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「今、私が会いたい人」アクリル板で表現する、新しいかたちと美しさ|Narumi Kobayashiさん

こんにちは。クリーマの柏村です。

その透きとおる美しさは、ガラスでもなく、クリスタルでもない。アクリル板という素材にこだわりを持って作品を手がけられているNarumi Kobayashiさん。

クリーマでその作品を見た時には、写真から伝わる繊細さに思わず目をうばわれたのを覚えています。実際に購入し着用してみると、見た目とは裏腹に、素材の強さと着けているのを忘れるような軽さに驚きました。

 

初めて手にするアクリルの魅力に興味を持つと同時に、どんな人が作っているのだろう?どうしてこの素材を?と、作り手自身にも興味がわいてきました。そこで、ぜひ直接お話を伺いたい!と、Narumiさんとお会いさせていただくことに。

 

今回は、知りたかった素材の魅力はもちろん、作品を販売するということへの意識、そして、ものづくりをされているご両親の影響など、いろいろなお話を聞くことが出来ました。

アクリル板に魅了され、Narumi Kobayashiさんに会いに。

― 初めて拝見した時に、他では見たことがない不思議な作品だな、とまず感じたんです。それで気になって購入させていただきました。

クリーマではアクセサリーを販売されていますが、作り始めたきっかけはどんなことだったのでしょうか?

 

Narumiさん「元々、アクリル板という素材がすごく好きでした。平たい板のような素材の繊細な感じがすごく良くて、アクリル板で何かを作りたいなとずっと思っていましたね。

学生のころは、アクセサリーではなく、もっと大きなものを作っていたのですが、両親が革や彫金でアクセサリーを作っていたので、助言をもらってアクセサリーを作るようになったんです」

アクリル板の立体作品 -花-

アクリル板の立体作品 -花-

アクリル板の立体作品 -アルファベット-

アクリル板の立体作品 -アルファベット-

― では、最初からアクセサリーをという訳ではなく、素材から始まったんですね。色合いは、どうやって作られているのですか?

 

Narumiさん「透明なアクリル板に、自分で染料を重ねて、いろんな色にできるんですよ。例えば、この朱と緑のミックスは、秋をイメージした色合わせです」

朱と緑、秋をイメージしたカラー

― 色でこんなにイメージが変わるんですね!この曲線やひねり、形もユニークですね。

 

Narumiさん「アクリル板を熱して、ちょうどいいところを手で曲げていくんです。この直線と曲線が混じる感じがきれいなんですよ。でも、その曲げるということが意外と難しくて。新しい形を作りたくて色々とやっているんですが、曲げてみるとイメージと違う場合も多いんです」

― 新しい形、というお話が出ましたが、デザインのインスピレーションになるような物ってあるのでしょうか?

 

Narumiさん「インスピレーションの元は色々ありますが、まずは、「着けた人が美しく見えるか」ということを第一に考えています。これを着けてくれた友人が、「女の子になれたみたい」と言ってくれたんです。そういう言葉はやっぱりうれしいし、意識しますね。

また、植物もすごく好きなモチーフで、アクリル板は植物と相性がいいなと感じています。植物って華奢ですよね。葉っぱも薄くて、茎も細くて、でも凄くしなやかで倒れない。そういう部分が、アクリルという素材と似ているかなと思うんです」

― アクリル板の無機質さと植物の有機質さは構成するものとして全く異なるのに、そうやって印象としては似てくるというのは、不思議な感じがしますね。

 

Narumiさん「そうなんです。曲げることで動きが加わって、有機的なものに近づくのかもしれないです。板だけの状態だと無機質すぎるから、そこに動きを加えるのがこだわりなんです」

― 今、構想中の作品はありますか?

 

Narumiさん「ネックレスも作りたいですね。チューブ状になっている素材があって、それを使ったネックレスやブレスレットを作りたいと思っています。やりたいデザインもあるんですが、勝手が違っているので、まだ商品化には至っていなくて…」

 

― お話を伺っていると、「商品化に至ってない」とか「この状態では売れない」のように、販売に対して一定のこだわりをお持ちなのだなと感じます。

 

Narumiさん「実は、両親とも革や彫金でアクセサリーを作っていて、家がお店だったんです。そこで物を作るという過程はもちろん、お花のブローチなんかの陳列を手伝ったりしていました。そういった販売までの流れを見ていた子供の頃の影響があるのかもしれません。

実際に作品を作っている時にも、父から磨きの精度を注意されたりして、自分よりも厳しい目でチェックされていますね」

お父さまから譲り受けた、グリップを革で巻き自作された工具

お父さまから譲り受けた、グリップを革で巻き自作された工具

― 今、ご両親のお話がありましたが、同じくものづくりをされているということで、小さな頃から作ることは自然なことでしたか?

 

Narumiさん「そうですね。手を動かすことが好きだったので、粘土とか立体系は得意でしたね。実は、絵を描くことにはコンプレックスがありました。でも、やりたかった幾何図形のデザインやグラフィックをやるためには、やっぱりリアルな絵を描けなきゃいけないんだと決意し、基礎から勉強することにしました。

私のテーマの1つが「平面から立体になる」ということです。立体と言っても彫刻のような3次元的な立体ではなくて、2次的な立体です。平たいものが形を与えられて立体になるということがテーマの根本にありますね」

― 作品写真にもこだわられていますよね。これまでお話されていた作品の雰囲気や、アクリル板の魅力にとても合っていると感じました。

 

Narumiさん「仕事でもグラフィックデザインをしているのですが、Narumi Kobayashiとしては、自分で全部ディレクションをできるのがすごく楽しいので、そこはこだわりを持ってやっています。この作品が似合う子をこう撮りたいというイメージを持って、自分で撮影もしています」

― 最後に、今までクリーマでお取引をする中で思い出に残っていることはありますか?

 

Narumiさん「もちろん、お客様からいただく感想はどれもうれしいですが、一番感激したのは、この作品自体を「美しい」って言って下さった方の言葉ですね。

「かわいい」や「きれい」もうれしいですが、「美しい」が自分の中で最上級のほめ言葉だなと感じましたね。思わず画像で保存してしまいました(笑)」

 

 

とても楽しそうに、そして柔らかな口調で素材の魅力や思いを語ってくださったNarumi Kobayashiさん。有機物と無機物、立体と平面という異なる要素を組み合わせることで、独特の「美しさ」を持った作品が生まれているのだと思います。

きらきらと光るアクセサリーに、そんな素敵なお話が隠れていることを知ることができた、とても貴重で楽しいひとときでした。

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