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“ワケあり” だから惹かれる——偶然が生んだ、手しごとの物語
Creemaで出会えるのは、時間と手間をかけて、一つひとつ丁寧に作り上げられる作品たち。
けれど時に、自然素材ならではの “ゆらぎ” や、手しごとゆえの “わずかなズレ” が生まれることも。
色むらや節、少しのシワやゆがみ—— 作り手が自らに課す厳しい販売基準には満たなくても、そこには確かに情熱と個性が宿っています。
Creemaでは、そんな作品を「ワケありな逸品」としてご紹介しています。
今回は、5名の作り手の作品と、その背景にある思いをお届けします。
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傷やえくぼがあっても、大切なひと粒だから。バロックパールのピアス
自然なフォルムが魅力のバロックパール。
そのなかには、形がいびつだったり、傷があったりして、人の基準に届かないパールがあります。
PIFCHARMさんは、そんなパールも「母貝が生み出した大切なひと粒だから」と、「ワケありな逸品」として届けています。
傷やえくぼを持つ真珠も、母貝の中で長い年月をかけて育まれてきた大切なひと粒。販売基準に満たないからといって行き場を失うことに、長年疑問を抱いていました。完璧ではない姿も個性として楽しんでくださる方に、お届けできればと願っています。
PIFCHARMさん
パールの個性を活かすため、穴の位置や金具の向きを細かく調整し、一つひとつ丁寧に仕立てられています。
金具もサージカルステンレスや14KGFなど、アレルギーに配慮した素材をそろえているのもうれしいポイント。
普段の装いにさりげなく添えたい、あなたにぴったりのパールがみつかるかもしれません。
職人の技術はそのままに。小さな ”ゆらぎ” が生んだ「文庫革」
友禅の技術で、牛革に精緻な柄を施す、Asakusa Bunkoさんの「文庫革」の雑貨たち。
「文庫革」とは、白くなめした牛革に型を押し、丁寧に彩色を施した、絵画のような革工芸のこと。手に取るたび、職人の息づかいと日本の美意識が感じられます。
精緻な技を重ねる一方で、素材が “生き物の革” である以上、避けられない個体差もあります。浅草文庫さんは、その “ゆらぎ” とも向き合いながら、一点一点に手を尽くしてきました。
生き物の革だからこそ、小さな傷やシミがあることがあります。また白い革は紫外線に弱く黄変してしまうことも。何度も検品を重ねても、どうしても浅草文庫の厳しい基準に達しない作品が出てきてしまいます。けれど、どれも職人が心を込めて仕立てた作品で、「処分してしまうのであれば、必要としてくださる方に届けてみよう」と思いました。
Asakusa Bunkoさん
少し黄変が出てしまった作品も、むしろそれが柄に馴染んで唯一無二の配色のように見えることも。
そういった不完全さも、愛着が湧く理由になることもあります。
文庫革の魅力や職人技の世界に触れられる、ちょっと特別な一品です。
節のある木が教えてくれる、ひとりの人としての思い
家具作家・tenantさんの「ワケありな逸品」は、節のある木材を使った作品たち。
本来、家具づくりでは避けられがちな節ですが、その不均一な表情にこそ、tenantさんは惹かれたといいます。
制作者としてではなく、ひとりの人間として節のある木材と向き合ったとき、そこに “自分以外の存在” を感じました。完璧ではない、個性を持つ素材だからこそ、ただの道具としてでなく “寄り添う” 家具ができると思ったんです。
tenantさん
アイアン脚のシンプルなデザインに、節のある木材を合わせることで、かえって木の表情が引き立つことに、実際に制作してみて気づいたといいます。
節の自然な表情を最大限生かしながら、手触りに違和感を残さないように磨き上げる。そんな、一点一点木の個性に合わせてバランスを探りながら研磨する作業は、つい夢中になってしまうのだそう。
偶然出会った “節” という個性から、誰かのための一点ものの家具が生まれました。
試作だからこその、 “今だけ” のひとつ
“ワケありな逸品” のなかには、お客さんの声に応える形で生まれた試作品もあります。
「こんなのがあったらいいな」という声をきっかけに、作り手がかたちにしてみたひとつ。
作り手の新しい挑戦だからこそ感じられる、ものづくりのリアルがあります。
「小さながま口の中に、便利な仕切りを」。
そんな声に応える形で試作されたのが、SpringFlavorさんの「仕切り付きがま口」です。
以前から中に仕切りがあるがま口が欲しいというお声をいただいていて。別の作品を作ったときのイメージで材料などを選び試作しましたが、型紙の調整と素材の変更が必要な仕上がりとなってしまいました。
SpringFlavorさん
このまま、通常品として販売はできないと悩みましたが、今後の販売のヒントとしてどのくらいの方に興味をもっていただけそうか反応を見てみたいと思い、出品しました。
お客さんの声から生まれ、理想のかたちを目指して試行錯誤の途中にある作品。
まだ通常品として販売し続けられるものではないからこそ、挑戦の手触りをより濃く感じられます。
通常の作品と変わらない愛情を持って作られた、ひとつ。そんながま口が、そこに込められた思いに触れたいあなたとの出会いを待っています。
偏った色も “この子らしさ”。色味で仕分けた天然石アクセサリー
アクセサリー作家の そそ-楚々-さんが扱うのは、青・オレンジ・白・銅が混ざり合った個性的な石「オイスターカッパーターコイズ」。
その色のバランスが通常の基準に合わず、長く販売を見送っていた石がありました。
オレンジが多い、ブルーが多い—— 色味の偏りがある石は、今までそっと仕舞っていました。複数の色が入っていなければ「オイスターカッパーターコイズ」としては受け入れてもらえないと思い込んでいて。ですが「この色味も可愛いのに」と思う自分もいたんです。
そそ-楚々-さん
最初は受け入れられるか不安だったそうですが、「ブルーがきれい」「オレンジが明るくて好き」と喜びの声が寄せられ、「色の偏りも魅力のひとつである」と確信したのだそう。
もちろん、どの「オイスターカッパーターコイズ」のアクセサリーも、作り手の手で丁寧に仕立てられた、特別な一点です。
たったひとつの、あなただけの色合いを選んでみては。
“偶然” や “ゆらぎ” が生んだ、世界でひとつをさがしに。
色むらや節、形のゆがみや色の偏り——。
“ワケあり” とされる理由はさまざまですが、それは素材や手しごとが生み出す、自然で素直な個性でもあります。
完璧を求めるものづくりのなかで、あえて “予定外” のものと向き合った作り手たちのまなざしには、素材への深い愛情が宿っていました。
そんな偶然やゆらぎを愛し、作品へと昇華させた「ワケありな逸品」。
あなたも、この世界にたったひとつの個性と、出会ってみませんか?
<文=庄司彩>