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【“気になる”に寄り道。】チェコの絵本と真鍮と。PlusBoxさんのステンドグラスがまとう、やさしい色彩

【“気になる”に寄り道。】チェコの絵本と真鍮と。PlusBoxさんのステンドグラスがまとう、やさしい色彩

いま編集部が “気になる” 作品にフォーカスし、その魅力をお伝えする「“気になる”に寄り道。」シリーズ。読みものをきっかけに、皆さんにもちょっとした “寄り道” を楽しんでいただけるとうれしいです。

今回は、ガラスと真鍮を組み合わせ、ステンドグラスの技法でオブジェを制作しているPlusBoxさんをご紹介します。
チェコの古い絵本に着想を得た淡い色彩。時間とともに深みを増す真鍮。光の角度や時間帯によって表情を変える作品たちは、お部屋にひとつあるだけでほっとした空間をつくりだしてくれます。

月600点の制作をこなす日々から一度身を引き、「自分の作ったもので人に喜んでもらいたい」という想いに向き合ったPlusBoxさん。
そんな試行錯誤を経て辿り着いたのが、今のやさしい作品たちです。

暮らしの中にそっと寄り添い、小さな幸せを運んでくれるステンドグラスの作品へどんなふうに至ったのか、その世界に寄り道してみましょう。

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チェコの古い絵本のような、やさしい色彩

PlusBoxさんの作品の魅力のひとつは、淡く輝く、やさしい落ち着いた色合いです。

その源流にあるのは、チェコの古い絵本。
パステル画のようなやわらかなタッチで描かれる、溶け込むような美しい色づかい。
初版本の印刷の美しさに惹かれて、そうした古い絵本を大切に集めてきたというPlusBoxさん。

その世界観を作品に映し込みたい——
そんな想いから、光の入り方まで計算してガラスを選ぶ、という工程へつながっていきます。

▲ 庭に咲いているブルースターをモチーフに制作した作品。摘んできてそのまま挿したような、気取らない自然さを感じます。

月600点から、一つひとつの想いを込めるまで

この丁寧な手しごとの背景には、過去の葛藤に満ちた経験があります。

以前は、アイアンを使った製品を月に600点も作る「千本ノックのような」日々を送っていたというPlusBoxさん。体がきつくなり、一度はお店を閉じたものの、若いころに学んだステンドグラスで家のランプやパネルを制作しているうちに、ある想いが蘇ります。

「作ったものが人の手に渡って喜んでいただける。そんな喜びを感じたい」

そう思ったPlusBoxさんは、今度は月600点ではなく、一つひとつに想いを込めた作品をと、現在のスタイルへと辿り着きました。
そうしてできた作品たちには、今のPlusBoxさんの思いがそのまま息づいています。

真鍮の台座が生み出した、5cmの奥行きという答え

いちばん思い入れが深いと語る最初の作品「教会までの道」は、『赤毛のアン』のなかでアンが教会に向かうシーンを表現したもの。

当初はステンドガラスだけで奥行きを出そうとしたものの、どこか野暮ったくなってしまい悩んだそうです。

そこでひらめいたのが、真鍮で少しふくらみを持たせた台座を作ること。
地面を感じるような、丘の上の教会に向かうイメージを、約5cmというわずかな奥行きのなかに表現することができました。

▲ 真鍮の加工に使う金槌は、学生時代からの長年の相棒。

特に、台座にパーツをまっすぐに取り付けていくのが、実はいちばん苦労しているのだそう。
わずか数ミリの誤差が全体のバランスを崩してしまうので、その工程でPlusBoxさんの確かな技術が活かされています。

鍛金の専攻で培った技術と、ステンドグラスの自由度が出会った、そんな作品です。

暮らしにそっと溶け込む、あたたかい物語

ガラスは普遍的な美しさをたたえ、時の経過で色褪せることはありません。
一方、真鍮は使い込むほどに酸化し、味わいが深まっていきます。

「歴史ある教会のステンドグラスをイメージしていただけるといいのですが。
光を取り込んだ普遍的なガラスの美しさと、歴史を感じる教会の雰囲気。そんなニュアンスです」

PlusBoxさんの作品は、作られた瞬間に完成するのではなく、使い手とともに歴史を重ねていくもの。

「手に取ってくださった方とゆったりとした時間を過ごせるような、目に入るとほんの少しでも口角が上がるような作品を目指しています」

日の光を受けてふんわりと色づくシルエットや、時間とともに深みを増していく真鍮の佇まい。お部屋に溶け込むその景色が、見るたびに心をゆるめてくれます。

—— そろそろ寄り道の時間もおしまいのようです。 どうぞ次回もお楽しみに。

<文=庄司彩>

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