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デザイナー・作り手 LITSTA(リティスタ)さん-使いやすく作ることが物への思いやり_作り手インタビューvol.6 

「Life Is The Stage To Act(人生は演劇の舞台である)」の頭文字をとった「LITSTA(リティスタ)」は、木村さんと佐藤さん2人のクリエイターによるブランドです。

とことん使い手視点で作られた、シンプルな美しさとさりげない遊び心、ハンドメイドならではの温もり。そして機能性を兼ね備えたレザーアイテムは、幅広い層に愛用されています。

 

革の良い香りが漂うアトリエには、バッグやお財布、ブレスレットにパスケースなど、様々なレザーアイテムがゆったりと並んでいます。そのかたわらには、まさに製作中の素材や道具が見え、ものづくりの現場でもありました。

作品が生まれる息づかいを感じるLITSTAさんのアトリエに伺い、今回はデザイナーの木村さんにお話をお聞きしてきました。

ファッションから「物の構造」に夢中に

「ものづくりは高校時代からしていました。私服の学校だったので、すごく自由で大学生みたいな服装でしたね。そのうち、着る服ほしさに自分で作るようになったのですが、着飾るファッションよりもその構造自体に興味を持つようになったんです。物の構造に興味が行ったので、「じゃあ、物を作ろう!」と決めました。

 

進学した文化服装学院にはいろいろなタイプの人がいたので、個性的で自由でしたね。ただ当時から、奇抜なデザインや目立つものよりも、商品として売れるファッションを学びたいと思っていました。作品をプロダクトとして見ていたのは、今と同じでした」

 

さまざまな個性を競う環境の中でも、ショーやコンテストではなく、ビジネスとしてのものづくりへの興味を貫いていた木村さん。そして卒業後は、服作りの仕事に進みます。

「自分で始めよう」という2人でLITSTAを立ち上げ

「大手セレクトショップのカジュアルシャツやレザーウェアのOEM(相手先ブランドで販売される商品の製造)を請け負っていた、シャツメーカーに就職して、企画やパタンナーをしていました。毎日終電近くまで働く忙しい日々だったので、好きなブランドの革靴を買うことにぶつけていましたね(笑)。良いものを買って実際に使うことが、勉強にもなっていました」

 

「良いものを長く使い込む」というスタイルが一貫している木村さん。靴の金具の繊細な加工やユニークな構造をつぶさに観察して「こんなところにも手をかけているんだ」と、作り手のこだわりを見つけるのを楽しんでいるのだそうです。

 

実は、「LITSTA」のパートナーである佐藤さんとは、同じ文化服装学院出身であり、勤務先が一緒だったという偶然が重なります。

 

「何かを自分で始めたいというのは、佐藤が先でした。特に『一緒にやろう』といった言葉があった訳ではないのですが、どんなアイテムを作ろうか、どう売って行こうかと話をしていている中、合流する形になりました。スタートして4年経ち、やっとLITSTAを知ってくれる方も増えたかなと思います」

「使ってもらえるようにする」それが物への最大の思いやり

「これは専門学校時代から変わらない考え方ですが、『使えないと意味がない』と思っています。物は、持っていて使いやすかったり心地よかったりしないと、幸せじゃないですよね?もちろん、デザインの美しさも大事ですが、例えば、どういう向きに空けるのか、荷物の出し入れをしやすくするにはとか、そういう部分を観察して、いかに使いやすく作っていくかがものづくりの醍醐味なんじゃないかと考えています。自分が手がけた作品がどうなったら幸せかを考えたら、やはり、お金を出してでもそれを手に入れたいと思ってくれる人がいるということ。作品が魅力を放ち評価してもらえて、買う人を幸せにでき、そして、買ってもらえてこちらも幸せになれる、それが理想的です」

 

 “売れるように作ることが作品に対する最大の思いやり” “アートではなくてプロダクト”LITSTAさんらしさが凝縮した言葉が印象的でした。

2way Boston mini / SAND BEIGE

重視している3要素のトータルバランス

「使いやすさ、見た目の良さ、そして、長く使った時に良い表情になるという、トータルバランスを重視しています。持っている人が素敵に見えるということも大事ですね。LITSTAの作品は、特定の年齢や性別に限定したターゲットをイメージするのではなく、「どういう生き方をする人か?」という視点を持つようにしています。使ってくれる人がどういう動きをするのか、どういう場面でそれを使うのかを具体的に想像しながら、制作しています」

体温を感じるやりとりを日々大切に思う

クリーマでの取引では、「購入者の方から喜んでくださったメッセージをいただけるとすごくうれしい」と語る木村さん。時にはプライベートな話も飛び出すこともあり、「大切な人にプレゼントで贈るもので、明後日これを持って彼に会いに行くんです!」という、購入者からのメッセージは特に思い出に残っているそう。

 

「誰かへの贈りものに大切な気持ちを込めて下さっている方がいると思うと、すごくうれしくなります。その時に『じゃあ、こう使ってみると良いですよ』と、補足的なアイディアも伝えられるのも良いですね。他の通販サイトやウェブショップではそういうやりとりがないので、丁寧さだったり、誰かへの思いだったり、システムの体温が出るのかなと思いますね。そういうところも大事にしていきたいと思います」

私もLITSTAさんの愛用者の一人ですが、レザーならではの重厚感と上質感がありながら、女性が持っても似合うしなやかさがとても魅力です。また、まるで人の所作を察知したような、動きに自然となじむ機能性にも、使い込むほどに気づき、おどろきます。

 

お気に入りの革靴は、10年以上も愛用しているという木村さん。「良い物を長く使い込む」という物への愛情が、自身が手がける作品にも宿っていました。

ひとつひとつ丁寧に手作りされた作品としっかり付き合い、その変化も楽しみたくなります。

 

LITSTA(リティスタ)さん、どうもありがとうございました!第7回の作り手インタビューもお楽しみに!

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