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【"気になる" に寄り道。】波紋が広がる “あの瞬間” を、ガラスのオブジェで

【"気になる" に寄り道。】波紋が広がる “あの瞬間” を、ガラスのオブジェで

いま編集部が “気になる” 作品にフォーカスを当て、編集部目線でその魅力をお伝えする「“気になる” に寄り道。」シリーズ。読みものをきっかけに、皆さんにもちょっとした “寄り道” を楽しんでいただけるとうれしいです。

水滴が跳ねた一瞬を捉えた写真のように見えて、実はすべてガラスのオブジェ。今回は、繊細な表現で生まれた、息をのむほど美しい作品を生み出す作家・ウルグルグラスさんをご紹介します。

宝石のように光る朝露、水たまりに落ちた雨粒が作り出す水冠、透き通った氷。刻々と姿を変える水の美しさをそのまま閉じこめたような作品の数々。この美しさは、どのように表現されているのでしょうか。

自然の摂理に耳をすませ、ガラスという素材に誠実に向き合いながらかたち作られる、静かで力強い美しさ。その一瞬の神秘を感じに、水のガラスオブジェの世界に寄り道してみましょう。

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美しさにふと気づいた、その瞬間をかたちに

ガラスで繊細な水の動きを表現しているウルグルグラスさん。
バーナーの炎で溶かしたガラスに、水の一瞬の動きを宿す—— その工程には、妥協のない集中と情熱、そして惜しみない時間が注がれています。

その背景にあるのは、「どうすれば自然界の一瞬の美しさを表現できるのか」という問い。
経験を重ねながらやっとたどり着いたのは、時が止まったかのようなフォルムと、圧倒的な透明感、ガラスならではの繊細な表情でした。

作品のインスピレーションの源は、自然の摂理のなかで生まれるふとした瞬間。

例えば、水がかたちを変えていく姿に目を奪われたとき、その描写一つひとつが心と体にすっと入り込んでくるような感覚があるといいます。ただじっと見つめて観察するというより、「こういう姿にもなるのか」と “気づく” ことに近いのだそう。あとからスケッチなどで再現しようとはせず、ただ手を動かすうちに、自然と “美しいと感じたあのときのかたち” が浮かび上がってくるのだそうです。

大切にしているのが、“手を加える” のではなく “手を添える” という考え方。溶けるガラスの動きは、あらゆる条件で変化してゆく自然そのもの。狙わずに、ただその流れに任せる。そうすることで、水のように息づく自然のリズムが生まれます。

偶然に思える自然の変化も、実はいろいろな必然が重なりあって起きている。ウルグルグラスさんの作品には、その自然の摂理の美しさが確かに反映されています。

ガラスという素材の魅力

ひんやりした手触りや、光を通して輝く透明さ、手に持ったときの軽やかさ。ガラスには、”ある” と “ない” の境目を漂うような佇まいを感じます。

ウルグルグラスさんの言葉を借りると、「周囲のものを映し込むことで “その場所の空気” ごと作品になる」。見る角度、背景、時間—— どれかが違えば印象が変わります。それがすごく詩的で、自由で、ウルグルグラスさんにとっては魅力のかたまりなのだそう。

作品に使用しているボロシリケイトガラスは、80%が水晶と同じ成分。一般的なガラスに比べて透明度が高くて軽く、割れにくい性質があります。

光を屈折させ、発散させ、ときに集束し、歪み、吸収し、そして透過する。そのプロセスのなかで透明なガラスが生み出す虹色のような輝きに「運命的な魅力を感じた」とウルグルグラスさん。これが、一生をかけて向き合うべき表現手段だと、自然に決まっていきました。

見過ごされがちな日常の美しさを作品に

「作品を通じて、見過ごされがちな自然の美しさや神秘に改めて気づき、日々の生活にある特別さを感じてほしい」

これは、ガラスを始める前からウルグルグラスさんの根幹にずっとあった想いです。

作品を手に取った人からは、ガラスという素材を超えて「何か特別なもの」を感じるといった声が多く寄せられています。透明なのに確かな存在感や、凛とした姿で力強さを感じる—— そんな声から、作品が誰かの感情や記憶、大切な時間と静かに結びついていることを実感するのだそう。

ウルグルグラスさんの作品は、何気ない日常がこんなにも特別だったことに気づかせてくれる。そんな小さな奇跡のような瞬間を、これからも静かに届けてくれるはずです。

—— そろそろ寄り道の時間もおしまいのようです。

どうぞ次回もお楽しみに。

<文=増山真帆>

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