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革製品はどうやってできるの?革作家・gigi-fabbricaさんに よる革の基礎レクチャー

こんにちは。クリーマの宮崎です。

普段、革のお財布やパスケースなど、レザーアイテムを使用している方も多いのではないでしょうか?

毎日の生活の中では、革について知る機会はなかなかありませんが、革を愛用していると、どのような流れで生まれたのか気になりますよね。

そんな今日は、革作家のgigi-fabbrica(ジジ・ファブリカ)さんによる、革の基礎について知るレクチャーをお届けしたいと思います。

 

革作家のgigi-fabbricaさんは、約20年もの間、革の業界で活躍されてこられました。仕事として携わるだけでなく、ご自身でも革の作品を手がけるようになり、クリーマで革作家として活動されています。

 

先日は、gigi-fabbricaさんによる、クリーマでの社内ワークショップを行いました!

とても楽しかった1日をまとめたブログ記事「革のカードケースをみんなで手作り!クリーマ社内ワークショップレポート」も、ぜひご覧下さいね。

1. 皮と革の違い

「皮革製品」というように、「かわ」には、皮と革がありますよね。同じように感じますが、実は、意味あいが異なります。

 

「皮(スキン)」は、動物の体からはいだままの原皮(げんぴ)を指します。原皮の状態では、いずれ腐ったり硬くなったりしてしまうので、「なめし」という加工を行います。そうしてなめされた後の状態が「革(レザー)」と呼ばれます。

つまり、なめす前が「皮」、なめされた後が「革」ということです。

2. 革の種類

革には、牛革、羊の革(シープスキン)、豚革など、さまざまな種類があります。

流通の量では牛革が一番多く、日本では他の国と比べて、豚革が多いのが特徴です。羊の革はヨーロッパが多く、特にスペイン原産の羊の革はレベルが高いと言われています。ヨーロッパのバッグブランドでは羊の革がよく使われており、地産地消のサイクルが成り立っているようです。

 

日本の革の流通量は、ヨーロッパの革よりも少ないのですが、それは、食肉の好みも影響しています。

日本では、食す肉としては、霜ふり肉が好まれますよね。ただ、霜ふりになるような牛の育て方をすると、しまりのない革になってしまうのだそうです。革がぐだぐだとしてしまい使いにくいため、日本で取れた革は、全体としての流通量が少ないそうです。

羊革のムートンポシェット

3. 代表的な革のなめし方

革のなめし方には、代表的なものが2つあり、「タンニンなめし(植物タンニン)」「クロムなめし」です。現在では、流通している革の90%はクロムなめしと言われています。

 

タンニンなめしは、古来から行われてきた伝統的な方法で、主に木の樹液に含まれるタンニンという成分で革をなめします。とても加工時間が長く、手間ひまのかかる方法です。

一方、植物タンニンの代わりにケミカルな薬剤を用いるのがクロムなめしです。一度に大量のものをなめすことができます。

 

革は「経年変化がある」「使っていてツヤがでる」ということを聞くと思いますが、使っていくうちに革が変化するというのは、基本的に、植物タンニンなめしに起こる現象です。

革なら何でも味が出るというわけではなく、なめし方によって異なるのですね。

4. 皮が革製品になるまで

皮が革製品になるまでには、このような流れをたどります。

①原皮屋→②タンナー→③革屋(革の卸)→④職人・メーカー→⑤革製品

 

皮から革へなめす業者を「タンナー」と言います。タンナーは、原皮屋から革を仕入れてなめします。日本では、タンナーは姫路に多いそうです。

その次の革屋というのは、いろいろな革を仕入れる、いわゆる革の卸問屋のことです。

それぞれが個性を持つタンナー

歴史が長いヨーロッパでは、安定して質の良いものを作り続けているタンナーが多く、家族経営で100年前と同じものを作り続けるというやり方をとっているところもあるそうです。

 

gigi-fabbricaさんいわく「日本で例えて言うなら、老舗の和菓子屋さんのようですね。大福なら大福を作り続けて、いつも同じ美味しさで、大福ならあのお店だね、と言われるような存在です」

職人さんからすると、いつでも安定した質の良いものが手に入るというのは、頼もしいですよね。

 

日本には、「栃木レザー」という革がありますよね。これは、タンニンなめし専門のタンナー、栃木レザー株式会社が手がけた革です。昔ながらのなめし工程を守り続け、 100%天然植物由来のタンニンを使用しています。

革をつけ込み、乾かして、またつけ込んで…と、手間ひまと時間のかかる工程のため、一般のタンナーでは手を出しにくくなってしまうところ、創業以来ずっと植物タンニンなめしを専門にして来られました。日本ではとても貴重な存在です。

また、国によって異なるのが、革の発色です。なめしの工程では大量の水を使うので、革の発色は、軟水か硬水かによっても影響があります

ヨーロッパは硬水で、とても美しく発色するという特徴を持ちます。これは、革だけでなく、シルクでも糸でも毛糸でも同じことですが、日本の軟水ではヨーロッパほどのビビッドな赤は出しづらいそうです。

イタリーのワルピエ社製のヌメ革のカードケース

最後に

今日は、ごく基礎的なことをお届けしましたが、革を知ることで作品の見方や楽しみ方も変わってくるような気がします。

革と一言で言っても、その素材や加工方法によっても実にさまざまで、色や風合いも個性ゆたかですよね。

クリーマに集まるレザーアイテムの作品説明文の中にも、作り手の思いやこだわりがつづられています。それを読むと作品が生まれた風景が見えてくるようですよ。ぜひご覧下さいね。

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