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作家さんが使う特別な道具たち。制作道具から紐解く、作り手のこだわり

作家さんが使う特別な道具たち。制作道具から紐解く、作り手のこだわり

こんにちは。クリーマ編集部の庄司です。

 

作家さんが作品を作る時、多くの手順で必要になる道具。手先の延長にある道具は、何度も試して選んだり職人さんにオーダーしていたり、はたまた自分の手作りだったりと、作家さんのこだわりが表れるものでもあります。

 

今回はそんな道具へのこだわりを3人の作家さんに聞きました。

手に馴染んで、格好良い。Yusuke Omoriさんの靴作りに欠かせない「ワニ」

ハンドメイド靴の工房を営むYusuke Omoriさん。Creemaではハンドメイドのオーダーメイド靴を身近に感じられるカジュアルラインを販売しています。一足一足手作りで作る靴にはたくさんの道具が関わり、どれも靴作りには欠かせないものばかり。

ハンドメイドシューズ 「栄町」 Color キャメル

https://www.creema.jp/item/649041/detail
▲ 雑貨屋さんやカフェが多く点在する神戸の「栄町」をイメージした、カジュアルな雰囲気の一足。一枚革で仕立てたソフトで軽い履き心地は街歩きやカフェ巡りの日でよく歩く日にもぴったりです。

ハンドメイドシューズ 「北山」 Color ホワイト

https://www.creema.jp/item/649069/detail
▲ 神戸シリーズよりスリムでトラディショナルな印象なこちらは、ビストロやセレクトショップが点在する京都北山通りの雰囲気をヒントにデザイン。サイズの微調整にも対応できるのはオールハンドメイドならではです。

その中でもYusuke Omoriさんが「圧倒的にこいつ、見た目が格好良いんですよ」と教えてくれたのは「ワニ」と呼ばれる道具です。

ワニは皮を引っ張って釘を打つ時に使うもので、見た目が動物のワニに似ていることからそう呼ばれています。滅多なことでは壊れない頑丈な道具で、専門学校時代から14年くらい使い続けています。「多分一生使い続けていく道具になるから」と、最初に選ぶときに何本か試してドイツ製のワニを選びました。その基準は、革をはさみやすくて、かつ格好良いこと。

▲「ワニ」を使っているところ。
▲ 左からワニ2種類、革を切るナイフ、革包丁、カッターナイフ。

他にも革を切るためのナイフや包丁、カッターナイフにもそれぞれにこだわりが。

 

ナイフはワニと同様、専門学校時代から使い続けているもの。革包丁は刃物の名産地・兵庫県小野市の職人さんに知り合いの靴職人と一緒にオーダーした、この世で一番硬いステンレスを使って作った世界に2本しか無いものなんだそう。革を切りやすい角度になるよう、その角度を変えないよう、毎日これらの刃物を研ぐところから一日が始まります。カッターナイフは市販のものですが、片っ端から試して選び、それに少し手を加えて使っています。

 

すべての道具に対して自分が一番使いやすいものを選び、自分の手に馴染むよう整える。そんな積み重ねから、あの靴の美しい佇まいが生まれているように感じました。

針一本を大事に。アトリエここるぴあさんの「製本針」

手漉きの和紙を使ったスケジュール帳などを手がける、アトリエここるぴあさん。

スケジュール帳2019年JMPネイビー(受注制作)

▲ 柿渋を塗って加工した手漉き和紙を表紙に使い、ひと針ひと針手で綴じたスケジュール帳。毎日を大切に過ごしたくなる、紙漉きから製本まで手作りの温もりあふれる手帳です。

スケジュール帳2019年JMネイビー(受注制作)

▲ 定番のスケジュール帳よりポケットの数が少ないタイプ。表紙、中の作りは同じなので、手漉きの紙の質感や手で綴じたノートの開きやすさは存分に味わえます。

手作りの紙を本に仕立てる時に使う製本用の針にこだわりがありました。

使っている針は、糸を通す穴の部分が膨れておらず、針全体の太さが一定で芯が強く程よくしなって作業がしやすいといい事ずくめ。針先が丸みを帯びており、紙を傷つけにくいのも大事な点です。

▲ 左がアトリエここるぴあさん愛用の針。右も製本用の針ですが、並べると些細ながらもその形の違いが分かります。

製本では、糸で綴じるときに何度も同じ穴に針を通すため、その針が太いと製本する紙に大きな穴を開ける必要があります。また針穴が大きいと、すでに通してある糸に針が引っ掛かりやすく、作業がしづらいこともあるのだとか。愛用の針は穴が小さく全体に直線的なため、あらかじめ開けておく穴も小さくて済み、それが仕上がりの美しさにつながっています。

Creemaで販売中のスケジュール帳を作る場合、この製本針はノート部分を綴じるときだけでなく表紙のベルト部分や内側のポケットに麻糸をステッチするときにも大活躍しています。

 

ワークショップを開催する時も同じ針を持ち出して使い、参加者さんにも貸し出します。小さいものなのでうっかり落として無くしてしまわないよう、参加者さんにも慎重に扱っていただくことで、道具の大切さを伝えています。

手紡ぎ・手織りの優しさを。tsutsumuさんの手織り機のシャトル

糸紡ぎから織りまで全て手仕事で作られた生地を使い、身体をやさしく包み込む服を作るtsutsumuさん。

手織りストライプサルエルパンツ L

▲ すべて手作業で織り上げるため、1日に2〜3mしか織れない、ぬくもりたっぷりの貴重な生地を使ったサルエルパンツ。ネパールに自生するワイルドネトルに、肌に当たる部分にはオーガニックコットンを使用した柔らかな履き心地です。

手編みざっくりモヘアポンチョ ナチュラル

▲ 毛足の長いふわふわのモヘアを手編みで編んだポンチョ。ふわっと着こなすゆとりあるシルエットは、まだ少し肌寒い日の羽織代わりにもぴったりです。

手織り機の中でも、横糸を通すためのシャトルを見せていただきました。

▲先端を金属で補強した、木製のシャトル。

シャトルは、織り機に張った縦糸に横糸を通していくための道具。交互に開いた縦糸の間をシャトルを飛ばすように滑らせ通していきます。このシャトルを飛ばす絶妙な力加減によって、手織りの生地ならではのふんわりとした質感が生まれるんだそうです。

▲ 手織り機で生地を織る様子。

もともと実家が織り屋さんで、幼少の頃から祖父母の手仕事を見て育ったというtsutsumuさん。今、日本では織り屋さん自体がとても少なく、さらに手織りとなると本当にごくわずかになってしまいました。手織りの生地のやさしさ、手仕事の温もりを感じて欲しいと、熟練の職人さんによる手仕事が残るネパールで服作りをしています。

作品へのこだわりが垣間見える、特別な道具たち。

ひと口にハンドメイドと言っても、作り手や作るものによってそのこだわりは様々です。作品を作るための道具は、作家さんが作品にこだわりを込めるための道具。どんな道具でどうやって作っているか、その手間ひまを知れば、お気に入りの作品にもっと愛着が湧きそうです。

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