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金木犀の香りに、落ち葉の音。深まる秋を楽しむ「秋の五感カルテ」
みなさんは、どんな瞬間に、秋だなと感じるでしょうか。
道を歩いていて金木犀の香りに気づいたとき。
ふわりとしたニットにそっと触れたとき。
焼き芋のほくほくとした甘さを味わったとき。
そんな季節の移ろいを、五感でたどる「秋の五感カルテ」。
今回は5人のクリエイターに、それぞれが感じる秋の瞬間を聞きました。ものづくりをする人だからこそ気づける、小さな発見も一緒に。身近な秋を、少し立ち止まって味わってみませんか。
目次
1. 金木犀と、香りに守られる夜。
2. 彼岸花が灯す、初秋の朱色。
3. 落ち葉と、秋風が鳴らす音
4. ニットのぬくもりをまとう幸せ
5. 実りの季節、栗と向き合う時間
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1. 金木犀と、香りに守られる夜。
金木犀の香りをモチーフにしたストールを手がける、Fnittra〔フニットラ〕さん。秋を感じる瞬間について尋ねると、こんな思い出を教えてくれました。
私にとって、秋の香りといえば金木犀です。実家には大きな金木犀の木があって、秋に訪れると、どこからともなく香りが漂ってきます。
Fnittra〔フニットラ〕さん
子どもの頃、祖母に「どうして金木犀の香りはこんなに強いの?」と聞いたことがありました。すると、「邪を寄せ付けないために強いんだよ。特に夜は香りが強くなるでしょう。夜は危険だから、そんな危険なものから守るために香りを強くするんだよ」と教えてくれたんです。
今思えば昔話のような、祖母らしい話なのですが、子どもの頃の私にはとても印象的でした。今でも夜に金木犀の香りを感じると、あのときの祖母との会話を思い出します。
私にとって金木犀は、秋を感じる香りであると同時に、祖母との思い出を連れてきてくれる大切な香りです
そんな金木犀の思い出から生まれたのが、ストール「眠れる金木犀の森」。金木犀の香りに守られて、動物たちが思い思いの夜を過ごしている様子を描いています。
夜の時間もゆっくり楽しみたくなる秋。ふわっと肩にかけて、日が暮れてからのお出かけにも連れていきたくなる一枚です。
金木犀の季節を、もう少し
金木犀が香る季節は、ほんのわずか。だからこそ、あの香りや小さなオレンジ色の花に出会うと、うれしくなるのかもしれません。
アクセサリーや雑貨など、金木犀をモチーフにした作品はほかにも。お気に入りの金木犀を、もうひとつみつけてみませんか。
2. 彼岸花が灯す、初秋の朱色。
針金で彼岸花を繊細に描く、Fleurageさん。教えてくれたのは、彼岸花のピアスが生まれるきっかけになった、ある夏の記憶でした。
夏の青い景色に、ひとつだけ朱色が混じる瞬間に秋を感じます。
Fleurageさん
たとえば、青々とした葉の中に一枚だけ、秋を先取りしたような葉を見つけたり。緑の葉に隠れるように、柿がひとつだけ色づいていたり。夏の空気の中に、昨日まで気づかなかった彼岸花の赤が灯っていたり。
景色がすっかり秋に染まってからではなく、まだ夏の名残がある中に、小さな秋をひとつ見つける。そんな瞬間が好きです。
幼い頃、あぜ道で見た彼岸花の赤がとても印象深く残っていて、私にとって秋といえば、真っ先に彼岸花を思い浮かべます
そんな、夏の景色の中に灯る彼岸花の赤を映したのが、こちらのピアス。
鮮やかな赤にほんの少し黄色を含ませ、彼岸花らしい朱色に仕上げています。
耳元にひとつ添えれば、季節が移ろう景色とともに、装いにも秋の色を取り入れられそうです。
秋の赤を、みつけて
緑のなかに灯る彼岸花や、少しずつ色づく木の実。景色の中に鮮やかな赤を見つけると、季節がまたひとつ進んだことに気づきます。
装いや暮らしの中にも、そんな秋の赤をひとつ。心惹かれる赤をさがしてみませんか。
3. 落ち葉と、秋風が鳴らす音
山や田畑に囲まれたアトリエで制作するGallery Lienさんにとって、秋は耳から訪れるものなのだそう。
私のアトリエは、山や田畑が広がる自然の中にあります。秋になると、耳を澄ますことで感じられる心地良さがあります。
Gallery Lienさん
黄金色の稲穂が風になびく音、舞い落ちた葉がふれあうカサカサという音、夜の静けさに響く澄んだ虫の音。そんな音を聞くと秋を感じ、どこか懐かしい気持ちに包まれます。
目に映る景色だけでなく、耳からも季節の変化に気づく。秋の音は、私にとって心が研ぎ澄まされるような感覚をもたらしてくれます
そんな秋の音から着想を得て生まれたのが、モビール「Autumn Leaf」。
空き缶を秋の葉に見立てた作品で、揺れるたびにきらめき、葉同士が触れ合うような音を奏でます。
風に揺れる姿を眺めながら耳を傾ければ、カサカサと落ち葉がふれあう秋の景色まで浮かんできそうです。
葉音に誘われて、秋をさがしに
風に揺れる葉や、足元で重なる落ち葉。秋の木々は、色だけでなく、耳からも季節を感じさせてくれます。
そんな秋の葉をモチーフにした作品もさまざま。色づく季節を身近に楽しめる、お気に入りをさがしてみませんか。
4. ニットのぬくもりをまとう幸せ
冷えた指先に触れる、ふわりとした毛糸の感触。Tranquil Lifeさんにとって、そこから秋が始まるといいます。
朝晩の澄んだ風が肌に触れ、少し冷えた手先や体にニットの温かさを感じたとき、「秋が来たな」と思います。
Tranquil Lifeさん
昔は今ほど夏が暑くなく、夏が大好きでした。夕暮れどき、夏の終わりに秋風を感じたときの、なんとも言えない切なさは今でも特別な記憶です。
最近の酷暑には少しバテ気味ですが、涼しくなってくると、まずはお気に入りのニット小物を引っ張り出したくなります。夏の余韻を感じながら、やわらかなぬくもりに触れる。そんなところから、過ごしやすい秋を楽しみたいです
冷たい風に触れたとき、「やわらかいぬくもりで手を包みたい」という思いから生まれたのが、こちらのミトン。
秋冬のやわらかな日差しや、羊毛そのもののぬくもりを感じられるよう、生成りのホワイトを選んでいます。
手を包むやさしい感触とともに、少しずつ深まる季節を楽しめそうです。
恋しくなる、ニットの手触り
風が冷たくなってくると、ふっくらとしたニットの感触がいつも以上に心地良く感じられるもの。袖を通したり、手で触れたりするたび、その温かさに秋冬が来たことを実感します。
セーターやカーディガン、小物まで。これからの季節を迎える準備を始めませんか。
5. 実りの季節、栗と向き合う時間
山や田畑に囲まれた京丹波町でお菓子を作る菓歩菓歩さんにとって、秋は身近な実りとともにやってきます。
毎年この時期になると、菓歩菓歩の工房がある和知の里では、お米の稲刈りが始まります。黄金色に実った田んぼや、山のふもとの栗の木にたくさんのイガが実る様子を見ると、「今年もこの季節が来たんだな」と実感します。
菓歩菓歩さん
朝から栗を拾い、持ち帰った栗の鬼皮を、夜なべしながら一つひとつむいていく。そんな秋ならではの手しごとが始まると、しみじみと季節の移ろいを感じます。
そんな秋の実りを味わえるのが、丹波栗を使ったシフォンケーキ。
菓歩菓歩さんが工房を構える丹波は、栗の産地として知られています。この土地の気候が育む栗の深い味わいを、米粉を使った生地でふんわりと包んで焼き上げた一品。ひと口ほおばれば、豊かな栗の風味に、実りの季節を感じられます。
秋の実りを、もうひとつ
栗にさつまいも、かぼちゃ、りんご。実りの季節には、この時期だからこそ食べたくなるものがたくさんあります。
ほくほく、しっとり、甘く香って。秋のおいしいものを、もうひとつえらんでみませんか。
秋は、暮らしのあちこちに
5人の「秋の五感カルテ」をたどってみると、秋を感じる瞬間は人それぞれ。同じ季節を過ごしていても、心に残る記憶や好きな瞬間はこんなにも違うのだと気づかされます。季節は、いろいろな感覚から楽しめるものなのかもしれません。
自分だけの五感カルテに書き留めるつもりで、いつもの暮らしを見つめてみる。道端の草花も、風に混じる香りも、今日のおやつも、いつもとは少し違って感じられそうです。
見て、聞いて、触れて、香って、味わって。暮らしに散らばる秋を、今年は一つひとつ拾い集めてみませんか。
<文=庄司彩>
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移りゆく短い秋を一日一日旅するように、それぞれの色彩をめぐります。