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世界が認めた「宝石珊瑚」をもっと身近に。土佐発・お守りジュエリーに込められた願い【高知ものづくり紀行 vol.2】

2022.11.18
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世界が認めた「宝石珊瑚」をもっと身近に。土佐発・お守りジュエリーに込められた願い【高知ものづくり紀行 vol.2】

高知県には、国指定の伝統的工芸品にも指定されている「土佐和紙」や「土佐打刃物」をはじめ、数百年以上の時を経て受け継がれてきた個性豊かな伝統工芸品が存在しています。

 

Creemaでは、全5回にわたって高知のものづくりについてお届けする企画「Creema 高知ものづくり紀行」を開催中。職人の方々の技術や制作にかける想いをご紹介していきます。

Creema 高知ものづくり紀行 記事一覧

− 【高知ものづくり紀行 vol.1】石を見極め、形にする。「土佐硯」の持つ魅力とは 【もっと読む

− 【高知ものづくり紀行 vol.2】世界が認めた「宝石珊瑚」をもっと身近に。土佐発・お守りジュエリーに込められた願い【もっと読む

− 【高知ものづくり紀行 vol.3】子の成長を願う「フラフ」を未来に繋ぐ。120年の伝統を持つ染物屋の想いとは 【もっと読む

− 【高知ものづくり紀行 vol.4】残すために、職人技術も数値化。小さな鍛冶屋が見据える「土佐打刃物」の未来【もっと読む

− 【高知ものづくり紀行 vol.5】「土佐和紙」1000年の歴史を繋ぐために。強くしなやかに変化し続ける職人たちの想い。【もっと読む

今回ご紹介するのは、高知県の伝統的特産品のひとつである「宝石珊瑚」。母から子へ、子から孫へと、子孫繁栄や無病息災を願う気持ちを込めたお守りとして代々身につけられてきました。

深海に生息する天然の珊瑚を加工したジュエリーは、まるで石のように美しい輝きを放ち、昔から多くの女性たちに愛されています。

 

かつてはお土産ものの要素が強かった珊瑚。そこに宝石や美術彫刻を施し、ジュエリーとして打ち出すことをいち早く実践したのが、ブランド「宝石珊瑚アクセサリーtente(てんて)」でも珊瑚のジュエリーを販売する、株式会社ワールドコーラルです。

 

2代目の代表取締役社長・近藤健治(こんどう・けんじ)さんは、宝石鑑定士としてテレビ番組にも登場する、珊瑚のスペシャリスト。そんな近藤さんに、宝石珊瑚の魅力について伺いました。

記事の後半では、高知で活躍する宝石珊瑚クリエイターの皆さんの作品もあわせてご紹介していきます!

質も技術も世界最高レベル。宝石珊瑚の中心地・高知

もともと地中海だけで採取されていた宝石珊瑚が、日本で初めて発見されたのは江戸時代の終わりごろ。高知の室戸岬や足摺岬周辺で産出することが、当時の文献に記されています。つまり、高知県は日本の珊瑚漁業の発祥地。

 

珊瑚というと、沖縄やオーストラリアなどの南国の海岸にある、“サンゴ礁”をイメージする方が多いのではないでしょうか。実は珊瑚は大きく2種類に分けられ、いわゆるサンゴ礁にあたる「造礁珊瑚」と、今回取り上げる「宝石珊瑚」は性質が異なるものなんです。

「『造礁珊瑚』は、光合成をするために水深20m程度の浅瀬に生息しています。一方で、我々が扱っている『宝石珊瑚』は水深80m〜1200mあたりに生息する深海珊瑚です。

 

そうなると、同じ珊瑚でも硬度や成長速度も全く違うんですよね。枝の直径で見ると、造礁珊瑚は1年間で30cm程度まで大きくなるけれど、宝石珊瑚はだいたい0.2mm〜0.3mmくらい。だから、少なくとも100年以上たったものでないと加工できないんですよ」

 

宝石珊瑚が生息するのは、人間が自力では潜れないほどの深い海。さらに100年以上かけてようやく採取できる大きさになるため、非常に希少価値が高い天然資源なんです。

▲ こちらは、高知県の珊瑚細工の第一人者・前川泰山さんによる龍馬像。顔も含め、すべて宝石珊瑚でできているというから驚きです……!

現在、日本国内で宝石珊瑚の原木を採取しているのは、高知を含めて5か所。小笠原諸島や五島列島などでもよく採られているそうですが、驚いたのは各地で採取された原木珊瑚はすべて一度高知県に集められるのだそう。

 

「いわば、高知は宝石珊瑚のメッカですね。年に5〜6回、全国から宝石珊瑚が高知に集められ、市にかけて入札を行います。そこから世界中に流通していきます」

 

宝石珊瑚には、「桃色珊瑚」や「白珊瑚」などのカラーバリエーションがありますが、なかでも「血赤珊瑚」は希少なんだそう。名前のごとく、血のように深くて情熱的な赤色が特徴です。

血赤珊瑚自体は地中海をはじめ、ほかの地域でも採れるそうですが、高知県土佐沖産のものは世界中で見ても最高品質と言われており、海外では「TOSA(とさ)」という名前で呼ばれているのだとか。

 

「同じ血赤珊瑚でも、採れる場所によって生態が異なります。ヨーロッパの珊瑚は赤いけれど、ややマットな質感なんですよね。一方で、高知の珊瑚はガラス質で光を通します。そのルビーのように透き通った美しさが評価されていて、高知県産が世界で一番と言われていますね」

宝石珊瑚を気軽に身に着けられるジュエリーに

ブランド「宝石珊瑚アクセサリーtente」を手がける株式会社ワールドコーラルが創立したのは、今から約50年前。近藤さんのお父さまが立ち上げた、宝石珊瑚のジュエリーや美術品を扱う会社です。ネックレスやリング、ブローチなど幅広い作品を販売しています。

▲ ワールドコーラルの店舗には、宝石珊瑚資料館「35の杜」が併設されており、ジュエリーだけでなく宝石珊瑚を加工してつくられた彫刻作品や美術品も展示されています。繊細ながらも圧倒的な迫力!

今では宝石珊瑚の産業を牽引するワールドコーラルですが、当時高知で珊瑚を扱うお店としてはかなり後発組だったんだとか。

 

「もともとホテルの支配人だった父が、最初真珠の養殖に目を付けて、桂浜水族館の中でパール屋さんを始めたんです。でもなかなか育てるのが難しかったようで、次に目を付けたのが珊瑚のジュエリーでした」

「当時から珊瑚を扱うお店は数多くありましたが、数珠などあくまで珊瑚がメインの商品が中心。金具とコラボした例がまだなかったので、父は18金やプラチナ、ダイヤモンドなどと組み合わせて、珊瑚をジュエリーのひとつに押し上げようとしたんですよね」

 

さらに、当時日本人にはあまり人気がなかった、血赤珊瑚に目を付けた先代。ルビー以外に身に着けられる赤い宝石として、組合をあげてプッシュし始めたことも、高知の宝石珊瑚産業の発展に大きく関わりました。

 

そこから時は巡り、現在ワールドコーラルでは、20〜30代の若い世代にも気軽に宝石珊瑚を身に着けてほしいという思いで7つのブランドを展開中。Creemaにも出品している「tente(てんて)」は、デザイン・価格ともにより手に取りやすいブランドとして誕生しました。

「『てんて』というのは、高知の方言で『手』を意味します。子どもの健やかな成長を願い、宝石珊瑚をお守りとして持たせる高知の風習から、このブランド名を付けました。もちろん時代ごとのファッションやトレンドは追いつつも、素材である珊瑚がいかに生きるか、美しく見えるかを一番に考えながら、作品をつくる努力をしています」

▲ 桃色珊瑚を使用したシンプルなイヤリング。可愛らしい小ぶりなサイズですが、存在感はばっちり。

ワールドコーラルの作品は、すべて高知県で企画・制作され、加工を手がける職人さんもほぼ全員高知県の方なんだそう。カジュアルなファッションにも合わせやすい、現代的なデザインが魅力的です。

 

今後、近藤さんが力を入れていきたいと語るのは、「30代の厄年」に向けた作品づくりです。言われてみれば、前厄や後厄も含めれば女性の30代はほとんどの年が厄年(!)。

 

宝石珊瑚が持つお守りとしての特性を生かして、ライフステージや身体の変化が起こりやすいこの世代に身に着けてもらえるよう、組合をあげて取り組んでいく予定だそう。

ジュエリーでありながら、お守りでもある。そんな宝石珊瑚の可能性はまだまだ広がっていきそうです。

Creemaで見つけた、高知で活躍する宝石珊瑚クリエイター

高知県には、ほかにも宝石珊瑚を扱う作家さんがたくさんいらっしゃいます。石と違って珊瑚は加工できるバリエーションが幅広いため、個性豊かな作品が揃っているのも魅力。

 

伝統を継承しながら、宝石珊瑚の魅力を伝え続ける作家さんたちの作品をご紹介します。

米沢サンゴ店さん(高知市)

高知市のはりまや橋近くにお店を構える米沢サンゴ店さん。大正6年に創業し、珊瑚デザインコンテストでは数々の受賞歴がある老舗珊瑚店です。ネックレスやピアス・イヤリングなどのジュエリーはもちろんのこと、斬新なデザインのかんざしや着物の帯留めなどの和装小物や数珠も充実しています。ほかとかぶらないオリジナルのデザインがとても魅力的!

coral junさん(高知市)

宝石珊瑚の仕事を始めて60年。彫刻から宝飾品まで、幅広く創作活動をするコーラルジュンさんは、とにかく作品のバリエーションが豊富。一見似ているものでも、形や色味が少しずつ違うので自分の好みを見つけるのが楽しい! 繊細で、天然色の鮮やかな桃色珊瑚が映えるブローチは、フォーマルな装いにもばっちりハマりそうです。

コーラルさやさん(宿毛市)

“珊瑚のふるさと”と呼ばれ、かつては競りも行われていた宿毛(すくも)市。コーラルさやさんは、その道の駅の敷地内で、珊瑚を通じたお客さまとの出会いを大切にしながら加工販売をしています。

サクラをイメージしてつくられた桃色珊瑚のピアスは、春らしくて気分が上がりそう。普段づかいはもちろんのこと、上品なデザインなので、卒業式や入園・入学式などにもぴったりです。

ケンセン35さん(高知市)

「子どもから孫へ、代々宝物として持ち続けてもらえるものを」と、昭和6年から作品を作り続ける宝石珊瑚専門店・ケンセン35さん。カジュアルなファッションにも取り入れやすい、現代的なデザインのアクセサリーが魅力。珊瑚やパール、ビーズを組み合わせた「Circle【宝石珊瑚のまるい手刺繍耳飾り】」は、結婚式やパーティーにもつけていきたくなるキュートさです。

ひとつ持っておきたくなる“お守り”へ

高知で宝石珊瑚に携わる方々からは、日本の珊瑚漁業の発祥地であり、世界最高レベルの宝石珊瑚と加工技術を持つこの場所で、伝統を継承し続ける事業者としての誇りを感じます。

 

貴重な天然資源と、受け継がれてきた伝統を守りながら、時代に合うようにアップデートしていく。新しさを兼ね備えた現代的なデザインがどんどん増えている今、より幅広い年代の方たちに愛されるジュエリーの新定番になっていく未来が見えた気がしました。

 

また、宝石珊瑚の根底にあるのは、大切な人の健康を願う気持ち。自分のために選ぶのはもちろんのこと、大切な人への贈りものとしてもぴったりだと思います。(特に30代に入る友人にはぜひ贈りたい……!)

見て美しい“お守り”として、皆さんの心に馴染むものをぜひ探してみてください。

「高知ものづくり紀行」では、魅力的な高知の工芸作品を通して、伝統と新しさを兼ね備えた作品づくりに奮闘する職人の方々の想いをご紹介しています。

 

ぜひ、皆さんのお気に入りの作品を見つけていただけたら嬉しいです。素敵な作品との出会いがありますように。

※ 本記事は高知県の伝統工芸品・地場産品に係る販路拡大の取組の一環として、 株式会社クリーマが制作しています

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