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木彫りと絵のお店・鶏口舎(けいこうしゃ)さん - 受け継がれてきたぬくもりに新しい物語を_作り手インタビューvol.8 

こんにちは。クリーマのデザイン業務を担当している佐野です。

第8回の作り手インタビューは、木彫りと絵を描く鶏口舎(けいこうしゃ)さんにお話をお伺いしました。

 

今回、鶏口舎さんとの待ち合わせ場所は豪徳寺、招福堂。都会の中とは思えないゆっくりと時間が流れる、招き猫で有名な場所です。鶏口舎さんの作品の中にも登場する愛らしい招き猫。そんなご縁を感じる場所でお会いすることになりました。

 

民芸品のような、どこか懐かしさや温かさを感じる作品の裏には、作家としての真摯な姿勢と強い信念がありました。

民芸品との出会い

「元々、伝統工芸品や日本の手仕事に興味がありました。30歳を過ぎて趣味で始めた木彫りで、招き猫を初めて作った時に、民芸品のシンプルでも完成された形や、やさしい色使いと表情、民芸品に込められた想いに心が惹かれました。本で調べたり、集めたりしているうちに、祈りや希望を託した素朴な置物を自分も作りたいと思うようになりました」

「ねこ法師」が今の作風のターニングポイント

「ある時、自宅にあった福島県会津地方の起き上がり小法師を見て、顔を猫にしたらかわいいかな?と思い作ったのが、「ねこ法師」で、今の作風のきっかけになりました。顔を猫にしたのは、私が猫を好きだったからです」

作っているのは「置物ではなくお守り」

「最初は好きなものを作って、それが売れるのが嬉しいという気持ちで制作をしていましたが、お客様とのやり取りを通して段々わかってきたことが、作っているものは、「置物ではなくお守り」だということです。

お守りにしますと言ってくださるお客様がすごく多くて、それがすごく嬉しいし、私もそういうものが作っていけたらこんな幸せなことはないし、本当に制作者冥利に尽きるなと。そんなことを意識しながら想いをこめて作るようになりました」

 

「ご自身の中で世界観を意識して制作されていますか?」という質問にまっすぐな目で答えてくださいました。

 

「私も、同じ木工作家さんは気になるので、もちろん他の作品も見ますが、「置物ではなくお守り」というのは、私にしか作れないものだと思っているから、それを作って行きたいという強い信念はあります」

「干支のひつじのモコ助を買っていただいた方からは、主人にお守りとしてずっと持たせますと言っていただいたり、お子さんの受験のお守りにしていただいたり…。あとは病気の方のお見舞いに、猫やカエルが好きだから持って行きたいと言っていただいたりしましたね」

 

作品を購入する方が、自分なりに想像をして、どんな存在にするのか...。鶏口舎さんご本人が思いもよらないエピソードがあり、お客様からヒントをもらっているのだとか。

受け継がれてきたぬくもりに、新しい物語を

「民芸品に込められた、健康を祈るもの、家内安全、立身出世などの想いは時代が移り変わっても、さまざまな形や色となり受け継がれていくものだと思います。

同じものをたくさん作るという作り方ではなく、一点一点に時間と手間をかけ、新しい物語を込めて作るのが鶏口舎の作風です。

より良いもの作るために、今は材料の木材を銘木と言われる天然のものを使うようになりました。樹齢400年や1000年を超えた木は木目も素晴らしく、彫っていると木に魂が宿っていると感じます。長く生きてきたせいか、まるで木の中に誰かいるような感じがします。

 

木彫りの良さは、数百回のタッチが必要で時間がかかりますが、気持ちを籠められることです。色を塗り、祈りと希望を込めて顔を描く時が、置物からお守りに変わる瞬間です。誰かの手に渡り、長く大事にしていただけることを願い、日々制作しています」

私自身も鶏口舎さんの猫をお迎えしていますが、手にとると、見た目の可愛らしさだけではない、心がほっと温かくなる幸せな感情が生まれます。

それは、ひとつひとつ丁寧に想いをこめてられた、鶏口舎さんだからこそ作れるものだと確信しました。

 

「置物ではなくお守り」と口にされた時の芯のある強い眼差しと、制作のお話をされる時の生き生きと楽しそうな眼差し。ひとつひとつ生まれてくる作品に対して、大きな愛着を感じました。

 

鶏口舎さん、どうもありがとうございました!第9回の作り手インタビューもお楽しみに!

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