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作品の魅力を伝えるディスプレイ術。「ハンドメイドインジャパンフェス冬(2020)」で作家さんのブースを見せていただきました

作品の魅力を伝えるディスプレイ術。「ハンドメイドインジャパンフェス冬(2020)」で作家さんのブースを見せていただきました

こんにちは、クリーマの竹中です。

1月11日(土)・12日(日)の2日間、東京ビッグサイトで実施した「ハンドメイドインジャパンフェス冬(2020)」(以下:HMJ)。全国各地から約3,000名のクリエイターと魅力的な作品たちが集い、大盛況のうちに幕を閉じました。

(会場の様子)

マーケットエリアを回っていると、素敵な作品たちはもちろんのこと、出展作家さんの個性豊かなブースが目に留まります。一期一会の出会いが生まれるリアルイベントでは、作品の魅力やブランドの世界観を伝えるディスプレイも大切な要素の一つ。

 

そこで今回は、HMJに出展された5名の作家さんに、作品のディスプレイ方法やブースの空間づくりに関するインタビューを行いました。作品の特徴を明確にした展示や、使用イメージを湧かせるような空間づくり、目線を奪うインパクトのあるディスプレイなど、作家さんたちのアイデアや工夫の数々が見えてきました。

水彩画の魅力を伝えたい。 Türrさんの繊細なブースづくり

水彩作家・ Türr(つるる)さんのブースは、アンティーク感のある什器と、全体を彩る水彩画の優しい色味が魅力的。訪れた瞬間、アトリエに足を踏み入れたかのような感覚を覚えるほど、作品の世界観が空間の中で再現されていました。

「描く 身につける 水彩画」をコンセプトに、一点一点手描きで仕上げた水彩画アクセサリーを制作しています。
色を身に付けるイメージで作っている作品なので、「色の標本箱」のようになったら良いなと思い、ボックスにアクセサリーをしきつめるように並べています。

Türrさん

普段は京都にアトリエを構え、水彩画の講師もしているというTürrさん。「水彩画の魅力をより多くの人に伝えたい」という思いで作家活動をされているそうです。

水彩画家が作っている作品だと伝わりやすくするため、ブースには水彩画のタペストリーなども飾られています。アトリエの雰囲気をイベントでも表現できるよう、照明選びにもこだわったとのこと。

長年HMJへ出展しながら、考えて考えて少しずつブースディスプレイを作り上げていったそう。手書きのチョークボードなど、きめ細やかなディテールで丁寧に空間づくりをされていました。

動物たちが「おいでよ!」と呼びかける、takakukeiさんのディスプレイ

一目で「何だろう?」と思わず気になってしまうtakakukeiさんのブースは、躍動感のある動物たちが集まった楽しい空間。

takakukeiさんは、ぬいぐるみの可能性を広げることを目指し、愛でたり飾ったりするだけではなく、身につけられる「動物型ぬいぐるみボディウォーマー」を制作されています。

動物たちの動きを感じるディスプレイにしたいと思い、あえて整列させず、色々な向きで掛けています。「こんなポーズ、普通しないでしょ!」とツッコミを入れたくなるようなところも含めて、面白いかなと。

takakukeiさん

以前は白壁でブースを囲い、そこに動物たちを飾っていたのですが、最近メッシュ素材のネットに変更しました。壁で囲んでしまうとブースの正面からしか作品が見えなかったのですが、ネットだと横や遠くから見ても「あれは何だろう?」と思ってもらえます。またネットの方が、動物たちが掴まっているようにも見えて良いですよね。

takakukeiさん

わらわらと動物たちが集まって、こちらへ「おいでよ!」と呼びかけているよう。眺めているだけでもワクワクしてくるような空間づくり、お見事でした!

工夫を重ねた渾身のディスプレイ。見やすさと楽しさが同居するKALEIDOSCOPEさんのブース

お次は、暮らしに寄り添う革製品を手掛けるKALEIDOSCOPEさんのブース。上質な革のバッグや財布が整然と並ぶ中に、ちょっとした遊び心やテーマを取り入れることで見る人を惹きつける空間になっています。

長財布は、洋書が並ぶ本棚をイメージして立ててディスプレイしています。以前は平置きにしていたのですが、この置き方の方が中の革の色が見えますし、お客さまにとっても手に取りやすいと思います。この展示方法に合わせて、本棚のような什器を選びました。

大がかりな設営に見えるかもしれませんが、実はすべての什器や作品が下の木箱に収まるようになっているんです。イベント出展の機会が多いので、運びやすさも意識しました。

KALEIDOSCOPEさん

りんご型のコインケース「pomme」も以前は平置きにしていたそうですが、金具の重みで転がってしまうという課題があり、その解決策として木にぶら下げる方法を思いついたのだとか。お客さまの目にも留まりやすくなり、「木にりんごがなってる!」と楽しんでくださる方も多いそうです。

ちなみにお渡しや発送の際は、りんごの出荷をイメージしてフルーツキャップを付けているそう。ディスプレイにひと工夫加えることで、作品の魅力がぐっと伝わりやすくなっていますね!

 

イベント出展を重ねるごとに改良を重ね、現在の形にたどり着いたというKALEIDOSCOPEさんのブースづくり。「まだまだ改善点があります!」とさらなるパワーアップを目指されていました。

カフェを訪れたかのような"ほっこり感"を。テーマ性が楽しいsakurabaさんの空間づくり

スイーツやフルーツ、パンなどの食べ物モチーフのイラストを手掛けるsakurabaさん。色鉛筆で描いたイラストを、スマホケースやバッジ、ペーパーグッズなど様々なアイテムとして届けています。

 

そんなsakurabaさんのブースは、ほっこり一息つきたくなるカフェがテーマ。ブースのディスプレイはもちろん、ご本人もカフェの店員さんをイメージした服装でお客さまをお迎えしていました!

僕自身スイーツやカフェが大好きなこともあり、ブースに来ていただいたお客さまに、カフェを訪れてほっこりする気持ちを感じていただけるような空間にしたいと思いました。

看板やメニュー表、チョークボードなど、一つひとつのアイテムをカフェ仕様にデザインしています。

sakurabaさん

「こんなカフェをオープンできたらいいな」とイメージを膨らませながらブースデザインを固めていったそう。フェイクスイーツやカトラリー、ランチョンマットなど、カフェの空間を再現するモチーフが勢ぞろいしています。


細かい部分までテーマが行きわたっていて、思わず隅から隅まで眺めたくなりますね!

作品のお品書きも、カフェのメニュー表のようにデザインされたとのこと。まるでテーマパークを訪れたように、世界観にどっぷりと浸ることのできるブースでした。

木の温かみとお店のようなワクワク感。色彩豊かなmamegotoさんのブース

最後に伺ったのは、テキスタイル作家・mamegotoさんのブース。色とりどりの作品たちと木製の什器が、海外の布屋さんを彷彿とさせます。

mamegotoさんは、毎日のふとした瞬間を楽しく彩るテキスタイル(布地)をデザインし、それらを使ったハンカチやポーチなどの布アイテムを手掛けています。明るい色味もありながら、どこか落ち着いた上品さも兼ね備えている作品たち。様々なファッションに寄り添ってくれそうですね。

作品の種類も多いので、折りたたみの什器を使ってブースというよりお店のような空間にしています。花や葉などの自然をモチーフにした柄が多いので、相性が良いように木のあたたかみを感じる什器を選びました。

ハンカチを吊るして動きを出しつつ柄を見やすくしたり、お弁当を包むなどして使用シーンのイメージを伝えたり、一つひとつ置き方も工夫しながらセッティングしています。

mamegotoさん

もともとグラフィックデザイナーをされていたというmamegotoさん。作品のラベルやタグなどもすべてご自身でデザインされているとのこと。「包みなども含めて、一つの作品としてお客さまに楽しんでいただきたい」という思いで、こだわって制作されているそうです。

離れた場所からも彩り豊かな布が目を引くディスプレイで、多くのお客さまとのご縁が生まれていました!

工夫の積み重ねで生まれる、オンリーワンのディスプレイ

制作ジャンルや作風も異なる5名のクリエイターさんに、ブースのディスプレイを見せていただいた今回のインタビュー、いかがでしたでしょうか。

クリエイターさんごとに、作品の特徴や世界観、ディスプレイに対する考え方などは様々でしたが、皆さんに共通していたのは「小さな工夫を積み重ねることで、オリジナリティを発揮していた」ということでした。

イベント出展を重ねる中で試行錯誤したり、クリエイターさん同士でアドバイスを交わしたり、お客さまからの声を取り入れたり。その中で一つひとつ改良やチャレンジを積み重ねて、作品やブランドの個性を100%、120%発揮できるディスプレイ方法を編み出されていました。

 

日々のものづくりはもちろんのこと、制作した作品たちを「どう見せるか」ということにも妥協せず取り組まれるクリエイターさんたち。その姿勢に触れることができるというのも、リアルイベントならではの体験です。

イベントに出展されるクリエイターの皆さまには、今回の記事を今後のブースづくりに役立てていただければと思います。

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