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[お手入れ講座]こんな時どうする?シルバーアクセサリーのお手入れ方法(黒ずみ・変色編)
こんにちは。クリーマ編集部の柏村です。
基礎となるシルバーの特性や、セーム革を使用したお手入れをご紹介した普段使い編に引き続き、シルバーアクセサリーのお手入れ方法について、シルバージュエリーブランドsumiiroの澤井さんに教えていただきます。
今回は、お気に入りのアクセサリーにしつこい汚れや、黒ずみが発生してしまったら?と言う、特別なお手入れについてです。
少し拭いただけでは綺麗にならない、となると難しいケアが必要だ!作家さんに個別にメンテナンスしてもらわなくちゃ!と心配になってしまいますが、実はそんな時でもシルバーアクセサリーは、簡単に自分でお手入れ出来てしまうんです。
実際に、お手入れグッズを使いながら、その方法について教えていただきます。
拭いても取れない汚れがある。こんな時どうすれば?
-前回は普段使いの際に気を付けることやお手入れの方法を教えていただきましたが、実際に汚れてしまった、変色かもしれない、と言う時にはまずどうしたらいいでしょうか?
「少し拭いただけでは取れない汚れには、お湯洗いが一番お勧めです。そもそも日常的な汚れと言うのは、皮脂汚れによるものが多いですので、普通の洗濯や食器洗いと同様、お湯で落ちやすい性質があります。
それでも落ちない場合には、お湯に食器用洗剤などの中性洗剤を少し入れていただいて、混ぜた状態の液体に浸して洗い、ゆすいでください。指輪などだと指紋がついて取れない、と言ったような汚れがありますが、この方法で綺麗になることが多いです。
まずはこちらの方法を試していただいて、それでも取れない、と言う場合は硫化による変色が進んでいる可能性が高くなりますので、これからご紹介する方法を試していただければと思います。」
シルバークロスでまずは手軽に
-では、黒ずみが出来てしまった場合のお手入れ方法について、具体的に教えていただけますか?
「大まかに分けると3つの方法があります。クロス、クリーム、液体です。中でも一番身近なクロスでのお手入れからご紹介します。
「シルバークロス」と呼ばれるクロスについては、基本的はから拭きするだけですので、一番手軽にやっていただけると思います。クロスはセーム革とは違って研磨剤が含まれていて、拭くだけで表面が磨けるもので、大体1枚300円~500円位でしょうか。
拭いた後に、アクセサリー側に磨きカスが少し残っているな、と言う場合には、お湯などで洗ったり、柔らかい布で拭いたりしていただければと思います。
注意点としては、サテン仕上げや梨地仕上げなど、白仕上げやマットな加工のものには使えないと言うことです。
こういったアクセサリーは、表面に細かいテクスチャーを入れて仕上げてあるので、磨くことでそういったテクスチャーが取れてしまい、仕上げが薄くなってしまうんです。なので、ツヤのある、磨き上げたタイプの物の場合に使用いただければと思います。
こういったいぶし加工のものについては、その多くがアクセサリーの凹凸のへこんだ部分が黒く、出っ張った部分が銀色の加工になっていて、クロスであればその出っ張った部分にのみ当たりますから、そのまま使用していただいて大丈夫です。元々作成段階でも、一旦全て黒く加工した上で、凸部分のみを磨いて今の状態になっているんですよ。
他の注意点としては、新品のものには使わない、と言うことでしょうか。日常的に使用し、こまかな傷などができたアクセサリーの黒ずみを取る、と言う段階であれば気にならないと思いますが、新品のまっさらな物にクロスを使ってしまうと、磨き跡が気になってしまうと思います。新品にはセーム革。黒ずみが気になったとき、初めてクリーナーの出番です。」
-神経質になりすぎて、日常の汚れ程度なのにこういったお手入れをしてしまうと、逆に良くないと言うことですね。
ツヤを出すにはシルバーポリッシュ
「表面に加工の無いものにだけ使用できる、と言う意味ではクリームタイプのクリーナーも同じです。こちらは、クロスよりもツヤが出る、ツヤを出しながらお手入れをするものになります。「コンパウンド」や「シルバーポリッシュ」と言う名前で販売されています。大体500~1,000円位のものが多いです。
こちらはティッシュや布などに少量取っていただいて、クロスと同様に黒ずみ部分を拭います。クロスの場合は黒ずみを削り取る、と言うイメージですが、クリームは削り取るプラス光沢を出して磨く、と言うイメージです。
クリームの場合は磨いた後にべたつきが残る場合がありますので、気になる時にはクロスでのお手入れと同様に、乾いた部分で拭ってもらったり、お湯洗いをしたりしていただければと思います。
注意点や使用できないアクセサリーについては、基本的にはクロスと同じです。」
細かなデザインや、表面加工のアクセサリーには液体クリーナーで
「最後は、液体クリーナーでのお手入れです。
こちらは、クロスやクリームではお手入れ出来ない、表面に加工のあるシルバーについて、表面を削らずに、化学反応で変色が取れるお手入れ方法です。後はチェーンのような細かなデザインや細工のある物で、手作業では対応できない箇所をお手入れするのに適しています。こちらも1,000円前後のものが多いですね。
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気を付けていただきたいのは、こちらは酸性の液になりますので、一番取り扱いに注意が必要なものだと言うことです。肌に触れると荒れてしまったり、後はステンレスなどに反応するので、台所のシンクなどで作業をして液をこぼしてそのままにしてしまうと、変色してしまったりします。
ですので、使う時には素手では触らず付属のピンセット(プラスチック製など)や割り箸などを使用いただくこと、お手入れをしたアクセサリーは、必ず水やお湯で洗い液をきちんと流すと言うことを、忘れないでいただければと思います。液体については、数秒漬けるだけで綺麗になりますので、漬けすぎないように、と言うのも注意いただきたいです。
後は、先ほどのステンレスのように、シルバー以外の素材には別の反応をしてしまうこともありますので、天然石がついている物などにも使用いただくことはできませんし、細かな部分まで反応してしまうので、いぶし加工のものにも向いていません。」
アクセサリーの素材を知ることから
-お手入れしたいアクセサリーにどんな加工がされているか、シルバー以外にどんな素材が使用されているかなどによって、お手入れ方法が変わってくるんですね。
「そうですね。例えば、内側がシルバーだったとしても、メッキがかかっている物にはこのようなお手入れ方法は行うことが出来ません。クロスやクリームで磨いた場合には、メッキ自体がはがれてしまいますし、液体のものだと、メッキ部分に違う反応をしてしまって寧ろそこが黒ずんでしまう、と言う可能性もあります。」
-自分の持っているアクセサリーがどのような素材か、と言うことについてはきちんと把握しておきたいですね。
シルバーアクセサリーをもっと気軽に。お手入れで末永く
-普段使いのお手入れはもちろんですが、今回教えていただいた方法も、想像以上に手軽で時間もかからないものばかりで、イメージがぐっと変わりました。
「シルバーのアクセサリーを販売しているとやはり変色について心配される方も多いですが、こうやってやり方をきちんとお伝えさせていただくと、想像以上に難しくないと思っていただけるのではないでしょうか。
シルバーの変色は自然に起こる物ですが、それを自分でお手入れ出来るということが良いところです。ですので、あまり構えず、変色することを恐れずと言うか、心配し過ぎずに気軽に着けていただき、お手入れをしながら末永く使っていただきたいですね
ご紹介したように、それぞれのクリーナーの使い方は難しくありませんが、はじめてお使いになる前には、まずはそのクリーナーの説明書をきちんと読んでいただければと思います。」
シルバーアクセサリーの変色・黒ずみのお手入れを学んで。気軽に身に着け、変化を楽しむこと
シルバーと言えば一番心配になる変色について、実際のお手入れ方法を教えていただき実践する事で、その簡単さを身を以て体験することができました。気軽に使っていただきたい、という澤井さんの言葉通り、今まで素材の事をよく知らず勝手に敬遠していたと、改めて反省しました。
また、黒ずんだアクセサリーが磨くうちにどんどんと輝きを取り戻していく過程は楽しく、ピカピカになったその姿には達成感すら感じました。眠っている変色したシルバーアクセサリーをお持ちの方は、一度試してみるとこんなにきれいになるんだ!と言う驚きと同時に、楽しさや嬉しさを感じていただけるのではないでしょうか。
シルバーのアクセサリーをお持ちでない方も、これをきっかけにぜひお気に入りのシルバーアクセサリーを探してみて下さい。