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日本の東西をつなぐ、糸魚川で過ごす。1泊2日の移住体験レポート
こんにちは、クリーマで地方創生のお手伝いをしている木村です。
今回は、日本で最初の世界ジオパーク※に認定された、自然豊かな街・糸魚川市で行われた「1泊2日移住体験」のレポートをお届けします。
創作活動を生業とし、自宅に工房やアトリエを構えて制作している方々の中には、インスピレーションを感じられる豊かな自然の中での暮らしに魅力を感じている方も多いようです。技術と道具さえあればどこでも制作活動ができるため、「住む場所」の選択肢も増えてきます。昨今は感染症対策のためのテレワーク推進やワーケーションなどで、郊外や自然豊かな地域での暮らしに関心も高まっていますよね。
クリーマでは、2017年からそんなクリエイターさんと、移住者を受け入れることで街の活性化を目指す地域を結ぶお手伝いをしています。その活動の一環で、新潟県糸魚川市 根知(ねち)地区を中心にした「1泊2日移住体験」を開催しました。
1日目:いざ、日本の東西をつなぐ場所、糸魚川へ
北アルプスの北端が親知らずの断崖絶壁となって日本海に落ち込み、フォッサマグナのある糸魚川。日本の東と西とをつないできた、東西文化の出会う場所と言っても過言ではありません。
今年で早5年目となる、糸魚川での「地域の人たちとの交流&1泊2日の移住体験」。その模様をお伝えします。
自然豊かな根知への第一歩!
今回移住体験にご参加いただいたのは、アクセサリーを手掛ける~linoneリノン~さんご夫婦。
防災や土木関係に携わられていたこともあり、石好きのおふたり。実は、糸魚川には以前から興味があったそうで、今回お住まいの四国からお車でお出でいただきました。
まず最初は、糸魚川で郷土料理の笹ずしなどを手掛けるお母さん方の有志「来音(くるね)」のおかみさんと一緒に、郷土料理笹ずし体験です!
笹ずしは、殺菌効果がある笹の葉の上に酢飯を置き、旬の具材を彩り豊かに飾り付けた糸魚川の郷土料理です。主に、祭りや人が多く集まるときの振る舞い料理として古くから伝えられてきました。
手間がかかるため、昨今ではご家庭で作られることが少なくなってきましたが、地域や家庭で作り方や具材が異なり、その違いを食べ比べるのも楽しみの一つだそう。
自然のパワーを感じる、フォッサマグナパークへ
日本の地層を東西に分ける「フォッサマグナ」。ラテン語で「大きな溝」という意味で、日本海から太平洋までのびるおよそ1~5億年以上前にできた岩石の溝に 、新しい地層がたまったものです。
フォッサマグナパークは、糸魚川-静岡構造線を人工的に露出させた断層見学公園で、大地のエネルギーを実感できるスポットです。日本を東西に分ける断層露頭を間近に見ることができます!
根知未来会議の斉藤さんにご案内いただきました。散策をするだけでも気持ちのいい、自然豊かな場所です。
日本を東西に分けるフォッサマグナ。ユーラシアプレートと北アメリカプレートの境界が目の前に広がります。
地層好き、地学好きの方にはぐっとくる、垂涎のスポットらしいです……!
比べてびっくり!日本の東西の水、飲み比べ
そんな糸魚川・根知のフォッサマグナパークのからほど近い場所にある、渡辺酒造店「豊醸蔵」。
なんとお米から作り始めて、城山水系の清らかな水で仕込んでお酒造りをしている、日本でもとても珍しい「ドメーヌ方式」にこだわった酒蔵です。
そんな渡辺社長から、お茶とともに、お水が2杯。ぜひ「飲み比べてください」とのお言葉が!
日本の東西の地層があるフォッサマグナパークからほど近いこの「豊醸蔵」には、数本の井戸があるそうですが、1本の井戸は東側、もう1本の井戸は西側の地層にあり、味わいが異なるのだそう。
カップうどんなどで、東西の「だしの違い」は有名ですが、水もそういった東西の違いがあるのか、首をかしげながら試してみました。
すると……なんと、味、口当たりが全く違います! 初めての「お水の東西 飲み比べ」体験です。
西のすーっと消えていく味わいに対して、東は少し主張をする味わい。西はユーラシア大陸の地層なので、少しヨーロッパ系の味わいなのかな?などと考えておりました。
今は、西の水をお酒の仕込み水に用いているようですが「いずれは東の水も活かしたお酒を造りたい」と熱く語られました。次は東西のお水を使ったお酒の飲み比べにも、挑戦してみたいです。
東西の境を感じることのできる、フォッサマグナパークすぐ近くで清らかなお酒を作られている豊醸蔵さんでの、お水の東西飲み比べ。ぜひ糸魚川を訪れたら、足を運んでみてほしいスポットです。
地域の人とクリエイターが語らう。「匠ハウス和泉」での交流会
工房やフリースペースもある、リノベーションされた古民家「匠ハウス和泉」では、移住者を集めた交流会など、様々なイベントがおこなわれています。
糸魚川の地域の皆さんと、移住を考えるクリエイターとの交流会は毎年大好評。今年は、糸魚川の根知地区で開催しているイベント「つむぎ日和」を立ち上げた天野さんから、糸魚川への想いや、糸魚川での仲間との活動についてお話を伺いました。
今年糸魚川へと移住されたCreemaクリエイターさんも参加し、作品を紹介しながら、和気あいあいとクリエイター談義にも華が咲きました。
交流会の後には、郷土料理を囲んだ夕食会も。感染症拡大対策のためお酒はなしでしたが、さきほどもご紹介した「来音」のおかみさんの振る舞う郷土料理はどれも美味しく、箸が進みました!
〆にいただいた、日本百名山雨飾山水系で育まれた「おててこ米」新米の塩むすびは、今でも忘れられない味です。シンプルな味付けでも素材が活きるのは、自然の育む食材ならではですね。
2日目:もっと知りたい!地元の方も愛する根知スポット
さて、楽しかった初日を終え、2日目も根知をまわっていきます。
地元で暮らす方々も愛するスポットを中心に体験してきました!
フォッサマグナパークの入口にある直売所「ねちKOYA」へ
昨日訪れたフォッサマグナパーク、その入口にあるのが、「来音」の皆さんが週末に開いているファーマーズマーケット「ねちKOYA」です。
こじんまりと、あたたかみのある雰囲気のお店構え。中には、根知の新鮮なお野菜、お米、笹ずしやおこわなどのお弁当までがずらり! 根地の美味しいものが一挙に手に入る必見のスポットです!
見るからに新鮮でおいしそうな食材ばかりで、ついついあれもこれもと買い過ぎてしまいました。
こうした買い物を楽しめるのも、自然豊かな土地ならではの醍醐味です。
日本の東西の境 親不知・子不知海岸へ
近年の糸魚川では日本を東西に分ける断層露頭を間近で見ることができるフォッサマグナパークが有名ですが、昔から知られていて有名なのはこちらの海岸。「日本の文化を東西に分ける」「天下の険」、ともいわれた親不知・子不知の断崖海岸です。
名前の由来には諸説ありますが、一説には
「北陸道最大の難所で、断崖絶壁と荒波が旅人の行く手を阻み、波打ち際を駆け抜ける際に親は子を忘れ、子は親を顧みる暇がなかったことから親知らず・子知らずと呼ばれるようになった」――とも言われています。
断崖絶壁と日本海とのコントラストが、厳しくも絵になる美しさです。
駅北大火からの復興の象徴「キターレ」
豊かな自然に囲まれた糸魚川は、2016年に大火で大きな被害を負いました。そこから地元の皆さんは力を合わせ、復興・再生を進めてこられました。
その復興・再生のシンボルとして作られたのが、駅北地区にオープンした市民が気軽に集える広場「キターレ」。クラフトイベントやマルシェなども開催されている「新しい賑わいの場」です。
こちらのスペースをお借りして、クリエイターの皆さん向けに、昨年もご好評をいただいた「インターネット販売のコツ・ミニセミナー」を行いました。
自然豊かな糸魚川にご興味あるクリエイターの皆さまへ
今回はクリーマがご一緒した移住体験ツアーでしたが、糸魚川市では移住に興味のある方にぴったりの施設がまだまだあります。例えば、7日間まで無料で移住体験が出来る施設「水上」。古民家を一部リフォームした施設で、清潔感もあってのびのびと過ごせる場所となっています。
上記以外にも、糸魚川市には移住を考えるクリエイターの皆さまに向けた様々な支援があります。自然豊かな水と緑に囲まれた、心にもスペースにも「ゆとり」のある環境での創作活動をお考えのクリエイターの皆さま。ぜひ一度、糸魚川を訪れてみてはいかがでしょうか。