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「今、私が会いたい人」発想力が生んだこだわりの靴で、つま先からワクワクを届けたい。|靴デザイナー・HOLY CRAP!さん

「今、私が会いたい人」発想力が生んだこだわりの靴で、つま先からワクワクを届けたい。|靴デザイナー・HOLY CRAP!さん

こんにちは。クリーマの田口です。

 

私は、自宅の玄関が靴で溢れているほど大の靴好き。「おしゃれは足元から。」こんな言葉をよく耳にするように、靴で決まる足元の印象は、コーディネート全体の印象も左右する大事なアイテムだと思っています。

そんな私がCreemaで靴を探しているときに強く惹かれたのが、スパイスが効いた独特なデザインが刺激的な「PANIC HORROR」という靴でした。

 

サメの牙がずらっと並んだ、非日常で攻めたデザインに、目が釘付け!

▲ HOLY CRAP!さんを知るきっかけになった「PANIC HORROR」。追ってくるサメに逃げ惑う人々…と映画のワンシーンを思い浮かべてしまうような、大胆なサンダルです。

その靴を作る作家さんが、その作家さんのお名前の通り「HOLY CRAP!(日本語で”なんてこった!”という意味)」と思わせ、足元のおしゃれを更に楽しませてくれる靴を製作していらっしゃるHOLY CRAP!さんでした。

 

ほかでは絶対に見つけられないようなHOLY CRAP!さんの靴を見れば見るほど、どんどんその魅力にはまっていってしまった私。今回、どんな方が靴を製作されているんだろう、どのように靴を作られているのだろう、とワクワクしながら工房に伺い、お話を伺ってきました。

専門学校から「放りだされ」て海外へ。世界を広げて気付くことができた、自分だけの才能

―まず、靴を作る道に進まれたきっかけを教えてください。

もともと服飾の専門学校に行っていて、洋服を勉強していたんですけど… 若いときって、尖ってるじゃないですか。その尖り方を間違えて先生とぶつかって、進学するつもりだったのが「あなたを進学させることは出来ません」って言われて世の中に放り出されてしまったんです。

 

そこで、もともと海外での生活・仕事に興味があったのでワーキングホリデーでカナダに行き、就職活動をしながら、生活費を稼ぐために夜はDJの仕事をやって、昼間は音楽友だちのフライヤーを作ったり、頼まれてお店の看板を作ったりしていました。

 

そんなふうにカナダで音楽をしながらいろいろなものを作っていたら、たくさんの人から「あなたは独特な視野をもっていてモノづくりの才能がある、モノづくりに戻るべきだ」と盛んに言われたんです。英語では才能を”gifted” =神様がくれたもの、みたいなニュアンスで言うんですが、そんな言い方をされたときに、もらった”gift”を使わないで生きるのはどうなんろう、もらったんだからそれをちゃんと活かしたい、と思うようになりました。

カナダに滞在して1年経ってから日本に帰国し、何かしらモノづくりをやろうと思い、アパレル関連からフィギュアの造形士まで、様々な仕事を探しました。その中でたまたま婦人靴メーカーに興味を持って。面接に行くと、靴作りに関しては未経験にも関わらず「いつから来れる?」と言ってもらい、ご縁を感じて入社しました。

自らの直感を活かして形にする、靴作りの魅力

はじめは営業職で入社しましたが、たまたま同じ部署に教えることが好きな靴職人の方がいて、靴の型紙を切るのを手伝わせてくれたんです。そうしたら、「筋がいいな。教えるから勉強しろ」と言ってもらって。営業で持ち帰った仕事を、本来なら専門の職人に任せるところを自ら製作し、靴作りを覚えていきました。

▲ アトリエにある機械で、生地からパーツを切り出している様子。

靴の製作を始めたら、専門学校で学んでいた服作りより楽しいことに気づきました。靴作りの方が直感的なんですよね。服を作る場合、ゆとりやドレープの位置などを細かく計算するんですが、靴作りだと実物を見ながら細かいところを変えていったり、木型に直接線を書いて形を決めていったりするので自分が持っている感性や感覚をそのまま活かしながら作れるところが大きいんです。洋服とは違って未開拓な部分が多かったので、その点にもやりがいを感じ、どんどん靴作りにハマっていきました。

「これ、ほんとに売ってたら買うの?」から始まった「HOLY CRAP!」な靴

―HOLY CRAP!さんの靴はデザインが特徴的ですが、このような靴を作るようになったきっかけを教えてください。

当初は今よりもうちょっと普通というか、おとなしいデザインの靴を作って販売していたんです。今のようなデザインを始めたのは、販売用ではなく、革屋さんのために革の見本用の靴を作っていたのがきっかけでした。もちろん革の展示用なのでプレーンな靴でもよかったんですけど、「靴が目立って印象に残れば、その革も印象に残るはずだ」と考えたのが理由です。


 

その変な靴たちを、あるときイベントで展示したんです。そうしたら、「これは買えないんですか?」って言われて。「これ、ほんとに売ってたら買うの?」って聞いたら「買う」って言う人が結構いたんですよ。売り物の靴より展示品の変な靴の方がお客さんの評判が良かった。じゃあ…作ろうかな、というのが始まりです。

▲ 当時、展示用として制作した「履けない」靴たち。

こうしたら面白そう!を詰め込んで。デザインは作家さんのアイデアの塊

―HOLY CRAP!さんが作る靴はどれも着想やモチーフが奇抜で独特です。どのようにインスピレーションを得て靴をデザインしていらっしゃるのですか?

アプローチの仕方は本当にいろいろで、「これ」と決まったデザインの仕方はありません。

 

例えば、素材の特徴からダジャレみたいな感じでデザインを考えることがあります。ドット柄の生地が目玉みたいに見える、という発想から目玉をくっつけたり、靴のデザインを見て顔をつけたら面白いんじゃないかと思って作ったり、これって○○ぽいな、からデザインをしたり...。

▲ 未確認生物UMAが飛んできて張り付いちゃったパンプス。左右に振ると目玉がキョロキョロ動きます。
▲「顔があったら面白そう」で実際に顔をつけてしまった作品「Friday Night」。

BURGER TIME」はデザインを考えてから素材を探す流れで、ハンバーガーの靴があったら可愛いのではないかという発想からスタートしました。ハンバーガーらしい素材を探すのには苦労しましたね。まずバンズの雰囲気にこだわったのですが、バンズっぽい色、照り感の革を探すことに時間がかかりました。

 

それからパテに合う革もなかなか見つからず…たまたま別案件のサンプルでもらっていた革の中に、バスケットボール表面の型押しの革があったんですが、それがパテっぽい!と気付いて。色味をバスケットボールのオレンジよりもっと濃くしてほしいとお願いして、ようやく納得のいくの革が出来ました。

▲ こだわりのバンズにパテ、瑞々しいトマトのつやがなんとも美味しそうなパンプス。レタスのフリルも可愛いポイントです。

面白いデザインだけじゃない、履き心地が良く、長く愛してもらえる靴をお客様へ届けたい。

―素材、作り方、履き心地など、こだわっている点について教えてください。

基本的に本革を使用し、足に馴染んで長く履いてもらえるようにしています。日本は多湿なので、合皮を使うと劣化しやすく、靴を箱に入れて大事に保管して久々に履こうと思ったらボロボロになっていた…ということがよくあるのですが、自分が作った靴でそんなことになったらかわいそうなので、なるべく本革を使用しています。

自分が作ったものを気に入ってたいただけたのなら、長く愛してもらいたいという思いですね。

Devil's Cake (RED)

靴底のクッションの素材や入れ方にもこだわっています。やっぱり靴は気持ちよく歩けるものであるべきです。一番歩いて気持ちのいい低反発のスポンジを使用し、ヒールが高い靴、ローヒールの靴に合わせてスポンジの入れる場所も変えて作っています。もちろん、靴底の張替えなどの修理も承っています。

▲ このシリーズで一番売れている、オレンジカラー。

―今後ブーツやミュールといったタイプの靴の製作予定はありますか?

僕は、靴自体のエレガントなラインが好きでこだわっているので、パンプスやサンダルが好きなんですよ。ブーツはある程度形に決まりがあってディティールを面白くすることがなかなか難しくて、面白い形があまり作れないんですよね。でもお客さんはブーツを待っているだろうな…とも思います。

 

ミュールは作ります。春物デザインは得意なので!

―靴以外にも新しく挑戦したいアイテムはありますか。

バッグは挑戦したいな。古着のリメイクなども考えています。日本は豊かでいろいろな物が飽和している状態になっていて、ゴミになってしまう物がまた循環して戻ってくる形は大事だと思います。作って捨ててしまうのはもったいない。環境を考えてそれを少しでも抑えたい。作ったなら責任を持たないと。

インタビューを終えて

お人柄も素敵で、終始楽しくインタビューさせていただいた今回。目を引くHOLY CRAP!さんの靴には、作家さんの靴への強いこだわりと、靴を履く人への深い思いやりがあることを改めて感じることができました。

 

制作工程も拝見させていただきましたが、本当に時間もかかる工程の数々。その複数の工程をすべて手作業で、一足一足こだわり抜いて作られている靴だと思いました。

 

お気に入りの靴を履いていると、1日が楽しくなります。刺激的でワクワクさせてくれる要素をぜひHOLY CRAP!さんの靴で取り入れてみてください。

▲ 写真右:HOLY CRAP! 富田さん、左:クリーマスタッフ 田口

HOLY CRAP!さんの作品一覧はこちら

 

(HOLY CRAP!さんからのお知らせ)
アトリエ併設ショップ “Sole Cakes” がオープンしました。HOLY CRAP!さんの靴を実際に履いてみることができます。お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

東京都足立区千住中居町28-24 平日15:00〜21:00 土曜12:00〜21:00
※営業時間は変更になる場合がございます。

▲ インタビュー当日、オープン前のお店の中を一足先に見せていただきました。
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