちゃったから、もうひとつ作ります!」という方も。
そして最終日には、簡単な発表会を実施。完成した作品をひとりずつ発表していきました。
発表が終わるたびに、ほかのメンバーからはともにものづくりをした仲間の健闘をたたえる、あたたかい拍手が。「ここはどうやって作っているの?」「写真とってもいいですか?」など、和やかな雰囲気のなか進みました。
最後には、ワーケーションツアー全体を通しての感想をひとりずつ話して、4泊5日の全行程が終了。「素晴らしい自然に囲まれた環境で、皆さんと一緒にものづくりができて刺激を受けた」「青森で暮らしながらものづくりをするイメージが湧いた」「冬の青森を体験しにまた来たい」と、嬉しい声が上がっていました。
なかには、「人見知りだと思っていたけれど、人と関わる喜びを改めて感じた。人生のターニングポイントになった気がする」という方も。参加クリエイターの皆さんにとって、充実した時間になったようです。
編集後記
連日、爽やかな秋晴れに恵まれた4泊5日。青森の魅力を知るにはもってこいの穏やかな天候のなか、今回も無事ワーケーション体験ツアーを終えることができました。
開催して4年目になる「クリエイターワーケーション体験 in 青森」ですが、スタッフの皆さんが口を揃えて言うほど、今回は参加されたクリエイターさん同士の仲が良く、ワーケーション期間を存分に楽しんでいただけていた印象でした。ひとつの空間で、同じ素材を使ってみんなでものづくりをするという経験が、参加者同士の繋がりが深まるきっかけにもなっていたら嬉しいです。
今年度の「クリエイターワーケーション体験 in 青森」は、残すところあと1回。2025年1月に開催される冬の回では、今回と同じく2日間の創作活動があります。冬の青森でものづくりを体験できる大チャンスですので、青森市への移住や二拠点生活に興味がある方はぜひ、この機会をお見逃しなく!
「クリエイターワーケーション体験 in 青森」(冬の回)募集
■開催日
2025年1月23日(木)~1月27日(月) 4泊5日
■お申し込み定員
10名程度(1組2名まで)
※応募多数の場合は抽選とさせていただきます。
■お申し込み方法
以下ご案内ページよりお申し込みください。
https://www.creema.jp/event/aomori-2024
■お申し込み期間
~11月25日(月) 10:00 お申し込み締め切り(1月分)
※11月29日(金)頃までに決定通知をご案内いたします。