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「クラフテリア」デザイナー:吉村さん - グラス全体で表現するデザインのこだわり_作り手インタビューvol.24
こんにちは。クリーマの柏村です。
一目見て目を奪われるような、繊細な美しさを持つクラフテリアさんのサンドブラストのグラスたち。
デザイナー:吉村さんが作り出す、作品の持つその魅力と技術がどこから生まれているのか、ずっと知りたいと思っていました。
そこで今回は、のどかな風景の広がる熊本で、ご家族と一緒に工場を経営されている吉村さんの工房へおじゃましてきました。
お家のそばにある工場から聞こえる加工の音に耳を傾けながら、様々なお話を伺ってきました。
金属加工でも使われている「サンドブラスト」という技術を使ったグラス作り
>制作を始めたきっかけを教えていただけますか?
元々父がステンレスや鉄などの金属加工を行っていました。
それ以外の新しいことをしよう、と思い色々と考えた結果、サンドブラストを始めました。
正直、なぜサンドブラストになったのか、と言うと何と言ったらいいのか……。
元々ガラス製品を作って販売をしている友人がいて、そのデザインを手伝った経験がありましたので、「サンドブラスト」と言う技術は知っていました。
サンドブラストはバイクや鋳造物の加工などにも使われています。
つまり、元々実家で行っていた金属加工にも応用可能な技術だなと思ったんです。
>ご友人の制作を手伝われていたとの事ですが、デザインは勉強などされていたのですか?
大学でデザイン学科を専攻していました。
卒業後はブライダル関係で映像やジャケット制作の仕事をしていたのですが、実家に帰ってきてからは板金の技術などを1年ほど学び、その後にサンドブラストを使用した制作を開始しました。
彫刻のみでデザインする
>クラフテリアさんでは、どのような制作を行われているのでしょうか?
主に切子用の被せガラス、つまり異なる色のガラスが層になっているものを使用しています。
そこに模様をデザインし、彫りこんで磨く、という行程を行っています。
例えば、このグラスは、クリア(透明)と金赤の2層のグラスです。
側面全体と底にも桜を彫刻しており、上から覗けばまるで桜に囲まれたかのような錯覚に陥ります。
このまさに"桜色"と表現するに相応しいピンク色が『金赤』と呼ばれています。
その名の通り、発色に"金"を使用した高価なグラスです。
彫刻のみで模様をデザインしてありますので、プリントのコップにありがちな洗浄・経年劣化による色落ちがありません。
季節に合わせて楽しんでいただきたい
>デザインと言えば、クラフテリアさんの作品は植物のモチーフが印象的ですよね
グラスは円筒形で斜めに広がっていく複雑な面へのデザインが必要なので、規則正しい模様はなかなか難しいです。
そこで不定形の植物モチーフをデザインしてみたのが始まりです。
規則正しいデザインも好きなので、一番複雑なものを作ってみよう、という挑戦をしてみたこともありました。
時間がかかる分、数は制作できていませんが、「技術でここまで出来る」と言うことも知ってもらえたらと思います。
以前はオーダーで名前やメッセージを彫って、お客様にとっての「オンリーワン」の作品を販売していました。
最近は植物モチーフの作品が人気になり、「クラフテリア」ブランドとしてのオリジナル性を重要視するようにシフトしてきました。
季節に合わせて楽しんでいただけるよう、デザインもバリエーションもどんどん増えています。
モチーフを配置しただけのデザインはしません
>デザインをする上でのこだわりを教えてください
グラス全体で表現したいので、底から側面まですべて含めてひとつのデザインになるように考えています。
ただ「モチーフを配置しただけ」のデザインはしません。
また、この藤のグラスは、2つの色が使われたグラスです。
内側に彫刻を施しているグラスで、クラフテリアの中でも、特に完成度の高い作品のひとつです。
高価なグラスなので、正直どれぐらい購入いただけるのか?という不安もあったのですが、想像以上にご好評いただいています。
やっぱり、自分の中で考え抜いた完成度の高い作品であれば、価格に関わらずお客様に必要とされるんだな、と思いました。
時間をかけて新しいデザインの作品を作りたい
>制作や販売で今後やりたい事や予定はありますか?
グラスをメインにすることは変わりませんが、もう少しお皿などテーブルウェア全般を充実させたいと思っています。
現在はひとつのデザインでも形や色など様々なバリエーションを出しているのですが、これからは時間をかけて完成させた新しいデザインの作品も出品していきたいですね。
これからはデザインに合わせて、これまで見たことないような色の作品も作成していきたいと思っています。
インタビューを終えて
始めは「こだわりと言う程のものは…」と謙遜されながらも、ご自身のブランドや作品への思いを語ってくださったクラフテリアさん。
「仕事」としてグラスづくりを始められたからこそ、作品一つひとつやブランドへのこだわりを強く持たれているように感じました。
最後にお土産に…と、Creemaのロゴマークが入った桜のグラスを持たせていただきました。
驚きと同時に、ロゴ通りのCreemaの文字が浮かび上がったグラスの側面を見ながら、この繊細な気遣いとこだわりが、クラフテリアさんの魅力なのだな、と改めて実感しました。