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「今、私が会いたい人」お花の無限の可能性をもっと魅力的に伝えたい|フラワーデザイナー・310cafeさん

こんにちは。Creema Store(札幌ステラプレイス)店長の西口です。
普段は北海道・札幌の店頭でさまざまなクリエイターの魅力を手にとっていただく形で体験していただけるよう、定期的に入れ替わる作品ラインナップやテーマ・企画を考えたり、店舗運営全般を行ったりしています。
そのCreema Storeで人気なのが、お花を使った作品や、お花のモチーフの作品。実は私、以前は生花店で高価なお花を買うということにも共感ができないほど、花柄はもちろん、お花そのものにも関心がなかったんです。
そんな私が初めて、「お花って可愛い!」とその魅力に気付かせてくれたのが、310cafeさんの作品。310cafeさんの作品に目を奪われ「可愛い! これを身につけたい」と思いました。最初は「この作品が素敵」と思ったのですが、これがきっかけとなり、「お花って可愛い」と思うように。今は花柄も、お花そのものも大好きになったんですから、不思議です。
ユーカリ外せる2wayの耳飾り(イヤリング可)
Creema Storeは商業施設の一角にあるのですが、同じビルのお花屋さんに「この作品を作っている方って、絶対にお花が大好きですよね」と言われるぐらい、310cafeさんの作品にはお花への愛が溢れています。
今回はお店から離れ、そんな作品を手がける、フラワーデザイナー:310cafeの林さんにインタビューさせていただきました。

種から育ててドライフラワーにすることも。お花への愛ゆえの素材のこだわり
ーーまずは制作現場へ…… ドライフラワーや乾燥中のお花がずらりと並ぶ工房に思わずテンションが上がります!

「餅は餅屋」と思っているので、ドライフラワーは購入することも多いのですが、業者さんにはない花材や色は自分で作っています。カーネーションなどは試作を重ねたので今は自分好みの色や咲き方で作れるし、出来立ての緑の鮮やかさは業者さんに引けを取らないと思っています!

ーーほんと、生花みたいに瑞々しい色! 310cafeさんのドライフラワーは自然の色なのに美しい。どうやって作っているんでしょうか?
まずは街のお花屋さんで買ってみて、気温や湿度を調整しながら何度も試して、「これ!」というバランスを見つけたら、花市場で大量購入してドライフラワーにするんです。
お花によっては種から自分で育てて、それを押し花やドライフラワーにしているものもあります。7〜8種類ぐらいでしょうか。紫陽花など土のpH※で色が変わるお花は土や肥料の工夫をしていますし、日当たりで発色が変わるビオラや勿忘草は日に何度か鉢の場所を変えたりしています。
毎日お水をあげないといけないので、家をあけるときはペットを預けるように友人にお花を預けたりしてますね(笑)
作品の色持ちを考え、満開になった瞬間に収穫し、素早く押し花やドライフラワーに加工することを大切にしています。
※pH:酸、アルカリの度合いの強さを表すときに使う単位で、水素イオン指数のこと。
お花の無限の可能性をより魅力的に伝えたい
ーーCreema Storeでも大人気のガラスフレームのアレンジメント、あれはどうやって色の配色やお花のバランスを決めているんですか?
この作品は奥行きよりも高低でリズムを作り、音符の並ぶ五線譜のような足取りの軽さを表現したい、という思いから生まれたものなんです。誰もが過ごした幼少期の散歩をイメージしながら、散歩道のような景色を切りとって形にしています。
お花の仕事を始めた頃に、カラーコーディネーターとフラワーデザイナーの資格を取っているんです。そういった考え方も踏まえて、複数個の同じ作品を作る時でもお花の個体差を大切にしつつ、遠くからみたときに一定の色の濃さ、バランスになるように意識しています。
事前にデッサンを描くというよりは、お花を見て組み合わせています。例えばお花屋さんでも、その日に入ったお花でデイリーブーケを作ると思うのですが、それと同じ感覚ですね。
目の前のお花の魅力を引き出すように、組み合わせて作っています。
ーーフラワーデザイナーとして今の活動を始める前は、お花屋さんに勤めていらっしゃったんでしょうか?
そうなんです。実際に働いていたのは3〜4年ほどでしたが、商業施設の装飾やブライダルの仕事も多く、さまざまな経験をさせてもらいました。
この2wayのアクセサリーは、普段使いはもちろんですが、ウェディングでも使ってほしいなと思って作りました。お花屋さんだった頃にブライダル用にキャスケードブーケを用意することがありました。名前の通り、小さな滝が流れるようなデザインのブーケなのですが、そんなシルエットを意識しています。
お色直しでイメージを変えられたら素敵だなと思って、ユーカリの部分を取り外せるようにしました。また、お花をレジンで平坦に固めてしまうのではなくお花独特の丸みが損なわれないようなコーティングを意識しています。
ーー私も愛用させていただいていますが、そんな誕生秘話があったなんてびっくりしました! 確かにこの耳飾りは横から見ても立体感があって、お花が咲いているみたいですごくきれいですよね。




ーー310cafeさんの作品はデザインの幅が広くて、新作が出るたびに驚かされているのですが、そのインスピレーションの源はどこから来るのでしょうか?
お花が大好きなので、そのお花ごとにどうやったらより魅力を引き出せるんだろう? と考えながら作ることが多いです。例えばふわふわ広がるカスミソウの一輪や、まぁるい紫陽花の1枚のガクのような、細かな造形に目を奪われて、その美しさや可愛らしさをアクセサリーにして伝えています。
あとは、お客さまの声がきっかけのこともあれば、勝手に手が動いてしまうことも。自分にとってアクセサリーだとかインテリアなど、ジャンルへのこだわりや違いはないので、「お花の無限の可能性をより魅力的に伝えられるものを作りたい」と思うと、色々広がっていくんです。

小さい頃から「お花屋さんになるんだ」と思い込んでいました
ーーお花屋さんから個人の作家活動への移行と、憧れのキャリアのように感じますが、かねてからこの道を想像していたのでしょうか?
先ほども少し触れましたが、お花屋さんで働いていた期間というのは3〜4年と決して長くはありません。ヘルニアをこじらせてしまい、立ちっぱなしでの仕事ができない状況になったため、お花の仕事を離れることになりました。
その後は、やりたいこともないまま勤務エリアと時間で仕事を選んだりもしていましたが、そうこうしているうちに結婚し、出産し、子育てで忙しい毎日を送っていたんです。
そんな中、子どもの卒園式でコサージュを手作りするワークショップを開催することになって。ママ友にハンドメイドサイトのことを教えてもらったり、たくさんの出会いに恵まれ今に至ります。
最初は造花から始めたのですが、「やっぱり本物のお花を使いたい」と思ってドライフラワーに、そしていつのまにかお花を育てるところまでやっています。
自分でもよくわからないのですが、小さい頃から当たり前のように「私はお花屋さんになるもの」と思い込んでいたんです。「明日晴れだって」と同じぐらいの感覚で。自然になるものと思っていたんです。
形は違えど、こうやって実現できたのは嬉しいですね。
ーードライフラワーを作ったりお花を育てたりしている空間は、まさにお花屋さんでした!

お花って食べ物でもないし、生活必需品ではない。無くても誰も困らないし生きていけるけれど、あったら嬉しいものだと思うんです。
子どもの頃、風邪を引いた時にオリヅルランというお花を眺めながら過ごした時間がなんとなく原風景としてあるんですよね。高熱で寝転がった視界に花びらの裏側がキラキラしていた記憶があって、一人ぼっちでお留守番というより、お花が一緒にいてくれたような安心感があったんです。
そんな、お花のある生活と無い生活の違いを子どもの頃に体感しました。
生活しているといろいろなことが起きますが、お花があるとちょっとウキウキしたり。飾ってあるだけで眺める時間ができて、心が安らいだり。
アクセサリーでもインテリアでも、お花が身近にあることで誰かの暮らしにちょっとした楽しい気持ちや息つく時間を届けられる、そんなきっかけになれたらと思うんです。
インタビューを終えて
310cafe:林さんが「お花を愛でながら、それを肴に飲める!」とおっしゃっていましたが、お話を聞きながら、心からお花を愛していらっしゃることがひしひしと伝わってきました。
そんな愛情が詰まっているからこそ、お花に全く興味のなかった私も思わず惹きつけられたのだと思います。

310cafeさんの作品は、飾るお花から身につけられるお花まで、お花本来の美しさを活かしたものばかり。自分がちょっと気分を上げたい時もそうですが、贈り物にもぴったりなんです。
ぜひ皆さんにもお手にとっていただけると嬉しいです!
そしてちょうど今、8月1日〜31日までの1ヶ月間、Creema Store(札幌ステラプレイス)では310cafeさんが出展中です! 札幌駅直結のビルなので、札幌にお住いの方や近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
スタッフ一同、心よりお待ちしております!
