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【今、私が会いたい人】流木とこびとが生み出す唯一無二の物語|Atelier des oursさん

【今、私が会いたい人】流木とこびとが生み出す唯一無二の物語|Atelier des oursさん

こんにちは。クリーマでイベント運営を担当している内原です。
今回「今、私が会いたい人」でご紹介させていただくのは、オリジナルの世界観で流木と “こびと” を組み合わせ、立体アート作品を作り上げるAtelier des ours・根岸さんです。

実は、僕がクリーマ入社前に遊びに行った「ハンドメイドインジャパンフェス(以下HMJ)」で初めて出会い、ひと目惚れで購入したのがAtelier des oursさんの作品でした。我が家では、豊かな感情が表現された “こびと” たちに、日々癒されながら暮らしています。

そんな “こびと” がどんなふうに誕生しているのか、そのストーリーや制作過程が気になり、アトリエへ足を運びました。

▲ 我が家にいる4人の “こびと” たち。初めてお迎えしたのが、いちばん左の釣りをしているもの。まったりした空気感に惹かれて、思わず手に取りました。

作品の数だけ、物語がある

アトリエでまず目に飛び込んできたのが、思わず見上げてしまう、高さ1mほどある作品。今年の1月に開催したHMJでも展示され圧倒的な存在感を放っていました。

▲ ここだけ別世界のような、独特の空間が広がっています。

「これはRPG(ロールプレイングゲーム)をイメージした作品で、タイトルは 『ラストダンジョン・ワンダーランド』。

下から階段を上り、洞窟の中を通って、ラスボスがいる最上階を目指します。
洞窟の中ではラスボスを倒すための武器を売っている “こびと” がいたり——」

「こっちには、穴を開けている “こびと” がいたり——」

「怖がっている仲間を助ける “こびと” がいたり」

「途中、チンドン屋もいるんです(笑)」

「いちばん上のこの部分は、ラスボスを倒すシーンです」

「僕なりに妄想しながら作品を作っていますが、登場する “こびと” は、見る角度や、見る人の気持ちによって印象が変わると思っていて。イメージしやすいようにタイトルはつけていますが、どんな物語なのかは見る人に委ねています」

『見えないものを 見ようとした』

▲ 一体何を見ようとしているのか? 想像が膨らみます。

物語のはじまりは流木選びから

「もともと、自然が生み出す流木の形や雰囲気がなんとなく好きで、流木を使った作品づくりをしていました。流木を使ったアート作品で物語を表現したいと考えていたときに、ふと、流木に人の形をした “こびと” を乗せたら、動作や表情からその物語を感じとってもらえるんじゃないかーー、そう思って今のスタイルに辿り着いたのが、2021年の冬頃です。

いつも行く海があって、流木は夫婦で定期的に集めにいきます。適当に見繕うというよりは、一つひとつ手に取るときからどんな物語の作品にしようかイメージしながら選んでいます」

▲ ご自宅のお庭には、流木がずらっと並んでいました。

流木に、“こびと” 一人ひとりの物語を乗せていく

今回は、一連の作品づくりの流れを見学させていただきました。

「流木を選んだら、まずはそのサイズや形に合わせてテーマを決めます。例えば、今回はチェロを弾く “こびと” を作りますが、この流木がもう少し大きかったらテーマはまた変わると思います」

▲ “こびと” や “こびと” が手にするアイテムには銅が用いられ、すべて手づくりされていました。
▲ ハサミでカットして、ペンチで成形していきます。
▲ 銅を叩いて成形していると、性質的に段々硬くなるのだそう。硬くなると次の作業がしづらいので、焼きなまし※の工程を挟みながら次の作業に移ります。

※焼きなまし:金属をやわらかくするための熱処理
▲ 実際に触らせていただきましたが、ハサミでカットしていたとは思えないほどの硬度でした。(写真左:クリーマスタッフ 内原)
▲ 熱した銅をアルコールに入れると、銅が酸化銅から還元され表面がきれいになります。この工程を挟むことではんだ付け※がスムーズになるそうです。

※はんだ付け:はんだと呼ばれる金属合金を熱して溶かし、金属や部品を接合する技術

「“こびと” はまとめて作っておいて、流木と組み合わせるときに選んでいます。微妙に表情が異なるんですが、細かいところまで考えているというより、見てくれる人のイメージを補うようにしています。シンプルな方が、見る人それぞれの想像や妄想が広がるんじゃないかと思って。

たまにマフラーだけ赤い “こびと” がいて、その子はお調子者のキャラクター設定なんです。そんなことはどこにも書いてないですし誰も知らなくて、自分だけがそう思って作ってるんですけどね(笑)」

「楽器は握りしめないように、優しく包むように持った方が良い音色になると聞くので、そういう仕草にもこだわっています。

ほかにも例えばですが、アニメのキャラクターたちは、歩き方や姿勢の違いなどでもそれぞれの性格が表現されますよね。“こびと” もそれぞれに性格が違っていて、行儀良く脚を閉じて楽器を奏でる “こびと” もいれば、脚を広げている “こびと” もいます。

そんなふうに自分なりのキャラクター設定はしているものの、基本的には手に取ってくれた方の想像にお任せしています」

一つひとつのキャラクターから動きを作っているからこそ、“こびと” たちが今にも動き出しそうなほど表情豊かに感じるのかもしれません。

▲銅の色の変化を緩やかにし、錆止め効果もあるクリア塗装をして完成です。

視線を意識した構図で作る

「小さい頃からものづくりが好きで、以前は絵を描いていたこともありますし、現在は建築の仕事に就いています。その経験もあってか、構図が決まったときは「できた!」という気持ちになります。

小さい “こびと” だけの作品は、ちょこんと置けるように。小さいながらも構図が決まっていて、流木に合わせて絵になるように考えています。

さっき作ったのと同じチェロを弾く “こびと” でも、流木の大きさや形状に合わせて譜面台を作ったりして、バランスをとっています。立ち位置や微妙な手足の動きも、作品ごとに調整しています」

『チェロ』

「大きな作品の場合は、視線が固定されすぎないようにしています。
構図自体は安定しています。でも、全体を見渡すと少し不安定に感じる。視線が動くように、あえてそうしているんです」

▲ アトリエに飾られていた高さ1mを超える作品。確かに、一見すると不安定なバランスに感じます。だからこそ、思わず何度もいろんな角度から見てしまいました。

新しい試みを作品に取り入れて

「最近はリピーターの方も増えてきて、多い方は12人目の “こびと” を迎えてくださる方もいらっしゃって驚いています。『家のあちこちに飾ってます』というエピソードを聞いたり、イベントではお客さまと直接会ってお話したりできるので楽しいですね。

まさか、以前ご購入くださった内原さんとこんな形でお会いするとは思ってもいなかったですし(笑)」

▲ HMJ出展時、Atelier des oursさんのブース。僕はこの独特の世界観に惹かれてつい足を留めてしまいました。

「今後は、合わせ鏡を使って奥行きがあるように見える仕組みや、宙に浮いて無重力状態に見える仕組みを、オブジェに取り入れたいなと思っています。

やってみたいことはいろいろあって、常に頭の中で作ってみているんです。作品の世界観も踏まえて秋・冬のイベントを中心に出展しているので、来年1月に開催するHMJでは何かしら形にしてお披露目できたらと思っています。ぜひ、会場でご覧いただきたいです」

インタビューを終えて

Atelier des ours・根岸さんは、テーマを考え、“こびと” を制作する過程すべてを心から楽しまれていて、作り手の熱量がひしひしと伝わってきました。そして、“こびと” の立ち方や仕草など、見た人がそれぞれに楽しめるよう、適度に余白を残して想像が膨らむように作っていることも印象的でした。

最近新たに我が家の仲間入りをした『あげないよ』と題された “こびと” は、あまりにも私の1歳の娘にそっくりで、出会った瞬間に満面の笑みを浮かべてしまいました。Atelier des oursさんの作品は、疲れたときや落ち込んだとき、眺めるとクスッと笑わせてくれる、不思議な魅力を持っています。

『あげないよ』(展示作品)

皆さんも、今の自分の気持ちにぴったりな “こびと” をさがしてみてはいかがでしょうか? まったく同じものはありませんが、再販やオーダーメイドも対応していらっしゃるとのことなので、気になる方はぜひ相談してみてください。

見ているだけで笑顔になれる。ネガティブな気持ちをほっこり優しい気持ちに変えてくれる。そんな “こびと” が、ひとりでも多くの方に届いたらいいなと思っています。

▲ クリーマスタッフ 内原

プロフィールページでも、“こびと” たちの世界を案内しています。

<文=Creemaスタッフ>

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これまでの、作り手インタビュー【今、私が会いたい人】はこちら

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