拭き漆ケヤキ螺鈿杯
直径 80mm
高さ 44mm
螺鈿とは(石などを素材として用いる場合もありますが)、一般的には貝を用いて装飾する技法です。
使われるのは、鮑、夜光貝、白蝶貝、黒蝶貝などです。
描かれるのは、花や蝶などの自然の風物、伝統的な模様など。
普通は、さりげなく上品に配されます。
そんな螺鈿を見慣れた人にとっては、杯の内側がビッシリと埋め尽くされたこの螺鈿は下品極まりないものかもしれません。
下作そのものと言えるかもしれません。
しかしまあいいのです。
元々は自分自身が用い、楽しむために作りました。
例えば太陽の光が降り注ぐような日、これに酒を注いで陽にかざすと、水面がキラキラと煌き、器底では色彩が妖しげにゆらめきます。
そんな時、
「・・・・・浪速のことも夢のまた夢」
という豊臣秀吉の辞世の歌が浮かんできたりします。
(まさしく能天気そのものですね。)
この杯を作るにあたってなにより大変なのが貝の小片を準備することです。
漆屋でも鮑貝のシートは売られていますが、薄いものは0.1mm、厚いものでもせいぜい1mmほどです。
薄いのはこれだけカーブのキツいものには使えません。
さすれば厚いものになるわけですが、貼り終わった後、器胎に沿う形に研いでいくので1.5mmの厚みが必要です。
売ってないものは自分で作るしかありません。
鮑の原貝から2cm四方ほどの正方形に金ノコで切取り、グラインダーで平らにします。
その後それを更に6個から9個の小片に分割し、四辺を整えます。
此処までが大変です。
あとは、漆と小麦粉を混ぜ合わせたペースト状のもの(麦ウルシ、と言います)
を作り、それを先ほどの貝の小片の裏側に爪楊枝で少量付け乍ら、器胎に隙間なく貼っていきます。
麦ウルシは貝と器胎の間を埋める充填剤の役目と、接着剤の役割を果たします。
これも根気の要る地味な作業ですが、貝の小片を準備する前段階の仕事に比べれば
それほどのこともない、むしろ楽しい作業と言えます。
こんなことは威張って言えることではありませんが、私は酒飲みです。
酒飲みで、酒器好きです。
つまり、いい器で酒が飲みたい人間です。
そんな私は、片口などの酒器は作っても盃はほとんど作りません。
木器の盃は手取りが軽すぎて、酒を飲んでも美味いと感じられないからです。
酒好きで酒器好きの人なら賛同してくれると思うのですが、酒器の中で最も重要な器である杯にとって「重さ」は決定的に重要です。
いくら見た目に美しくとも、持った時にその重さがシックリ来なければやがて手が伸びなくなります。
陶磁器で言えば、例えば李朝白磁の杯などは元々杯としてつくられたものは少なく、他の用途のものを代用しているので大体において重い。
酒がいっぱいに満たされている時と、飲み干した時の重さがあまり変わらない。
これでは酒が美味くない。
木器はこれと逆です。
酒が満たされていても軽すぎてどこか頼りない。
その点この杯は、貝の重さが加わっているので、木製酒杯の欠点をカバーしているのではないかと思います。
高さ 44mm
螺鈿とは(石などを素材として用いる場合もありますが)、一般的には貝を用いて装飾する技法です。
使われるのは、鮑、夜光貝、白蝶貝、黒蝶貝などです。
描かれるのは、花や蝶などの自然の風物、伝統的な模様など。
普通は、さりげなく上品に配されます。
そんな螺鈿を見慣れた人にとっては、杯の内側がビッシリと埋め尽くされたこの螺鈿は下品極まりないものかもしれません。
下作そのものと言えるかもしれません。
しかしまあいいのです。
元々は自分自身が用い、楽しむために作りました。
例えば太陽の光が降り注ぐような日、これに酒を注いで陽にかざすと、水面がキラキラと煌き、器底では色彩が妖しげにゆらめきます。
そんな時、
「・・・・・浪速のことも夢のまた夢」
という豊臣秀吉の辞世の歌が浮かんできたりします。
(まさしく能天気そのものですね。)
この杯を作るにあたってなにより大変なのが貝の小片を準備することです。
漆屋でも鮑貝のシートは売られていますが、薄いものは0.1mm、厚いものでもせいぜい1mmほどです。
薄いのはこれだけカーブのキツいものには使えません。
さすれば厚いものになるわけですが、貼り終わった後、器胎に沿う形に研いでいくので1.5mmの厚みが必要です。
売ってないものは自分で作るしかありません。
鮑の原貝から2cm四方ほどの正方形に金ノコで切取り、グラインダーで平らにします。
その後それを更に6個から9個の小片に分割し、四辺を整えます。
此処までが大変です。
あとは、漆と小麦粉を混ぜ合わせたペースト状のもの(麦ウルシ、と言います)
を作り、それを先ほどの貝の小片の裏側に爪楊枝で少量付け乍ら、器胎に隙間なく貼っていきます。
麦ウルシは貝と器胎の間を埋める充填剤の役目と、接着剤の役割を果たします。
これも根気の要る地味な作業ですが、貝の小片を準備する前段階の仕事に比べれば
それほどのこともない、むしろ楽しい作業と言えます。
こんなことは威張って言えることではありませんが、私は酒飲みです。
酒飲みで、酒器好きです。
つまり、いい器で酒が飲みたい人間です。
そんな私は、片口などの酒器は作っても盃はほとんど作りません。
木器の盃は手取りが軽すぎて、酒を飲んでも美味いと感じられないからです。
酒好きで酒器好きの人なら賛同してくれると思うのですが、酒器の中で最も重要な器である杯にとって「重さ」は決定的に重要です。
いくら見た目に美しくとも、持った時にその重さがシックリ来なければやがて手が伸びなくなります。
陶磁器で言えば、例えば李朝白磁の杯などは元々杯としてつくられたものは少なく、他の用途のものを代用しているので大体において重い。
酒がいっぱいに満たされている時と、飲み干した時の重さがあまり変わらない。
これでは酒が美味くない。
木器はこれと逆です。
酒が満たされていても軽すぎてどこか頼りない。
その点この杯は、貝の重さが加わっているので、木製酒杯の欠点をカバーしているのではないかと思います。
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