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照明作家「Yuji hom sakaguchi」坂口さん-素敵で機能的な照明を作りたい_作り手インタビューvol.23
こんにちは。クリーマの柴田です。
暖かくなるこの季節、引っ越しをされる方やお部屋の模様替えをされる方も多いのではないでしょうか?
最近は、以前にも増してお部屋にこだわる方が増えてきたような気がします。
私もそんな一人で、引っ越しを機にラグを替えたり、植物を買ったりしました。
「お部屋にこだわる」というと、テーブルやソファについつい目がいってしまいますが、実は一番のキーアイテムとなるのが「照明」だったりします。
照明の良し悪しで部屋の良し悪しが変わる、といっても過言ではないぐらいに。
その証拠に、インテリアの世界には「照明デザイナー」という専門の分野が存在しています。
今回お話しを伺ったのは、そんな照明を専門に作り続ける、「Yuji hom sakaguchi」照明作家:坂口さん。
クリエイターの街としても知られる福岡県糸島市にある、坂口さんのご自宅兼工房におじゃましてきました
物心がついた頃からずっと「ものづくり」が好きなんです
>照明作家になったきっかけを教えてください
今思えば、小さい頃からずっと「ものづくり」をしていました。
自分にとっては自然なことで、最初は木工の小物作りからはじまり、高校生ぐらいになるとオシャレな雑誌に載っているようなラックが欲しくなって。
でも高くて買えないじゃないですか。
そこで、「だったら自分で作ろう」となるわけです。
大学生の頃は、全く違う分野を学んでいたのですが趣味で家具を作ってはフリーマーケットで売って、お小遣い稼ぎをしていましたね。
自分が作ったものを、買った人が喜んでくれるのは、やっぱり嬉しかったです。
今でも休みには趣味でDIYをしています。
根本的に「ものづくり」が好きなんです。
きっかけは「自分が一人暮らしを始めたら、絶対この照明を買いたい」と言った高校生の一言
>色んなものを作っていらっしゃったようですが、「照明作家」に決めたきっかけは何かありましたか?
最初の頃は、家具と照明を扱うインテリアショップをオープンさせました。
自分なりに家具を作っていて、「照明は重要な要素だ」と考えていましたが、当時はまだ制作する技術がありませんでした。
アンティークの照明が好きだったこともあり、いずれは照明の専門店を開きたいと漠然と考えていたんです。
お店を営みながらも、独学で色々と学び、家具・照明・設計と3つ同時に並行している時期がありました。
とてもじゃないけど手がまわらなくなりまして・・・
そんな時、照明に専念するきっかけがありました。
まだ、ショップの上を自宅として住んでいた頃のことです。
人通りの多い路面店だったので、夜でも帰路につく人たちの目につくように、ウィンドウの照明を22時くらいまでつけていたんですよね。
たまたま上の部屋から外を眺めていたら、お店の前から高校生の楽しそうな声がしたんです。
「自分が一人暮らしを始めたら、絶対この照明を買いたい!」という会話でした。
嬉しさが湧いて来たと同時に、照明でやっていきたいという思いが確信に変わった瞬間でした。
それから徐々に照明だけにシフトしていって、現在に至っています。
自分の納得いかないものは作りません
>Yuji hom sakaguchiさんの照明はシンプルなのに他にはないデザインで、かつ柔らかい光が印象的です。「こだわり」があれば教えてください。
「Yuji hom sakaguchi」らしさ、はあまり意識していないかもしれません。
基本的には好きなものしか作らない、納得のいくものしか商品にしない、と決めています。
「もっと良いものを作りたい」というのは、常に思っています。
他の照明との違いとしては、木工とステンドグラス両方を組み合わせたものを作れることでしょうか。
全く別の素材なので、意外と難しく簡単にはできない手法だからです。
>新しい作品のインスピレーションはどんなところから湧いてくるのでしょうか?
特にこれといった方法はありませんが、海外へ足を運んだりしたこともあります。
例えばデンマークには歴史のあるデザイナーズランプが数多くあり、日本では見かけないスタイルが数多くあります。
ただ、多くは日常のふとした時にアイデアが浮かんできます。
寝る直前など(笑)
完成するまでのイメージが浮かんだら、まずは図面を引くことが多いです。
実寸大や縮尺で図面を引く時もあれば、いきなり制作から入ることもあり、様々です。
素敵で機能的なものが一番
>照明を作るうえでの「大切にしていること」を教えてください
LEDになって変わりましたが、以前は「電球が替えやすいデザイン」も重要なポイントでした。
現在は照明を購入される方の殆どがLEDを使われるので、電球は10年替えなくても大丈夫なのですが、やはり「使いやすいこと」は一番大切だと思っています。
そして、日常生活に必要なアイテムだからこそ「毎日眺めていたくなる、素敵で可愛いデザイン」も重要です。
お客様のなかには、「ずっと照明を探していたんですけど、やっと欲しいものに出会えました。一目惚れです。」とおっしゃって下さる方が少なくありません。
そんな時は「照明を作っていてよかった!」と思います。
照明以外のことをやるつもりはありません
>今後作りたいものや、やってみたいことはありますか?
スタイルは変えませんが、少しずつテイストの違うものに取り組んでみようとは思っています。
例えば、今もすでに作っていますが有田焼の陶器を使った照明のバリエーションを増やしたり、間接照明のようなものも作ってみたいですね。
照明以外のものを作るつもりはありません。
やっぱり、好きなので。
取材を終えて
照明を変えるだけで部屋の居心地が良くなる、というのは本当だと思いました。
まさに、「Yuji hom sakaguchi」坂口さんの照明がそうだからです。
そこにあるだけで空気が変わり、フワッとした優しい灯りで部屋を包みこんでくれます。
「照明以外のものを作るつもりはありません。やっぱり、好きなので。」
その言葉に、全てが詰まっている気がしました。
「売るためのもの」ではなく、心から「自分が良いと思えるもの」しか作らない。
だからこそ、その気持ちが使う人にまで届くのだと思います。
坂口さんには、“ものづくり”そのものへの愛情が溢れていました。