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「ハンドメイドインジャパンフェス冬(2020)」出演アーティスト特別インタビュー【Vol.1:トクマルシューゴさん】

「ハンドメイドインジャパンフェス冬(2020)」出演アーティスト特別インタビュー【Vol.1:トクマルシューゴさん】

こんにちは、クリーマの針生(はりう)です。

2019年も残りあとわずか、年明けに開催される「ハンドメイドインジャパンフェス冬(2020)」(以下、HMJ)まで1ヶ月を切りました。私もイベントチームの一員として準備に追われる日々。2020年1回のみの開催となる今回、例年以上に盛り上げるべく、スタッフ一同全力で取り組んでいます。

 

そんな中、このたびとても特別な企画を実施することとなりました。内容は、なんとHMJに出演される音楽アーティストの方にインタビューし、音楽活動のお話やHMJへの思いをお伺いするというもの。当日会場を盛り上げてくださる素晴らしいアーティストさんたちについて、これまで知らなかったという方や、普段あまり音楽に触れる機会がない方にも、もっともっと知っていただきたい。そんな念願が叶って実現した企画です。

HMJ出演アーティストに特別インタビュー。トップバッターは《トクマルシューゴ》さん

本企画のトップバッターを引き受けてくださったのは、2017年のHMJや今年の春に「Creema SPRING MARKET × 二子玉川ライズ」へも出演してくださった、トクマルシューゴさん。音楽の道に進まれたきっかけや楽曲制作のお話、ものづくりやHMJへの思いを語っていただきました。

【トクマルシューゴ PROFILE】
様々な楽器や非楽器を用いて作曲・演奏・録音をこなす音楽家。2004年NYのインディレーベルより1stアルバムをリリース、各国のメディアで絶賛を浴びる。以降、国内外ツアーやフェス出演、映画・舞台・CM音楽制作など幅広い分野で活動し、近年はNHK Eテレ『ミミクリーズ』の音楽も手がけている。2016年、4年ぶりとなるアルバム『TOSS』をリリース、翌2017年には2年ぶりの開催となる自身主催の音楽フェス『TONOFON FESTIVAL』の開催や、吉祥寺・井の頭恩賜公園100周年を記念する映画『PARKS パークス』の音楽監修、最新アルバムの海外リリースや公演などを敢行。昨年2018年も自身初となるオーケストラとの共演コンサートを開催、その模様を収めた映像作品をリリースした。2019年も様々な形態でのライブ演奏やイベント開催、楽曲制作を行う傍ら、12月には予てから交流を重ねてきたケルト音楽を演奏する 3 人組John John Festivalとのコラボレーション・シングル「こえになる」を、4枚のコースター付き8cmCDという仕様でリリースするなど、その活動のフィールドをますます拡げている。

※オフィシャルサイトはこちら

始まりは、ピアノ教室。音楽の道へ進んだきっかけ

―今回はインタビューの機会をいただき、ありがとうございます。まずはトクマルシューゴさん(以下:トクマルさん)の音楽活動について伺っていきたいと思います。音楽の道に進まれたきっかけは何だったのでしょうか?

子どもの頃、友人の影響でピアノを習い始めたのが一番最初のきっかけだと思います。ただピアノはとても難しい楽器で、当然ですが教わっている先生がとても上手な方だったので「こんなに上手い先生がいるなら、僕が頑張って同じ曲を練習するより先生の演奏の方を聞いていた方が楽しいなぁ」と思い、先生の演奏を聞くだけで満足していたんです。
でもそこから音楽自体はとても好きになって、10代の頃に自分でギターを買って練習し始めました。ギターをひたすら練習していって、ある時ふと周囲と比べてみたら、自分で言うのも何ですけど……周りよりけっこう上手いことに気づいて、「もしかしたら音楽の道に進めるんじゃないか」という期待が芽生えて。

また当時好きだったミュージシャンにはアメリカの方が多かったので、「よし、アメリカだな!」と思ってアメリカに行ってしまいました。そこからだらだらと悪戦苦闘して、気づいたらここにいるという感じです(笑)。

―単身でアメリカに!すごい行動力ですね。向こうではどのような経験を積まれたのでしょうか?

一人で黙々とギターを練習したり、色んなライブを見に行ったりというのを繰り返していました。ギターの武者修行という感じですね。

アメリカへ行って驚いたのは、「突き詰める」ということを、こちらの想像を軽く超えるレベルでやっている人がたくさんいる、ということです。何かを突き詰めることは日本人も長けているイメージがありますが、それ以上に突出しているというか、極限を超えようとする人たちがいて。

例えば、音楽をやるために家族を捨ててしまう人とか……人生を投げうってまで一つのことを極め続ける人達を見て、「すごい世界だな」と衝撃を受けたのを覚えています。そういう人生に憧れる気持ちもありましたが、同時に「自分はこうはなれないな」と思って。でもそういう人たちの精神力や発想力で限界を超えていく感じには影響を受けて、その経験から「自分ができることを伸ばしていく」道の方が向いていると自覚しましたね。

実験の積み重ねで生まれた、自分だけのスタイル

―トクマルさんの音楽の特徴として、様々な楽器を使って他にはない音を生み出すことが挙げられると思います。そのスタイルはどうやって生まれたのでしょう?

ギターを始めた頃から、ベースやドラムなど、他の楽器にも興味を持ち始めたのがきっかけです。練習していくと録音に興味が出てきて、試しにギターの音を録ってみたら「他の楽器の音も録ってみたい」と思うようになりました。

楽器自体が好きというか、楽器のような見た目の造形物が好きだったんでしょうね。不思議な見た目や構造をしていると中身が気になって、買って帰って家で分解して遊ぶというのが趣味というか癖で。その流れで、行く先々で見つけた楽器を買い集めるようになりました。

 

最初から特別なことをしていたというよりは、そういう興味や趣味から始まって、積み重ねていくうちにじわじわと自分なりの道に進んでいった気がします。

トクマルシューゴ - Katachi
(HMJ2017にて、PVにも使用させていただいた楽曲)

―個人的にもトクマルさんが生み出す楽曲が大好きで、どうやってあの曲たちが生まれているのか興味津々です。普段の曲づくりのプロセスはどういったものなのでしょうか?

これも積み重ねというか、パッとイメージが浮かぶというよりはじわじわと生まれてくる感じです。漠然と「こういうものが作りたいな」というイメージはありますが、それを実際に曲へと繋げるきっかけは、やはり外部から取り入れたインプットによるものが多いですね。映画やマンガなどからインスピレーションをちょっとずつ受けて、その積み重ねで生まれてくることもあります。

僕の曲づくりは実験に近くて、「これとこれを組み合わせてみたら面白いかな?」ということを試しているうちに曲が出来上がることも多いです。そうやって自分の興味や好奇心を満たすために作っているので、曲が完成すると満足してしまって……そこから人に聴かせるという段階には、また勇気が必要になってくるんです。

―ということは、作った曲を世に出さない、ということもあるのでしょうか?

多いですね。それが半数以上かもしれません。普段の自分の部屋の中を、誰にでも見せられる訳じゃないのと一緒ですね(笑)。

―ファンとしては、いつか未公開の曲も聴いてみたいです……!曲づくりの過程において、特に苦労されることや楽しいことは何でしょうか?

制作の邪魔になる弊害……例えば分かりやすい例だとパソコンが壊れてしまうとか、曲作りの勢いを止められてしまうようなこととは、いつも格闘しています。

ほかのミュージシャンの方も同じだと思いますが、音楽というのは曲をバッと作って録音して終わりではなく、それを世に出すまでにいくつもの過程があります。その過程の中で様々な人の手を借りながら生み出していくものなので、それが大変でもあり楽しくもあり、という感じでしょうか。

あとは、やはり実際に曲が完成して、自分の曲を聞きながら散歩したりしているときは嬉しいですね。

インスピレーションの源はマンガや映画。非現実ならではの「無茶」がアイデアに

―普段、どのようにインプットをされていますか?トクマルさんが影響を受けている音楽やそれ以外のものはあるのでしょうか。

音楽はかなり膨大な量を聞いているので、特段「この音楽の影響を受けている」と言えるものはないかもしれないです。10代の時は「ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)」が大好きで、他にも60年代の音楽やパンクロック、プログレ(プログレッシブ・ロック)をよく聴いていました。

 

あとは、映画やマンガから受けた影響は大きいと思います。子どもの頃から家にたくさんのマンガがあって、マンガで育ったと言ってもいいくらい常に読んでいました。当時はマンガの世界をリアルだと、あり得ることだと思っていたというか、マンガの中が僕にとっての世界だったんです。マンガに出てくるキャラクターや考え方などを見て、「こういう人になりたい」とか「こういう事やってみたい」と思っていました。

そういう妄想のもと育って、10代の後半からは映画にかなりハマって1日2~3本くらい観ていました。マンガと映画の2つが、僕の想像の源になっていると思います。

―マンガが音楽に影響するというのは、具体的にどういったイメージなのでしょう?

マンガの世界って、現実と比べるとかなり無茶なこともしますよね。その「無茶なこと」が実験のアイデアになるような感覚です。普通はやらないことをあえて試してみることで、面白いものが生まれてくることもあると思うんですよ。

例えば音楽マンガで、現実ではなかなかない楽器の組み合わせが登場していたら、それを実験してみることもあったりします。

―今後の目標や、やってみたいと思っていることはありますか?

具体的にこれと言えないのが申し訳ないですが、今やっていることがやりたいことなので、それをさらに追求していったり、変化させたり、新しいものにしていったり。その中で自分自身も変化や成長をし続けていたいと思います。

HMJは「心が動く空間」。当日は新曲も披露!

―HMJへのご出演は2017年に続き今回が二度目となりますが、HMJに対して抱かれているイメージや印象などはありますでしょうか。

まず、この入場料だけで音楽ライブがこれだけ見れるというのは、粋だなと思っています。こういう条件でこれだけの出演アーティストが見られるということは、通常の音楽イベントだとあまりないことなので、個人的には意地でも続けてほしいと思います。

こういう、全く音楽に興味がない人にも聴いてもらえる場は重要だと思うんですよ。僕はサブリミナル的に人の心に侵入していくことが好きで、例えばすごく違和感のある異質なものだとしても、誰かの頭の中になんとなく残っていたら、それがその人の未来に多少なりとも影響していくと思っていて。一瞬ステージの前を通り過ぎただけでも、僕の音楽を聴いてくれることで、もしかしたら僕が未来に影響していくんじゃないかな、と。

なので、気軽な条件でライブが見れる場はとても好きで、かっこいいなと思うんです。閉鎖的な空間でライブをやるだけでは得られない何かが生まれる気がしますよね。

(HMJ2017にご出演いただいた際のライブシーン)

―フィールドは違えど同じクリエイターとして、HMJへ出展される皆さんへメッセージをいただけますか?

Creemaのようなサイトや今回のイベントなど、クリエイターがたくさん集まる場というのは様々な感情が生まれる場だと思います。共感やリスペクトを感じるのはもちろん、時には他のクリエイターさんを見て「自分が不甲斐ない」とか「作りたいものを先に作られてた!」と思う事もあるかもしれません。でもそうやってジェラシーを感じたりすることも含めて、"心が動く空間"に足を運ぶというのはとても大切で。何か心が動いたり揺らいだりするということは、まだまだ成長できるということだと思います。

こういうサイトやイベントに来られている時点で、皆さんかなりしっかりされた方々だと思うので、きっと大丈夫です(笑)。

―最後に、当日のライブを楽しみにされている、来場者の皆さんへも一言メッセージをお願いいたします。

新曲を今いろいろと作っていて、何曲か出来てきているので、新曲を披露できたらと思っています。あとジョンジョンフェスティバルというケルト音楽を演奏するバンドとコラボした新しいアルバムを持っていく予定です。コースター4枚と8cmの小さいCDセットになっているので、ぜひチェックしてみてください。

(実物を見せていただきました!白くまモチーフがかわいいコースターの裏は歌詞カードになっています。)

取材を終えて

オリジナリティ溢れる旋律で多くの人を魅了し続ける、トクマルシューゴさん。毎回HMJのライブまわりを担当している身として、「音楽に興味のない人に聴いてもらう場も大切」とおっしゃるトクマルさんのお言葉はとても嬉しいものでした。

お買いものを楽しみに来場したお客さんが、ふと聞こえてきたライブをきっかけにそのアーティストを好きになって帰ってくれたり、好きなアーティストのライブを目当てに来場したお客さんが、マーケットエリアに立ち寄って素敵な作品と出会うことができたり。

 

様々な形での"作り手"が自らのクリエイティビティを表現し、来場者がそれを五感で体験できる。HMJはそんな場所でありたいと思っています。

緊張で固くなっている私の拙い取材にも快く回答くださり、素敵なお人柄に触れてますますファンになりました。トクマルシューゴさん、ありがとうございました!

ハンドメイドインジャパンフェス冬(2020) in 東京ビッグサイト

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