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初心者でも大丈夫!盆栽作家に聞く、盆栽の育て方・選び方・お手入れ方法のコツ

2023.01.27
初心者でも大丈夫!盆栽作家に聞く、盆栽の育て方・選び方・お手入れ方法のコツ

盆栽の育て方やお手入れってなんだか専門知識が必要で難しそう、と思う方も多いはず。

そんな盆栽ですが、初心者でもおすすめの盆栽の種類を選んで、水やりや置き場所、お手入れのタイミングなど、ちょっとしたコツを踏まえるだけで、元気に育ってくれるのだとか。

今回は盆栽作家のSekibokkaさんに、初心者さんにおすすめの盆栽の選び方や育て方を教えてもらいました。

 

最近では海外でも「BONSAI」で通じるほどじわじわと人気が高まっている盆栽。これからの季節は梅や桜など、開花を楽しめる種類もあります。観葉植物やサボテンと違い、手のひらサイズで四季の変化をたのしめるのが盆栽の大きな魅力。ぜひ今年は、盆栽をそばに置く暮らしを始めてみませんか?

目次

● 盆栽とは

● 盆栽作家さんに聞いた、初心者におすすめの盆栽の種類

 − 四季を身近に楽しみたいなら

 − ぱっと咲き誇るお花を楽しみたいなら

 − ぽつんと成る実を楽しみたいなら

 − ずっと屋内で育てたいなら

● プロが伝授。盆栽の基本の育て方やお手入れ方法

 − 育てる場所

 − 水やり

 − 長期外出時の水やり

 − お手入れと植え替え

● 盆栽を育てるうえで気を付けること

 − "人も植物も一緒" だということ。

 − 雨は天然のシャワー。

 − 肩ひじをはらずに。

そもそも盆栽とは?

▲ こちらは盆栽やすさんの黒松。黒松は寒暖差に強く、害虫もつきにくいので、はじめての方でも育てやすいといわれています。

盆栽とは、「鉢植えの樹木」のこと、もしくは花盆などの鉢植えのなかで草木を育てながらその植物ならではの美しさを追求していく日本の伝統的な芸術のことを指します。ただ花や草を鉢に植えて楽しむだけでなく、草木や樹木に繊細な美的感覚をもってたのしむその行為は、まさに生きる日本の芸術そのもの。

 

盆栽の始まりは鎌倉・室町時代から、とも。初期は上層階級の間で楽しまれてきていましたが、江戸後期頃には、市井の人々の間でも親しまれるようになりました。実は、盆栽には細かな仕立てのルールはあるものの、生け花のような流派などはないのだそう。
 

——日常の中にほっと一息、心休まる時間がほしいな。
そんなとき、盆栽を手に取ってみてはいかがでしょうか。手のひらサイズで四季の変化をたのしめる盆栽は、そこにあるだけで心が少し潤うような感覚にさせてくれます。そして、長く育てるほどに愛着も沸いて、あなたの小さな相棒のような存在になるはずです。

今回、盆栽の育て方やお手入れ方法を教えてくださったのは石木花(Sekibokka)さん

今回お話を伺ったのは、Sekibokkaさんです。

代表の後藤さんは、自然を深く愛しており、山歩きや山菜採集、釣りであったりと、ライフワークとして人里離れた山や川、海へよく足を運んでいたそうです。小学校3年生のころには園芸好きのお母さまの影響で盆栽を種から育てていたのだそう。

かねてから「自然の良さ、美しさを表現する活動がしたい」という想いがあったというSekibokkaさん。日本の素晴らしい伝統文化である盆栽をより身近に、より自然に、現代の暮らしのなかで楽しんでほしい。そんな想いで、自然豊かな山形を拠点に2003年から制作活動をしていらっしゃいます。

盆栽作家さんに聞いた、初心者におすすめの盆栽の種類

盆栽の種類には、育てる環境によって向き、不向きがあるので、シチュエーションや魅力ごとにおすすめの盆栽の種類をご紹介します。自分のお家の環境や、置きたい場所にあわせて選んでみてください。

——四季を身近に楽しみたいなら

ヤマモミジ/ケヤキ/トウカエデ

▲ ニレケヤキ|瑠璃色のうつわ
夏には爽やかな緑色の葉、秋には鮮やかな紅葉、冬の寒樹姿など、四季折々の姿を楽しめるケヤキ。秋には室内で紅葉狩りもできますよ。
▲ いまは寒樹の姿ですが、春には新芽が芽吹きます。

春には芽吹き、夏には涼やかな葉が茂り、秋には紅葉し、冬には落葉する。鉢のなかで巡る四季折々の変化が美しい木々たちです。また落葉樹と呼ばれる種類は日本らしい、わびさびの美しさが楽しみやすい種類です。
北向きのお部屋など、日当りがあまりよくないというところでも元気に育成しやすい種類が多いのが特徴。そうした環境で育てたい方にもおすすめですよ。

——ぱっと咲き誇るお花を楽しみたいなら

桜/コメツツジ/長寿梅/白鳥花

▲ 旭山桜|L|受け皿セット
日本人にとって、とても親しみのある桜。外でのお花見は風物詩ですが、時にはお家でのんびり、小さな桜でお花見というのも粋な楽しみ方ではないでしょうか。
▲ 手のひらに乗るほど小さな桜ですが、枝先いっぱいに花を咲かせます。

観葉植物などに比べて、お花が楽しめる木がたくさんあるのも盆栽の特徴。さまざまな人から愛される桜の木は、花だけでなく葉桜や秋の紅葉も楽しめます。
また、長寿梅や白鳥花は四季咲きといって、春と秋の年2回花を楽しめます。日々お世話している木が立派に花を咲かせると、喜びも大きいですよ◎

——ぽつんと成る実を楽しみたいなら

カマツカコケモモ/シロシタン/トキワサンザシ

▲ カマツカコケモモ|檸檬色のうつわ
枝先に可愛らしい実をいっぱいにつけるカマツカコケモモ。とても実つきのいい樹木で、耐暑性・耐寒性もあり、育てやすい樹木といわれています。
日当たりを確保してあげればとても丈夫で育てやすい樹木なので、植物ビギナーの方にもおすすめです。
▲ 春に花を咲かせ、実をつけます。やがて実が赤く色づき可愛らしい姿を楽しめます。

秋~冬にかけてまっ赤な実をつける木々です。実を付けるので、同時にお花も楽しめる木でもあります。そしてお花の後には緑色の小さな実が成り、少しずつ膨らんで色づく過程も楽しめるので変化が楽しい木々たちです。植物の変化を身近で楽しむことができますよ。

——ずっと屋内で育てたいなら

白鳥花/香丁木/姫クチナシ

▲ 白鳥花|Limited color
白鳥のように純白の花を咲かせることが「白鳥花」の名前の由来。
▲ 花は春と秋の2度咲くので、楽しみも2倍。小さな鉢で花咲く可憐な姿をお楽しみください。

ずっと室内で育てるというのは、盆栽にとっては少しハードルが高いのですが、そういう環境に適応できる木もあります。
基本的に「冬も比較的暖かい屋内で冬を越せる」種類は、室内でも育てやすい傾向があります。こうした種類は、ベランダがないお部屋の方も育てやすいですよ。

盆栽の基本の育て方

盆栽をお迎えしたい! と思っても、「どうやって育てればいいんだろう……」「お手入れが難しそう」と思う方もいるかもしれません。盆栽の基本の育て方からみていきましょう。

◯ お家に盆栽がやって来た。

お家に盆栽がやってきたら、届くまでの間に少し乾燥している場合があります。まずはたっぷり水をあげてください。

◯ 育てる場所

盆栽を育てていくのに適した場所は、日当りが良く風通しの良い所。例えば、バルコニーやベランダ、窓辺などが最適です。しかし種類によって日当りが好きな木や、日陰が好きな木があります。できるだけその木の性格に合った場所で育てるよう心がけてください。

 

ベランダやバルコニーの室外機の前は、熱風が吹き付けて枯れる原因となるので避けるようにしましょう。また、エアコンや暖房の風があたる場所も過度に乾燥して傷んでしまいます。

◯ 水やり

盆栽のお世話で最も大切なのは水やりです。水やりの基本は「乾いてきたら、たっぷり与えること」。

乾きを知るには、苔の乾き具合を見たり、手に取ったときの重さだったり、いろいろな情報があります。しばらく育てるうちに身についてきますが、よく分からないうちは春と秋は1~2日に1回、夏は1日1回、冬は3~4日に1回を目安にしましょう。

ポイント
苔は湿っていると深い緑色でしっとりしています。そういう状態のときは、無理にお水をあげなくても大丈夫。また、屋内・屋外でも乾き方は全く違いますので、日々挨拶(観察)するようにしましょう。とくに朝チェックし、お水をあげると良いですよ。

◯ 長期外出時の水やり

お出かけで2~3日ほど水の管理ができないときは、腰水(こしみず)という方法が効果的です。

腰水とは、水を張った容器に鉢の三分の一くらい漬けておく方法。なお、腰水を行うときは、盆栽を日陰などに移動させて、蒸れないように注意しましょう。

◯ お手入れと植え替え

鉢植えの植物は鉢のなかいっぱいになった根を整理することで何十年も健康的に育成できます。少し大きな鉢への植え替えや、根っこを減らしてまた同じ鉢に植える方法があります。2~3年に1回を目安に、植え替えしてください。

盆栽を育てるうえで気を付けること

——"人も植物も一緒” だということ。

植物は喋ってくれないので、いまいち状態が分かり難いと感じるかもしれません。そんなときは「植物も人も、同じ感覚を持っている」ということを意識してみて下さい。

例えば、春の陽気の気持ちいい季節は、たっぷり日差しを浴びたくなりますが、夏のカンカン照りの日差しは何としても避けたいと思うはず。意外とそういうところは、植物も一緒です。人が心地良いと思う日差しや気温の時は積極的に日に当てて、夏は日陰の涼しいところに移動してあげてくださいね。

——雨は天然のシャワー。

植物にとって雨は最高のリフレッシュになります。寒い時期や冬は別ですが、春~秋にかけて、たまには優しい雨に当ててあげましょう。きっと雨上がりには葉は青々として、瑞々しい姿を見せてくれますよ。

——肩ひじをはらずに。

盆栽というワードを聞くと身構えてしまう気もしますが、実際にはプロフェッショナルな技術がなくても十二分に楽しめるのが盆栽です。「日々お世話をしながら、少しづつ色々なお世話の方法を覚えていこう」というくらいの気持ちで、気軽に楽しんでいただけたら嬉しいです。

自然が身近にある暮らしをしよう

盆栽と聞くと「お手入れが難しそう」「育て方が分からない」など、すこし敷居が高く感じられるかもしれませんが、基本の育て方を押さえれば暮らしのそばでたのしめる気軽な存在に。

最近では、育てる環境によって盆栽の種類を選ぶことで、自分のライフスタイルに合わせて育てることもできるので、この機会に盆栽を暮らしに取り入れてみてください。

石木花の思う盆栽は、自然そのもの。手のひらのなかの “小さな自然” は、四季折々に美しい表情を見せてくれます。暮らしの中に盆栽を取り入れ、静かな潤いに満ちたひと時をお楽しみいただけましたら幸いです。

(Sekibokkaさんからのコメント)

Sekibokkaさんについて


「暮らしの中に自然を取り込み、愛で、美を感じる」

日本の素晴らしい伝統文化である”盆栽”を より身近に、より自然に、現代の暮らしの中で楽しんでいただきたい。そんな思いを込めてものづくりをしています。石木花と出会ったお客様が、暮らしの中に自然を取り入れることで潤いに満ちた日々をお過ごしいただけますと幸いです。

【植物について】
植物は種まきや挿し木から、愛情を持って育成しています。植栽するまでには数年かかり、長いものでは10年以上管理した苗もあります。植物の声に耳を傾け、その個性を生かせるよう日々努力しております。


【鉢について】
植物に合わせる鉢は「すべて手作りの一点物」です。
ひとつひとつ手捻りという技法で成形します。既存の概念にとらわれない、石木花らしい鉢を求め、現在は「Palm(パルム)」シリーズを主軸にラインナップを展開し、制作しています。

Sekibokkaさんの作品一覧はこちら

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