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パティシエが教える、”食べられる宝石” 琥珀糖の簡単な作り方

シャリっカリカリっと心地良い食感と涼しげな見た目で、夏のおやつにぴったりの和菓子「琥珀糖」。
その美しさから“食べる宝石”とも呼ばれ、SNS上でも人気を集めています。
そんな琥珀糖ですが、実は自宅で簡単に作れるものがあるんです。
和菓子と聞くとなんだか難しそうに感じてしまいますが、メインの材料は寒天と砂糖のみ。かき氷シロップなどで色付けも可能。身近でシンプルな材料で作れるので、気軽に挑戦できます。
今回は、パイ菓子から琥珀糖まで幅広く手掛けるパティシエ・frejusさんに、初めてでも簡単に出来る琥珀糖の作り方・レシピを教えていただきました!
今回は、材料や手順はもちろん、初めてでも失敗しないコツや注意点もご紹介。夏らしく爽やかに楽しめる琥珀糖のアレンジ方法もお伝えしますので、休日や空いた時間にご自宅でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
frejus
フランス修行後 2013年より「美味しいタルトとパイの店 フレジュス」をオープン。美味しさはもちろん、安心安全を第一にお菓子作りを続けているお菓子作りの専門家です。
丁寧に織り込まれ焼き上げられたパイから、色とりどりの可愛らしいマカロンまで……お菓子屋さんに訪れた気持ちで、ぜひギャラリーページをのぞいてみてください。
琥珀糖とは? 名前の由来や豆知識も

琥珀糖とは、主に寒天と砂糖を混ぜて煮溶かし固めたもの。しっかりと乾かして表面の砂糖を結晶化させるため、外はシャリっと、中はぷるんとした食感を楽しめます。
シロップやリキュールでお好みの色や味、香りに簡単にアレンジできるのも嬉しいポイントです。
名前の中にある「琥珀」とは、長い時間をかけて樹脂が石化したものを指します。黄みを帯びた飴色のような色合いで宝石としても親しまれており、ピアスやネックレス、リングなどのアクセサリーをイメージする方も多いのではないでしょうか。
琥珀糖という名前はその名の通り、琥珀に似ているということからつけられたそう。
琥珀糖の歴史は古く、江戸時代まで遡ります。高級品だった砂糖が手の届くものになり、寒天と砂糖を混ぜるだけのお菓子が作られ始めたのが琥珀糖の始まり。当時は「金玉糖(きんぎょくとう)」という名前が一般的だったようです。
その後、クチナシの実で琥珀色に色付けすることがあったことから「琥珀糖」という名前に変わっていったそうですよ。
初めてでも簡単・綺麗に! 琥珀糖の作り方・レシピ
色とりどりで繊細そうで、なにやら難しそう…… と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫。frejusさんに丁寧に教えていただき、お菓子作り経験ほとんどなしの私、加藤が琥珀糖作りに挑戦してみました!
ぜひ参考にしてみてください。
材料と道具
□ 水 200g
□ 粉寒天 4g
□ 砂糖/グラニュー糖 300g(水に対して 1.5 倍の砂糖)
□ かき氷シロップ、またはリキュール 15g~20g
□ お好みで食用色素 適量
□小鍋
□耐熱ゴムベラ(120℃以上)
□バット
□クッキングペーパー
□ラップ
□まな板
□ナイフ
パティシエに聞く! 基本の作り方の手順とコツ
[1] 小鍋に水、寒天を入れ軽く混ぜて溶かし沸騰させ、2分待ちます。

[2] 一度火を止め、砂糖を入れゴムベラで混ぜながら溶かします。
(frejusさん)
びっくりするくらい砂糖を使いますが、高温により溶かした砂糖を再結晶させるための分量なので減らしたり、水を増やさないほうが良いでしょう。
[3] 再度弱火にかけます。
砂糖がしっかり溶けたらそれ以上混ぜずに待ちます。再び沸騰し湧き上がってきたらゴムベラで少し混ぜ、吹きこぼれを抑えます。
[4] ゴムベラを持ち上げたとき、細い糸を引くくらいまで煮詰めます。

(frejusさん)
煮詰めるときは「細い糸が引くくらい」を目安にしていますが、あまり神経質になる必要はないかと思います。砂糖がしっかり溶けて、少し水分を飛ばすというイメージです。
[5] バットに[4]を流します。お好みでかき氷シロップ(またはリキュール)、食用色素を加えて混ぜます。
(frejusさん)
風味をつける場合のかき氷シロップやリキュールは水の分量の10%以下にします(固まりにくくなるため)。
食用色素は少量で鮮やかな色がつくので、少しずつ調節してください。マーブルにしたい場合は混ぜ過ぎないように注意です。

[6] 表面に細かい泡が浮いてくるので、冷えて固まる前に表面にラップを張り付け真ん中からそっと持ち上げて泡をすくい上げます。

[7] 粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし固めます。

[8] しっかり固まったらお好みの形に切ったり、ちぎったりしてクッキングペーパーに並べます。


[9] 風通しが良い場所で乾燥させます。
最初は正面にうっすら膜が張ったようにまだらに乾燥していきますが、徐々に透明からマットな見た目になっていきます。
(frejusさん)
春に一度自然乾燥させたときは表面を一日、ひっくり返してもう一日の計二日で乾燥しました。
オーブンレンジを発酵モード(40度くらい)にして 1 時間ほど入れ、少し乾燥時間を早めるのもいいかと思います。また、サーキュレーターや扇風機で優しく風を当てながら乾燥させると湿気の多い時期でも比較的早く乾燥します。
[10] クッキングペーパーに当たっている部分は乾燥しにくいので、片面が乾いたらひっくり返し全面を乾燥させます。
(frejusさん)
乾燥させている時は舞っているほこりや小さなごみが付きやすいので、メッシュ素材のフードカバーなどをかぶせるといいかもしれません。
[11] 砂糖の再結晶化が進み、指で触ってもペタペタしなくなるまで乾かします。
(frejusさん)
琥珀糖はきちんと乾かさないと、乾きにくいくぼみからカビが発生することがあります。くぼんだところもきちんと乾燥させるように注意してください。
出来上がるまで根気がいりますが、きちんと乾燥させた琥珀糖は食感も良く、見た目もとてもきれいです。
\ 完成 /

見てください、このすりガラスのような繊細な美しさ…… 食べるのがもったいなく、しばらく目の届くところに飾っておきたいくらい大満足の琥珀糖が出来上がりました。ブルー系の色合いは爽やかに仕上がるので特におすすめです。
気になるお味ですが、シンプルな材料ながらふわりとかき氷の風味も感じられて美味しい……! カリっとした食感が気持ちよく、ついついやみつきになります。夏らしくガラスの器に盛ったり、瓶につめて少しずつ楽しむのも良いですね。
湿気の多い季節は乾燥にも時間がかかるので、夏休みや休暇を活かしてじっくりと出来上がりまでを待つのも◎
★保存方法
・常温で2〜3週間ほど、保存容器に入れて冷凍庫で1か月ほど保存可能
※高温多湿の場所は× しっかりと乾燥させて容器に入れましょう
※冷蔵庫に入れるのは× 水滴が付いてカビが発生する原因になります
ひと手間で魅力広がる、琥珀糖のアレンジ方法

アレンジ1:ドリンクに入れる
透明感たっぷりのソーダにお好みの琥珀糖を入れるだけ! 思わずうっとりしてしまう、琥珀糖ドリンクの完成です。
喫茶店で出てきそうな、どこかノスタルジックな雰囲気も魅力的……
芳醇な苺の風味を感じる園村苺園さんの完熟苺酢は、優しいピンク色で琥珀糖とも相性が良さそう。果実酢のドリンクはさっぱりとして夏にもぴったりです。炭酸や焼酎などで割ってお楽しみください。
アレンジ2:凍らせてみる
保存容器に入れて冷凍庫に入れた琥珀糖は、ひんやりとして夏場のおやつにぴったり。糖度が高いので凍らせてもカチカチになる心配はありません。
味も美味しく、保存にもなるのが嬉しいですね!
アレンジ3:型抜きを使う

切ったりちぎったりするのはもちろん、お気に入りのクッキー型を使うのもおすすめです。
貝やヒトデのクッキー型を使えばより夏らしく、アルファベットのクッキー型を使えば誕生石や記念日にも。透明な袋に入れて簡単にラッピングを施せば、ガーランドやクリスマスツリーのオーナメントなどちょっとしたインテリアとしても活躍してくれそうです。
シンプルな雲の形は季節問わずに活躍してくれます。雲の形の琥珀糖をドリンクに浮かべても素敵に仕上がりそう……!
味も形もいろいろ! Creemaで見つかる、個性豊かな琥珀糖
自宅でも簡単に出来る琥珀糖の作り方をご紹介しましたが、ここからはプロが丁寧に作り上げる個性豊かで味にもこだわられた琥珀糖をご紹介。
クリエイターの技術やアイデアが詰まった琥珀糖は、味や色、形ひとつ取っても同じものはありません。
ひんやりした見た目で、眺めているだけでも爽やかな気分になれそうです。
今回作り方を教えていただいたfrejusさんが手掛ける琥珀糖。パキッとした色合いで、鉱石のような美しさもありつつおもちゃのようなポップな可愛らしさも感じられます。
レモン、いちご、ラムネの3種類のフレーバーで、ほんのり優しいフルーツの香りがほっと心を癒してくれますよ。
キラキラ輝く白夜缶の中に入った郷土菓子処香月さんの琥珀糖は、うちわをイメージしたものからレモンピールが入った甘酸っぱい味わいのもの、苺のかき氷をイメージしたものまで、夏らしさをぎゅっと詰め込んだ宝箱のよう。
美しい缶は小物入れとして、食べ終わった後も楽しめそうですね。
マチカさんの人気作品でもあるこちらのセットは、大切な方へのプレゼントや自分へのご褒美にもおすすめ。瓶に入った琥珀糖は、飾ってしばらく眺めていたくなる美しさです。マスカット・ライチ・カシス・りんご・かぼすの5つの味からどの味が届くかはお楽しみ……!
涼やかな琥珀糖の水の中を泳ぐ、色とりどりの金魚たち。縁日の定番「金魚すくい」をイメージして作られた、ちゃちゃねねさんのアイシングクッキーと琥珀糖の作品です。
こだわり素材で作られた身体に優しいアイシングクッキーは、甘さ控えめなのですいすい食べられる味わい。見た目もユニークで、見ているだけでも楽しめます。
透明度にこだわったクオーレさんの琥珀糖は、色も形も種類豊富。1つ1つ丁寧に手でちぎったものからナイフで切ったもの、型を使用したもの…… そしてなんと、数個に1個 ハートの琥珀糖が入っているのだとか!
ハートを見つけた日はちょっぴり幸せな気分で一日を過ごせそうです。
可愛らしいハート型の琥珀糖に本物のバラの花びらが散りばめられた、虹色雑菓店さんのエレガントな琥珀糖。赤とピンクの2色のバラを使っており、お皿に並べるだけでパッと華やかに。外はシャリシャリ、中はしっとりした食感と本物の薔薇の色と香りをお楽しみください。
自分らしくアレンジして、食べられる宝石を作ってみませんか?
色や味を工夫しながら、自分らしい味わいを楽しめる琥珀糖。乾燥に時間がかかるので、夏休みなどの長期休暇中に作ってみるのもおすすめです。
じっくり時間をかけて乾燥を待つ時間は、なんだか植物を育てているようなワクワクする愛おしい時間でした。
ぜひ気軽に挑戦して、「食べられる宝石」の美しさを味わってみてください。