BLOG

家具作家・Workscreatorさん - 99%断らない家具づくり_作り手インタビューvol.11

こんにちは。クリーマの宮崎です。

視力の良い私は、遠くから「きっと、素敵なあの家だ」とピンときました。

花や草木がしげる、自然の中に建ったのびやかな家。2階の窓から「こんにちは!」と、にこやかな笑顔で迎えてくださったのは、家具作家・Workscreator(ワークスクリエイター)浜田さんです。

 

青空がとても似合う、見るからに心地が良い家は、ドアを開けるとふんわりと木の良い香りが広がります。壁も床も家具も、木でいっぱいのお部屋。

「木が好き」という気持ちがあふれ出ているご自宅で、家具づくりや木への思いをお伺いしました。

家づくりに携わった、14年

「高校、大学と建築の勉強をして、個人住宅の建築の仕事に就きました。それから14年間ずっと家に携わってきました。

小さい頃からずっと好きだったのが、作ることです。ラジコンやおもちゃを分解して組み立てて...というのが、僕のものづくりの原点だったんだと思います。

父は精密機械の組み立ての仕事をしていたのですが、働く姿を近くで見ることもあったので、作ることや物の構造には興味がありましたね。

 

建築の中でも、住宅建築を選んだ理由は、自分でできる部分が多いからです。大規模な商業建築と違って、本人と打ち合わせをするし、完成してからもありがとうと言ってもらえる。やっぱり、面と向かっての感謝はうれしいですからね」

 

建築の仕事は部分的だったり、どこかでバトンタッチしたりすることも多いそうですが、浜田さんは、どうしても最初から最後まで自分でやりたいと、それが叶う会社を選んできたそうです。

「家具って良いな」と感じた、人との出会い

建築の仕事で活躍していた浜田さん。それまでは、木や家具には特に興味がなかったそうですが、ある人との出会いを境に、その意識が変わります。

 

「10年くらい前にいた会社に、ある日突然、家具屋のとびこみ営業が来たんです。「koma(コマ)」という会社の社長で、派手な身なりでバイクに乗って来て。その人が、小刀一本で固い木をシャカシャカ削って、イスなんかをポンと作ってしまうんですよ。すごいと思いましたね。

 

それから仕事を発注するようになって、夜中の工事で現場が一緒になった日に、飲みに行こうって話になってね。その時に、彼が家具を熱く語りはじめたんですよ。『家具って、全部自分で出来るんだぜ!』って。その時でしょうね、家具って良いなあと思ったのは。

 

彼の作る家具は、理屈は良く分からないんですけど、すごく良いなあと思うんです。例えば、5万円でイスを作って欲しいというお客さんからのオーダーがあったら、『あの人はこんなの好きかな?』と想像しながら、木を削り出して自由に作るんです。自分でこうしたい、ああしたいと思っている形が出来ちゃうのが、家具なんですよね。

 

建築の仕事をしていた時は、自分のイメージと外れるものができてしまうのがイヤでした。大きな家だったら設計士が2人入ることもあるし、インテリアデザイナーが入ってきたりして、自分が考えぬいた設計でも、『良いカーテンがあったからこうしました』と、変えて作られてしまうことがあって。部分ではなく家全体を見て一番良いと考えたわけだから、そこは、設計通りやってほしかったなと。そんなジレンマのようなものがあったから、なお魅力的に見えましたね」

建築の仕事のかたわら、夜な夜な家具を作る日々

それから木の家具に興味を持ち、自ら作るようになった浜田さん。木という素材に触れてみると、「とにかく面白い」と感じたそうです。

 

「木を実際に自分で加工してみて、すごく面白かったんです。精度が高くなって、だんだん出来るようになるとますます楽しくなって。

大工さんの仕事を見て作り、家具屋さんに入り浸って作り、見ては試しての繰り返しでした。建築の仕事をしながら、夜な夜な現場で木の家具を作っていた頃です。独立するまでに、家具を作る比率が増えて行きました(笑)」

何百年も生きられる、木の魅力

「僕は、何十年も使い込んだような木が良いなあと思うんです。このダイニングテーブルは僕が作ったものですが、60歳、70歳になってもきっとここにある。すごく息が長いところが好きですね。

木は、腐らせなければ200年くらい生きます。一回カンナをあてて磨けば、当時のものに戻って、子供に引き継いで、何世代にもつながって行く。『このテーブルは、ひいおじいちゃんもご飯を食べていたんだよ』なんて、良いですよね。

 

木は温かみがありますよね。この家の床も木ですが、ひやっとすることもない。何十年もたてば真っ黒になります。そうなるまで使いたいですね」

難しいからこそ、華奢に作りたい

浜田さんのお話の中に繰り返し出てきたのは、「家具を華奢に作りたい」という言葉。

「木」と「華奢」の間には、一見ギャップを感じてしまうのですが、そこには、浜田さんのがんこなまでのチャレンジ精神がありました。

 

「家具をどっしりと作るのは簡単なんです。足が太いものをドンドンと付ければできるので、作り手からすると満足できない。逆に、華奢に作るのは難しい。

折れるとか曲がるとか、限界を考えながら、できるだけ華奢なシルエットにしたいと思っています。

例えば、無垢の木と合板(薄い板を何層にも積層する材料)を組み合わせて、すごくキレイで、格好よいものを作ったりね。新しいものにも挑戦している時が一番ワクワクしますね。

 

そんな新しいアイディアの源泉は、「こんなことできませんか?」というお客さまの声だそうです。今出品している作品も、実は、ほとんどがお客さまのご要望から生まれたものでした。

挑戦しつづけることは「木を知ること」

「これから挑戦したいことは?」という問いには、「木を知ることですね」という迷いのないお答えが返ってきました。そして、今までで最も印象的だったというエピソードとともに、その思いを語って下さいました。

 

「大きな木のテーブルを作った時のことです。その天板が、3ヶ月くらいして反ってきてしまったんです。僕が仕入れる素材は、2〜3年してもまっすぐな状態の木なので、そのぐらい経てばもう反らないはずが、なぜか反ってしまった。湿度や温度でもない。木は、金属と違ってたわみ量を数値で計れないから、完全には読み切れない。あれは、精神的にこたえましたね。だから、今までもこれからも、家具屋としては「木を知る」につきると思います」

 

「これは何か起きそう」と察知した木は、使わずにはねると言います。経験から得られる暗黙値は、木の難しさを物語っているのです。

知って知りすぎることのない、木の奥深さに触れました。

オーダー家具を形にする楽しさ

今は、家具のオーダーをいただくことが多いですね。「これはできますか?」と、クリーマ上で常時10件くらい質問をいただいています。小回りのきくオーダーができる人って、実は、なかなかいないのかもしれません。僕は、注文全てがオーダーでも良いと思っています。

オーダーというと、一般的な感覚として、倍くらいの値段になると思われているんですが、僕の場合は、手間がかかる分を少しだけプラスするくらいです。人によって値段が違うということもしたくないですし、今後もその値付けを変えて行く予定はありません。

 

以前、家具を作る10社に「その形のテーブルは難しいです」と言われたという女性が、浜田さんの元に相談に来られたそうです。その時も、「だったら僕がやる」と引き受け、その方の暮らしに合う家具を作ったということがありました。

 

「喜んでほしいから、自分の手で形にする」。これが、浜田さんのキーワードの1つかもしれません。

99%断らない生き方

「今の働き方は理想に近いですね。周りの人の、ああしたい、こうしたいという希望を形にして、喜んでもらいたいです。それは、この環境だから出来ることです。大きな機械を入れて、広い倉庫を借りて、イスのオーダーを100脚受けるような仕事にすれば、小さな要望を叶えにくくなってしまう。だからこれからもこのスタイルです。

僕は、今までいただいた「作ってほしい」という声を、99%断っていません。そういう環境を自分で作っているんですよね」

 

家具作家としての仕事の仕方は、そのまま、浜田さんの生き方につながっていました。

自分を信じてくれた人の「ありがとう」を聞くために

「これからも、自分が一番良いものを作るんだという思いで、家具に向き合って行きたいですね。

クリーマで、まだ会ったことのない人にありがとうと言われるのは、知っている人から言われるよりもうれしいですよ。

他にたくさん家具屋さんもあるのに、クリーマの中で見つけてくれてね。十数万円もするものを、僕を信じて買ってくれたんですよね。それを考えると、ますます良いものを作ろうと思います。

 

やっぱり、モチベーションは人ですね。ありがとうが聞きたくて一生懸命やっているし、ありがとうと言ってもらえる仕事のやり方を選んできた気がします。ただ単に、ほめられたいから仕事しているのかもしれないですね(笑)」

 

「知っている人よりも知らない人からの注文がうれしい」と聞いて、最初は意外でした。その背景には、自分を信じてくれたという思いを感じ取った浜田さんの喜びがあったのですね。

自然で育った木のようにおおらかな、浜田さんの明るい笑顔が印象的でした。

 

「良いですよオーダー、楽しいから。自分がこうしたいと思っていたものが形になって届くって、絶対うれしいですよ」

インタビューを終えて

家や家具という、人の人生の中で、とても大きな存在に携わって来た浜田さん。私たちにとっては、たくさんの希望や夢がつまった、大きな買い物です。「そんな大きなものを形にするのは、大変だと感じませんか?」とたずねると、「感じませんね。自分がやりたいです」と優しく笑います。

人のことを思い、その人の希望や夢を自分の手で形にし、そして、ありがとうと言ってもらえる。自分を信じてくれた人を絶対に喜ばせたい。これが、浜田さんが作って来た、ものづくりの道すじ。

人にはそれぞれの暮らしがあり、思いが違うのだから、欲しいものも違う。その1人1人に喜んでほしいという気持ちが、オーダーを断らないという姿勢にもつながっていました。

 

浜田さんの本気の家具づくり、心がふるえました。

ブログで紹介する▼
HTMLコードをコピーしてブログに貼り付けてください
この記事のタグ
同じカテゴリーの記事
人気の記事