〈メルマガエッセイ #8〉"気になる"に寄り道。「南部鉄器のポット」｜南部鉄器工房 及富さん

このエッセイでは、いま編集部が“気になる”作品にフォーカスを当て、編集部目線でその魅力をお伝えする「“気になる”に寄り道。」シリーズをお送りしていきます。このエッセイをきっかけに、みなさんにもちょっとした“寄り道”を楽しんでいただけると嬉しいです。

今回は、南部鉄器工房 及富さんの「スワローポット」をご紹介します。

一緒に、歴史ある南部鉄器の世界に寄り道しましょう。

新しい一年が幕を開け、早くも一か月が経ちました。改めて身の回りのものや生活を見直している、という方も多いのではないのでしょうか。バッグに財布にアクセサリーと様々な作品に注目が集まる中、中でも新調アイテムとして人気なのが“南部鉄器”の急須や鉄瓶。

岩手県に伝わる伝統工芸品“南部鉄器”は、上品な見た目や高い機能性といった魅力に加え、大切に扱えば何代にも渡って使い続けることができる、まさに一生もののアイテムなのです。

鮮やかな青やピンク、花柄にあられ柄……

重厚感のあるものからどこかモダンなデザインまで、南部鉄器の色や模様は実にさまざま。中でも南部鉄器工房・及富さんが手掛ける鉄瓶「スワローポット」は、シンプルながら遊び心を感じるデザインでひときわ目をひきます。30年を超える長い歳月の中で一時は廃番になったものの、再び“時代を超える名作”として大反響を呼び復刻生産になったそう。もしかしたら、SNSで目にした方もいらっしゃるかもしれませんね。

ツバメに似ていたことからその名が付けられたというスワローポットは、持ち手はツバメの象徴的なポイントでもある尾羽、注ぎ口はまるで可愛らしいくちばしのよう。持ち上げるとどっしりとした重みがあるものの、持ち手の絶妙なラインがしっかりとした安定感を感じさせます。ざらりとした独特の手触りも、職人の手仕事のあたたかみを感じるようでなんだか心地良いものです。南部鉄器ならではの伝統や品格の中に感じる新しさ。現代の暮らしにもなじむスタイリッシュな佇まいは、どんなキッチンにもしっくりと溶け込み、きっと毎日を豊かにしてくれるはずです。

魅力はデザイン性だけではありません、驚くべきは、その高度な機能性。保温性に優れているので温かいまま飲み物を楽しめますし、おまけに鉄分の補給も助けてくれるそう。鉄瓶の内側から溶け出した鉄分によって、まろやかな味わいになるとも言われているそうですよ。

朝起きて、鉄瓶で沸かした温かい白湯をいただく……寒い季節にはそんな習慣を始めてみるのも素敵ですね！

一生ものとして永く使い続けることができ、使い込むほどに味わいが増していく南部鉄器。錆びないように気を付けながらお手入れする時間も、なんだか贅沢なひとときのように感じられます。

「毎日使うものこそ、気分が上がるこだわりの作品を選びたい」「せっかく新調するなら、永く使い続けたい」そんな思いを叶えてくれる南部鉄器は、新しい一年にきっと潤いを与えてくれるはずです。一年の始まりに、これからの人生のお供をお迎えしてみてはいかがでしょうか。

……おっと、そろそろ寄り道の時間もおしまいのようです。

どうぞ次回もお楽しみに。

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