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【“気になる” に寄り道。】いつでもそばに、心の栄養。癒しを持ち運ぶミニチュアボールペン
作り手インタビューいま編集部が “気になる” 作品にフォーカスを当て、編集部目線でその魅力をお伝えする「“気になる” に寄り道」シリーズ。読みものをきっかけに、皆さんにもちょっとした “寄り道” を楽しんでいただけるとうれしいです。
ふと手元を見たとき、思わず口元がゆるむ——。
今回は、そんな “小さな癒し” をボールペンに閉じ込めるミニチュア作家、petit soulager(プチスラジェ)さんをご紹介します。
透明なケースの中に並ぶのは、こんがり焼けたパン、つやつやのみたらし団子、出汁の染みたおでん。
どれも指先ほどの小ささなのに、今にも湯気や香りが立ちのぼりそうなリアルさです。
「見て癒されたペンは初めて」。
そんな声も届く、心をほぐすボールペンの秘密に、寄り道してみましょう。
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「会議続きの毎日」から生まれた、癒しのかたち
petit soulagerさんの作品に込められているのは、「ミニチュアを通して、たくさんの人に癒しを届けたい」という願い。屋号の「petit soulager」は、フランス語で「小さな癒し」を意味します。
活動を始める前は、IT企業に勤めていたというpetit soulagerさん。
感受性の強さゆえに、日々の会議や業務の中で、心がすり減っていたそう。
そんななか、唯一夢中になれたのが、趣味で始めたミニチュアフード制作でした。
手を動かしている時間だけは、余計なことを考えなくていい——。
ミニチュアは、自分自身を守るための “避難所” のような存在だったといいます。
やがて「このペンを見て癒された」という使い手の言葉をきっかけに、その小さな世界は、誰かを支える力へ変わっていきました。
仕事の合間に手に取ったとき、バッグの中で見つけたとき。
そのたびに、ふっと心がゆるむ存在に。
そんな “お守り” のようなペンを、いまも一つひとつ丁寧に届けています。
焦げ目の色まで。「おいしそう」にこだわる
「おいしいものは、見るだけでも幸せになれるから」
そう語るpetit soulagerさんが選ぶモチーフは、パンや和菓子、おでんなどの食べものたち。
ミニサイズながら、驚くほどリアルです。
その “おいしそう” を支えているのが、絵の具の混ぜ方や重ね方への徹底したこだわり。
たとえばパンは、一見、茶色一色に見えても、実際には何色もの色を混ぜて重ねて表現しています。
明るさや赤み、焦げ方のバランスを細かく調整しながら、道具や塗り方も何度も試行錯誤。
今にもふわりと香りが立ちのぼりそうな、“ちょうどいい焼き色” を探し続けます。
「これだ!」と思える仕上がりに出会える瞬間が、制作のいちばんの喜びなのだそうです。
いちばんの山場は「組み立て」
着色を終えたら、パーツをしっかり乾かしながら、数日かけて仕上げていきます。
一本のペンが完成するまでには、成形・着色・ニス塗り・接着・組み立てと、いくつもの工程を重ねます。
制作には最低でも4日ほどかかるのだそう。
そして最後の「組み立て」こそが、petit soulagerさんにとって最も緊張感がある工程だといいます。
ペンのカラーや名入れ、チャームの有無、和菓子の中身まで。
選べるカスタマイズも多く、その一つひとつを確認しながら、慎重に仕上げていきます。
この一本を待っている、誰かのために。
細かな傷がないかを丁寧に確認しながら、ようやく完成へとたどり着きます。
ボールペンがつなぐ、やさしい気持ち
仕事中の相棒や、手帳のお供として愛用する人が多いpetit soulagerさんのペン。
なかには「もったいなくて使えない」「眺めて癒されています」という人も。
なかでも印象に残っているのは、家族みんなでお揃いにしたというエピソード。
パンが好きなお母さん、おでんが好きな叔母さん、そして自分自身にも。それぞれの “好き” をモチーフに選び、プレゼントに贈ったのだそうです。
「ボールペンが、人と人をつなぐ存在になっていると感じられて、とても嬉しかった」
そう、petit soulagerさんは話します。
今後は、アクセサリーなど新たな “癒しのかたち” にも挑戦していきたいとのこと。
指先ほどの小さな世界に、ぎゅっと詰まった想い。
忙しい日々のなかでそばに寄り添い、心がふっと軽くなる “小さな癒し” を届けてくれる存在です。
—— そろそろ寄り道の時間もおしまいのようです。 どうぞ次回もお楽しみに。