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職人たちの技術がつなぐ、美しく丈夫な漆器。石川が誇る伝統工芸「輪島塗」とは。

職人たちの技術がつなぐ、美しく丈夫な漆器。石川が誇る伝統工芸「輪島塗」とは。

石川県輪島市で生産される漆器、「輪島塗」。その光沢や加飾の美しさ、そして何十年も使い続けられると言われている丈夫さで、古くから日本で愛されてきました。

 

輪島市は1月1日に起きた能登半島地震で大きな被害を受けた地域のひとつ。震災の影響で思うように活動ができない輪島塗の職人さんもいます。

 

今回は輪島塗がどんなふうに作られ、どんな魅力を持っているのかをご紹介。現地でひたむきに輪島塗に向き合っている方々へ思いを馳せながら、読んでいただければと思います。

 

実際に作品もご紹介しますので、これまで触れてこなかったという方も興味を持っていただけたら嬉しいです。

輪島塗とは

輪島塗は会津塗(福島県)紀州漆器(和歌山県)と並んで、日本三代漆器とも言われています。諸説ありますが、室町時代ごろから日用漆器として親しまれていたものが、江戸時代に今のような明媚な形に変化し、広くその名が広まったそうです。

江戸時代にはすでに京都などで上質な漆器が生産されていましたが、そんな中で輪島塗は「地の粉(じのこ)」と呼ばれる珪藻土(けいそうど)を下地に使用し、「丈夫さ」という点で他の漆器との差別化を計りました。

「地の粉」は今もなお、輪島塗のみに許された固有の素材となっています。

 

また、輪島塗には木に布を被せて補強する“布着せ”という独自の工程があり、これがより頑丈で剥げにくくしているそうです。

 

この布着せや、地の粉を混ぜた何層にもわたる漆の塗布は約3~4ヵ月かけて行われます。この手間と時間をかけた工程が、輪島塗の特徴である「丈夫さ」の所以なのですね。

輪島塗の工程

先ほどご紹介した漆の塗布のあと、中塗り、上塗りという工程を経て、輪島塗は形になっていきます。手に馴染む滑らかさを追求するために、細心の注意を払いながら作業が行われます。

ほこりが立つのを防ぐため、親方と言えども勝手に上塗り部屋に入ることは許されないのだとか。

時間をかけてようやく土台ができたあと、輪島塗のもう一つの特徴であるあの美しい模様が作られます。

ここを担うのは呂色師(ろいろし)蒔絵師(まきえし)沈金師(ちんきんし)と言われる職人たち。

 

呂色師が上塗りした面にさらに磨きをかけ、蒔絵師が筆で文様を描いたり螺鈿で装飾し、沈金師が絵柄を彫り金箔をきめこませて美しい絵柄を作ります。

石川県観光公式サイト「ほっと石川旅ネット」より

ご紹介したのはほんの一部。はじめの木の土台作りから、下地、中塗り上塗り、装飾までを含めると100を越える工程があると言われており、それらを専門の職人が分業制で担当しています。

 

たくさんの人々が関わり、長い時間と手間を惜しまずに作られるのが輪島塗なのです。それが私たちの手元に渡り、子や孫の代まで使われる...そんなふうに作品が受け継がれていくというのは、とても感慨深いものだと感じました。

どんなシーンでも寄り添ってくれる作品たち

Creemaにも、輪島の地から作品が出品されています。

​​深型汁椀 〜黒朱ぼかし塗〜

1858年から続く漆器工房shioさんによる、たっぷり入る深めのお椀。「黒朱ぼかし塗」というグラデーションになる塗り方で仕上げられています。

対になる色も販売されているので、夫婦椀として結婚祝いなどでも喜ばれるかも。

吸い物椀 ~飛花~

konekotatiさんによる、吸い物椀。平たく手に馴染む形で、お吸い物だけでなく煮物を入れたり、いろんなシーンで活躍してくれそうです。

艶めく漆黒に浮かぶ、ふんわりと繊細なお花がとても美しい作品です。

菓子器 ~タツノオトシゴ 蒔絵~

こちらもkonekotatiさんによる、蒔絵の技法で2匹のタツノオトシゴが描かれた菓子器。お菓子だけでなく、お正月などお祝いの席でも活躍してくれそう。

「平和」や「安産祈願」のシンボルでもあるタツノオトシゴ。願いを込めた贈り物にもおすすめです。

ペア珈琲カップ 〜竜胆蒔絵〜

伝統を引き継ぎながら「洋のスタイル」を取り入れた作品も手がける加藤漆器店さんによるペアカップ。木製だからこそ、軽く手に馴染んでくれます。日常づかいはもちろん、お客さんにお茶を出す時にもぴったりですね。

竜胆(リンドウ)の花が蒔絵で描かれています。上品で優しい絵柄に心が癒されます。

ネクタイピン 〜桜蒔絵〜

こちらは加藤漆器店さんが手がけた桜の蒔絵が施されたネクタイピン。輪島塗の美しさを身近に感じることができる作品ですね。

最後に

日常からハレの日まで、人生における様々なシーンで暮らしを彩ってくれる輪島塗。その丈夫さと美しさは、たくさんの職人たちの技術によって支えられています。

 

ぜひ一度手に取って、その素晴らしさを感じていただけたらと思います。

 

Creemaでは「Creema つなぐ北陸プロジェクト」と題して、輪島塗をはじめとした北陸のものづくりに注目した取り組みを行っています。 それぞれの地域・伝統工芸品の特集ページの公開や、母の日には輪島塗のワークショップを予定していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

https://lp.creema.jp/special/hokuriku
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