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「つくる人と、つかう人。」長く使い続けられるものづくりを。想いがつながるひととき|Ad maiora! Designareさん

「つくる人と、つかう人。」長く使い続けられるものづくりを。想いがつながるひととき|Ad maiora! Designareさん

こんにちは。クリーマの船田です。

7月4日からはじまった、Creema10周年特別企画。

これまで支えてくださったユーザー・クリエイターのみなさまへの愛と感謝を伝える各種コンテンツを展開中です。

詳細は、下記特設ページをご覧ください。 

さて、読みものでは10周年を記念したクリエイターインタビューに続き、「つくる人とつかう人。想いが通じるひととき」という連載企画をスタートします!

この企画は、ひとつの作品に込められたそれぞれの想いを、クリエイター・購入者双方にインタビューし、作品への想いを記事の上でつなぐ……という企画です。

 

Creemaで作品を購入して手元に届いたとき、喜びの声をクリエイターに伝えたことがある方は多いかもしれません。

一方で、作品を長く使い続けて分かった魅力や感動については、なかなか直接伝える機会がないのではないでしょうか?

そんな想いをクリエイターに届け、またクリエイターから作品に込めた想いをあらためて聞くことで、購入者もクリエイターも、より一層作品への愛が深まるのではないか……

語れるお買い物をしよう」をコンセプトに記事制作をしている編集部内で、ふとあがったそんな声から、今回の企画は出発しました。

 

本企画に際し、ユーザーのみなさまに「Creemaでの心に残るお買い物」についてのアンケートを実施したところ、短い期間にもかかわらず、たくさんの回答をお寄せいただきました。すべての回答を編集部内で読ませていただき、素敵なお買い物エピソードの数々に、スタッフ一同、あたたかい気持ちで胸がいっぱいになりました。ご協力いただいた方々にこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

記念すべき第1回で想いをつなぐ作品はL型財布 "Leatus" ・ブラウン×モカ [受注生産品]。革物職人Ad maiora! Designareさんの作品です。それでは早速、購入者さまに、作品との出会いについて語っていただきましょう。

「使う人」の想い

――作品との出会いについてお教えいただけますでしょうか。

現金でお買い物をする機会が少なくなっていたので、運転免許証、ポイントカード数枚と小銭、千円札数枚、クレジットカード2枚が入る程度の、薄くてコンパクトな二つ折りのお財布を探していました。

中でも、現金の出し入れがしやすいことは理想とするお財布の条件でした。

 

Ad maiora! Designareさんの作品は、多角度から拡大画像まで作品の画像が綺麗にアップされていて、説明も十分な内容だったので、このお財布なら間違いないとオーダー時に感じました。

――作品で特に気にっている点はございますでしょうか。

気に入っているところは沢山あります。まず、作品が届いてから手に取った際に、「やっぱり素晴らしい」と、購入前の確信を実感することができました。

また、実際に長く使ってみて、時間をかけてほんとうに丁寧に作られていることがわかります。手にとって、ジッパーを開くたびに、使う喜びを感じています。

薄いデザインながらしっかりと収納ができる設計も気に入っており、携帯と一緒にすっとポケットに入るので、外出時にはいつも肌身離さずに持ち歩いています。

▲バッグにもコンパクトに収まるサイズが嬉しい。

購入時には、革の色合いをオーダーさせていただきました。ラインナップにはない革でしたが、他にご出品されている紙袋風バッグに使われている色が素敵だったので、変更は可能か尋ねると、快く対応してくださいました。

▲”革袋” 一番人気カラーのブラック

――作家さんにお伝えしたいことについてお教えいただけますでしょうか。

「大量生産には真似できないものを」というプロフィールの言葉に感銘を受けました。私自身、もの作りが好きで極めたくなるタイプですが、どうしても、既製品のほうがコスパに優れていると感じるものしか作れませんでした。制作から販売まで通してされているとしたら、相当な労力であり、驚きと尊敬を感じます。

いずれにしても、物販の原点というのでしょうか。クリエイターさまから直接購入できるということは、安心感がありますし、その作品に込められた気持ちが伝わってきて、ほんとうに、いいものだなぁと思います。

この度のご縁に感謝しています。ご活躍を心から応援しています。

「作り手」の想い

世界中から厳選した革で、いつまでも永く使い続けられるよう、けして大量生産ではまねのできないもの作りを続けていらっしゃるAd maiora! Designareさん。

 

Ad maiora! Designare(アドマイオーラデジナーレ)とは、ラテン語で今から挑戦する人に「幸運を!」「大きなチャンスを!」と言う意味の ”Ad maiora! ”と、ラテン語でデザインの語源とされている”Designare”を組み合わせてつくった造語。

こだわりの中にも自由な発想と遊び心を忘れず、手に取った人に持つ楽しさや使う喜びを与えられるような、そんな商品を目指して作品制作をされています。

――購入者さまからのお声を受けて、感じられたことをお教えいただけますでしょうか。

"Leatus"のコンセプトは「丁度いいサイズ」「薄い」「沢山入る」「丈夫」「楽しい色の組み合わせ」「シンプル」ですが、まさにすべてがマッチしたようで、大変嬉しく思います。

ご購入いただきました商品は長く使っていただけるよういつまでも責任をもってメンテナンスをお受けしております。

お客様とのご縁を大切にし、これからも喜んでいただけるよう精進したいと思います。

――この作品の魅力や、制作時にこだわった点についてお教えいただけますでしょうか。

商品名の"Leatus" (ラエトゥス)はラテン語で「喜ばしい」とか「嬉しい」の意味があり、お客様に喜んでいただけるようにという思いで付けた名前です。

"Leatus"のこだわりポイントは沢山ありますが、象徴的な3つをご紹介いたします。

<ファスナーの収まりの良いディテール>

このタイプの一般的なファスナーの取り付け方は本体からファスナーが少し飛び出たようになりますが、"Leatus"はすっきりとしたスマートなデザインです。

▲ファスナーの収まりのいいディテール
▲ピッグスエードを使用した裏地

内装のあまり目立たない部分(本体の裏地、マチの裏地、ポケットの中地)は、多くの商品が1枚革で製作しているため革の裏面がむき出しになったものが多く、使っていくと少しずつボサボサに毛羽だってしまい感触が悪くなってきますが、"Leatus" は発色が良く手触りの良いピッグスエードを貼り合わせることで、とても丈夫になり高級感が増します。開くたびに満足感が得られると思います。

大量生産のほとんどの商品は多くの制約があるため、一つ一つに手間をかけてしまうと採算が合わず、効率を優先せざるを得ません。

▲スエードの色は配色違いですが、"Leatus" に使用する全パーツです。

<ファスナーの引き手>

ファスナー付財布の引き手は毎日何回も引っ張られることで革に与えるダメージが強く一番はじめに壊れる箇所です。

ファスナーの引き手は一般的には革を二つ折りにして使うのですが、"Leatus"では引き手になる革の裏面に伸びを止める業務用の補強テープを貼り、さらに革を貼り合わせ、3層構造にすることで耐久性を上げています。今まで数多く製作しておりますが、引手の交換修理の依頼は1度もございません。

 

<薄つくり>

"Leatus"はシンプルな構造ですが、すべてのパーツは2枚貼り合わせた革を使用しているため一番厚い箇所で革が12枚重なる部分があり、革を革包丁で部分的に0.1mm単位で薄く漉き調整します。

実はこの漉き加減が商品の良し悪しを左右いたします。また、裏に貼り合わせている革がなければ半分の薄さとなり薄く作りやすいのですが、ただ革を薄くしたものをだけを使えば耐久性がありません。そのため薄くても耐久性を上げるための工夫が2つ必要となります。

 

1つ目は適材適所に伸び止めテープや芯材を仕込むことで、さらなる補強が可能となります。

2つ目は貼り合わせたパーツを使う。たとえば1mm厚の革と0.5mm厚の革を2枚貼り合わせて1mm厚にした革とでは、後者の貼り合わせた方がはるかに耐久性があがります。しかしデメリットもあります。それはすべてのパーツを貼り合わせて使用すると革の使用量が2倍となり価格も高額になってしまいます。そのためこの技法は手間がかかることもあり高額なオーダーメイド、ハイブランド品が採用することが多いです。

▲ファスナーの引き手になる革の裏面に伸び止めテープを貼ったところ。
▲更に革を貼り合わせた状態
▲余分を落とし、貼り合わせて縫製、その他仕上げをして引き手の完成。

――作品の制作にあたり、大切にされている想いやこだわりをお教えいただけますでしょうか。

作品作りのコンセプトは丁寧で丈夫な作り。さり気なく自分らしさのエッセンスを加えた長く使えるシンプルなデザインです。

そして何よりもお客様が喜んでいただける、ご満足していただける商品をご提案することだと思っています。

――作品制作を始めたきっかけや、インスピレーションの源についてお教えいただけますでしょうか。

レザークラフトをはじめたきっかけは、大切に使っていたソファーの処分でした。それならばと愛着のあるソファーの革を剥がし何か別のものに生まれ変われないかと見様見真似で携帯ストラップや手帳カバーなどを作ったところ、思いの外好評ですっかりその気になってしまいハマってしまいました。

 

インスピレーションの源は沢山ありますが、その中の一つは世の中の商品で自分で良いなと思った機能やディテール、こういう機能があったら嬉しいという気づきです。それらを組み合わせたり、自分のフィルターに通すことで別の商品に生まれ変わったり、新しい発想が生まれます。

もう一つは「素材の置き換え」です。例えば、紙、金属、木材、陶器など革以外の素材から生み出された実用品を革で置き換えたらどう面白くなるのかと想像してしまいます。その商品化した代表例が「革袋」「しおり」です。

▲”しおり”です。
▲”しおり”の使用例

――今後の作品制作への思いをお教えいただけますでしょうか。

わたしのような個人商店では大量生産の価格や納期においても到底太刀打ちできるはずもなく、それならば直販の強みを生かし時間と手間をかけて価格以上の価値があると思える商品を作ろうと自分でも納得のできる商品を製作しています。

 

受注製作の商品が多くなってしまい、お客様には大変ご不便をおかけしておりますが、現在新アイテムの企画を進めながら、少しずつ在庫を増やせるよう日々製作しております。

これからも丁寧で堅牢なものづくりで、お客様に喜んでご満足いただける商品を届けたいと思っています。

Ad maiora! Designareさんのギャラリーページはこちら

取材を終えて。

今回のインタビューにご協力いただいた購入者さん、Ad maiora! Designareさん、ありがとうございました!


丁寧に時間をかけ、信念をもったものづくり。
その想いがしっかりと購入者のもとへと届いていることを感じ取ることができ、改めてハンドメイド・クラフト作品の魅力を実感しました。


特に印象的だったのは、Ad maiora! Designareさんの「引手の交換修理の依頼は1度もございません。」という言葉。時間と労力をかけて制作されているからこそ、本当に良いものがうまれ、使い手が長く使い続けることができるのだなと思いました。


これからも「つくる人と、つかう人。想いがつながるひととき」では、作品に向けられた作り手・購入者それぞれの想いを皆さまにお届けします。
第2回も、どうぞお楽しみに。

Creema編集部では、Creemaでのお買いものにまつわる素敵なエピソードを随時募集しております!

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特設ページでは、10周年を記念した特別なコンテンツを各種ご用意しております。
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