小さなリングに大きな歴史。ロマンあふれる「コインリング」の魅力とは？

皆さんは、コインリングというものをご存知ですか？硬貨を加工して作られたリングのことで、最近はSNSでもじわじわと注目が高まっています。日本の昔の古銭から、海外の通貨までを素材にして作られたコインリングは、歴史やロマン、作り手の技術が詰まったアクセサリーです。実際に使用されていた硬貨ならではのレトロな雰囲気も多くの人を魅力しています。

半袖で過ごすことが多くなってきたので、手元を彩るアクセサリーが欲しいという方も増えてきているのではないでしょうか？コインリングはさりげなくとも存在感のあるアクセサリー。今回はコインリングの魅力や特徴、Creemaで見つかるおすすめの作品をご紹介していきます。

コインリングとは、名前の通りコインを加工して指輪化したアクセサリーの一つです。コインリングの歴史は1800年代後半の、西部開拓時代まで遡ります。当時アクセサリーの材料として手に入れやすかったのが、通貨として一番身近に使われていた銀貨でした。これを溶かして再加工するという制作方法が1930年代まで主流となっていて、その後1960年代にはヒッピーたちが制作方法を改良し、アート作品の一つとしてコインリングを作り始めました。

日本では日本の流通貨を加工することは、貨幣損傷取締法によって、法的に禁止されています。そのためなかなか日本では、硬貨を加工したアクセサリーに馴染みが無い方も多いですが、アメリカを始め海外ではそのような規制が少なく、定番のアクセサリーとして親しまれています。

ただ、日本の硬貨でも、流通貨として効力を失った古銭であれば加工可能です。そのため、海外コインを加工したものはもちろん、どこか懐かしさを感じるような日本の古銭を加工したコインリングも楽しむことができます。

硬貨そのものにも歴史・魅力があるのが、コインリングを楽しむポイント。硬貨は単に物との交換のための道具ではなく、国力を示す役割を持っています。硬貨は偽物との区別をハッキリさせたりするために、国の技術を結集して作られているので、よく見てみると作りは非常に精巧です。また、それぞれの国が文化や時代を代表とする図柄や模様をモチーフにしているので、国の雰囲気や歴史を楽しむことができます。当時の国の背景によって、金や銀、白銅など素材を使っているのも面白いですよね。

日本硬貨を例にあげてみると、古銭の銀貨や銅貨には龍や鳳凰など、今の日本円には無い魅力的な模様が描かれています。時代によって色々な模様があるので、お気に入りの作品が見るかるはずです。

コインを加工し、仕上がりの美しいリングにするにはかなりの技術と集中力、時間が必要です。もともと美しく繊細に浮かび上がっている模様を、そのまま綺麗に残すには技術を要します。中には裏表で模様を分けて仕上げたコインリングもありますが、狙ったデザインに作り上げるのは至難の技です。コインリングは作り手の技術がしっかりと詰まった作品であると言えます。

また、コインは経年変化して、味や深みのある風合いになります。コインには製造年が刻まれていて、中には非常に古いものもあります。傷や色合いも含め、「世界に一つ」の変化を楽しめるのもポイントです。

コインリングは、日本、アメリカ、イギリス、デンマーク、フランスなどの硬貨で作られていることが多いですが、中でもデンマークの硬貨は「幸せを呼ぶコイン」と呼ばれています。デンマークの硬貨には、幸せ・愛情の象徴「ハート」と反映・富・権力の象徴「王冠」が刻まれていて、幸運を引き寄せるとされているのですが、日本ではなかなかデンマークの硬貨を手に入れることができません。コインリングであれば手に入れやすく、お守りのように直接身に着けることができます。世界で一番幸せな国と呼ばれるデンマークの、幸せをちょっとおすそ分けしてもらってみてはどうでしょうか？

また、自分が生まれた年と同じ製造年の硬貨でできたコインリングを記念に身につける方も多いそうです。自分と誕生年が同じということは、一緒に同じ時代を過ごし、年を重ねてきたということ。ロマンを感じますよね。

既に繊細な模様が描かれた硬貨を、思い通りの形に加工してできるコインリングは作り手の技術が光るアクセサリー。硬貨それぞれの違いと、作り手の技量やこだわりによって、世界に一つだけのコインリングが出来上がります。今回はCreemaおすすめのコインリング7作品をご紹介していきます。

日本の古銭、桐一銭青銅貨を使用して制作した、平打ちタイプのこちらのコインリングはntc-coinsさんの作品。唐草模様でおおわれており、コインリングでも珍しい、日本硬貨ならではの和柄が目を引きます。明治39年（1906）から大正6年（1917）まで発行された硬貨で、歴史があります。柄が小ぶりで可愛らしいので、コーディネートのちょっとしたアクセントとしても身に着けやすいリングです。

こちらはデンマーク 1クローネ硬貨で作ったOLD MAN STOREさんのコインリングです。荘厳な王冠、可愛らしいハートマーク、年号が入っていて、サイズは2号から12号まで選ぶことが出来ます。仕上げは黒味がかかったアンティークフィニッシュとキラキラと光るシルバーフィニッシュのどちらかお好みのものを選べます。

イギリスの３ペンス銅貨で出来たこちらのコインリングはアクオスさんの作品です。こちらの硬貨は珍しい12角形で出来ています。城門に王冠が描かれたデザインとゴールドの輝きからは、ザ・ブリティッシュに相応しい古き良き英国の薫りを感じることが出来ます。リングに仕立てたときの淵の波型の輝きがとても印象的な、夏のシンプルな装いにもぴったりの作品です。

情熱の国スペインで生まれた硬貨は、陽気で明るい国の雰囲気を漂わせています。こちらのコインリングはUtopian Projectsさんの作品で、細身のシルエットが目を引きます。男性も女性も身に着けやすいデザイン、素材感、色合いなので、プレゼントやペアリングとしても重宝するのが嬉しいですね。

こちらは百年以上も昔の古銭を使ったLu worksさんのコインリングです。黄銅貨で独特の輝きを持っているのが目を引くポイント。あえてピカピカに研磨することなく、酸化膜を残して柄が美しく浮き出るようするなど、こだわりが細部まで詰まっています。

アメリカの25セント硬貨と、真鍮板をリング状に加工したものを組み合わせたこちらのコインリングはHeadPipeQualityさんの作品です。どの指に着けても馴染みやすいデザインで、色のくすみ具合に味があります。このアメリカで活躍したシーザーロドニーという偉人が描かれ、作品に凛々しい雰囲気を与えてくれています。歴史の背景を知るとより一層愛着が湧くのもコインアイテムの魅力。他にもヘアゴムにコインを組み合わせた作品などもあるのでぜひチェックしてみてください。

エリザベス女王が美しく透かし彫りされている繊細で上品なこちらのコインリングはAtelier Matsumotoさんの作品です。香港の中国返還に伴い、エリザベス女王が描かれたコインは政策の一環として回収作業が進むことで少なくなっています。さらに王冠を被った女王が描かれているのはとても希少。肖像、文字など一つ一つ細密に彫り出し、3工程の研磨を施すなど非常に丁寧に仕上がっています。

日本ではまだ知らない人も多い、コインリング。その独特の存在感は、シンプルな服装と合わせるのにもぴったりで、半袖が増えるこれからの季節にもおすすめ。
国や年代、デザインを見て、自分好みのものを選べるのも楽しいですし、遠くの国から海を越えてやってきたコインの物語に思いをはせるのもロマンがありますよね。

バックグラウンドがあるからこそ、小さいながらも不思議と存在感があるのがコインリングの魅力。みなさんもお気に入りのコインリングを探してみてください。