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「今、私が会いたい人」敢えて“らしさ”にこだわらず、使う人に寄り添えるものを - 陶芸家 sachiyo yajimaさん

こんにちは、クリーマの知見です。

暑さも落ち着き、すっかり秋らしくなってきましたね。涼しくなってくると恋しくなるのはホッとする温かい飲み物ではないでしょうか。私にとっては、ミルクティーを楽しむ時間がこれからの季節、心安らぐ一時です。

 

そんなティータイムに欠かせないのが、陶芸家「sachiyo yajima」さんのマグカップ。一目見てその温かみのある作風とお花モチーフでもかわいすぎない、なんとも言えないデザインに惹かれました。このお気に入りのカップでたっぷりのミルクティーを飲む朝の時間が、私の至福の時間となっています。

花マグ(白×茶)
(実際のマグカップがこちら)

sachiyo yajimaさんは愛くるしい表情の猫やふくろうなどの動物や、植物や自然をモチーフに、オリジナルの釉薬を使った独自の世界観が魅力の作家さんです。器のほかにも、壁掛けのできる陶板や掛け時計などインテリアアイテムをメインに作っていらっしゃいます。

我が家でもマグカップに続いて購入したチューリップブーケの陶板を出窓の植物コーナーに飾っています。以前、「アートの楽しみ方」でも紹介させていただきました。

今回はインタビューの機会を頂き、陶芸家「sachiyo yajima」矢島さんのご自宅兼工房におじゃまして、ものづくりにかける想いやこだわりを伺ってきました。

「陶芸をやりたい」と思い続けていたら、いつの間にか仕事になっていました
― 陶芸に興味を持ったきっかけを教えてください

母の実家が愛知県瀬戸市(焼き物の産地)で焼き物の仕事をしていました。器を作っていたわけではなく、電柱についている碍子(がいし)など工業製品を作っていたのですが、そういった環境もあり、小さい時からよく祖父母の家に遊びに行っては粘土遊びをしていました。元々ものづくりが好きだったからか、身近にあったからなのか、自然と興味を持ちました。

― 小さい頃から陶芸を仕事にしようと思っていたのでしょうか?

そうですね…質問されて気付いたのですが、あまり仕事にしようと思ったことはなかったかもしれません。「陶芸をやりたい」という強い気持ちはあったので、いつか陶芸で生計を立てられたらいいなとは思っていましたが、仕事というより「自分が焼き物をできる場所」を、とにかく必死に探していました。

大学卒業後は作品を作りながら、陶芸教室、ギャラリーなど様々な陶芸の仕事に携わっていました。中でも壁画を作る仕事は、今の作風のきっかけになったかもしれません。10年ほど、公共施設を飾る陶板レリーフ制作の仕事をしていたんです。駅に飾ってある壁画などを作っていたのですが、「微妙な色合いをなるべく原画に忠実に再現してほしい」という依頼がくるところが、器の世界とは全く異なり、そういうところが新鮮で面白かったですね。

 

手掛けていた案件はかなり大きな壁画で40cm×40cmくらいの焼き物のパーツを何百ピースも使って作り上げます。そこで私は焼きあがったものに釉薬をかける仕事をしていました。絵画を表現するために、本当に細かい指定で色の指示が入り、何色も重ね塗りをしては焼いて、原画に近づけていきました。締め切りなど過酷な部分もありましたが、ここでの経験は釉薬についてすごく勉強になり、その後に作品作りにも繋がっています。今もオリジナルの釉薬を研究しながら作品を作り続けています。

(実際に見せて頂いた釉薬色見本の一部)
(サンプルで作られた小皿)
(わずかな色の違いにも釉薬の繊細な調整が必要なことが見て取れます)

結局、何色か釉薬がないと自分が作りたいもの、表現したいものが作れなくて。いつの間にか増えていきました(笑)

<工房に移動し、制作風景も見せていただきました>

ちょうど手掛けていたのは矢島さんの作品の中でも人気のある「陶シンプル 掛け時計」。文字盤に手描きの数字だけという潔いシンプルさが魅力の時計です。数字の部分はイッチン(クリーム状の土をケーキのデコレーションのように絞り出して模様を描く技法)で少し立体的に描かれています。

矢島さんの手に掛かるとあっという間に数字の4が。

植物や動物モチーフの作品のかわいらしさもありますが、この掛け時計やうつわなどシンプルな形の作品にも定評のある矢島さん。シンプルな作品は使い勝手もよく、釉薬の美しさを存分に楽しめます。

 

購入者さまのレビューにも「何年も掛け時計を探していたけれど、なかなか気に入るものがなくて。この時計を見つけてやっと理想のものに出会えました。」そんなお声も多く見られました。

陶シンプル 掛け時計 青
実は日本画からも影響を受けています
― 作品作りの際にインスピレーションを受ける、コト・モノなどがあれば教えてください

「これ」というものはないのですが、動物や植物はとても好きです。植物の世話をしているときや、気分転換に自然の息吹を感じられる場所をお散歩しているときに小鳥を見たり。いつも自分の視点でなにか見つけたいな、と思っています。

 

あとは日本画。琳派など日本の美術もすごく好きですね。装飾的な感じが好きなので、ポイントでゴールドを使ったり、本当はこんな風に花って見えないよね、というような版を押したようなデザインは影響を受けているかもしれません。

花小鉢 (白)
(こちらの器もそうですし、私の購入させていただいたチューリップブーケの陶板も、まさに同じチューリップのモチーフが、版を押したように並んでいます。まさか日本画から影響を受けていたとは驚きでした。)
自分のデザインを出しすぎないようにしています
ー 制作する上で「譲れないこだわり」があれば教えてください

釉薬など、こだわりはもちろんありますが、あまり「自分らしさ」にこだわりすぎないようにしています。今までの作風と違ったことをあえてやってみると、それがどんどん自分らしさになっていくこともあります。もちろんモノとしての一定の水準を満たしたものではあるけれど、使ってもらうものなので、使う人が入り込めるちょっとした余白みたいなものを残しておきたいと思っています。なので、特に器では自分のデザインを出しすぎないようにしています。

― 今まで作られた作品の中で、印象に残っている作品はありますか

この質問で矢島さんが見せてくださったのは、結婚式の装飾用に作られたという思い出の品。8個のキューブ型の焼き物です。「welcome」の文字や記念日の文字が各面に描かれていて、並べ方によって様々なアレンジができます。

結婚式のあとはご自宅にも飾れるそうです。世界に一つだけのオリジナルアイテムなんて、素敵ですね!

<オリジナルの釉薬を使って色付け体験をさせていただきました>

工房での作業風景を見せていただいた後、矢島さんのご厚意で、なんと私もオリジナルの釉薬を使っての色付け体験をさせていただきました。テーブルにたくさんの種類の釉薬がずらっと並べていただいたのですが、素人目にはどの釉薬が何色に仕上がるのか全く想像がつきません。

矢島さんが各釉薬の色の説明をしてくださり、早速釉薬をつけていきます。私が選んだのは大きな丸いパーツ。矢島さんにアドバイスをいただきながら色に奥行きが出るように釉薬を重ねていきました。

悩みに悩み、完成したのがこちら。焼成するとまったく違う色に変化するそう。どんな色になるのか焼き上がりが楽しみです!

(お伺いしたクリーマスタッフ3人とも作らせていただきました!)
<後日、焼き上がった作品が届きました>

ドキドキしながら箱を開けてみると、中からは焼成前からは想像もできなかったものが。青と緑が重なりあったパーツは、もちろんその色の出方は「想像通り」、ではなかったのですが、想像以上の素敵な出来上がりに大満足です。

「釉薬の重なり方でこんなにも色に深みが出るんだ」と、焼成後の色の出方を 想像して釉薬や作品を作っていらっしゃる矢島さんのすごさをあらためて感じま した。実際に体験させていただくことで、ほんの少しですが釉薬の魅力や奥の深さを知れた気がします。

インタビューを終えて

小さい頃から陶芸が身近にあり、ずっと陶芸ができる場所を探し続けてきたという矢島さん。釉薬へのこだわりからも感じましたが、陶芸に対する一途な思いと探求心が矢島さんの作品作りの原動力になっているのだなと思いました。

 

一方で「こだわりを持ちすぎない」とおっしゃる言葉が印象的でした。実際に私は毎朝、矢島さんのマグカップでミルクティーを飲む時間を楽しみにしています。持ちやすい平らな取っ手とたっぷり飲めるカップの大きさは私の好みにピタッとはまりました。「こだわりを持ちすぎないこと」が、使う人に寄り添う作品作りに繋がっているというのは、何だか納得でした。

 

矢島さんの挑戦はまだまだ続きます。今後はブローチなどのアクセサリー作りにも本格的に挑戦したいそう。今回インタビューをさせていただき、優しい笑顔や語り口の中に作品作りに対する意欲と熱い思いを感じました。作品への想いやお人柄を知り、ますます毎朝の時間が楽しみになりそうです。


何気ない毎日に、ホッと一息の心地よい時間をもたらしてくれる矢島さんの作品。みなさんにもぜひ、お手にとっていただきたいです。

(左:sachiyo yajima 矢島さん、右:クリーマスタッフ 知見)
Sachiyo Yajimaさんの作品一覧はこちら

《お知らせ》

sachiyo yajimaさんは10 /15(月)まで、「Creema STORE in ルミネ新宿2」に出展されています!実際にsachiyo yajimaさんの作品を手に取っていただけるチャンスです。ぜひ行ってみてください。

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