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本物以上に魅力的?ダイヤモンド類似石とは。憧れの輝きが身近になる、種類と特徴を徹底解剖
アクセサリーを探していると、ジルコニア、ジルコン、ハーキマーダイヤモンドなど、ダイヤモンドに見た目が似ている天然石や、名前に「ダイヤモンド」と入った石を見かけることがあるかもしれません。そういった石のことを「ダイヤモンド類似石」とも呼び、最近では人造ダイヤモンドやモアサナイトといった、天然石と同じ構造の石を人の手で作り出すこともできるようになりました。
宝石の王様と呼ばれるダイヤモンド。その魅力をより身近に感じようと扱われてきたダイヤモンド類似石や人工石ですが、実はそのダイヤモンド類似石それぞれがダイヤモンドに劣らない美しさや魅力、価値のある石たちなんです。
今回は、そんなダイヤモンドの類似石の種類やそれぞれの特徴、ダイヤモンドとの違いをご紹介します。本物のダイヤモンドに比べて気軽に身に付けられる類似石だからこそ、毎日に寄り添ってくれるお気に入りが見つかるはず。石の魅力を正しく知って、それぞれの魅力を楽しんでみませんか?
【目次】
● 1. ダイヤモンド類似石とは?
● 2. ダイヤモンド類似石の種類
ー (1) 天然石
ー (2) 合成石
ー (3) 人造石
ー (4) 模造石
● 3. ダイヤモンド類似石とダイヤモンドの違い。見分け方はある?
ー そもそもダイヤモンドの特徴は? 意外と繊細なダイヤモンド
● 4.【天然石】のダイヤモンド類似石には何がある?
ー ジルコン
ー トパーズ、トルマリン、水晶など
ー ハーキマー・ダイヤモンド
● 5.【合成石】のダイヤモンド類似石には何がある?
ー 合成ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)
ー モアサナイト
● 6.【人造石】のダイヤモンド類似石には何がある?
ー キュービックジルコニア(CZ、ジルコニア)
● 7.【模造石】のダイヤモンド類似石には何がある?
ー ガラス
● 8. それぞれのダイヤモンド類似石の魅力を知って、シーンに合わせて楽しもう
ダイヤモンド類似石とは?
ダイヤモンド類似石とは、ダイヤモンドに似た見た目を持つ天然石や、ダイヤモンドの見た目に似せて人工的に作った石のことを指します。
ダイヤモンドについて調べていると「人工ダイヤモンド」や「合成ダイヤモンド」といった様々な呼び方を目にします。それぞれどのようなものなのか、ここでは宝石の鑑定や鑑定ルールの作成、普及などを行っている一般社団法人宝石鑑別団体協議会が定義している分類と呼称にそって、ダイヤモンドとその類似石の例をご紹介します。
ダイヤモンド類似石の種類
ダイヤモンド類似石は大きく、天然石・合成石・人造石・模造石の4種類に分かれます。それぞれどんなダイヤモンド類似石なのか、特徴や作られ方を解説します。
(1) 天然石
自然界で生成された宝石を指します。加熱や着色などの処理が施されているものも含みます。ダイヤモンドの類似石としては、ジルコン、トパーズ、水晶など、透明な天然石があります。もちろん、天然のダイヤモンドも天然石です。
(2) 合成石
天然石と同じ化学特性、物理特性、内部構造を持つ石のこと。天然のダイヤモンドと同じ構造を持つ合成ダイヤモンドや、ジュエリーに使うモアサナイトは、合成石にあたります。
(3) 人造石
天然には存在しない石を人工的に作り出したもの。キュービックジルコニアなどがこれにあたります。
(4) 模造石
天然石の色や質感といった見た目を再現したもので、天然石とは化学特性、物理特性、内部構造が異なる石を模造石としています。宝石のようにカットしたガラスや、天然石を粉末状に砕き、固めて作るものなどがあります。
ダイヤモンド類似石とダイヤモンドの違い。見分け方はある?
ダイヤモンドとその類似石はどう違うのでしょうか。
ダイヤモンド類似石の種類によって、ひと目見て違いが分かるものから、鑑定しないと分かりづらいものまで様々あります。たとえば、ダイヤモンドの特徴的な輝きは、宝石に入った白い光を虹の7色に分ける「ファイア」という性質により生まれますが、天然石のトパーズはダイヤモンドに比べるとファイアが小さいため、見比べてみると輝きが違うことがわかるかもしれません。
ダイヤモンドの構造を人工的に再現した合成ダイヤモンドは、肉眼では見分けることが難しいですが、合成過程で独特のインクルージョンが入るなどいくつかの特徴があり、設備があれば鑑定することが可能なんだそうです。
そもそもダイヤモンドの特徴は? 意外と繊細なダイヤモンド
ダイヤモンドと類似石の違いを知るには、まずダイヤモンドの特徴をおさらいしておきましょう。ダイヤモンドは、世界一硬い鉱石として有名です。ここでいう「硬い」は、あるもので引っ掻いたときの傷つきにくさである「モース硬度」のことで、ダイヤモンドのモース硬度は最大値の10です。この硬さを利用して、ダイヤモンドはカッターや研磨剤、身近なところではフライパンのコーティングといった工業目的にも使われています。
一方で、砕けにくさを表す「靱性」は、ダイヤモンドはやや低いという特徴があります。炭素という単一の元素が規則正しく並んでいるダイヤモンドの結晶は、ある一定方向からハンマーなどで叩くと簡単に割れてしまうのです。またダイヤモンドは親油性が高く、ジュエリーとして身につける際には皮脂やハンドクリームなどの油性の汚れで曇りやすいので、定期的なクリーニングが必要になります。
硬い宝石というイメージが根強く、"永遠の輝き" と表現されて婚約・結婚指輪に選ばれることが多いダイヤモンドですが、意外と繊細な宝石なんですよ。
【天然石】のダイヤモンド類似石には何がある?
ダイヤモンド類似石のうち、ダイヤモンドに見た目が似ていたり、ダイヤモンドと名前がついている天然石をご紹介します。ダイヤモンドの代わりとされた歴史もありますが、それぞれがれっきとした天然石です。
ジルコン
ジルコンは、約44億年前に形成された、地球上で最も古い鉱物といわれています。12月の誕生石のひとつでもあります。ダイヤモンドに似たファイアが特徴で、ダイヤモンドの人気が高まってからはダイヤモンドの代替品とされることが多かった宝石です。
ジルコンは内包物を含みやすい鉱物で、含まれる成分により様々な色を持ちます。宝石として処理されたジルコンには、無色透明のほか、ブルー、グリーン、イエロー、レッド、ブラウンなどがあり、カラーバリエーションの多さが魅力の一つ。熱処理することで生まれる爽やかなブルーは、ジルコンの持つ煌めきと相まって美しく、特に人気の高い色です。
※ 名前が似ていて混同されがちな「ジルコニア」は、ジルコンをもとに作られた人工石です。ジルコニアについては後に詳しく説明しますね。
トパーズ、トルマリン、水晶など
宝石の中でも特に無色のトパーズ、トルマリン、水晶などは、歴史的にダイヤモンドの代替品とされてきました。その多くに地名や色名などを冠して「〇〇・ダイヤモンド」というフォールスネーム(コマーシャルネームとも。鉱物としての名前ではなく、宝石として流通する上で付けられた名前)が付いていたことがあります。天然石に対してこういった名称をつけることは消費者の誤解を招くとして、近年は避けられるようになってきています。
ハーキマー・ダイヤモンド
ニューヨーク州ハーキマー郡で採掘される水晶のことをハーキマー・ダイヤモンドと呼んでいます。透明度が非常に高く、両端が尖ってカットされたような形をしているのが特徴です。
さきほど「〇〇・ダイヤモンド」という呼び方は避けられるようになったと書きましたが、このハーキマー・ダイヤモンドだけは例外的にこの呼び方が定着しています。カットや研磨を施さない原石の状態で、すでに美しい輝きと透明感を持つこの水晶は、それだけ特別な存在なのかもしれません。
【合成石】のダイヤモンド類似石には何がある?
ダイヤモンドの美しさに魅せられ、それを再現しようという取り組みは長い間行われてきました。ここでは、本物の宝石の輝きを目指して人が生み出してきた合成石を解説します。
合成石は天然石とほぼ同等の美しさを持ちながら、天然石より安価なことが多く、比較的気軽に楽しむことができます。また一部の天然石とは違い、採掘現場の労働問題や紛争といった倫理的な問題がない、エシカルでサスティナブルな選択肢として注目が集まっています。
合成ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)
ダイヤモンドの化学組成を人工的に再現した石が合成ダイヤモンドです。アメリカではラボグロウン(研究所で育つ)ダイヤモンドという呼び方が一般的です。天然のダイヤモンドと同じ炭素だけで構成され、宝石としての見た目も天然ダイヤモンドに遜色がありません。価格は天然ダイヤモンドの半分ほど。天然ダイヤモンドと違い、安定した品質のダイヤモンドが手に入ることが特徴です。
モアサナイト
モアサナイトは、1893年に地球に落下した隕石の衝突痕から発見された鉱物です。硬度は9.5とダイヤモンドに次いで硬く、また衝撃への強さを表す靭性に優れ、耐熱性も高いため、総合的に見てダイヤモンドに勝るとも劣らない頑丈さを持っています。
宝石としての美しさという点では、ファイアがダイヤモンドの2.5倍、屈折率や表面の光沢においても高い数値を誇り、ダイヤモンドと比べると力強い煌めきを持つ石といえます。皮脂などの油汚れに強いのも特徴。アメリカで人工的に作り出すことに成功し、価格面でもダイヤモンドよりはるかに安価で手に入れられるようになりました。
天然のモアサナイトは地球上ではほぼ生成されず、その希少性から宝飾品に用いることはできません。よってジュエリーとして流通しているモアサナイトは人工の石です。
【人造石】のダイヤモンド類似石には何がある?
キュービックジルコニア(CZ、ジルコニア)
天然石の「ジルコン」ととても似ているこの名前。それもそのはず、ジルコニアはジルコンをもとに作られているのです。キュービックとは立方体の意味で、ジルコニアの結晶の形に由来しています。モース硬度が8〜8.5とジュエリー加工に十分な硬さを有し、ダイヤモンドと同じ水準の屈折率を持ちます。CZはキュービックジルコニアの頭文字を取った名称。単にジルコニアと呼ばれることもあり、すべて同じ石を指します。
また、キュービックジルコニアにコーティングを施し輝きを強めた石が「ハイブリッドダイヤモンド」「sonaダイヤモンド」などの名前で流通しています。
輝きが強く大きい石も作ることができるので、舞台衣装やコスチュームジュエリーの素材として根強い人気があります。ちなみにジルコニアは装飾品として以外にも、研磨剤や、歯科治療の材料などにも活用されています。
【模造石】のダイヤモンド類似石には何がある?
ガラス
ガラスに鉛などの金属を混ぜて輝きを出す手法は、18世紀ごろから行われてきました。この頃作られたアンティークジュエリーによく見られる石です。「ガラスが宝石に見える?」と疑問に思われるかもしれませんが、キラキラと輝くガラスのシャンデリアを思い浮かべていただくと、イメージが湧くのではないでしょうか?あのシャンデリアも、ガラス工業が発展したこの時代に生み出されたものなんです。
現在でもガラスは、ラインストーンやガラスビーズなどとして宝飾にも用いられています。
デイリーユースから特別な日まで。ダイヤモンド類似石のおすすめアクセサリー
ブルージルコンの輝きを晴れ渡る夏の空に例えた、アトリエ Le Tourさんのリング。小粒ですがきらきらと爽やかな輝きはジルコンならではです。
ふた粒のジルコンをブラウンのコードで丁寧に編み上げた、fordwych jewellery®︎さんのブレスレット。宝石の煌めきとコードのカジュアル感が絶妙なバランスで、普段着にぴったりの1本です。
ブリリアントカットを施した3つのホワイトトパーズがきらきらと輝く、Les neigesさんのブレスレット。チェーンは14kgf製で輝きを長く楽しめます。
Essenceさんのハーキマーダイヤモンドのピアスは、原石の個性的な形や透明感が楽しめます。フックにあしらわれたキュービックジルコニアもポイントです。
ラボグロウンダイヤモンドを一粒、シンプルにしたてたno.29さんのブレスレットは、サージカルステンレス製で金属アレルギーが心配な方にもおすすめ。チェーンの先についたダイヤモンドがゆらゆら揺れて目を惹きます。
強い輝きを持つモアサナイトと日常遣いしやすい真鍮で作った、memere stoneさんのリング。モアサナイトはホワイト、シャンパン、ブルーグリーンの3つのカラーから選べます。
セット使いでコーディネートが楽しめる、hanautaさんのキュービックジルコニアのピアス・ネックレスのセット。ピアスはイヤリングに変更可能です。石部分は4mmと使いやすい大きさで、どんなシーンでも華やかに身につけられます。
フィリグリーの高い技術で作った透かしデザインの石枠に、8mmと大きめのジルコニアをセッティングしたプティマニスさんのネックレス。ジルコニアは誕生石カラーの12色から選べ、プレゼントにもぴったりです。
ブライダルアクセサリーを手がけるStella Bridalさんのウェディングピアス。大小のキュービックジルコニアが輝き、一生に一度の晴れの日に華を添えてくれます。
Yadokari beadsさんのネックレスは、虹のような模様の入ったヴィンテージのアイリスガラスが主役。アイリスガラスはかつてチェコやドイツなどで作られたガラスパーツで、ノスタルジックな雰囲気が魅力です。
それぞれのダイヤモンド類似石の魅力を知って、シーンに合わせて楽しもう
高価なダイヤモンドに似た石たちは「類似石」と呼ばれていますが、それぞれにダイヤモンドとは違う、ダイヤモンドにはない良さがあります。
そのジュエリー・アクセサリーをどんなときにつけたいのか、その石とどう付き合っていきたいのかを考えながら、自分に合った1点を見つけられるといいですね。