BLOG
クッキー専門店「Canvas Cookies」成瀬さん -甘い記憶をのこすお菓子を_作り手インタビュー vol.17
こんにちは。クリーマの宮崎です。
「おかし」「おやつ」…ワクワクする甘いひびき。楽しいことが始まりそうな予感。大人になった今でも、私たちをとりこにします。
4月にクリーマの中にオープンした「手づくりフード」カテゴリ。
パンやケーキ、ジャムや和菓子など、日本各地から2000点を超えるおいしい手づくりの食べ物が集まっています。
今回は、クリーマに出店するクッキー専門店「Canvas Cookies(キャンバスクッキー)」の成瀬さんにお会いしました。
自由が丘駅からトコトコ歩いていくと、まるで絵本の中にあるような白く可愛らしいお店が見えてきました。
ドアを開くと、焼きたてにまちがいない甘い香りに包まれて、しばしうっとり。その時はちょうど焼き上がったレモンケーキをオーブンから取り出すところ!温かなキッチンから「こんにちは!」と、成瀬さんがにこやかに出迎えてくださいました。
成瀬さんが自由が丘に「キャンバスクッキー」をオープンしたのは2015年。オーダークッキー専門店としてスタートして5年目のことです。
木のカウンターには、焼きたてのクッキー、ケーキやマフィンがずらり!キッチンでのお菓子づくりもちらりと見えて、カウンターごしにお話しながらお菓子を選ぶのも、ワクワクする楽しい時間です。
「どうぞ!」とお出しいただいたのは、焼きたてのレモンケーキにサクサクのサブレ、バラの形のメレンゲに、屋久島のオーガニック紅茶です。
ぱくっと口にほおばると、ふんわりとした優しい甘さがじわ〜っと広がります。心がまあるくなるような、とても心地よいおいしさです。
「お菓子ってやっぱり人を幸せにすると思うんです。手づくりのものは、きちんと作れば絶対においしいんですよ」
優しさを伝えて「甘い記憶」をすっと残すお菓子を
— とってもおいしいです!ふわっと甘さが広がりますね。レモンのほのかな苦みがあったりして、素材の持ち味がそのまま生きている味わいです。
「素材は天然のものを使って、味も自然に仕上げています。あまり甘すぎると途中でもういいかなとなってしまうから、お砂糖は少なめに、すべて甘さを控えめにしているんですよ」
クッキーには、北海道産の小麦粉に四葉バター、国産の味の濃い卵を。レモンケーキには無農薬のレモンと国産のお砂糖を。すべての原料を1つ1つ厳選するのも、キャンバスクッキーさんのこだわりです。
「人の手を介して作ったものって、やっぱり温かかったり、素朴な感じで、気持ちが伝わるんですよね。自分のために作ってくれたんだと思うと、ちょっとした優しさみたいなものがお菓子の軽さと甘さにうまくあわさって、届くのかな?
でもそこは食べ物なので、気持ちは伝わるんだけど、重すぎない。
食べてなくなるのははかないんだけれど、そのはかなさも気持ちのこめ方としてはちょうど良くて、すっと甘い記憶だけが残るんですよね」
— お菓子のほのかな甘さと、優しさって、重なりますよね。お菓子は日々の中のちょっとした楽しみですし、お祝いや大切な時に贈り合ったりもして、特別な存在だなと思います。
「そう、お菓子ってやっぱり人を幸せにすると思うんです。悲しい気持ちの時に食べたら、ちょっとほっとしたりね。手づくりだからこそ人の温かみとか、ほっこりするような良さが、お菓子ならではかなと思いますね。手づくりのものは、きちんと作れば絶対においしいんですよ」
お菓子×メッセージ。オーダーメイドの贈り物
お店のかたわらに置かれた、オーダーメイドのブックが目にとまりました。中には、アイシングクッキーの似顔絵や制服など、楽しいモチーフがいっぱい!
— その方に合わせたクッキーをオーダーメイドされているのですね。お名前やメッセージが入って、その人だけの特別な贈り物になりますね。
「お誕生日だったり、バレンタインだったり、メッセージを書けるアイシングクッキーはギフトとしても人気ですね。卒業シーズンには制服のオーダーも多いんですよ。あとは、結婚式の最後に渡すプチギフトにも選んでいただいたり。特にアイシングクッキーは、贈った人も贈られた人も、気持ちが伝わるんですよね」
「アイシングクッキーって見た目だけでしょ?」なんて言われることもあるんです。でも食べてもらうと「意外とおいしいんですね、あまり甘くなくて」と言っていただくことが多いんですよ。うれしいですね。やっぱりクッキーだからおいしくないとね!」
手づくりの味の記憶。子供たちも安心して食べられるお菓子を。
— キャンバスクッキーさんのお菓子づくりのルーツはどこにあるのでしょうか?
「子供の頃、お母さんが手づくりしてくれた味が心に残っているんです。キャンバスクッキーは「甘いお菓子の記憶」がコンセプト。1つ1つ手づくりするおいしさ、余計なものを入れない素材の味わいを、できたてで食べて欲しいなって」
もともとものを作るのが好きだったキャンバスクッキーさん。お菓子を作りはじめたのは、お子さまが生まれたことがきっかけだったそう。
「子供が2人いるんですけど、子供たちが毎日食べるものに気を配るようになって。おやつって毎日食べるものでしょう?表示を見るとこの添加物や保存料保存料が入っていたり…。だから、添加物を入れないで産地にもこだわって、自分の子供たちが食べても安心して食べられるようなお菓子をはじめました。
子育てをしていたので通信講座を受けたり、時間ができればお菓子の学校に通ったり、シュガーアートを習いに行ったりしました。
技術を学べば学ぶほど、技を披露したくてすごいものを作りたくなったりするんですけど、私はきちっとしたバラよりも、手づくりらしいふわっとした色合いや素朴さ、シンプルさを大事にしています」
手描きのキャンバスボックスにクッキーをつめこんで。
—「キャンバスクッキー」、とても可愛らしいお名前ですね。由来はどこにあるのでしょうか?
「もともと母が絵を描いていたんです。そして私がクッキーを作ったので、名前を「キャンバスクッキー」にしました。
この手描きのボックスは、オーダーで作っていて、母と私が描いている1点物です。季節やその方の好きなモチーフで描いて、この中にクッキーをつめたり。何をするにも「他にはないものを」という思いがあるので、ちょっとアレンジして自分流にするのが好きですね」
クリーマで手づくりの良さに共感する出会い
「クリーマでは、手づくりのおいしさをじかに伝えられます。手づくりの良さに共感してくださる方に味わっていただけるので、思いが一致しやすいのかな。
今まで、いろいろなイベントで、大量に作って大量に売るということをやってみたこともありました。でも、金額との折り合いをつけられなくて、何かを削らなければいけない、でも素材は妥協したくないし、手にとりやすい値段にしたい…という思いがあって。
キャンバスクッキーは大量生産ではなく、1つ1つ丁寧な手づくりを目指していきたいから、クリーマはキャンバスクッキーのコンセプトに合っているかなと思っています」
インタビューを終えて
子供のころ、将来はお菓子屋さんになりたいという夢を持っていたことを思い出しました。あの時は、ぼんやりと思い描いていましたが、きっとキャンバスクッキーさんのようなお菓子屋さんだったなと思いながら。
「お菓子は食べてなくなるからはかないけれど、甘い記憶だけが残るのがちょうどいい」という成瀬さんの一言が、とても心に残っています。
酸っぱいでも辛いでもなく、しょっぱいでもない、「甘い」という感覚が、優しさや心地よさと重なって人の心に届いていく。これはお菓子だからこそできることなのだと感じます。ほっとしたり、元気が出たり、お菓子がいつでも私たちを魅了して、ワクワクさせる正体に少し近づくことができました。何だか心がほかほかしています。
思いが込められた手づくりのおいしさが、皆さまの心にも届きますように。