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洗練されたものづくりと、手作りにこだわり続けた50年 - シルバークラフト作家・NostaLicsさん「Creemaの気になる世界」

洗練されたものづくりと、手作りにこだわり続けた50年 - シルバークラフト作家・NostaLicsさん「Creemaの気になる世界」

こんにちは。クリーマ編集部の川越です。

 

プロフィール文だけでは伝わりきらない、気になる作家さんの魅力を1分間の動画で紹介する「Creemaの気になる世界」クリエイター編。今回、インタビューに伺ったのはNostaLicsさん。

 

10代の頃にとあるきっかけでアクセサリー作りをはじめ、以来50年間シルバークラフトに向き合っておられます。サスペンダーがお似合いでとってもダンディーな須子さんは、実は大手ジュエリーメーカーの立ち上げにも携わった経歴をお持ち。その技術の高さとフォルムの繊細さは、ジュエリー以外の作品にも生かされています。

Cat-BookMark-1-Dia ネコ シルバーブックマーク しおり

https://www.creema.jp/item/514423/detail
ブックマークは本を閉じると、本の上を猫が歩いているように見えます。とてもしなやかに優雅にお散歩しているようですね。

NostaLicsさんの作品の魅力は、手作りとは思えないほどの洗練されたシルエット。シルバー素材を使ってブックマークや指輪、ネックレスなど、新しい発想のユニークなジュエリーを提案し続けたいという思いで制作に励まれています。何年経っても新しいデザインには四苦八苦することもあるそうで時間をかけ、一つ一つに愛情を込めて形にしていきます。

 

 クリエイター名のNostaLicsは、Nostalgia(郷愁)とRelics(遺物)を掛け合わせた造語。親から子へ、さらには孫へ思い出と共に引き継いで愛用していただけるような作品を作っていきたいとの思いが込もっています。

 

動画では、NostaLicsさんのジュエリーとの出会いや、手作りを追い求めたものづくり漬けの人生など、気になる話をご紹介しています!

シルバークラフト作家 / NostaLicsさん「Creemaの気になる世界」〜クリエイター編〜

続いて、動画ではお伝えしきれなかったエピソードや、シルバークラフト作品作りの工程について、当日のインタビューの様子とともにお伝えします。

「指輪をしてみたい」少年の頃の純粋な思いからはじまったジュエリー作り

ージュエリーを作るきっかけはなんだったのでしょうか?

ジャズ雑誌に載っていたジャズマンの指に光る指輪がかっこよくて、どうしても指輪がしたくなったんです。けれど19歳でお金もないので、家にたまたまあった銅線をペンチで丸めて自分で指輪を作りました。その頃、通うのが日課になっていた喫茶店でいつものように友人と話をしていると「その指輪どうしたの?」と声をかけられました。その女性は、「パリにもあなたみたいな指輪をしていた人がいたわよ」と教えてくれたんです。それがきっかけで”僕たちもやってみようか”と数寄屋橋の公園で販売をはじめました。僕は店頭に立つのが恥ずかしかったので「作品だけ作るから売ってくれ」と販売は友人に頼みましたが、反応が良くて1年ぐらい続けていました。

 

それから僕は作ることに夢中になっていきました。アクセサリー会社にも入社し、ロウ付けや切り回し、打ち出しなど制作の基本的なノウハウを教わりました。技術を身につけたことで自分の中で、“どうしても自分でジュエリーを作りたい”という思いがだんだんと大きくなり会社を辞め、自分の会社を立ち上げたいと奮闘。そこから16年、僕が立ち上げた会社は大手ブランドを取り扱うジュエリー会社に成長していました。

ご自宅の一室を作業部屋として使用されています。デザイン用と制作用の2つの机が並びます。

1から10まで、全て自分の手で作りたい

ージュエリー会社を立ち上げたんですね。会社でもジュエリーは作れるのに、なぜ独立して今の制作スタイルになったのでしょう?

原点に立ち返ってという思いがありました。実は、会社を立ち上げてから時間が経つにつれて自分の手で1から10まで作り上げることがだんだん難しくなっていったんです。創業当時は自分で作っていたんですが、手作りでは生産が追いつかなくなったので外部の技術者に作らせて……。と言ってもそれも簡単ではなく、試行錯誤して出来上がったものについて何度も担当者と話し合って、やっとコンセプトを理解してもらって、ようやく制作に移る。という具合で時間もかかるし効率も悪い。”自分で作りたい”という思いから立ち上げた会社でしたが、実際はデザイン業務で手一杯になってしまい、次第にその思いとはかけ離れた状況になっていったんです。

 

そこでようやく会社を辞める決心がつきました。それまでの作り方は、初めにジュエリーの原型を作って鋳造をして、同じものをいくつも作る。それって本当に手作りなのかなって疑問に思っていたんです。もちろん、効率の良さを活かして素敵な作品をたくさん作る方もいらっしゃいますが、僕は1から10まで全てを手作りすることにこだわってみたかったんです。

細かな作業の連続にはルーペが欠かせません。私のカメラのシャッター音にも気を留めず、ただ
一点に集中されています。

「本当に手作りなの?」と言われるような洗練さを追求して

ー手作りとは思えない細かな作りが魅力ですが、制作へのこだわりはありますか?

シルバーを使った作品に限定しているのである程度の制約はありますが、できるだけ常識にとらわれない作品作りを意識しています。例えば、石を使ってアクセサリーを作るときは石の前面を見せた方が美しいとされますが、横のフォルムが素敵だなと思ったときは横の構図を大切に作るんです。そうやって常識的なものを外して、見つめ直して考えてみる。

 

大切にしていることは手抜きしないで丁寧に作ることですね。「これ本当に手作りなの?」って言われるくらいの作品が僕としては好みなので、洗練さは見劣りしないけれど手作りじゃないと作れないような作品を目指しています。ブックマークはこれまでに1,000個以上作っているので手も慣れて早く作れるようになっていますが、やっていくうちに”こうやったらもっときれいにできるな”って改良点が見つかっていくので作業工程が増えて、結局制作時間は前と変わらないかそれ以上になっています……(笑)

 

作品そのものだけでなく、パッケージまでが作品の一部だと思っています。そんなに素敵じゃないですけど、自分のイメージ通りに作りたいと、自宅でプリントしてカットして、貼り付けして、ここも全部手作りしています。

NostaLicsさんの技の真骨頂。シルバー素材の切り出しは糸のこを使って手作業で行われています。一筆書きの要領で、迷うことなくシルバーを操っていきます。
切り出し後。私も小学校の授業で糸のこを使ったことがありますが、こんなにきれいに切り出す人を初めて見ました。NostaLicsさんにしかできない技術と長年の経験を感じた瞬間です。
NostaLicsさんのこだわりが詰まったパッケージ。

「作るのって楽しい」という気持ちと、「作りたい」という意欲

ーデザインの発想はどこからくるのでしょうか?

制作の大まかな流れについては最初の会社に勤めているときに教わりましたが、それぞれの工程での細かな作業については習っていないんです。なので、まずは自分の作りたいものやアイデアが先にあって、それをどうしたら形にできるかなって調べたり、考えたりしてやってきました。人に教えるような技術は持ち合わせていないですが、”作りたい”という意欲だけでものづくりをしているという感じですね。

それぞれのパーツをろう付け。だんだんと完成形に近づいてきました。
こんな所に、ジャズメンシリーズの巨匠ロンカーターを発見。実はNostaLicsさんは無類のジャズ好き。ジャズを流しながらの制作はもちろん、寝るときもジャズをかけっぱなし。奥さまからは「勘弁して」と言われることもしばしばなんだとか。

死ぬまで作り続けられたら幸せ。

ージュエリーと向き合われて50年になられると伺いましたが、いつまで作り続けたいですか?

死ぬまでかな。今70歳になりますけど、若い頃に想像していた70歳ってもっとボロボロだったんです。でも、いざ自分がなってみると昔と全然変わらないなという感じでした。創作意欲も減らないし、アイデアも枯れてこない。”歳だから”ってみなさん固定概念でおっしゃいますが、歳をとったから腕が落ちたとか、作業が雑になるとかってことは僕の場合、今の所感じないですね。

 

今となっては毎日ジュエリーを作ることが当たり前になっているし、それが僕の日常です。

仕上げに表面と断面を工具で滑らかにしていきます。
こちらはちょっとレトロ感のある工具。道具までがおしゃれです。

インタビューを終えて

「昔は仕事、今は趣味。今は、気ままに楽しくものづくりをしています。」と語るNostaLicsさんの制作工程は、息が止まるほど細やかで丁寧。そこには、「気ままに楽しく」と聞いて思い描くイメージを大きく超えるパワーと思いが詰まっていました。

 

手作りにこだわりながらも洗練された完璧な美しさを追い求め、高度な技術で理想を形にしていくNostaLicsさん。ストイックに目標に向き合うNostaLicsさんの姿はどこか楽しそうで、いちクリエイターとしての強さを感じました。

 

「50年作り続けた今だってたまには失敗作もあるし、まだまだ挑戦してみたい作品もありますよ。」

 

御歳70歳でありながら年齢を感じさせないタフな姿勢や、意欲に溢れるNostaLicsさんは人生の先輩としても見習いたいお方でした。

出来上がりはツルツル、ピカピカ。足や尻尾の先、耳まで、くまなく眺めたくなるほどの美しさです。

NostaLicsさんのギャラリーページ

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