花梨拭きうるしディナースプーン
花梨材のスプーンです。
長さ 195mm
口の部分の幅 37mm
花梨は東南アジア原産の、中国家具の材としても用いられる樹木です。
極めて硬く、緻密な木質を持っていますので、丈夫で長持ちします。
黄色い実を焼酎漬けにするカリンと同じ名ですが、全くの別物です。
漆の原液はチョコレート色ですが、空気に触れるとすぐに酸化現象で真っ黒になります。
(10分の1mm以下といったような)極く薄い層であっても、下地が透けて見えないほどの濃い黒色です。
「拭きうるし」といえば漆層を通して木目を見せる技法ですが、このような漆の性質上、厚く塗ることはできません。
実際、極く極く薄い層があるだけです。
そうでなければ木目が浮かび上がることはありません。
漆は実に優れた性質を持つ塗装材です。
天然素材ゆえに人体に無害ですし、美しい色つやを作り出します。
しかもかなり強靭な皮膜を形成し、製品を長持ちさせます。
「拭きうるし」とは漆を塗ったのち、乾く前にふき取ってしまう、その製作工程から名付けられたものです。
ふき取り方も、ムラにならないよう、均一かつほぼ完全に拭い去ってしまいます。
高価な漆を用いながら、実にもったいない技法といえるでしょう。
ただ、いくら強靭とはいえ、10分の1mmあるいは100分の1mm以下の層の厚さでは限界があります。
しかしそれより厚くなると「拭きうるし」にはなりません。
木目が見えるようにするためには厚くはできません。
では「拭きうるし」でありながら、なおかつより強靭な皮膜を形成する方法はないのでしょうか。
表面の漆層の厚さに制約があるなら、木質内部に漆を浸透させて、内部から強度を加えればいいのです。
そのために行われるのが下地作りです。
下地作りにも色々なやり方がありますが、中で最も手間がかかり、しかし、最も下地作りの目的にかなったやり方が私が採っている方法です。
やり方は単純です。
漆を塗って固まったのち、表面に残った漆を耐水性パーパーですべて研ぎ落す。
こうすると浸透した漆が残って内部で固着します。
ただそれは僅かです。
ですから何度も何度もそれを繰り返します。
(樹種にもよりますが8回から10回ほどです)
こうやって徐々に強固な漆層が内部に形成されていきます。
漆を塗るのはごく短時間ですが、研ぐのは長時間の根気の要る作業です。
全工程の作業時間のうち3分の2は、この研ぐ時間に充てられています。
なぜこれほどの手間と時間をこの地味な工程に費やすかといえば、それはひとえに美しさと堅牢さを持続させるためです。
もし何らの下地作りもなしに上塗りが行われたなら、漆を5回塗ろうが10回塗り重ねようが長持ちしません。
持ちが明らかに違います。
それほど摩耗しないような用途の製品ならそこまでの手間は必要ないかもしれませんが、それでも数年経つうちには差は歴然としたものになるでしょう。
さてスプーンですが、口からの「抜け」がスムーズで心地よいものになるように留意したデザインになっています。
また、持ちやすく、握って安定した感じになるような膨らみが取っ手に施されています。
長さ 195mm
口の部分の幅 37mm
花梨は東南アジア原産の、中国家具の材としても用いられる樹木です。
極めて硬く、緻密な木質を持っていますので、丈夫で長持ちします。
黄色い実を焼酎漬けにするカリンと同じ名ですが、全くの別物です。
漆の原液はチョコレート色ですが、空気に触れるとすぐに酸化現象で真っ黒になります。
(10分の1mm以下といったような)極く薄い層であっても、下地が透けて見えないほどの濃い黒色です。
「拭きうるし」といえば漆層を通して木目を見せる技法ですが、このような漆の性質上、厚く塗ることはできません。
実際、極く極く薄い層があるだけです。
そうでなければ木目が浮かび上がることはありません。
漆は実に優れた性質を持つ塗装材です。
天然素材ゆえに人体に無害ですし、美しい色つやを作り出します。
しかもかなり強靭な皮膜を形成し、製品を長持ちさせます。
「拭きうるし」とは漆を塗ったのち、乾く前にふき取ってしまう、その製作工程から名付けられたものです。
ふき取り方も、ムラにならないよう、均一かつほぼ完全に拭い去ってしまいます。
高価な漆を用いながら、実にもったいない技法といえるでしょう。
ただ、いくら強靭とはいえ、10分の1mmあるいは100分の1mm以下の層の厚さでは限界があります。
しかしそれより厚くなると「拭きうるし」にはなりません。
木目が見えるようにするためには厚くはできません。
では「拭きうるし」でありながら、なおかつより強靭な皮膜を形成する方法はないのでしょうか。
表面の漆層の厚さに制約があるなら、木質内部に漆を浸透させて、内部から強度を加えればいいのです。
そのために行われるのが下地作りです。
下地作りにも色々なやり方がありますが、中で最も手間がかかり、しかし、最も下地作りの目的にかなったやり方が私が採っている方法です。
やり方は単純です。
漆を塗って固まったのち、表面に残った漆を耐水性パーパーですべて研ぎ落す。
こうすると浸透した漆が残って内部で固着します。
ただそれは僅かです。
ですから何度も何度もそれを繰り返します。
(樹種にもよりますが8回から10回ほどです)
こうやって徐々に強固な漆層が内部に形成されていきます。
漆を塗るのはごく短時間ですが、研ぐのは長時間の根気の要る作業です。
全工程の作業時間のうち3分の2は、この研ぐ時間に充てられています。
なぜこれほどの手間と時間をこの地味な工程に費やすかといえば、それはひとえに美しさと堅牢さを持続させるためです。
もし何らの下地作りもなしに上塗りが行われたなら、漆を5回塗ろうが10回塗り重ねようが長持ちしません。
持ちが明らかに違います。
それほど摩耗しないような用途の製品ならそこまでの手間は必要ないかもしれませんが、それでも数年経つうちには差は歴然としたものになるでしょう。
さてスプーンですが、口からの「抜け」がスムーズで心地よいものになるように留意したデザインになっています。
また、持ちやすく、握って安定した感じになるような膨らみが取っ手に施されています。
展示
3人購入
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