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京都の職人に聞く 京焼・清水焼の特徴とは? 京焼・清水焼おすすめ15選
長い歴史の中で受け継がれてきた、さまざまな文化や伝統が息づく街・京都。
西陣織に京友禅、京うちわに京料理…… 日本を代表する伝統産業も数々存在しますが、中でも多くの方がなじみ深いのが「京焼・清水焼」ではないでしょうか。
手作業から生まれる繊細な絵付けやその使いやすさから、古くは貴族や茶人、現代では一般家庭に至るまで、多くの人々の暮らしを彩ってきました。
今回は、京焼・清水焼の職人・ittou 春田さんにお話を伺いながら、京焼・清水焼の特徴やほかの焼きものとの違いを、Creemaで見つかるおすすめのうつわとともにご紹介します。
特徴や魅力を知れば、これからのうつわ選びがもっと楽しくなるはずです。
“京焼・清水焼”とは? 京焼と清水焼の違い
京焼・清水焼は、京都を代表する伝統工芸品のひとつ。現在は京都で焼かれる焼きもの全般が「京焼・清水焼」と呼ばれています。「京焼」は、京都で焼かれる作品の総称のこと。対して「清水焼」は、清水寺の参道である五条坂で作られていた焼きもののことを指すそうです。
そもそも京都の焼きものづくりには、他地域の伝統的工芸品の焼きもののように、決まった土や技法で作らないといけない、というルールはありません。京都で焼きものが作れる土が採れなくても、京の都に集まるたくさんの貴族や茶人などの人々の求めに応じるべく、柔軟に焼きものづくりをしてきた背景があります。
そのような中、今では「清水焼」の名称をよく耳にしますが、一体どうしてなのでしょう。京焼との違いについて、春田さんに詳しく伺いました。
もともとは粟田口焼や清水焼など、京都の焼きものを総称して「京焼」と呼んでいました。
(ittou・春田さん)
かつては京都で土が採れたこともあり、その土を使って粟田口焼などさまざまな焼きものが生まれましたが、やがて土も掘りつくして京都の土を使った焼きものは作れなくなっていき、時代の流れとともに清水焼だけが残っていったんです。
今では京焼=清水焼になっています。
京焼・清水焼の歴史や特徴
安土桃山時代から、茶の湯の普及とともに京都で茶道具やうつわが作られるようになり、焼きものが盛んになっていきました。多くの窯で粟田口焼・楽焼といった焼きものが作られ、これが「京焼」の始まりと言われているそうです。
江戸時代になると野々村仁清や尾形乾山などの名だたる職人が登場し、「京焼」の価値はどんどん高まっていきました。
明治時代に入ると海外へも進出し、新しい技術や魅力を取り入れながら、多くの魅力的な作品が生み出され続けてきた京都の京焼・清水焼。
高い技術を持ち、一貫して手仕事にこだわっていることや、伝統を重視した繊細さを持つのが京焼・清水焼の特徴です。
かつて京都に都があった時代、全国各地から選りすぐりの職人が京都に集まり技術を磨いていたことから、現在の上質で高い技術を誇る京焼・清水焼へと繋がっていったそう。
ただし一方で、京焼・清水焼には決まった技法や個性があるわけではなく、さまざまな技術を取り入れながら現代まで発展してきました。
——ここからは、個性や手法も異なる3名の職人の作品を通して、実際の京焼・清水焼の魅力を見ていきましょう。
日常に溶け込み、暮らしを豊かにする工芸品づくり ittouさん
清水焼の良さや技術は残しながら、現代の家庭にも自然に溶け込むうつわづくりをされているittouさん。
もとは割烹食器を作ってきたことから、料理屋さんのうつわのような優美なデザインが素敵です。高級感や特別感はそのままに、ご家庭でも使いやすいよう重さや薄さまでこだわり抜かれています。
「料理が乗ってこそのうつわ。独りよがりにならないよう、料理を引き立てられるうつわ作りを目指しています」と語ってくださったittou・春田さん。
華やかながら料理をしっかり引き立ててくれるittouさんのうつわは、これからのお正月シーンにもぴったりです。
現代の暮らしになじむ、モダンなうつわ gankaさん
明治初期から続く歴史ある京焼の窯元・gankaさん。鳥をモチーフにしたモダンなテイストが特徴で、伝統技術を守りながらも使いやすいうつわづくりを心掛けています。
モダンテイストのうつわは和食にも洋食にも合わせやすく、ひとつあればさまざまなシーンで活躍してくれそうです。マグカップやお皿、お茶碗など、鳥モチーフで揃えれば一気に食卓に一体感が生まれます。
スイーツのようなうつわで、食卓に彩りを。洸春窯さん
洸春窯さんが手掛ける京焼・清水焼は、アイシングクッキーのようなぽこぽことした立体感がある「いっちん」という技法を使って作られているのが特徴。
粘土をペースト状に水で溶いて袋から絞り出し、まさにスイーツ作りのように描画しているそうです。
見て触って使って楽しい、洸春窯さんのうつわ。お皿は食器としてだけではなくアクセサリートレイや鍵置きとして飾っておけば、目に入るたびに心をときめかせてくれそうです。
Creemaで見つけた、京焼・清水焼のうつわ7選
決まりきった技法がない京焼・清水焼は、職人の数だけ特徴や魅力、テイストも異なります。
マグカップや皿、スープカップまで…… 4人の職人が手がけるおすすめの京焼・清水焼を7作品ご紹介します。
色とりどりの十草模様が目をひくShunさんの湯呑み。十草は力強く真上に向かって成長することから、成長や繁栄を願う柄、または金運を招いてくれるともいわれている縁起の良い柄なのだそう。
毎日使いたくなる、手に馴染むきゅっとしたフォルムも魅力的です。
Shunさんのこちらのスープカップは、土の色を感じる優しい色の陶肌に鮮やかな紅葉がよく映えます。こんなスープカップがあれば、使うたび紅葉狩りに来たようなはんなりとした気分になれそうです。
優しい色合い・タッチで絵付けされた、あかね屋さんの猫のマグカップ。しっぽでハートを作っている仲睦まじい二匹の猫にほっこり癒されます。
いっちん技法で縁取られた、ぷくぷくと立体感がある手触りもポイントです。
鳥獣戯画の絵付けが施されたあかね屋さんのこちらのセットは、豆皿としても箸置きとしても万能に使える優れもの。今にも動き出しそうな動物たちは躍動感があり、ひとつ一つの絵柄に物語を感じます。
トルコ青の釉薬と陶肌のコントラストが美しい楽入さんのそば猪口。
お蕎麦のつゆ入れとしてはもちろん、料理の小鉢やお飲み物用のコップとしてなど、様々な用途で活躍してくれます。
うつわだけではなく、「京焼・清水焼」にはこんな可愛らしい置物もあるんです。楽入さんが手がける赤べこの親子は、縁起物としてお正月飾りにもぴったり!
細やかにお花模様が描かれた森里陶楽さんの箸置き。ちょこんとした可愛らしいサイズ感ながら、京焼・清水焼らしい繊細で上品な細工を感じられます。
お正月にぴったりの作品も。京都が誇る「京焼・清水焼」の数々をお楽しみあれ!
今回ご紹介した京焼・清水焼を通して、京都の伝統や職人の技術を存分に堪能できる企画 「京都 うつわ紀行」がはじまりました。
京焼・清水焼は、今回ご紹介した5作品以外にも、デザインや形、色合いまでさまざまな作品が多数ご出品されています。
京都が誇る伝統的工芸品「京焼・清水焼」の数々を、京都の街をめぐるようにじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。