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作り手たちのインスピレーションの源 vol.1

手作りの作品は、その作り手でなければ生まれなかった、世界に1つのもの。そのインスピレーションの源泉はどこにあるのでしょうか?
頭の中でアイディアを生み出し、育て、そして具体的な形にする。「自分が愛するものを思いをこめて作る」これを続けるためには、圧倒的な熱量とインスピレーションが大事になってくるはずです。5人の作り手のインスピレーションにせまります。

5人の作り手のものづくりのきっかけ、そしてインスピレーションの源泉

ジュエリーデザイナー・knapさん

「以前、CMを中心に活躍していらっしゃる某スタイリストさんのアシスタントを務めていたことがあるのですが、その時に撮影で使用するアクセサリーはいつも手作りしていて、徐々にスタイリングより何かを作っている方が楽しくなってしまって。もしやこちらの方が向いているのでは?と思い、スクールに通って本格的に彫金やロストワックスを学び始めました。


ちょうどその頃、異素材を組み合わせたアートジュエリーが出始めてきて、それが何だか楽しそうだったので、並行して別のスクールでガラスの扱い方も学びながら、独学で現在のスタイルを確立していきました。その後、knapをスタートさせることになります」

インスピレーションの源は…「バレエ、レストラン、映画や旅行など、直感的な行動や感動」

「日常で、創作のヒントを得るために意識して行動することはありませんが、もともとバレエやお芝居を観たりすることが好きですし、空き時間が出来れば、日頃チェックしていたレストランでランチをしたり、映画や美術館にも足を運びます。

あとは、気になったことや、やりたいことは躊躇せずにさっさと行動に移すようにしています。後回しにすると、結局無かったことになってしまうので。

最近では、夜中に突然、温泉に入って朝日を見よう!と思い立ち、山梨にある露天風呂まで一人で車を飛ばしたことがありましたが、その時見た朝日の美しさは、ちょっと言葉にならないものがありました。
こういう行動や感動が、直ぐに創作へと結び付くとは思っていませんが、これらの記憶の断片が積み重なって、ある時、ふとアイディアとして表に出てくるような気がします」

デザイナー・Noryさん

「以前、広告関係のグラフィックデザイナーとして勤めていた時に、 あるメーカーのポ ーチのデザインを考える機会がありました。仕事としては専門外だったのですが、新鮮でとても面白かったんです。 それまで自分用のバッグは趣味ではよく作っていたのですが、 知らない誰かが実用品として使ってくれるかもしれないと想像しながら考えるとわくわくしました。  その時の経験は小さなきっかけの一つになったように思います。 

会社を退職後はフリーランスでパンフレット等のデザインの仕事をしながら、ずっと独学でバッグを作っていました。 とにかく『バッグ作り』が楽しかったので、布やら編み物やらその時興味がわいた素材を色々使って‥。  最初は持ち手だけとか色々な素材を試行錯誤していた中でのパーツ使いだったのですが、 革という素材の奥深い面白さに夢中になり、いつの間にか本気でどっぷり浸かっていました」

ゆれるコサージュのレザートート

インスピレーションの源は...「リラックスしている時に見た、日常の風景」

「リラックスしている時は、出来るだけ頭をからっぽにして日常の散歩等で見た風景等をぽんぽん自分の中に放り込むようにしています。 そうして埋めていた物が、ある時芽を出すことがあります。

また、自分の中に物欲の波が高まってるときほど影響されて、あーバッグも欲しい、作らなきゃってエネルギーになります。 もしかしたら、ただ自分が使いたいだけの欲求で作っているのかもしれません(笑)」

コウモリのバッグチャーム

morizukan tote ナチュラルL

画家・Goda worldさん

「エドヴァルドムンクがいなかったら僕はもうこの世にはいません。

僕はもう二度と地球には生まれて来ません。その思いで絵の活動をしてます 。後悔しない生き方を選択する、この未開の星に未練はない、と強がっています。 何言ってるんですか?ぼく。過去は忘れました。すみません。瞬間瞬間です。直感と直観です。察してください。いや、本当に形而上の戯れ言や机上の空論などでは無く、今しか存在してないんですよ。僕は、リア充よりもずっとリアルを生きてると思ってます」

「有元利夫に捧ぐ【三途の川にのぼる月】」

インスピレーションの源は…「瞬間瞬間。出会う人、物、すべて」

「瞬間瞬間ですから、出会う人、物、すべてじゃないですか。観察。アンテナ。 衝動。リビドー。怒り。愛。普段の自分のセリフなんかがスッとタイトルになる。僕に近い人は、「いつもしゃべってる台詞じゃん」って思うんじゃないでしょうか。
言葉はいくらでも体裁を飾ることが出来て嘘を演出できますが、絵は正直です。 絵の嘘はバレバレです。僕は言葉よりも絵を見るとどんな人間かすぐわかります。バレバレですよ」

「おかしいな。目からへんな水が・・」

バッグデザイナー・SiamSquareさん

「15年前、アメリカの本を見ながら独学でキルトを作り始めました。当時、ハリケーンが米国南部を襲い、街が水没して帰宅することができなくなり、その後一年間私と子供達だけが避難先のテネシー州メンフィスにとどまって暮らすことになりました。見知らぬ土地で知り合いを作りたいという気持ちもあり、地元の大きなキルトグループに入れてもらいました。

何十枚ものキルトを大勢が流れ作業で作っていくのですが、そこで大量のキルト綿の切り落としが出るのです。まだ使える上質のキルト芯がどんどん捨てられていくのを見て、日本人の勿体無い精神がムクムクと湧き上がりました。それを集めて自宅に持ち帰り、なんとか活用させようとして出来上がったのがバッグでした。所持品がなく鉛筆ケースだけを持って新しい学校に通い始めた娘のために、芯入りの頑丈なメッセンジャーバッグを作りました。結構良い出来だったので問い合わせが多く、それが販売へとつながっていきました。
元々はリサイクルから始まったバッグ作りですが、どんどんはまっていっていつの間にかキルトの代わりにバッグばかり作るようになっていました」

インスピレーションの源は…「アーティストたちの自由な発想と独創性」

現在住んでいるアメリカの山間部にはアーティストが多く、週末になるとあちこちでクラフトショーが開催されます。

自分が飼っている羊から刈り取った毛を紡ぎ、染め、作品にしている人。様々な素材の古着を染めて繋いでキルトを作る人。錆びた農耕器具のパーツやキッチン用品を溶接して野外オブジェを作る人。繊細なワイヤーとビーズをかぎ針一本で豪華なブレスレットに編み上げてしまう人。
自由な発想と独創性に触れると、自分も何かを創り出したい!という創作意欲が沸いてきます。

タック入ラージ巾着 リネン Teal leaf

ニッターズポーチ ファスナーポケットつき

ジュエリー作家・GINNEZUさん

「10代の頃、仕事を探していた時に、たまたま目にとまったのがジュエリー製作の仕事でした。面白そうな仕事だなとほんの軽い気持ちで始めましたが、そんな私に親切に仕事を教えて下さった師匠のお陰で、真剣にこの道に進めるようになりました。その師匠との出会いが無ければこの道に進んでいなかったかもしれません。 

八王子にある小さなジュエリー工房でメーカーの下請けやオリジナルジュエリーの製作をし、20年近くお世話になり仕事のいろはを教えてもらいました。そこでは国家試験などにも挑戦し貴金属装身具1級技能士という資格を取ることも出来ました。仕事量の減少により37歳で退社後、ジュエリー生産のメッカでもある山梨県甲府市で量産品のジュエリーを作る仕事に就きました。工房というより工場のような所で2年半勤めましたが仕事内容に満足できず独立する決意を固めました」

インスピレーションの源は…「デザイン集や図鑑、自然や動物」

「デザイン集や図鑑など、本を良く読みます。近所を散歩しながら、この季節にはどんな花が咲いているかとか、鳥が飛んでいるかとか気にしながら歩いています」

出会った人や物、自然の世界。普段の何気ない生活の中にも、感性のアンテナを張っている作り手にとって、何か新しいものを感じ取る瞬間があるのですね。

そこで得られたインスピレーションが、それぞれの個性によって作品として表現されていました。

 

自分の中のインスピレーションのストックを、いつも満たしていたいなと思います。

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