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「ただ、ひたすら、ものづくり。」お気に入りの洋服を着た日のように、心が上を向くこだわりを|真鍮アクセサリー作家・hitoketaさん

「ただ、ひたすら、ものづくり。」お気に入りの洋服を着た日のように、心が上を向くこだわりを|真鍮アクセサリー作家・hitoketaさん

皆さんは、どんなことをしているときに気持ちが上を向きますか?

美味しいものを食べたとき、サウナで身体の芯から整ったとき、ふらっと立ち寄ったお店で自分好みの洋服に出会えたとき。そしてまた、お気に入りのアクセサリーを身にまとったときも、ちょっぴり幸せな気分になりますよね。

 

今回は、真鍮アクセサリー作家 hitoketaさんの工房にお伺いしました。

しっとりとした真鍮の質感と、シンプルな形の中に練り込まれた個性が生み出す、こだわりのオリジナルアクセサリー。いつもと少し違う日々を過ごすきっかけになれたらと、ものづくりを続けておられます。

 

素朴で優しい風合いの真鍮リングができるまで。制作の様子をじっくりと見せていただきましたので、まずは動画でご覧ください。

小さなリングもこんなに心を込めて作り込まれているとは、驚きでした。指輪を叩くコンコンという金属音はとても心地よく耳に残りますね。

ここからは、動画でお伝えしきれなかった作業工程について、hitoketaさんのこだわりとともにご紹介します。

素朴で優しい風合い、真鍮リングができるまで。

▲リングに使用する素材は、hitoketaさんお気に入りの真鍮。

真鍮線の幅はコンマ刻みでバリエーションがあり、強度と見た目のデザインを確認しながら、何度も試行錯誤を重ねて辿り着いた三つ編みリングに適した0.55mm。真鍮線のサイズは作品ごとに変えて制作をされています。

▲細かな手編みの三つ編み。2本どりの計6本の真鍮線を丁寧にねじっていきます。
▲三つ編みリングは、出来上がりのサイズより4号ほど小さい輪っかにしてから成形スタート

10号のリングを作る場合は6号ほどで作り始めます。形を整えていくうちに三つ編みが伸び、緩い部分ときつく締まっている部分が全体的にバランス良く仕上がり、最終的に10号のリングに。

三つ編みは、他の一輪リングよりも伸びやすい特有のデザインなんだそう。

▲切断部分を熱し、銀ロウで接合。真鍮に火をあてると酸化して赤茶色に変化してきました。
▲木槌でリングの形を調整。ここではまだ完成サイズよりも一回りほど小さいサイズまで叩いて伸ばします。
▲お客さまのオーダーに合わせて1mmの刻印。刻印も大文字、小文字など色々な種類が揃っていますね。
▲トントンと、優しく打ち付けて……。
▲今回は「R」のイニシャルがつきました。完成までもう一息。
▲真鍮の薄い膜をはがすようなイメージで表面を磨き上げます。

表面を磨くのに使うのは、リューターという汚れなどを除去する機械だそうで、どこかで聞き覚えのある音だと思いきや、歯医者さんでも使われている機械。なんとhitoketaさんは歯の施術中にも、「これはコードレスなのに動作音が静か……!」と、どこのメーカーのものか気になってしまうことがあるんだそう。hitoketaさんならではの、「職業柄」ですね。

▲一皮むけたという感じでしょうか。(左)

見比べると微妙な色の違いが分かります。むきたての真鍮は白っぽく、日が立つごとに黄色味が増して、毎日使っていくうちに風合いが変化していく育てがいのある素材です。

▲アンティークな雰囲気のアクセサリーの秘密、いぶしの工程です。

いぶし液に数秒浸けるだけで一瞬にして永く使い込んだような味のある風合いになります。マジックのようにあっという間の出来事につい声が出てしまいます。(一瞬の変化は動画でぜひご覧ください!)

▲紙やすりのような砂をまぶして、わしゃわしゃと拭いたら最後の仕上げ。使用する粉は金剛砂(こんごうしゃ)というらしいです。なんともいかした名前!

リューターで表面のみを磨くことで三編みの隙間にいぶしが残り、アンティークな風合いになるそう。特有の風合いを出すために、こんな一手間があったとは驚きです。

"真鍮"といういちばんシンプルな状態を感じて。

工房にかけられた小さな看板。hitoketaとして活動を始めたばかりの頃に作ってもらったサインを、拠点が変わってもどこへでも一緒に連れて回っているんだそう。見るたびに初心を思い返す、大切な思い入れのある相棒ですね。

実はhitoketaさん、Creemaでも活躍されているキチジツさん、naotokitaさんと大学時代の同級生。今でもよく遊ぶ仲で、作品展開のアイデアや撮影のノウハウを共有されていることもあるんだそう。なんと素敵なご関係……!

 

当日はお会いできませんでしたが、naotokitaさんはhitoketaさんの工房から一枚仕切りを隔てた隣りの空間で活動されていました。町工場だからこそできることも多いそうで、金属を扱い大きな音が出る作業もあるクリエイターさんにとってはものづくりに専念できる環境なのですね。

色々な塗装がある中でも、いちばん最初の状態を表現するというコンセプトのもとアクセサリーを制作。

制作中のエピソードといえばもうひとつ。小さくて繊細なリングは、手から滑り落ちてしまうと見つけるのにも一苦労。あちこち動き回るうちに踏んでしまっては大変です。そんなときは「落ちた!」と思っても動じず、その瞬間にさっと耳を澄まして音を頼りに探し出すのがいちばん安全な方法なんだそう。取材中にもうっかりリングが手から落ちてしまい、いくら探しても見つからなかったところ、「音がしないときは、ここかな……」と探ったズボンの裾の中の折り目から出てきました。

 

味わい深くしっとりと手に馴染む真鍮のアクセサリー。オリジナルのイニシャルを入れて、自分のご褒美に、大切な人へのプレゼントに、アンティークな風合いを身にまとってみませんか?

hitoketaさんのギャラリーページはこちら

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