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「今、私が会いたい人」石が持つストーリーを大切に、オンリーワンのジュエリーづくり。デザイナーmoemi sugimuraさん

こんにちは。クリーマの京(かなどめ)です。


個性的で美しい模様の宝石に、洗練されたシンプルなデザイン。独特の世界観を持つmoemi sugimuraさんの作品に、何度見入ってしまったかわかりません。今回作家インタビューの機会をいただき、ぜひこの作品をつくる作家さんに会ってお話を伺ってみたいと思いました。

杉村さんが作る作品は、美しい内包物を含んだガーデンクォーツや、色むらのあるルビーなど、個性的な天然石を使ったスタイリッシュなジュエリー。一般的に透明度が高く、内包物が少ない方が価値が高いとされる宝石ですが、杉村さんはその価値には縛られず、ご自身の美学で石を選びます。素材の仕入れには特にこだわり、より多くの選択肢の中から選べるようにと主に海外で買い付けをされ、時には産地へ赴くことも。 

 

杉村さんの美学から作られるジュエリーは、一般的な価値基準にとらわれない新しい美しさを私たちに教えてくれます。

moemi sugimuraさんのギャラリー
自分にしかできないジュエリーづくり

ー 杉村さんがジュエリーに興味を持ったきっかけは何ですか?

高校時代からアクセサリーをコーディネートの中心におくファッションが好きで、見よう見まねでバッグやアクセサリーを作ったりしていました。服飾系の学校で学んでいた時も、作品の構成より最後のコーディネートや撮影が楽しかったのを覚えています。

 

卒業後は生地やアクセサリー素材を取り扱う会社に就職したのですが、そこで半貴石の仕入れに携わり、自然と興味が湧きました。

moemi sugimuraのジュエリーを中心にしたキュレーション。トータルコーディネートのセンスの良さが伺えます。

 

ー ジュエリーデザイナーになるまでの道のりを教えてください。

会社員時代に海外でのバイイング(買い付け)を7年間経験しました。日本にはまだない新しい素材や、他にはない面白い素材を探して仕入れ、その素材を店頭で販売するという一連の流れが楽しく、自分に向いているなと感じました。

 

その後、将来独立したいという気持ちは決まっていたのですが、一度好きなファッションブランドの服作りの現場を経験したいという思いもあり、海外メゾンに入るか自身のブランドを立ち上げるかという二択で海外へわたりました。

 

 まずはバイヤーとして独立する為にと語学留学で選んだ国アイルランド。そこで運命的にもジュエリーショップで働くようになり、オーナーにも応援してもらい自然にジュエリーブランドを立ち上げる流れになりました。

ー ジュエリーデザインや宝石の知識はどこで学んだのですか?

基本的な知識は前職でのバイヤーとしてのキャリアの中で、現場で学んできたことが一番大きいと思います。日本に戻る前にはバンコクにも住んでいたので、鑑定機関のある学校でグレーディングを(※)学んだりもしました。タイは世界一の宝石・ジュエリーの加工大国で近隣に宝石の産地も沢山あり、経験を積み重ねるのにとても良い環境でした。デザインについては元々好きでたくさん見てきましたが、前職でも素材を売るお店だったので、参考作品やキットなどハンドメイドでできるデザインを常に企画していました。

(※)グレーディング・・・宝石の品質を評価する作業。 

どちらにおいても宝石やジュエリーについて、一般的な知識を学校で習ったりしなかったこと、バックグラウンドが違ったことが、結果、今の活動に良い影響となりました。

 

ジュエリーデザインや制作技術の専門知識があるからこそのデザインももちろんありますが、バイヤーとしてもキャリアが長いからこそ選べる素材があったり、ファッションを勉強していたからこそ生まれるデザインがあったり。業界の”当たりまえ” や ”こうあるべき” という観点が元々ないから発信できるmoemi sugimura らしさがあると思っています。

[14kgf] ローマングラス チェーンピアス
虹色の輝きがなんとも言えず美しいローマングラス。見る方向や光の当たり方によってそれぞれの欠片が異なる輝きを見せてくれます。
ガラスが土の中に埋まっている間に永い年月をかけて化学変化を起こし、このような輝きになるそうです。
自分の足で探しに行く。石を主役にしたジュエリーを求めて

ー moemi sugimuraの作品で特に大切にしていることはなんですか?

私のジュエリー制作で一番大切にしていることは素材選び。一般基準にはとらわれない個性のある石や日本では珍しい素材を、自分の審美眼で選ぶことを大切にしているので、コンセプトやデザインを事前に決めることは滅多になありません。

 

デザインは常に素材ありき。石そのものの魅力をかき消さないように、無駄を削ぎ落とし素材を際立たせるデザインが多いです。

[K14]フレッシュグリーン翡翠のハーフベゼルリング

石自体のストーリー性を大事にしたいので、その周りの地金の部分にはストーリー性を持たせないように、華美な装飾などは施さないようにしています。石を絵画としてフレームに入れる感覚ですね。


ワイヤーラッピングの作品は手を動かしながらバランスをみて仕上げるのでデザインと制作が常に同時進行です。リングなどの彫金作品は、デザインを起こしたら工場や職人さんとやり取りをしながら形にしています。

ブルーアゲートのスタッドピアス
このピアスに使われている石は、天然石のもつグラフィカルな部分によりフォーカスしたコレクションで、原石から杉村さんが指定した部分をオリジナルでカットしてもらったのだそう。
石を絵画にしてフレームに入れる感覚、と仰っていましたが、まさにそのイメージを感じる作品です。

石のもつアート性を追求したスタッドタイプのピアスです。

ー 海外の産地にも足を運ぶそうですね。

展示会だと、当たり前ですが、ディーラーによって選ばれた石しかないんです。商売ですから殆どのディーラーは一般的に売れる石を売りますし、買う方も一般的に売れることを基準にしてくる人が大半です。私が美しいと感じる石は必ずしも業界基準ではなくて、産地や加工地に行くほど宝探しのような楽しみがあります。

 

”自分の物差しで価値を決めること” を大切にしているブランドなので、やはり買い付けには特にこだわっています。

ミャンマーやスリランカなど、市街地から山道を5時間走ってやっとたどり着く入域許可を取らないと入れない場所へ行くことも。

ー 海外の産地はなんとなく危ないというイメージがありました。

本当に危ない場所にはいきません 笑。でも品質や値段については確かにリスクが大きいです。知識と経験がないとできません。ですがそういうところに行くと、ショーケースに並ぶ高価な宝石達がどんな場所からやってくるのかを肌で感じることができます。

 

石そのものの魅力も重要ですが、現地の人たちとコミュニケーションをとることで作品への愛情も変わりますし、展示会などに出店しない現地の個人ディーラー達とと繋がるれることは財産です。なるべくそういう場所で仕入れるようにしています。

ー 今まで制作してきた作品の中で、特に思い入れのある作品はありますか?

ガーデンクォーツのリングです。 ひときわ美しかったガーデンクォーツのリングを雑誌に掲載したところ、すぐに売れたのですが、注文者は男性でした。 数ヶ月後、イベントにご夫婦で来てくださったのですが、 普段記念日にもプレゼントを買わない旦那さんが、突然プレゼントしたいと言って贈ってくれたそうです。

 

ガーデンクォーツは様々な種類の鉱物が内包された、一つ一つがとても個性的な天然石なので、お客様がそれぞれに特別な思いを抱きやすいのではないかなと思います。

ガーデンクォーツリング [silver 925]
Creemaでも人気のある、ガーデンクォーツのリング。台座と爪には蓮の花をモチーフにし、石がより光を取り込んで美しく見えるように作られています。

 

また、結婚記念日にルビーの指輪をご注文くださったお客様もいらっしゃいました。お客様のご希望で、刻印は結婚した年ではなく、プレゼントした年を刻印しました。

7月誕生石 [K14] ルビーリング 蓮の花びら
ルビーのリングは、色味や模様がそれぞれに全く違うものばかり。時間をかけてお気に入りの石を選びたくなります。

Creemaでは、このように物語になるお買い物をされる方が多いのだそう。 今まで宝石には興味がなかったけれど、個性的な石に惹かれて購入された、という方も。それぞれの感性で、自分だけの想いを石に込めて身につけていただけます。

 

そのほかにもおすすめの作品や3月に発売予定の新作をご紹介していただきました。

[K10] バイカラー サファイアペンダント
このバイカラーサファイアは探すのに苦労しました。色むらのある天然石は、1000個あっても気に入る模様の石が一つしかない、ということもよくあります。シリーズ展開しようとすると、揃えるのがとても大変なんです。このシリーズでは、二色の色むらが綺麗に出ているサファイアを選びました。
シェル
シェルはハンドメイド素材としてよく使われるものなので、仕入れの際は売れ筋だけでなく、日本ではあまり見かけない形を探し出すのが楽しみの一つです。
羽根のモチーフは今年一押しの一つです。
3月中のCreemaStore出展と同じタイミングでのオンラインでも受注開始予定です。
翡翠
春夏は若葉色、ミントグリーン、ラベンダーなどの爽やかな色の翡翠を中心にセレクト。
これまで翡翠には興味がなかったという方にも魅力を感じていただけるようにとシンプル・モダンにデザインしています。

 

ー 本日はありがとうございました。最後に、これからの活動内容について教えてください。

自分にしかできないことを目指す、その為に常に向上心をもって知識や経験を増やす努力を惜しまずに、このブランドを育てていきたいと思っています。K14GFを縮小しK10,K18を増やすなど全体的にレベルアップをしたり、海外での販売を増やすことも考えています。  

 


また、2月の終わりからは受注販売会や合同展を開きますので、実物を見ていただき直接お客様とお話できる機会も増やして行きたいですね。クリーマストアにも出展が決まったのでぜひそちらでもご覧いただきたいです。

インタビューを終えて

一般的な宝石の価値基準やジュエリーデザイナーに関する常識にとらわれず、 自身がやりたいことを自分なりのやり方で実現してきた杉村さん。 環境は違いますが、そんな杉村さんの姿に憧れを感じずにはいられませんでした。

 

「自分にしかできないことは何か」を突き詰めていった先に、自分にしかない世界観が出来上がるということ、そういった唯一無二の世界観に人は魅力を感じるのだろうなということを、インタビュー後改めてmoemi sugimuraのギャラリーを見て感じました。

 

杉村さんの美学で選ばれた、個性的な石の中から自分の感性で選んだジュエリーはきっと、一生の宝物になってくれるに違いありません。

写真左:moemi sugimuraさん、写真右:クリーマスタッフ京(かなどめ)
撮影協力:Pancake Ristorante(パンケーキ リストランテ)
moemi sugimuraさんのギャラリーはこちら
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