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本革、合皮、ヴィーガンレザーはどう違う?素材の違いから知る、革製品の選び方

2018.04.08

こんにちは。クリーマ編集部の柏村です。

 

Creemaでも人気の高い「革製品」。お財布やバッグ、靴など、みなさんひとつは身近に革で作られたものがあるのではないでしょうか。

 

通常「革製品」として扱われるのは、牛革や豚革、蛇革のように、動物から取られた「天然皮革」を材料としているものたちです。

 

ですが、同様に布を革に近い質感に加工した「合成皮革」も、わたしたちにとっては身近なものですよね。最近では、合成皮革の製品は、自然・動物愛護の観点から注目され始めています。そして、合成皮革の中でも、構造を更に進化させた「人工皮革」も、段々とシェアを伸ばし始めており、その特性に注目が集まっています。

▲サンプルの鞄を横に、説明をしてくださる高山さん

今回は、天然皮革での靴の制作からスタートされ、現在では人工皮革を中心に制作を行われているcocochikoboの高山さんに、それぞれの種類の違いやメリット・デメリット、革製品または合皮製品の特性について、教えていただきました。

 

実際に本革や合皮の靴や鞄、財布などを購入するときの参考にしてみてください。

天然皮革と合成皮革、人工皮革って?

天然皮革はそのまま天然の動物から取られる皮革、との知識があるかと思いますが、合成皮革については、その種類や構造を改めて考えたことがある方は少ないのではないでしょうか。

 

改めて、それぞれの種類や構造について教わります。

天然皮革

脊椎動物、主に哺乳類と爬虫類の生皮、またはなめした革のことを言います。

牛、豚、羊などは食肉の副産物として皮が利用されることも多い素材です。

その他比較的多く利用されるワニ、ダチョウ、ミンクなどはかつては野生動物のものがほとんどでしたが、ワシントン条約等の制限により、飼育による生産の流れも進んでいます。

合成皮革

人工的に作られた革に似せて作られた素材全般のこと。

現在では織布・編布などを基に、樹脂(ポリウレタンや塩化ビニル)を重ねて、接着させています。表面のみを天然皮革に似せた構造の素材のみを指し、人工皮革と差別化されることが多いです。

合成皮革の構造
人工皮革

合成皮革の中でも、マイクロファイバー等で実際の皮革に近い構造とした特殊不織布に樹脂を絡ませたもの。

繊維を絡ませているので、接着面を使用していません。合成皮革の一部ですが、現在、日本ではこの製法のみで作られたものを人工皮革と言うことがほとんどです。

合成皮革の構造
レザーの種類によるメリット・デメリット

天然皮革、合成皮革、人工皮革では、それぞれメリット・デメリットがありますが、共通した部分や、似通った部分も多くあります。

 

主要なデメリット、メリットをまとめてみましたが、この表だけではわからないそれぞれの特性があることを、お忘れなく。

▲一見すると、どの素材から作られているのか分からないほど。こちらは人工皮革のバッグ

それでは、それぞれの特性について、より詳しく学んでいきましょう。

天然皮革の特性は?
人工的には表現できない風合い

天然皮革の良いところとして最初に挙がるのは、やはり天然の革独特のしっとりとした手触りと、風合いにあります。人工的に質感を作り込んでも、そこには表現しきれないものがあると言います。

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(高山さん)生き物のソフトな柔らかさは、天然の革独特です。その潤い感や質感、柔らかさは、人工の物には出せない味があります。
合成皮革や人工皮革が進化し、一見すると天然皮革と同じ様に見えたとしても、触ってみるとかさかさとした乾いた質感がしてしまうんです。

個体差が大きい

天然の素材は、その動物の種類や年齢、環境などによって元々の性質や品質が大きく異なってしまいます。もちろん、だからこそ「世界にひとつだけ」の作品が生まれる、と考えることもできます。

(高山さん)どの動物を使うかでも、革の質感や性質、そして価格が変化します。例えば牛革であっても、若い仔牛を使うのか、成牛なのか、少し年を取った牛なのか。
そして、その後の段階でも、どんなタンナーさん(皮をなめして加工可能な革にする職人)がなめすかによっても質が変わって、あまりよくない状態だと、ひび割れが発生してしまったりします。
自然のものであり、また人の手がかかわったものですから、そういう意味では素材の質はピンキリと言えると思います。

吸湿性が高く、素材の延びが良い

密封された状態になりやすく、また体に密着する靴には、天然皮革はぴったりな素材と言えます。

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手入れをすることで、長く使用が可能。経年での変化も楽しめる

経年での変化を楽しめることも、大きな特徴のひとつです。使っていくうちに色が変わった、エイジングされたレザーには新品の革には表現できない雰囲気が生まれます。

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▲左が使用前、右が経年変化したもの

(高山さん)財布やケースなどの小物類で言えば、経年変化することは、革製品の大きな魅力です。
ですが、天然のものだからこそ、どのように変化するかが分からず、人や製品によってはそれがデメリットになる場合もあります。
特に染色された革は、始めの段階と色が変わってしまうため、鮮やかな青がくすんでくる、といった場合もあります。もちろん、その色の変化自体を楽しめる方には、ぴったりの素材です。

とは言え、革製品を長く使うためには、お手入れを欠かさないことも大切です。面倒!という方にはなかなか難しいかもしれませんが、手入れをすることで自分で育てるような感覚になり、お手入れ自体が趣味のようになることもあるかもしれません。

合成皮革・人工皮革共通の特性は?

人工皮革も合成皮革の一種のため、メリット・デメリットの部分でも多くの共通点があります。そのため、一旦共通の特性を見ていきましょう。

素材ごとのブレが少なく、品質が均一

人工的に作成された素材ですので、基本的には、色や厚みが均一化されています。作家さんにとっても、欲しい分だけ欲しい品質の素材が手に入ることは、大きなメリットです。

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(高山さん)人工皮革の場合は、天然皮革程ではないにしろ、通常の合成皮革よりも少しだけブレが発生する場合があります。
特に、色の部分はベースが表面にも影響してしまうため、その色味や厚みによって、生産ロットによって同じ素材でも色が少し異なる、と言ったこともあります。

▲お持ちいただいた合成皮革・人工皮革素材の見本表
手入れが簡単で、扱いやすい

天然皮革に比べると、比較的扱いの容易な合成皮革。汚したり、びしょびしょになるほど濡れたり、ということがない限りは、特別なお手入れは必要ありません。

ただ、基本的には水を通さない素材ですが、通気性はあるため、ずっと湿度の高い場所や日の当たらない場所に保管しておくと、カビが生えてしまうことはあります。

機能性の融通が利く

元々の性質に左右される天然皮革とは異なり、ストレッチ性や抗菌作用など、目的に合った素材の生産が可能になっており、その分柔軟な使い方ができます。

(高山さん)靴用にストレッチ性を高めた生地であったり、靴の中敷き用に墨を織り込んで抗菌性を高めていたりと、そういった面での融通はとても利く素材です。

軽い

天然皮革は重い、というイメージがある方も多いかと思いますが、そういう方への大きなメリットになるのは、その軽さ。鞄などのように体に負担がかかりやすいものは、重さを選ぶ基準にしてみるのも、いいかもしれません。

経年で劣化する。現在では数年単位での使用が可能

合成皮革の大きなデメリットの一つは、時間が経つと、劣化し、粘着面の剥がれやひび割れなどが生じてしまう点にあります。ですが、現在は技術が進化し、数年単位で使用可能なものになっているそうです。

(高山さん)10年20年使いたいのであれば、もちろん天然皮革をお手入れしながら使っていただくのがいいと思います。
ですが、ファッションの一部として、3年程度で買い替えようかな、と思っているものであれば、合成皮革で十分な場合も多いです。

合皮なら3~5年、人工皮革は5~7年程は持つと言われています。また、最近ではソファや車のシートなどのために、ポリ化加工された耐久性を持たせた素材が出てきていて、人工皮革であれば10年程持つ、といったものが出てきたりもしています。

合成皮革独自の特性は?

合成皮革独自のメリットとして一番に思いつくのは、価格の面です。

もちろんそれぞれ同じ天然皮革や合成皮革の中でも差異はありますので一概には言えませんが、通常の成牛の革を比較対象にすると、素材の時点で人工皮革は天然皮革の40~50%程度、合成皮革はさらに安価で30%~35%程度の価格だと言われています。

手の出しやすい価格帯は、トレンド性の高いデザインなどの場合でも、ありがたい部分です。

 

また、合成皮革は間に接着面を設けているため、ベースとなる布地と表面の色の干渉が少ないことも独自のメリットの一つとして挙げられます。

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(高山さん)接着面があるというのは、耐久性などの部分でデメリットでもありますが、色味の出方については大きなメリットになります。
特に表面を淡い色にしたい場合については、人工皮革の場合はベースの色を白やグレーなどの薄い色にする必要が出てきてしまい、それでもやはり裏移りがありくすんだカラーになりやすかったりしますが、合成皮革の場合は出したい色をきちんと出すことが出来ます。
デザインとして、表面と裏地の色にコントラストを付けて楽しんだり、素材の質感を選択することが出来たりするのも、合成皮革ならではです。

デメリットとしては、基本的には布を貼りつけた構造をしているため、革製品によくある切りっぱなしのデザインにすることはできず、基本的には端を織り込み、裁縫する処理が必要になります。

人工皮革の特性は?

人工皮革最大のメリットは、合成皮革と同等の性質や価格帯でありながら、一見すると天然皮革に見える質感が再現されている点です。

そのすごさは、天然皮革に普段から触れている人でなければ、わからない程。

▲実際に人工皮革を見て裏側までよく触ってみても、差が分からない程です

また、構造そのものが天然皮革を模しているので、漉き加工(革を薄く削り加工すること)を行ったり、切りっぱなしのデザインにしたりすることが可能です。

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そして、人工皮革の場合は、表面とベースの結びつき、という点からすると天然皮革よりも剥離しにくい素材でもあります。そのため、傷にも強く、少し爪でひっかいたくらいでは、傷らしい傷はつきません。

 

デメリットの部分では、共通の特性として挙げた通り、合成皮革に比べると色ブレなどが発生してしまうことが。購入される方にとってはそこまで大きな問題ではないかと思いますが、作り手としてはたまに困ってしまうそうです。

自分がその作品をどう使いたいかで革・レザーを選ぶ

こうしてそれぞれの素材の特徴を見てみると、それぞれに良いところも悪いところもあり、合皮だから良くない、天然の革だから良い、とは言えないことが分かります。

(高山さん)本当に革製品自体に魅力を感じていたり、鞄や小物が好きで、それを長く自分の手で可愛がりながら、手間を掛けながら使っていきたいと言う方には、もちろん天然皮革をおすすめです。
やはり天然の丈夫さや頑丈さには人工のものはかなわないので。

むしろ、日常的に気軽に使いたいと思っていたり、天候や場所に左右されずにどこにでも連れていきたい、という方には、革に質感が近く、手入れの不要な人工皮革をおすすめしたいと思います。旅行のセカンドバッグとして使いたいな、という場合などにもおすすめですね。

その中でも、淡い色合いやポップな色合いを求めていたり、いい意味で消費するものとして使うのであれば、合成皮革がいいのではないでしょうか。

この素材しか買わない、と決めるのではなく、日によってニットを着たりリネンのシャツを着たりするように、使い方やその日の天気などでバッグや靴、小物の素材を選ぶ、という考え方を身に着けてみると、持ち物や過ごし方の選択肢が増えるのではないでしょうか。

 

また、人工皮革についてはヴィーガンレザーとも言われていて、日本でも増えてきている、ヴィーガニスト(食事だけでなく、衣服などを含めた動物製品を使用しない主義の人々)の方々にも、受け入れられているそうです。

そういった自分の主義をもとに素材を選ぶことも、もちろん選択肢のひとつです。

 

今回の記事を参考に、自分の想いはもちろん、シチュエーションや使いたいシーンに合った、作品を素材から探してみてください。

cocochikoboさん プロフィール

神戸に工房が併設された実店舗にて販売を行っており、クリーマでは2016年から販売を開始。人工皮革を使用した鞄、小物の制作がメインの作品。日常的に使用できる、シンプルなデザインが特徴。

人工皮革は工房のある神戸のメーカーのものを使用しており、素材の持つストーリーにもこだわりが。現在は次のシーズンに向けて、帆布のバッグや、合成皮革の特性を活かした淡いカラーの作品を考案中。

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